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2012年4月30日

新しいGWの過ごし方

昨日お台場へ行った。ダイバーシティーが出来たので、近所のビーナスフォートもお台場の海岸に面した商業施設も負けじとばかりに新しい展開を試みており、プールだったらまさに芋洗い状態、すごい人だった。

車のアクセスが良いのはご存知の通り、公共交通機関もゆりかもめだけでなく、JRからの乗り入れの鉄道で池袋まで約30分とお台場は恵まれている。車のナンバーを見ると県外からのお客さんも多く、外人では中国や韓国のお客さんも多かった。3.11があった一年前の閑散としていたお台場とは様変わりである。様変わりのついでにもう一つ言うと、東京は観光客を呼べる街になっている。東京から脱出する人も多くいるが、このGWに千葉、埼玉、東京、神奈川の東京圏に観光に来る人がとても多い。銀座・丸の内・赤坂・六本木などの都心部も大変な賑わいでお天気が良かったせいもあるだろうが、GWで花が売れないという状態ではなくなっている。GWの様変わりの状況は、結婚式をするようになったことでも、今までとは違うことがわかるだろう。ついこの間まではGW中に結婚式をした人は顰蹙を買っていた。それが今では、「せっかくの休みなのに」とは言わない。人が心底喜び合える仲間や親戚が集えるのは休日だ。だからGWで結婚するのは悪いことではないという時代になっているのだ。

GWの前半に結婚式が多いだけでなく後半の週末もしっかりあり、今日は白の洋花が不足気味でもあるので昨日の早いうちからセリ前取引は活発であった。
急に暑くなったから今日の入荷は多いが、20世紀だったらGWは花が売れないとお花屋さんは仕入れに来ないだろうに、今日はお花屋さん達の出だしが良い。GW中にこれだけの買参人がセリ前に集まっているなどと誰が想定しただろうか。GWの過ごし方がすっかり変わったと花の取引から見てとれるのである。

投稿者 磯村信夫 : 10:41

2012年4月23日

入社試験の一場面から

先週は風邪をこじらせて一家で寝込んでいたから、近所のコンビニがさらにおいしく便利になったので大変助けられた。時代と共に絶えず新しくなっているコンビニの姿は、我々事業を行う者にとって一つの手本で、商売というのはこうあらねばならぬ。頑張らなくちゃあという気にさせる。
21日の土曜日に来期採用予定の学生面接を行った。生まれは1990年、鶴見緑地で花の博覧会があり、大田市場の花き部が開場した年だ。その年に生まれた大学生たちを選考していると思うと、次世代の我が社を創っていってくれる人達を選考する気になって、ついつい力が入りすぎたと今にして思っている。
開業した1990年以後に入社した社員は1970年代以後生まれの人達だ。これらの世代はロストジェネレーションと言われ、社会に出た途端、バブルが崩壊し「こんなはずじゃなかった」と、毎年生活が良くなるはずが現実は経済が下降した為、先行き暗く不安で憤懣やる方ない世代である。しかし若いからその状況に順応し、時代に合わせて活躍している。大田花きの基幹的な業務を担っているのはこの世代で、昭和の時代に住んでいる先輩たちやバブルを体感した先輩たちより「昔はこうだった」などと言わないから良い仕事が出来ている。
家計支出を見ると、1990年を100%とした時に2010年は93.3%である。デフレで色々な物が安くなった割には、毎年0.5%弱しか家計支出はこの20年減っていなかったのだ。業界として一番市場規模が小さくなったのが衣料品だ。20年間で約半分の50.5%になった。この業界で生きて頑張っている人達は、タフでまさにサバイバル精神に長けた人達だ。食品はというと、企業の交際費が減って少子高齢化になった分、約16%減った。日本の世帯のうちの半分が一人世帯、二人世帯だからお惣菜は増えたし、パンでもピンキリで、この「キリ」の物も100円で美味いのである。
21日の土曜日の面接の中でも一人の男子学生は、「今は確かに野菜の時代だと思います。しかし花は心に栄養を与える商品だと思い受験しました。40年もやっている近所のお花屋さんに、花関係の会社を受けに行くというと、花はもうあまり良くないんじゃないかと言われたのが悔しくて。絶対花業界は良くなると思うんです」という学生がいた。私からも少子高齢化の中でもやり方を間違えなければ需要は減らない。それどころか増やすことが出来ると云った。ここ20年で教育費は7%増え、住居光熱費は25%増えた。交通通信費、或いは医療費などの3割以上の伸びのものもある。少子高齢化の中にあっても、人々はより素晴らしい人生や暮らしにお金も時間も使っている。そして、花は住環境の中にこそ需要が沸き出でるもので、豊かな空間生活に欠かせないアイテムである筈だ。

同じことをやっていれば、職を失うか、買ってもらうとすれば単価を下げざるを得ない。居住空間に投資をしている消費者に向けて、又、ダブルインカムの人達の居住空間の豊かさを演出するものとして花を買ってもらうというのが、まず我々がやらなければならないことである。

