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2012年2月27日

第9週、今週中に3月の仕入れ計画を立てて下さい

 花の取引は実質、今日から3月に入ったと思う。ちょっと余談だが、季節を日の長さで感じる国民と温度で感じる国民がいる。前者がヨーロッパ人で、後者が日本人である。日本でも例外的に札幌の緯度だと日の長さで感じるかもしれない。
 それにしても今年は寒かったから、露地花のように積算温度で土が温まってきて花が咲くものが遅れ気味だ。しかし、温室のものは日が長くなって咲き始めてきた。そこで第9週の2月末の今日の月曜から量的にも3月の立会いとなってきた。今迄量が少なかったから、生産者も消費者に届けるお花屋さんも大変だったろう。3月は12月と同様、1年で最も消費が増える時期だ。卒業式が今週から始まり、雛祭り、8日の国際婦人デーでミモザアカシア、結婚式も始まって、3.11そして3.14のホワイトデー、次の土曜は17日お彼岸の入りで、20日がお中日で休日。それが終わると大学の卒業式が本格化して離任式や結婚式など、花き業界は忙しすぎてうれしいやら何やらであっという間に過ぎていく。そんなうれしい悲鳴の3月である。こんなに見える需要がしっかりあるのだが、花き業界で忘れてはならないのが、需要に合わせて供給サイドで極力普段の価格で良いものを届ける努力だ。
 2月の消費者と3月の消費者は変わらない。たしかに3月になって花を必要としているからといって消費者は高くても良いと思っているわけではないのだ。賢い消費者、価値を見出す消費者、この2つの買い方を消費者はする。花好きの人は、どんと買う。しかし、花も普通の消費材と同じように考えている人は量は買うが、或いは頻度を増して何回か3月のうちに買うが、高かったら違う店に行く。この様に普通の消費行動を花においてもするのが3.11後。日本人は消費の面でも変わった。花き業界では時折、21世紀に生きていて未だに昭和の商売をしようとしている人がいる。そういう人に限ってぼやく。自立した、四季折々の祭事や人との繋がりを大切にする日本人が消費者だ。幸い今年は沖縄産の菊類が2010年よりも5%程少ないだけの出荷量が確保出来ているという。こちらは寒かったが、沖縄は例年通りの天候で生育も順調だという。消費者やお花屋さんに安心して、3.11やお彼岸の花を使ってくださいと言える。これだけ多岐に渡る消費が3月にあるわけだから、定番で使われる切花・鉢物・苗物などは可能な限り契約取引で事前に手当てしておくのが良いのではないかと思う。小売店の皆さんは今利用している市場に相談し、今年は何が少ないかどうか把握しておくことも必要だ。例えば、去年は3.11でチューリップの切花など超安値で生産者は球根代にもならずに大赤字だった品目がある。そういうものはさすがに今年は生産が少ない。沖縄が菊類を今年もしっかりと出荷してくれるのも農協がそれぞれ農家に金銭面、苗の手当て、また精神的にも的確な援助がなされた為だ。そういうことを市場は把握しており、是非とも間際になってあわてない様、消費者に迷惑がかからぬ様、小売店は仕入先の市場に早く生産状況を聞いて仕入計画を立ててもらいたい。今日から3月の需要がいよいよ始まった。まだ仕入れ計画を立てていない人は今週中にお願いしたい。

