大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 2005年2月 | トップ | 2005年4月 »

2005年3月28日

花の小売チャネルと年代層を考える

  今、車社会と売り場を勉強している。都内では徒歩と自転車、それに電車と昔ながらの移動手段をとっているが、地方は車社会の中で郊外に買い物場所が移転している。産地回りや旅行に行ったときにそれを感じる。この2月下旬からは、実際に自分が消費者になって買い物をしようと体験してきた。

 結論は、ホームセンターが21世紀を体現し進化している。勿論ホームセンターと生鮮品のスーパーや専門店などを合わせたショッピングセンターが楽しいし、繁盛しそうだが単体だけでもいけると実感した。GMSは利益が出にくくなっていると報じられている。あの素晴らしいイトウヨーカドーやジャスコでさえもなかなか苦戦をしているらしい。しかしホームセンターにいくと住関連以外の花も植木も品揃えが大変良い。園芸類では市場外流通物もあるが、市場流通のものできちんとしているのも売られている。また、近年力を入れ始めている切花もようやく格好がつきつつある。まだ会社によって完成度はまちまちだが、今後売り場としてきちんと作っていけそうなチャネルである。そして花や緑を買いに来る年代層を見ていると、これは幅が広い。まさに結婚をしたばかりのカップルから子供連れ、老年までいる。ここがホームセンターやら量販店の強味である。今後とも花の販売チャネルとしプレゼンスが高まるに違いない。

そのような広い年代層を羨ましく感じたのは昨日まで幕張メッセで3日間開催された日本フラワー&ガーデンショウである。来場者の殆どがおじさんとおばさんで入った瞬間驚いたが、みんな熱心で滞在時間の長いこと、真の花好きの人たちばかりで、このショウを楽しみに来ている人たちが年々増えていることがわかる。固定客は作れたとなると、それより若い年代をどのように連れて来るかが今後私たちが考えなければならないことのように思う。このショウの会場で同業者と話したが、彼も来場者の滞在時間と年代層のことに関心があったようだ。小生からホームセンターのお客の年代層のことを言うと「そうだよね。何かやり方があるはずだ。考えてみましょう。」と来年に向けての宿題となった。そういえば、3月に入り、衣料品店のGAPのピンクガーベラプレゼントや、丸の内の中央通りでチューリップフェアをやっていた。春は若い消費者を取り込む時期である。卒業式や入学式ばかりでなく、日頃の店頭でも販売していきたい。

投稿者 磯村信夫 : 18:37

2005年3月21日

「2005年は輸入花との棲み分け元年」

  お墓参りに行っていまさらのようにストックやスナップなどの季節の花が素晴らしいと感じる。お墓には随分といろいろな花が使われるようになったが、キクとカーネーションはやはり主流だ。この2つがあって初めて他の花との取り合わせがうまくいく。今年はキンセンカの切り目が堅すぎて、お墓でも今ひとつ独特な色彩が出ておらず残念だった。来期は早目に営業活動をしないと需要が一割減りそうだ。

 さて、産地からお客様がいらした折、この頃よく話題になるのが輸入花についてだ。たくさん入ってきて単価が安くなってしまう。こういう嘆きを聞くことが多い。小欄でも以前お話した通り、私ども大田花きでは2010年までにキク・バラ・カーネーションの主品目はどんなことをしても国産比率50%を割らないようにしようと役員会で決議し、会社をあげてそのための施策を実行している。一番困るのは産地によって腰が引けてしまい、言うなれば敵前逃亡でその座をすっかり輸入品に取られることもあるということで、カーネーションの局部戦線で起こってしまったことがある。国産・外国産と闘い方はいろいろあり、産地によって強味を生かしてもらえるような方向でこちらからお願いしているが、現に国内産地でもマーケティングをして物心両面で特定関係を結んだところなどでは2002年から単価が上回ってきている産地も出てきた。

人は殆ど説得されない。聞いて頭で分かっていても行動に移さない。思っていることをこちらからアドバイスをした時、やはりそうであったかと改善行動が始まる。やらなければ始まらないわけだから、まず自らが自分の強味を認識し、特に海外の産地と闘う手立てを少なくともイメージしておいてもらわないと話で終わってしまう。2005年は行動の年にしようではないか。

ここ暫く花の生産は減っても単価が上がるということはないだろう。生産が減れば輸入が増える。それは昨年の10月の台風ですっかりみんながわかってしまった。そして中産階級が崩壊しつつあるから、質を妥協してでも安い方がいいという人たちが増えてきた。これは花でも同じだ。

買い手の変化を考えて輸入品や日本国内のライバル産地と比べたりしたとき、自分はどこが優れているか、余人に代えがたい物は何かなどをよく検討しておいて、それを以って集中する。そして競争し、棲み分けていく。2005年私たちは日頃の商売の中で、産地に存続の自信を確かなものにしてもらうべく、全力を尽くそうと考えている。それは特定関係のサプライチェーンマネジメントを生み出すことだ。2005年、一緒にやりましょう。

