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2008年10月27日

アジア回帰

今年のHORTI FAIRとアールスメール花市場で行なわれたトレードショーの傾向は、アジアの時代と言っていいだろうと思うが、胡蝶蘭やアナナス系、アンスリュームなど、温帯から亜熱帯の感じをさせる花や新品種が数多く出ていて、経済や文明の軸がアジアに寄ってきていることがわかる。

その流れとは別に、ファッションが黒・白・グレーで構成されているので、色合いのはっきりしたものというよりも落ち着いた色調のものが多かった。また展示会独特のボリューム重視であるが、トレードショーの中には細い線を生かすような球根植物や草花も見えはじめ、しっかりした作り、どーんとした存在感のものから、少ししなやかなものへの傾向も見え始めていた。

ここ5年で概して花系が大きくなったが、家庭で飾るのに大きくなりすぎたものもあり、少しずつ輪が小さく、細身になってきつつあるのかもしれない。


P.S.入荷見込み情報

昨日の日曜日も高速道路は行楽帰りの車で渋滞箇所が多かったようだ。今年7月に最高値をつけた石油先物価格も、空売り規制と不景気感から今はもう昨年水準より低くなった。日本のガソリン価格もそうで、安くなったガソリン価格に加え、暫定措置で高速代金が割り引かれている。しかし実態経済の影響はまだこれからで、給与所得は以前のままだから家族でドライブに行った人が多かったのであろう。

生産農家の中でも「冬焚かないでおこうと思っていたのですが、やはり焚くことにしました」と生産計画を修正するところも出てきた。もうすぐ11月だというのに、まだ12月から3月までの出荷量を正確につかめたとは言いがたい。

不測の事態は為替相場にもあらわれていて、これだけ円高だと輸入品は割安に入るから、海外の花の絶対量は増えていないのだが、為替相場によって輸入花は増えてもおかしくない。想定外の経済状況になってきているので、ここで再度出荷状況を把握しなおす必要が、産地にも卸売市場にもある。得た情報をお互いに交換し、10月末時点とか、1週間、10日ごとでもいいが、明確に外に向かって発信する必要がある。とにかく状況が落ち着きなく変化しているのが今である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年10月20日

ホームユースを根付かせることの大切さ

オランダ花市場の情報部門Eコマースの部長であるユルンさんから、「入荷が5%増え、経済の低迷で単価は5%下がったので、今年は今のところ昨年並みの取扱金額になっている」との話を聞いて、何故そのくらいの単価安で済んでいるのか、需要の落ち込みはないのかと質問した。答えは家庭需要。花は暮らしに欠かせないものになっているから、需要はそんなに落ちないと言う。オランダの花き産業は家庭需要の上に花き業界を構築してきたから、これだけ強烈な経済の調整局面でも花の需要はしっかりしているのだ。

一般論として、ホームユースやパーソナルユースと、物との関係はどのようなものか。コンピューターがパソコンになっていくと値段が下がり、しかも良くないと売れない。花なら花保ちが良い、そしてユリならユリ、バラならバラの良さが際立っている。値段は普通の人が買える範囲、こうしたときに初めて家庭で使われることになるのではないか。

プレゼント、結婚式やお葬式、ディスプレイなどは個人の経費なのか会社の経費なのかわからないが、とにかく経費需要といえるものである。日本は高くても買ってくれるこの経費需要を充てこんで、作り、販売してきた。しかし今は経費削減だから、この花の需要は減るのだ。個人需要であれば生活に欠かせないものにだから、景気が下がったときでも少し安くなれば消費者は納得して買ってくれるわけだ。

今回見たアムステルダムのHORTI FAIR、オランダ花市場でのフェアなどはいずれも時代と共に移りゆく美意識を具現化したフェアだ。見るべきものも多くあったが、まずは物としての良さと値段を中心にしたホームユースに軸足を置かない限り、産業として成り立ち得ないのではないかと感じた。ホームユースを喚起する一つとしてのHORTI FAIRであった。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年10月13日