投稿者 磯村信夫 : 10:53

2012年2月20日

基準は潜在需要

 昨日の上越湯沢地方は久し振りに晴れて絶好のスキー日和であった。
 ワールドカップのモーグルで上村選手は今季復帰したのに2位になり、ファンを沸かせた。持ち前のスピードは衰えず、結婚して何か落ち着きを見せたように思う。
 私は暇を見つけて冬はスキーに行っている。歳と共に衰えていくチャレンジ魂をこんなことではいけないと持続させ果敢にチャレンジし、さらに良い滑りがあるはずだと斜面やコンディションに合わせ、今年の課題を見つけてそれに向けて練習している。このことは、仕事をしていく上で良い影響を与えてくれているように思う。
 今、来期に向けて予算を最終的に固める時期だが、事業計画予算を考えるとき成熟社会の日本において何が大切かというと、私は潜在需要に的を絞ることにしようと思いたった。切花、鉢物、或いは植木もそうだが、少子高齢化の日本にとって花と緑の潜在需要は多い。ますます潤いのある生活には花と緑の出番が多くなっていくことだろう。そして、事業計画を考える上での「潜在需要」とは、大田花きの事業において、どんな業態の小売店が伸び、どの会社・生産地が具体的に伸び、どの花が伸びていくか、可能性のある取引先との取引ではなく取り組みを行いサプライチェーンを形成していく。それも集中して行うことだ。中核市場としての役目を考えたとき、そして、首都圏の地域市場としての役目を考えて、大田花きは仲卸や地域市場と協業したり、地元であれば直接に、小さくても味があるその分野No,1のトップフローリストと花束加工業者・量販店の2つのカテゴリーに特化し、人・物・金・情報の投資を積極的に行う。そして、それによって自社の繁栄を勝取る。こうすることにした。  
大切なのは、潜在需要でこれを具体的にこの世に生み出す。そういう創る仕事を来期徹底的にしてやっていきたいと思う。何事もチャレンジすることはワクワクするものだ。

投稿者 磯村信夫 : 12:06

2012年2月13日

フラワーバレンタイン

 11日(土)、茨城県のつくばで「いばらき花フェスタ」が開催された。入場料を頂いて、会場に入ってもらうつくばのフラワーイベントだが、開場前から人が集まり始め大盛況であった。
 茨城県の県内生産者が生産している花を出品しコンテストも行われたが、入賞したものは白色が多く、冠婚葬祭の需要はしっかりしていて、そこで使われる花は利益が出ているのだろう。本当に品質の優れているものが多く圧倒されたが、入賞作品を集めた展示場では、せっかくなので多彩な色目があった方が良いという印象であった。会場のつくば市は緑に囲まれた都市生活が出来る街として今後も発展していく注目の市だ。
 茨城県のこの花フェスタは、種苗から生産、卸売流通、JFTD、ガーデニング・ハンギングバスケット協会、フラワーデザイン協会、そして行政まで、実際に県内の花き産業をもりたてている人達が主催している会である。小生は話しには聞いていたが、実際に参加してみて熱気と盛り上がりを感じた。その会場の一部でフラワーバレンタイン用に奥さんや恋人に花をプレゼントして下さい、と男性に花がプレゼントされた。
 11日(土)、12日(日)とフラワーバレンタインとして男性から女性へ花を贈るという新しい習慣を身につけて貰おうと花普及センターが事務局で、花き業界全体が参加して日本各所で行事が行われた。
 私は花の流通を仕事にしているのでお花屋さんで花を買うことは恥ずかしくないが、1970年代生まれの団塊ジュニアより前に生まれた人達は、男性がお花屋さんに入るのは恥ずかしいと思っている人達が多いらしい。プレゼントして女性が喜ぶのは1番目に宝飾品、2番目に花だそうだが、宝飾品は好みもサイズもあるし値段も張るから花が手軽なものとして欧米では使われている。
 男性から花を贈る習慣、又男性がお花屋さんに行く習慣をつけて貰うのがフラワーバレンタインの目的だ。今年で2年目だが、日本中で行われていて、お花屋さんも13日の夕方や14日にはバレンタイン用の花が売れていくことだろう。後は、天気がちょっと心配なだけだ。花き業界は欲張りでホワイトデーに花を贈ってもらおうとも思っている。ホワイトデーの花に採り上げてもらおうとカラーの産地は業界向けにキャンペーンを行っている。雑誌の企画で格好良い男達は花を知らなくてはならないといくつか花の基本を教えている。グローバリゼーションが花に対する知識や行動を後押ししている。ストレス社会が花の価値を我々に教えてくれる。
 街のお菓子屋さんがバレンタインデーのチョコレートがあまり売れなくなったと嘆く今、我々花屋がイギリスを見習って男性から女性へと花を贈る習慣を定着させたいと思っている。先頭に立って頑張ってくれている青山フラワーマ-ケットの井上社長、日比谷花壇の宮島社長に続けとばかりにどうしてもフラワーバレンタインの活動を成功させていきたいと花関係者は思っている。