投稿者 磯村信夫 : 18:39

2005年3月14日

物日のピークに効率化のメスを

 今日は3月最大の出荷と需要のピークである。業界の人にとっては何も不思議ではないが、切花・鉢物が1日おきの出荷であることは他の業界の人にはなかなか理解しにくい。一番の大元は生産者と花店がいわゆる「生業」であって、家族だけで仕事をしている経営体が他の業界に比べて多いからということであろう。生鮮食料品は専門店やスーパーマーケットが中心に販売を司ることになり、しかもわたし達は毎日同じように腹が減るから休みの翌日はともかく、出荷量は凡そ平準化する。青果物とても天気によって出荷量・需要量ともにばらつくわけだが、花は伝統的な花屋さんが頑張ってくれているので、生産者と気が合い、月水金が切花、火木土が鉢物となっている。

しかしこれではたまらない。日本全国の全ての花市場、仲卸、花の配送センターは「今日は雨ではなくありがたかった」と感謝しているはずだ。日本の殆どの卸売会社では、閑散期はともかくも需要期となるとスペースが足りない。次に人手が足りない。これを解決するには切花は日曜日を除く1週間、コンスタントに出荷をする必要がある。そして、組織で動く農協・運送店・卸・仲卸は効率を上げていかざるを得ない。少なくとも大田花きの物流は既にそうなっている。おそらく地域事情によっても違うと思うが、効率良くスペースを回す、効率良く物流機器(トラック・台車・パレット)を回すことがJIT(ジャスト・イン・タイム)に欠かせなくなってきている。

 現在、東京都中央卸売市場花き部連絡協議会では、東京農業大学の藤島教授を講師に招き、今期アクティビティ・ベイスド・コスティング(ABC)を始めようとしている。大田花きでは既にこの取組みをしているが、他の卸売会社の皆さんもABCをやってみると標準とする作業にどれくらいのコストがかかっているかを知ってゾッとするであろう。例えば東京都に提出する品質クレームの事故伝票を1枚作成するのにコストが3,000円もかかっているとわかれば、あらゆる行動に対して標準的作業コストがいくらなのか、手数料自由化前に検証しておかなければならない。

 物日を上手く乗り切るためにサプライチェーンの効率化に取り組まなければ、花き業界の全員が忙しいだけで利益が出ないという状況に既になってきているのである。卸売会社は産地と買参人の物流上の要望を聞き、それぞれの取引にしっかり取り組んでいかねばならない。

投稿者 磯村信夫 : 18:40

2005年3月 7日

営業力強化の必要性

  大田花きでは役員室が事務所の大部屋とは別室にある。但し、兼務役員は事務所の大部屋と役員室に机を持つ。

 さて、暫くの間小生は営業勤務時間帯で仕事をしていなかったので、来期の成果目標を確認する意味もあり一週間ほど営業と同じ勤務時間で事務所内で執務をした。

 つくづく仕事というのはいかなる仕事でも実際にやってみないとわからないものだと実感した。かつてやっていたことがある仕事でも、今実際にやってみるとその難易度や気構えが変わっていたりするものだ。であるから、かなり先週一週間は勉強になった。仕事がよく見えただけではなく、仕事によって磨かれた能力や人格をも見てとれた。なるほど20歳代に量をこなしてきた者は30歳そこそこというのによく仕事が出来る。できる上司は若い部下に徹底的に仕事をさせている。殆ど家に寝に帰っているだけでは?という者も何人もいるが、彼らは性格的に面白味がないかといえば、一番人間味があって生き生きとしている。中には真面目むっつりの者もいるが、実績を見たら百発百中勝ちばかりだ。

 大田花きはロジスティック会社だと自らを規定しているが、ロジスティックは言うなれば野球のようなもので監督の采配が7、個人の技量が2、運が1なので、特にラインのリーダーの人選には気を遣っている。一方、営業はサッカーのようで、監督の采配が6、プレイヤーの技量が3、運が1だと思う。しかし当社の営業を見ていると、少し個人の力に頼りすぎている。これでは営業力強化が要望されるこの先2010年までの間に競り負ける可能性がある。少し負けて、その負けが続くと個人間に伝染してムードが悪くなる可能性がある。例えば今年の1・2月のようなときだ。だから小生は大部屋に営業部員の働きを見に行ったのだが、やはり本部長をはじめライン長の組織力が出来ていないと最終的な勝利を手にすることはできない。

 新年度に向け、既に昨年10月に人事体制を敷いているから、あとはリーダーシップのある者がトップダウンの形で目標を落としていけばよい。その過程で議論や説得で新しい方針が一人ひとりの心の中に明確になっていく。それを今週中には終えていることだろう。

 現在大田花きでは営業に改善・改革の気運が盛り上がってきている。多分思いの外早いうちに営業力が何割か強くなっていることと思う。楽しみである。

投稿者 磯村信夫 : 18:42

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.