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2011年3月28日

向こう三ヶ月の見通し

今週は第13週。2011年の早1/4を過ごしたことになる。大震災は第10週の3月11日金曜日であったが、花の価格が暴落したのはそれから1週間後、3月18日金曜日の彼岸の入りの日であった。大震災後、小売店ではホワイトデー用に用意した花が売れず、スーパー自体が被害を被ったため彼岸用の花束の大量のキャンセル、卒業式や謝恩会のキャンセルや結婚式の延期などがあり、花き業界自体も激震した。津波警報がようやく注意報に変わり解除され、船も着岸して荷が降ろせるようになったのが16日から。また原発事故で成田に着陸せず、他の飛行場を利用することになったヨーロッパやアジア系の航空会社もあり、船便(主に沖縄県の小菊と黄菊、台湾からの黄菊、中国からの白菊)と航空貨物(主にマレーシアからのスプレー菊とコロンビアと中国からのカーネ)は予定よりも遅れて18日(金)セリ日に東京に到着した。

彼岸の入りで荷を抱えているから、今日は売る日と決めているため仕入に来る買参人は少ない。出荷者としては木曜日は切花は休みだし、土曜日はもっと安くなるということで荷がまとまったトラック便、たまりにたまった船便、これもたまってしまった飛行機便を一時に金曜日の18日に上場することになった。一方、搬出に向けた物流は、飛行機便は東北・北海道はすべて地震の緊急物資を優先して使われ、高速道路は常磐道・東北道とも不通で被災地に出る道路は一度日本海側に出て、太平洋側へ回るルートしかない。しかもガソリン不足で、行ったは良いが帰れなくなる可能性があり、ほとんどのトラック会社が運休せざるを得ない状況であった。そうなると、一都三県、小さい首都圏といわれる東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県に荷物を吸収してもらう必要がある。しかし、千葉県は浦安や旭など被災地であるから、一都二県で荷を吸収してもらう必要があった。それはとても無理なので、18日暴落したわけだ。

計画停電もあり、小売大手チェーンでもスーパーマーケットのチェーンでも18日までの花の売上は30%くらい。ようやく19日からの3連休で、前年の半分くらい売上を戻したという。首都圏では甚大な被害が出た茨城県を除いてはこの比率の小売店が多かった。
暴落市況はプールの中に大きな石を投げ込まれたように日本全国に影響し、産地は21日の月曜日からの出荷はウェイトを東海・関西・中国・四国と九州に、関東・東北が消費しきれない分を乗せた。波が西に向かったので、今度は西の方が安くなり相場は西低東高になった。現時点ではもう少し首都圏もいけるのではないかと、より戻しの波になって波は東に向かっている。こういったことを2、3回繰り返して行き、母の日を終えて落ち着くというのがこの13週から予測できることではないかと思う。

原発の放射能問題と計画停電での対応があるので、被害が軽微な首都圏においても早く元通りになるとは思われない。この2つがなかった阪神大震災後のデパートの売上を参考にすると、神戸では3四半期売上は半分のままであったから、実際に被害が大きかった場所はそのようであろう。それよりももう少し軽かった場所で百貨店の売上は2四半期で半分であった。さらに軽微だった場所で1四半期は半分の売上だった。首都圏でもデパートは1四半期で半分の売上であろう。百貨店がそうだとしても花はどうだろう。出荷者・買参とも従来通りの市場に出荷したり仕入れしたりするとした場合、地域によってばらつきはあろうが、関東+新潟県・長野県・山梨県・静岡県の大首都圏で見た場合、取扱金額ベースで、4月で前年の50~60%、5月で60~70%、6月で70~80%ではないか。それに合わせて経営をしていかないと大きな赤字を作ってしまう可能性がある。こう見ておくのが良いのではないかと思っている。

まず原発問題の解決、次に計画停電の中での秩序ある生活と経済活動。この2つが市場協会首都圏支所管内の30市場の2011年度の健全な運営につながる必要条件である。早期解決を祈る。


P.S.
小売店で停電によりストッカーや冷蔵庫内の湿度が高くなり、バラやトルコギキョウにボトリチスが多く出て、被害を受けています。ドアを開けて外気温にならし、湿度管理の徹底をお願いします。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年3月21日

コラボ消費

今日の立合は1時間40分で終わった。相場を戻したものもあるが、需要は浅い。
福島第一原発による放射能問題、前日指示される計画停電という名の停電で事業所や小売店、飲食店は計画が立てられないこと、自動車のガソリンと温室生産用の重油不足、自粛ムードによるイベント停止などがある。原発の問題が解決しない限り、正常にはならない。

春のこの時期、日本列島の花の需要は東北、北海道で30%、広く関東圏と言われる一都六県プラス静岡、長野、新潟で40%、残りの30%は浜松以西の需要であると言われている。現在7割の需要のある北海道、東北、関東で大きな影響を受け続けている。すぐには元に戻らない。時間をかけてゆっくりと正常に近づくと思うが、花き業界全体で見ると、地図が変化するかも知れず混乱が続くと言わざるを得ない。