投稿者 磯村信夫 : 12:40

2012年2月 6日

花は質を下げてはいけません

 関東東海花展が昨日閉幕した。毎年この時期池袋サンシャインで開催されるこの展覧会は、私が知る限り最も品質高い展覧会である。開会式の時、田島生産協会会長が、「ちょっと品質がおちたんじゃないか」とおっしゃった。「たしかにそうですね。油が高く、なかなか十分に温度をとり難いが、頑張って良いものを作ってもらわないといけませんね」と返事をした。残念ながら今年は天候のせいもあり、品質は例年より落ちていた。
 花は少子高齢化でも需要は減らない。胃袋に入るものを作っている農業は少子高齢化で、人数が少なくなるだけでなく胃も小さくなって同じだけの量を作ったら余る。しかし花は住環境が改善され、一人あたりの居住空間は広がって町並みも整う。ガーデニングにいたっては、「漸く暇が出来て初めて菜園かガーデニング」が出来ると喜んでいた団塊世代の人は多い。花は人口動態から見ても需要が増えるから、或いは、増える可能性があるから質を落としてはいけないのだ。理由はこうだ。食事は素材の良さと料理人の腕の良さがあいまって美味しい食事が提供される。ウエイトは料理人の腕が上で素材はその次となる。そして、食べてしまったらお腹を壊してしまわない限り食事の役目は一応済む。花は素材の良さと花を活けた人の腕による。美しさは同じ花の素材を使っても断然違う。そして活けられた花はそこからがスタートだ。食べてなくなるわけではない。活けた瞬間はたしかに腕前に価値があり、ついで素材の花だ。しかし、翌日翌々日と徐々に花の持つ生命力や輝きが俄然価値を帯びてくる。生産者の責任は、切花でも一週間近く花持ちがする様に健康な身体で市場へ送り出すこと。苗物や鉢物は、一ヶ月や三ヶ月、もっと長い期間生産者は責任を持つぐらいの意気込みで生産する必要がある。だから花は品質を絶対落としてはならないのだ。その花の天寿なら仕方ないが、金儲けに走って品質を損ねるようなことがあってはならない。花は、少子高齢化は決してマイナスではないのだ。むしろ需要を作り出すことが出来る。ただし、国民が憂いなく生活できるということが前提だ。花は長い間、補助金も貰わずに民々でやってきたから非常に強い生産者が沢山いる。今なら後ろ向きの気持ちを持つな、と云い一緒に需要拡大に向けて努力出来る。
 まずは、良いものを作った人をきちっとした評価と報酬が行くようにする。法人需要が減っているし結婚式も多くない。葬儀も花で祭壇を作っているのは全体の3割だ。しかし、このような状況下でも市場は良い品物を丁寧に説明してお花屋さんに売ることを約束しよう。自分をブランド化する為、ロゴや屋号をぜひともつけてほしい。送り状のところや、或いは、箱などに大田花きなら日本で一番最初に機械セリをしたから、あのロゴマークを書いて大田花きと書くように、ロゴがなかったら屋号を、そしてもうひとつ、自分の花の写真か農場の花の写真を出荷先の市場に送ってもらいたい。良い外見と中身も揃った品質、そしてロゴか屋号、また作っている花の写真と農場や作っている責任者の写真、これでもって手を抜かずにしっかりとしたものを作って需要を逃がさない。一緒にその需要を増やそうではありませんか。

投稿者 磯村信夫 : 15:51

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