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2007年12月24日

2007年 最後の中央卸売市場“新花”開場、花の中央卸売市場第一号仙台生花橋本会長亡くなる

本年、花の卸売市場業界で起きた最も大きな事柄は、最後の中央卸売市場花き部である新潟市中央卸売市場“株式会社新花”の開場と、花の中央卸売市場第一号で、花き卸売市場協会では副会長として業界に貢献なさってきた仙台生花の橋本芳一会長がお亡なりになられたことである。今までが終わり、新たに始まった花き卸売市場業界である。

今、花の卸売市場はセリ比率が少なくなり、セリ前相対、セリ前取引が増えてきている。これは1993年食品流通改善促進法ができ、卸売市場以外の生鮮食料品流通を正規な流通と認めるようになったこと、すなわちこれまで生鮮食料品花きの流通は、卸売市場流通こそが正規の流通としていたが、それ以外の流通や直売や商社経由などの流通も重要な取引だと国は認めた。

1999年、セリと入札のみを正規な取引手法としていたが、相対を正式な取引と認め、セリでも相対でも取引手法は良いとした改正卸売市場法施行。

そして2004年、富山の米騒動以来、卸会社の買付販売を認めていなかったが、買付を新たな取引手法と認めた改正卸売市場法施行。
この3つの流れは生鮮食料品花きにおける卸売市場の問屋化、あるいは流通センター化、商社化を促すものである。

2009年4月、受託品の販売手数料を唯一の収入源とする(例外的に買付は2004年に認められた)規制が緩和され卸売会社は他の業務からも収入を得ることが可能となる。このような流れの中で、轡田社長、玉木副社長のもと新花が営業を始め、仙台生花の橋本会長がお亡くなりになった。ここで心しなければならないのは、中央卸売市場は地方卸売市場と違うという点だ。中央卸売市場の卸売会社は取引所運営会社としての役割と取引所を通さない取引を行なうという役割、この2つの役割があり、政令都市の中央卸売市場は利益を上げることを旨とする商社的な活動も大切ながら、最も大切なのは公正な取引所の運営であるということを肝に銘じ、セリ取引が活性化するようにしなければならないということである。世はまさにフリー、フェアー、グローバル、この3つが時代の声だと信ずるが、地方卸売市場はまさに民間そのものであり商売に徹していけば良いが、中央卸売市場の卸はフェアーを一義にしなければならない。すでに実質、卸と仲卸の垣根はなくなり、仲卸と卸の激しい競争が行なわれている。その中にあっても、中央卸売市場は取引所で価格を生み出す。その努力をしなければならない。最も譲って、すくなくとも中央卸売市場の卸会社は地物の出荷期間中は必ず取引所を活性化することが必要なのである。

本年最後のコラムとなりました。1年間ご愛読いただきましてありがとうございました。新年は7日の月曜日から連載をはじめます。変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年12月17日

花から見た今年の世相

昨日の千両、苔松・苔梅市も、今日の市でも、総じて上値は重く、手頃なものの流れはすこぶる良い。上値が重いと言っても、期待を大きく上回る特上のものには値段がしっかり通っている。その辺が昨年との違いだ。例えばフリージアでも特上は90円相場、チューリップも同様だ。だから一般的には景気の影響を受けて消費の動きは鈍いものの、絶対量が不足がちなので下値が高い。特上のものの値段がよく通っているということはそれを評価する消費者がいるということだ。それは都心部の一流花店を見ていただければわかる。パリの花屋さんに引けを取らぬセンスとレベルの店は多い。昨年までは見せ方やアイディア中心で、素材そのものにそうは感動しなかったのがこのところ違う。宝飾品を見るのと同じ様に楽しむことが出来る。しかも宝飾品と比べたら本当に値段は手頃だし、花は生き物だからコミュニケーションもできる。地方都市のことはわからないが、東京の都心は確かに生まれ変わりつつあり、その花飾りという生活文化はオペラやミュージカルなどがそうである通り、日本では世界最高レベルにまで到達している。

だが大田花きの取引所を見ると、多くの小売店は近隣のスーパーマーケットとの競争が激しくなっており、スーパーと同じ品揃えのものを仕入れようとしている。小売店と同じ物をスーパーが売ろうとしているのかもわからないが、とにかく価格競争になっている。これではどちらかが具合が悪くなってしまう。専門店が大手量販店に伍して活躍しつづけるには、サービスの質を顧客の立場に立って追求する、地域に密着し地域にお金を落としたいと思う顧客をゲットする。期待以上のサービス、これが“山椒は小粒でぴりりと辛い”を旨とする小売店の進む方向であろう。しかし現実は必ずしもそうなっていない。日本の消費者は小売店を使い分けるので、高い花を買ってもらえる専門店になってほしい。2008年、日本の量販店はもう一度自社で花を取り扱い、クローガーやテスコのように花販売でも成功したいと考えている。縮小気味だった量販店の花売場は活気付き、花の小売業界の実態競争は激しさを増しそうだ。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年12月10日