投稿者 磯村信夫 : 11:58

2012年4月16日

電力不足と油高

大飯原発稼動の問題から、電力不足と電力値上げに関して経営がおぼつかなくなる企業の記事が新聞各紙で取り上げられている。僕は大田区大森に住んでいるから町工場の人達の苦労をリーマンショック後、円高も合併せ嫌というほど見てきた。
そしてバラ切花協会の会員生産者の方々が夜間の割安電気を使用し、ヒートポンプを使って夏でもケニア・コロンビア・エクアドルに負けない品質のバラを作ろうとする意欲と技術に拍手を送ってきたが、このたびの値上げは夜間電力も昼間と同様の値段になるという。
夏場のバラも国産は素晴らしいが、夜間電力の値上げと共にストップしてしまうのを危惧している。
海外からは3.11後、日本国あげての節電の取組みを高く評価するとお褒めの言葉をいただいたが、原発停止後の電力不足を考えると、どのような形で激変緩和措置が行われ、又、将来は原発に頼らないでいけるかは日本のチャレンジで、そのことで日本は技術立国になってゆくことだろう。現在は激変緩和措置として安全性を確保した上、原発の早期一定稼動は必要だと、大田市場のまわりには冷蔵庫やら保冷物流施設がいくつもあってそこの間を歩いてくるたびにそう思う。
卸売市場も同様で今までは5年ごとの見直しであったが、この4月から毎年農林水産省は一定基準未満の中央卸売市場をチェックし、地方卸売市場にするとした。
地方市場になった公設地方市場は市や県が開設することになるが、市や県の経費は減るどころでなく、電力の値上げに対応しなければならないし、電力確保の為、電源の二層化などが必要となっている。

今、花や青果物の輸送は、ほとんどがトラック便となっている。かつてはジャンボジェットが飛んでいたから空港貨物で量を運べたし、運賃も安かった。それがエアラインの大競争時代になって飛行機は小さくなるし、さらにここに来てLCC(ローコストキャリア)が日本でも人気になってくるなど油代が高くなっているので、飛行機はさらに人専用のように小さくなってきている。こうなると荷を運ぶのは時間がかかっても定温管理が出来るトラック便となる。産地で余冷し、沖縄や北海道などは船を使うか、最寄の港からはトラック輸送、九州からはほとんど今トラック便になっている。そうなると市場では、定温管理が出来る定温庫や荷捌き場、場合によってはセリ室が必要で鮮度を保つには、市場での温度管理は欠かせない。
市場では閉鎖型とまではいかないが、定温管理をする売り場を持つことになる。また、持たないと生産者に出荷してもらえないので電力不足・電力代の値上げは経営を直撃する。余談だが、4月の上中旬になっても一輪菊の相場が堅調なのは、12月の「返し」の荷が出てこないからである。それは今年の冬が特別寒かったこともあるが、毎年4月になると陽気が良くなってお葬式も少なくなり、従って菊の需要は少なくなって4月の菊の相場は油代が出ないことがあった。だから、油が高いので暖房をしていない生産者が多く出荷量が少ない。産地にとっても、卸売市場にとっても、電気代の値上げと油代の高騰は経営を圧迫する。今後とも続くと思われるので、産地においては省エネ栽培方式や省エネ品種の作付け、卸売市場においてはスピーディーな仕分け作業と荷主相乗りによる効率的なトラック輸送を編み出してコストを更に下げなければならない。卸売市場全体では実質日本の中核市場となっている地方公設市場の前例にとらわれないマネジメントが期待されるのである。

投稿者 磯村信夫 : 16:31

2012年4月 9日

もうこれ以上国内花き生産を減らさない

景気は一進一退のようである。1万円を超えた株価は、戻り9千円台で推移している。欧州経済が良くないので、欧州を第1位の輸出先としている中国の外需は減少気味で、中国の内需は住宅の高騰などで金融の引き締めが効いているので失速気味だ。主だったところのシンクタンクの今期の経済見通しを見ると、日本は復興景気があり2.5、アメリカは2.0、欧州はプラマイ0からマイナスとの見通しが多く、年後半からは中国が再び8%台に浮上し、景気をひっぱっていくことが予想されており、現状一進一退だが日本は恵まれていると言って良いだろう。日本の景気は相対的には悪くないが、足元の諸物価を見てみると資材や石油が高騰しているにも関わらず、あらゆるものが低価格になっている。売れないのでデフレは止まっていない。

花でも例えば卒業式の花、年度末に契約が更新されるレストランの生け込みの花代、そして会社のギフトの胡蝶蘭も低価格化が一段と進んだ。前年比100の受発注件数だとすると一割安の90%はまだ良い方で、交渉の末85%以上の金額を確保するといった風だ。すなわち、法人は渋い。また、花では結婚式・葬儀の経費需要は渋い。このような状況では国内の花の生産を増やしていくというようなことが難しい状況だ。それぞれの花の産地の作付け見通しと出荷予想を聞くと、2011年度対比、すなわち震災があった昨年の対比で90%台が多い。これではしんどい。それは同じ園芸作物を作るのであれば野菜の方が利益率が良いと生産者は思っており、現実に2010年の農業センサスでは立証されていた。
 