さて、今日の話題はコラボ消費についてだ。今の言葉として、ハイパー消費とコラボ消費という言葉がある。リーマンショック以前は消費者として違いを見せることが大切で、自分だけ良ければ良いと、どんどんものを所有していた。地域社会のことを口では言うが、実際には地域社会のことなど考えず、そのために時間も使わず、自分や家族だけが良ければ良いと消費していた。それがリーマンショック後、サスティナブルな社会を作り上げること、子どもたちに未来をプレゼントする生産・消費活動をすることが必要だと気付いた。消費で言うとコラボ消費が大切だということに気付いた。またそれが格好良いと思ったり、コラボ消費こそ人間の消費のあり方だと思うようになってきた。コラボ消費の具体的なものとして、ファーマーズマーケット・直売所が世界中で増えて来た。プリウスがNo.1の販売台数になった。パリやロンドンで展開されている自転車シェアリングは今の社会での生活の仕方を象徴している。エシカル(倫理的な)消費など自分が出来ることをして、地球環境を良くしたい。コラボ消費はグローカルに考える地域社会人としての消費のありようだ。「奪い合えば足りず、分け合えば余る」という消費のありようで、「もったいない」や「お互い様」を前面に押し出したものである。これで事業規模が拡大するかというとそうではない。コラボ消費では生産量、消費量は大きく増えない。このようなコラボ消費が消費のあり方として定着しつつある中、大震災による花き業界のダメージだ。これは花き業界だけではない。ここでは花き業界のことだけ言えば、「足るを知る」をかみ締めつつある日本の消費者にリーマンショック後の今までとは違い、新しくコラボ消費の時代に入った花の提案をしていく必要がある。具体的に「差別化と値段」の切り口で言うと、良くて安い普通のものが、消費者が受け入れる基本になっていく。1・2月は日経平均で15,000円を狙うところまで日本の経済は回復すると期待したが、お金がこれだけだぼついても10,000円狙い。分を知った消費、「プリウス消費」が基本というのが今日のセリ場から読み取ったメッセージである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年3月14日

謹んでお見舞い申し上げます

東北関東大震災から今日で早4日目。電話が通じず、未だに状況判断は的確にできない。土曜日、日曜日と会社に詰めて、被害状況や道路状況などを精査し、今日の取引に臨んだ。今、花は陸・海・空で物流しており、インフラが被害を受けると物流が困難になる。昨日の時点では、東北地方へは新潟経由で入ることとした。新潟経由であれば物流できる可能性があり、青森・秋田・山形・宮城には、満足のいく台数ではないが必要最小限の荷を出した。航空便と高速道路網に大きな障害があり、しかもガソリンが不足していて、行くだけ行っても戻って来られるかどうか、そういった不安がつきまとうので、花をどうしても確保しておきたいという顧客の要望に応えられない。行ってくれるという運送店さんがいれば花を運べる。取引先の要望に応えられないということは一卸売り会社としての大田花きの不甲斐なさだが、全国の有数産地や大手の輸入商社など花き業界にとって重要な荷主さんにとっても同じ困難な状況にぶち当たっている。

大田花きは社会インフラとしての花き市場として、13日の日曜日、倉庫を借り増しして荷主さんの荷物を預かっておくことを決めました。今、お彼岸の需要期なので、大田市場の近くに大きな物流倉庫を三つ借りている。それをさらに広く借りて、荷主さんが関東・東北に出す荷物を無料で一定期間預かろうとするものだ。都内では共同荷受所があるが、そこは1日1日きれいにしておかなければならない。大田花きなら事前に話しさえいただければ、預かることができるのでご利用いただければと思う。

東北地方は浜通りも中通りも大きな被害がある。しかし東北で一番花が売れるのは3月だから、ライフラインが確保されたら、ひとごこちつけるためにも是非花を使ってほしいと考えている。花がどうしても必要なのは、まずはお弔いからであろうが、「足るを知る」をすっかり思い知らされた我々が元気に再出発するために花を使ってほしい。まだ少なくても今週いっぱいは花き流通の大混乱は続くものと見ている。仕事のことだけに限定すれば、まずはガソリンの供給、高速道路網の復旧から徐々に立ち直るだろう。端午の節句を一つの目標にして復帰を計りたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年3月 7日

山形庄内・花き生産に前向き

近頃友人と集まると政治の話になる。昨年末はもう政府を頼りにしないで、民活でやっていこうと気持ちの上で政局の混迷に区切りをつけたが、このところ仕事に実害が出て来て、もう無視ができなくなった。そこで友人が集まると政治の話になる。結局は愚痴で終わってしまうのだが、この混乱に早く終止符を打たせ、再度仕切り直しをしたいところである。

先週、庄内たがわ農協の合併15周年に行った。広域合併して出来た庄内たがわ農協だが、花は新余目が中心であったから、そこに集結をし、新花き部会のリーダーシップを取った。全国有数の産地であるが、その特徴はなんと言っても部会員の結束の強さと共同育苗施設を持っていることである。庄内たがわ農協管内の庄内町では、花の町にしようと町長さんが先頭に立って、花き生産拡大と新規就農者を育成している。この庄内町で庄内たがわ農協の花き部会の生産者が利用するストック等の苗が生産されているのだ。もちろん農業だから天候の影響は受けるが、需要に合わせた生産が出来ることが農協花き部会の強さに通じる。仕事は質と価格と納期でなりたっている。この3つを自社の種苗センターを持つことで可能にしている。このような花き施設の補助を国や地方自治体から上手に持って来ているのが山形県の自治体の政治手腕である。どちらかと言うと内向きだったり後ろ向きになりがちな今の農業分野にあって、着実に山形県庄内の花は前進している。官民挙げて、素直で明るく、粘っこいタフな根性の賜物である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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