松市

昨日は東京では最後の紅葉狩りの日となった。イチョウやナラ、カエデなど公園を散策する人たちが多数いた。大田市場の近辺では、今年京浜急行の平和島駅から歩いて10分のところに砂浜がきれいな“大森ふるさとの浜辺公園”ができた。旧東海道から羽田へ行く、これも江戸時代からの道があり、そこを通って少し行くとナラの林があり、その先が砂浜のある公園だ。カモやウミネコが多く、特にウミネコは餌付けをする人たちがいて群れをなしている。ウォーキングを楽しむお年寄りたちが起伏のある散歩コースを要望していたので、区はまたとないプレゼントをしたものだと思った。

大森の界隈は町工場が多かったが1980年代半ばから数は減りはじめ、特にここ10年、中国へ生産基地が移ってからピークの五分の一の数になった。その跡地はマンションになっており、あの油臭いスレートの家並がいつの間にかきれいになったので喜ぶべきであるが、しかし地元の人間としては寂しい気持ちがしてならない。こういった旧東海道の大森海岸界隈だが、伝統を守っている住人も多い。例えば供える榊はひとまわり大きい。だから中国で作られた作り榊は使えず、自分で作っている花屋さんが多い。

昨日は松市であった。門松が高騰した昨年とは異なり、今年はカラゲ松と根引松の生産量が少なかった。そのカラゲ松は大森界隈にはなくてはならない。それと根引松と五葉松の良いものも欠かせない。大森海岸の料理屋はもう一軒もなくなったが、その流れを汲む割烹や寿司、洋食屋は伝統を重んじ松を多く使う。古い家ほど松を多く使うので、この界隈の花屋さんは日本の一般の花屋さんより松の比率が高い。今、日本では季節のグリーンとして松を使うことが多いが、大森界隈は松が主役で花は脇役である。ここが違う。だから質の良いものにこだわる。昨日は良い根引と五葉松は一時の値段ではないが、現代としてはしっかりした値段であった。筋モノのカラゲ松や若松の大小も安定した動きであった。新しい花屋さんたちが多い大田花きのセリ場では、セリ人が松の良さを教える形でコミュニケーションし、セリが進む。大変生意気な言い方で恐縮だが、このコミュニケーションの取り方しか新しい花屋さんにどんな松が良くて、どんな松が良くないのかを教える手立てがない。今年の松市でとある波崎の荷主さんは小生に言う。「大田の松市は古い。どこの市場でも注文で事前に販売している。早く大田もそうするようにしてくれ」。千両はセリが主力だが、松は注文が中心取引となったようである。しかし大田では昨年の門松の不作、本年の根引とカラゲ松の不作。このように農作物は天候の影響を受ける。だから相場が必要だ。その花の今年の相場は大田のセリ場から生み出されると信じて、取引所運営に万難を排していきたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年12月 3日

昨年の冬より輸入品が増加する見通し

円が相対的に安かったのは金利のためであった。外銀が円を低金利で調達し、円を売ってドルに換える。あるいはユーロに換えるなどして投資を行ういわゆる「円キャリー」が、サブプライムローンの焦げ付きから急速に減ってきているという。為替を見るとドル全面安で、「円」は1ドル110円を割り、気の早い人は昔80円だったことを思い出し、そういった発言をする人もいる。

花の輸入に限ればマレーシアは準固定相場制だから、マレーシアのSP菊やラン、ハモノ類は円が弱かった時期もコンスタントに増加してきた。しかしユーロ圏内のオランダやイタリア、そしてイスラエルなどは品目を絞って細々と取引が続いていた。ドル決済が中心の太平洋諸国も日本円が弱く、日本の花の単価も上がらないので、日本への輸出は先細った。それがここのところの「円キャリー」が少なくなって「円」が1ドル110円を割るようになると、そろそろ日本向けを考え出そうとするアジア太平洋地域のシッパ?もあると聞く。国内では油高で1?3月の出荷量が前年を割り込むと予想されており、昨年よりも日本への輸出量が増えてくる可能性がある。もっとも中国「元」がここのところで一番高くなっているから、中国からの輸入量が急増するということはない見込みである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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