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2012年3月26日

新しい花、ラナンキュラスに暗雲が・・

本日の入荷はお天気も良かったので、彼岸期は間に合わなかった花が出荷されて5万ケース以上の豊作型の荷姿になっている。しかし、まだまだ肌寒い日が続くので、チューリップやスイートピー、キンギョソウなどの春の花の商品価値が充分にある。これで単価は2割安で2010年並の卸価格になっていくだろうから、小売店は量を売ってほしい。
 
今日はトレンドにのっているラナンキュラスについて改善点を申し述べたい。支出が増えているものはいずれも新しい物事に対してであり、皆が知っていて代わり映えしないものの支出は減少する。花き業界ではグリーンカーテンは有望だ。そして、球根切花のラナンキュラスは種苗家の草野さんが市場や生産者と一緒になって新しいものを次々に商品化してきている。「一本棒で花が大きい」が、トレンドだからこの形にラナンキュラスをしたてているフラワースピリット(生産者の組織で現在株式会社となっている)の品物は牡丹や芍薬と競い合える花の大きさである。「トレンドを先取り出来なければ終わる」というように、ラナンキュラスはトレンドにのった新しさから脚光を浴びていた。しかし今年は様子が少し違う。売れるものと売れないものがはっきりしだしたのだ。ラナンキュラスが好きな人、品種名を覚えていられる人は品種指定をしているが、あまりにも多い品種で名前もアルファベットが頭についたり、さまざまな名前なので購入する側が覚えられない。特に大田花きは中核市場として仲卸や地方市場などが利用する卸売会社なので、彼ら大手の担当者の方から「この間購入したラナンキュラスですが、黄色のこういう花の大きさの品種は何という名前ですか。」「セリにしてもセリ前取引にしても名前が覚えられない。」「お客様から名前で発注してもらわないと違うものを届けてしまってクレームになったりすることがあります。」「名前がわからないからいくつか購入して店頭に並べると真っ先に売れるものと残ってしまうものが出てくる。忙しいからそういうことを2回も繰り返すとどうしてもラナンキュラスは後になってしまう。」ということであった。ラナンキュラスの場合、種苗会社が新品種を開発し品種特性や咲き方、花持ち、そしてカタログなどの情報を添えて新品種が世に出回っているわけではない。ラナンキュラスの名前が覚えられないと言っている人達は「まだダリアの方がお客様との受発注で間違いはない」と言っている。

ネーミングやカタログは情報化社会にあって大切なことになっている。ラナンキュラスはこのことが原因で実際の荷動きに影響が出ているのだ。全国のラナンキュラスの生産地は品種の写真を撮って出荷先の市場との情報取引に役立ててもらいたい。そして是非とも自分のところで作っている品種を展示しカタログを作成するなど情報武装を急いで欲しい。株式会社サカタのタネがラナンキュラスを独占販売していたときはマーケティング活動がしっかりしていた。民間育種家と流通業者で新品種を商品化することがこれからあるだろう。その時に覚えやすいネーミングと品種カタログを必ず作成するというマーケティング活動が不可欠となる。このことを肝に銘じておいてほしい。

投稿者 磯村信夫 : 16:16

2012年3月19日

3月の花良く売れています

3月に入り、少子高齢化と所得減でどこまで売れるか心配した花き需要であったが、「案ずるより産むが易し」で、店頭で花が良く動いている。3.11後の絆消費とメリハリ消費に支えられて、母の日まで商品としての花きは他の物材と比べて価値が高く、大筋としてしっかりとした需要が見込めるであろう。