現在花き生産が増えている所は野菜の産地ではなく果物の産地が増えており、トータルで各卸売会社は前年比並みを国産で確保しようと努力している。しかし、それが出来ないのでコンスタントに入荷する輸入の花に不足分を頼っているのが現状である。まだ詳しい調査結果は出ていないが、先週の台風並みの通称「爆弾低気圧」で多くの被害が出た。また雪が多く、いつまでも寒いので8月のお盆の荷物をもう心配している人もいる。卸売会社は生産者の不安を取り除き、ともに花き生産を行っているくらいの意気込みで、連絡を密に取りながら産地生産活動に勤しんでもらい再生産価格を得られるよう、今まで以上のコミュニケーションを取って行きたい。

日本の花きは海外からどのような評価を受けているかというと、これはほんの一例だが、2011年外務省が行った対日世論調査によるとオーストリアにおいては、日本へ旅行へ出かけて行って、一番見たいのが、神社・仏閣81%、盆栽38%、相撲・武道28%、生け花26%、すなわち日本の文化に関心があるのである。海外から教えてもらい、再認識するとたしかに日本の花はすごい。今は花き業界の辛抱の時だとしても、後10年もしないうちに日本人の胃袋は小さくなり少なくなる。よって食品の需要は減る。しかし、花需要は減少しない。農業者にとって花を作って農業の経営を行っていくことは正しい選択と言えるだろう。ただし花の生産は技術がいる。野菜は、例えばキャベツは頭のてっぺんからつま先までキャベツだが、花は首から上の花に特に魅力があり、茎・葉など全身の姿が揃って価値が出る。切花はこれで1セットである。鉢物はもっと切花より全身美を競うもので作りは難しい。切花でもカットしたもので、もしつま先だけを見せたらこれはゴミだと思われてしまう。だから、花は下級品が野菜の下級品に比べて安くなってしまうのでやる気のある人、生産技術が集積している産地に頑張ってもらい、我々花き業界は支援して、その地域の人の輪を徐々に広げてもらう。そうして国内花き生産の減少に歯止めをかけ、将来のプラスへと転じていく年にしたいと思っている。もうこれ以上、単価の下落も生産消費減もさせない年度としたい。

投稿者 磯村信夫 : 17:20

2012年4月 2日

花は生・配・販同盟が正解

東京ではようやく桜が咲き始めた。そうは言ってもまだまだ寒く、朝晩はコートが手放せない。今週は例年よりも寒いというので、冬物の花と春物の花が重なって出荷される週となってゆく。小売店は家庭需要と冠婚葬祭需要を当て込んだ販売をしなければならないので、卸売価格は2010年比で単価は若干安めに推移する予定である。
 
新年度を迎え、鉄道で云えば駅の役目をする花き市場の存在意義について認識を新たにしたい。かつて、商社の無用論が言われたが、今も卸売市場無用論を時々見る。卸売市場の存在の根拠は、マーガレットホールの法則(取引減少の法則、在庫適正化の法則と場の集積の力と情報の力によって根拠付けられる。)だが、卸売市場はまさに生・配・販同盟なのである。

ここではちょっと消費者から支持を受けている小売の繁盛店がどのように仕事を行っているか見てみよう。まず専門店だが、セレクトショップ化した花店が成長している。月替わり、週替わりで品揃えを変えたり、カリスマ店長と言える人が目利きで品揃えをしてお客様に共感を与え購入してもらう。量販店の花売場も売れてしまったら品物を補充したり、或いは店舗間の移動によって売場がいつも新しくなっている。そう云った少量多品種の品揃えのお店が人気だ。中には大量多品種という量販店もあるが、それは売る力があるからで多品種がミソのところだ。このように花売場を支える多品種、また代替品がきちっと揃う卸の存在が花市場の存在意義である。もちろん仕事だから「質・価格・納期」の3つが重要であることは言うまでもないが、小売店がお客様に満足してもらうには市場がかかせない。しかも出来るだけ仕入れに時間を費やすことなく地元に花市場があることが望ましい。鉄道網のように花き流通はなっている。新幹線が通って欲しいと願っているところも通ったら通ったで、買い物は大都市に行ってしまうし宿泊客もいなくなったと嘆くこともある。しかし、地元を大切にする気持ちは消費者も小売店も生産者も変わりはない。だから品揃えで足りない花があるのなら、中核的な市場からそれだけ分けてもらい、小売店がお客様にとって魅力あるものにしていく必要が市場にはある。全国の花市場は日本中どこで花店を開業したいと言っても、素早く開店出来るだけの品揃えを地元市場は提供する。

サプライチェーンプラス市場間ネットワークで2012年度は、花の過不足を極力吸収し、全国民に花のある生活を楽しんでもらえるようにする。それが全国130もの花の花き卸売市場の共通の役目であり願いである。

投稿者 磯村信夫 : 17:06

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