株価が下がっても、いたずらな心配をしないでください

日曜日に政治が作られると言うが、ここのところは各国の首脳が共に経済政策を協議し政策合意を発表している。こうして株安の恐怖心を取り除こうと躍起になっている。経済は車で言えばエンジンで、政治はハンドルだから政治が中心になって全体を再度落着きのあるものにしようとするのである。
現時点での花の消費動向を見ると、次のエピソードが物語っているような気がする。昨日の東北道や中央道はガソリン代が下がった事による安堵感から紅葉狩りに向う車が大変多く、行きから渋滞していた。確かに安近短かもしれないが東京ディズニーランドやお台場の人出もすごかった。去年と比べてどうだったかわからないが、よくもまぁこれだけの人出があるものだ。というところである。
うちの近所の蕎麦屋で愛知屋というところがある。それ以外にも旧東海道の立会川近くの吉田家という蕎麦屋も有名で、土日の昼は中高年で賑わっている。江戸前の蕎麦屋は酒処だから夜は年配の酒好きでいっぱいだ。なぜこんなに人がいるのだろうといつも思う。安い訳ではないが、とにかく美味い。だから割安だ。すなわち人はお金を使う。花と生活をしている人は花を買う。確かに花の需要は1割やそこら下がっているかもしれないが、1万円以上の花と言ったら胡蝶蘭や葬式の籠花ぐらいでほとんどが手軽な値段だ。だから株価の暴落で年配者の需要を心配する向きがあるが、そうは心配いらない。それが年配者の出入りする所で食べたり、買ったりした小生の実感である。花は日本人のライフスタイルに根付いているのだ。だからいたずらな心配はしないでもらいたい。

これから金融不安真っ只中のオランダのフォーティーフェアーに行ってきます。来週は今年の傾向をお話できるだけでなく、単価水準やオランダ花市場の対応についてお話できると思います。
それでは行ってきます。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年10月 6日

来週の見通しを

市況商品である花や生鮮食料品は、俊敏にそのときの需給バランスを映し出す。現在の経済状況からすると、取引所を持たない他産業の需要減は今後本格化する。それが実態経済の影響と言われるものだ。株価は先行指標の一つだが、花や生鮮食料品の相場はそのときの台所事情を即座に映し出す。これを生産地が引き合うような価格で取引するにはまず供給元を絞ることが必要だ。販売元の数の調整が欠かせないということだ。ヨーロッパもアメリカもそうしてきたし、そうなった。青果はオランダでさえも、せりをやめてもう10年になる。花はせりを行なっているところも多いが、ヨーロッパではオランダとドイツとイタリア。アメリカ大陸ではカナダ、ブラジル。オセアニアではニュージーランド、中国、台湾、韓国、日本だけで、それ以外の国は相対である。日本では一部の市場を除いて、相対取引の一手段としてのせりといった風に、せりの使われ方も変わってきた。供給者の数を絞ることが必要なのは、オランダの花市場が一社になったことで分かるとおりだ。そして次に産地情報を道州制レベルで次に全国レベルできちんと捉え、取引所の会員に開示することが必要である。そうでないと、相場の乱高下が激しくなる。現在は経済が悪いから、情報がないと不安で安値に流されることが多いのだ。とにかく地域の基幹的卸売会社は情報を収集して、それを分析し、買い手と産地に発信する義務がある。少なくとも「来週の見通し」をきちんと伝えていく必要がある。

話題をもう一つ。石油高や資材高で暖房が必要な時期に花の生産が少なくなっている。しかし少ないから高いという風にはいかない。どのように再生産価格にまで引き上げるかだが、小売価格を上げられない中で生産者が手取りを増やすには工夫が必要だ。実感はなかったが、昨年までの好景気で産地はここ10年、一箱あたりの入り本数を少なくして花屋さんの買いやすい入数にしてきた。ダンボール代や運賃、手間隙がかかっただろう。しかしそれを補って、余りある高単価が得られると判断したのだろう。輸送容器、兼販売容器を産地は実現してくれたわけだ。しかし生産資材が高くなる中で何が落とせるのかというと、結局一箱あたりの入り本数を元に戻さざるを得ないのではないか。昔のように100本、200本、300本箱。必要だったら卸がせり中に小分けをすればよい。昔と違って仲卸も少なからずいる。こうすれば生産者はダンボール代、運賃が助かる。全体量が少なくなっているから単価がこれ以上下がるリスクはあまり多くないはずだ。入り本数を元に戻す、この時代に入ったのだ。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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