'彼岸の入り前、心配した仏花需要'
「無縁社会」とか「孤独死」だとか言われている通り、約5千万世帯のうち、半分が一人世帯、二人世帯であり、全体の30%が単身世帯になっている。単身世帯そのものは、ヨーロッパでも30~40%くらいだから、消費面においてはそうは心配していないが日本は中高年男性と高齢男女の単身世帯の比率が急速に増えたので、それが「無縁社会」や「孤独死」の社会問題を引き起こしている。このように、サザエさんの家族やドラえもんの家族に見られる家族間の「縁」やら「絆の大切さ」を3.11で思い起こしたのだが、家族そのものが壊れているので20世紀のようにお墓参りで使われる花への数を同じように見るわけにはいかない。だから、彼岸の入り前にも沖縄県で例年通り菊を作っていてくれていたから仏花素材は極端には困らなかったものの、千葉のキンセンカ、ストックは例年の半分だった。お墓参りの花の数が出るのならもっと相場は高くなっただろうに、21世紀になり家族が壊れてそう期待出来る数は見込めなくなっている。お花屋さんや花加工業者はそう見ている。

'卒業式の花の予算が横ばいからやや下げ'
1990年代と2000年代生まれの子供たちが卒業している。そこでご両親はダブルインカムの人もいれば、奥さんがハウスワイフの人もいる。ただ我々がいつも頭の中に入れておかなければならないことは、日本の給与所得者の平均給与は1997年が最も高かったことだ。その年467万円である。国税庁発表の2009年の給与所得者の平均給与はリーマンショックでボーナスが下落したり出なかったりしたこともあり406万円、年間で61万円も少なくなっている。もう少し詳しく見ると、300万円以下の人数が2009年は2000年に比べて25%増え、中産階級と呼ばれる500~1000万円の人数が22%減ったということだ。
 野田総理が就任のとき、健全な中産階級を増やすと言ったのは、まさにこういうことだ。こうなると夫婦で働いて、まず600万円の一世帯割り収入を目指すということになる。800万円を次にどのように目指すかということになろう。800万円の年収になると、お洒落を楽しめるようになるし、コンサートや旅行に行ったり、花のある生活をしたり出来るようになってくる。それにはいかにして安心して子供を育てられるよう保育所と会社の中で既婚者を受け入れる体制を作るかが急務である。子供の数が少なくなっただけなら中国の一人っ子政策の子供達のように、おじいさん、おばあさんも近くに住んでいる人が多いことだから、卒業式や謝恩会の花がもっと使われてもいい筈だが、しかし、実際は単身世帯が増えているのと世帯所得が落ちているので、花の値段について厳しい予算提示をしてきている。

'しかし結果良し'
たしかに所得は厳しい面もあるが、団塊ジュニア以上の個人需要はしっかりしている。それは、前前回でも書いたとおり殆どの花売場で時代にあった品揃えがされており、時代にあったお洒落な取り合わせの仏花、ミニブーケ、アレンジが提案されているからだ。1990年代生まれ、1980年代生まれの人達が中心となって花店を切り回している。この人達の花の価値、提案作業は消費者に受け入れられている。今後とも、若い人達のパワーに期待をする花き業界である。

投稿者 磯村信夫 : 16:48

2012年3月12日

ホワイトデー

 先週の3月8日、仕事仲間から家内に国際婦人デーでアカシアの入った花束がプレゼントされた。ボリュームいっぱいだったから4つに分けて飾っているが、春の花は美しいだけではなく、陽気で思わずウキウキニコニコしてしまう。バレンタインデーは、西洋特にイギリスを中心にしたアングロサクソンの人達の習慣で愛する人に花をあげる。ヨーロッパでもロシア正教の東欧や旧ソ連邦の国々は、3月8日の国際婦人デーに職場の女性や愛する女性に花を贈る。男性の散財たるものは大変なもので、この日の為に花代を貯金しているというくらいである。

 今週は3月14日がホワイトデーで特に日本、韓国、台湾はとても大切な日としており、ホワイトデーに花やお返しの品々を贈る。中国本土は、すぐにお返しをすると水くさい、或いは「もう贈らないでくれ」とのメッセージになってしまうので、頂いたものは頂きっぱなしでいるくらいが良い。しかし、文化が非常に日本と似通っている韓国では花をホワイトデーに贈ることも多いが、一番の人気はぬいぐるみだ。本命へのホワイトデーで大きなぬいぐるみを抱えている青年の姿をよく見る。台湾は日本と同じように花かスイーツをホワイトデーにお返しする。
 今年のバレンタインはチョコレート業界ではあまり売り上げ数が良くなかったと言う。きっと3.11によって価値観が変化した為、絆消費が多くなり、職場でギリチョコというよりも縁の深い人達へチョコレートを贈った為だろう。なので数が減少している。多様化の中でフラワーバレンタインで花を贈る人も増えているので、プレゼントする品物はチョコレートだけではなくなっている。

 花はホワイトデーに多く使われるアイテムだ。千葉・愛知・熊本の3県は合同のプロモーション活動として「ホワイトデーにはカラーの花を」とお花屋さんへ消費者にお勧めして欲しいと訴えている。今までのホワイトデーよりもさらに絆を深く意識した、本命に花をプレゼントするというのは絆から「生きること」を大事にしようとする気持ちの表れであろうと思う。
今日の立ち合いはホワイトデーと彼岸の入り、卒業式に向けた流れで、今週はバラ・ガーベラ・スイートピーが品薄だった為、チューリップ・ラナンキュラスに人気が集まっている。

 バレンタインデーもホワイトデーも将来はもっと絆の深い者同士がプレゼントし合うようになり、イベントとしての経済規模は縮小すると思われるが、現在の職場内や取引先同士から、恋人達や家族の者へプレゼントすることにより我が家の国際婦人デーでいただいた花ではないが、「もうすぐ春ですよ」というメッセージを届ける大切な祭事になっていく。絆消費は家族を想うところから出発しており、結婚式も誕生日も主役は新郎新婦や本人ではなく、両親・兄弟・友人に感謝する日になっている。バレンタインデー、ホワイトデーは自分をはぐくんでくれている全てに感謝することに意味があり、花の出番がある。

投稿者 磯村信夫 : 16:36

2012年3月 5日

新しい消費者の動きに呼応する若手の花店に期待

今年は、スキー学校などが取り止めになった福島のスキー場に行こうと計画し、3・4日の土日でグランデコに行ってきた。お客さんは例年よりも2割少ないということだが、吾妻連峰で放射能を防いでくれた会津地方でもゴンドラを長く待つということはほとんどなく、雲一つない晴天の中スキーを楽しんだ。福島県を思うと今後とも原発問題と共に生きていかなければならない受け入れたくない現実がある。米・野菜・茸は大変だが、花は見るものだから内部被爆の心配がない。花市場は正確なセシウムレベルの情報を小売店とも共有し、福島県の生産者の花を力売し、福島では花のウェイトを上げて面積を拡大してもらいたい。私達が仕事を通じて出来るのはそれが第一だろう。
 
「今頃の若者は」などと、いつの時代でも大人たちは言うが、若者はその時代に欠けていて、必ずその国が良くなっていく方向に自分の目標を据えるものだと思う。3.11以降、フェアートレードだとか、ボランティアだとか、或いは趣味を通じて社会的な貢献をしていくだとか、若い人が率先して新しい日本人として行動している。団塊世代の私が言うと「義を見てせざるは勇無きなり」となるが、若い人達は力まず肩の力を抜いて、さりげなくそのことを行っていこうとしている。しかし決意は固い。花き業界で言うと、JFTDの支部活動や勉強会など3.11以降、若い人を中心により熱心に行われていて傍から見ていても繋がりが強くなって、花の専門店としてさらに消費者を喜ばせたい、購入して下さったお客様に花の良さを際立たせ、結婚式やらお葬式やらお誕生日プレゼントやら、その場のシーンをよりお客様の目的が絡むものにする小道具としての花「Say it with flowers」をプロとして提供したい、という欲求で満ち溢れている。
 2012年春本番、若いお花屋さん達に期待できると思うと、どの様な卒業式の花が今年は登場するか、どんな取り合わせと形の花が登場するか、来週お花屋さん回りをするのが今から楽しみである。

投稿者 磯村信夫 : 12:24

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