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2016年9月19日

彼岸の時期に今後の中堅花き市場の生き方を探る

 宅急便のヤマトが日本企業で好感度NO.1に選ばれ、私たち物流業者からすると嬉しい限りである。生産者の視点と心持ちで宅急便を届けてくれるセールスドライバーの方々と接していて、このeコマース時代、まさにラストマイルの物流が大切で、しかも、いつも親切にしてくれている。そんなヤマトという企業の存在を有難いと思っているし尊敬もしている。そんな気持ちが日本中で高まっているということだ。物流業の市場の人たちも、ヤマトのセールスドライバーの人たちの気配りや対応を学び顧客視点に立って納品活動を進めていきたいと思う次第である。

 eコマースでは物流費が13%弱となるのが一般的である。これは、売上高別物流コストの比率である。アマゾンでラストマイルのヤマトや、アメリカではUPSに支払っている金額が売上高別コストの10%だというから、実際の物流量は売上高に対して12~15%、eコマース会社は占めているのではないかと思う。eコマースがますます発展すると、個別の配達する人たちの数が足りなくなる。2015年で運転手は15万人不足と言われている。今後、ますます運転手は足りなくなって、結局生産物流である纏めた荷物を産地のハブから消費地のハブに運ぶ運転手すら不足がちになる。現に、福岡-東京は、大阪に営業所のある運送会社がそこで運転手を代えないとワンマンで関東まで運ぶことはできない。そういう国のルールだ。卸売市場では、基本的に500~600km圏内はトラック運送のひとつの商圏になってきて、そこでの商売がある。しかし、それでは日本列島のように縦長で、季節ごとの最適気象条件の一級品は中核市場にしか集まらない。そうしたときに、どうしても地元産地のものは格落ちになる可能性がある。

 農業でも法人農業、あるいは企業が参入することが盛んになってきた。自分が経営しなくてもサラリーマンとして農業法人に就職する。有給休暇は取れるが、まだ所得が安いことが問題だ。月給ベースで18万円以下と地元の一般企業より2割安い。だから、より儲かる工夫をして給料を上げることが必要だが、現状は外国からの研修生労働者に頼っている。茨城の園芸農業が北海道に次いで国内NO.2になったのは、外国から研修生に来てもらい、周年一定規模で農業をまわす周年作型に成功しているからだ。法人で農業をすると雇用が発生するから、農閑期を作らずに運営しなければならない。いつも適地であれば良いが、日本は赤道直下の高地ではない。となると、品質に妥協することが必要だ。花の場合、もう一度昔に戻って、ケイトウやらアスターやら菊類やら夏でもできるグラジオラス等を茨城にお願いしている。もちろん高冷地より夏の品質は劣ることが多いが、産地名を言い、中~中の上で攻めてもらっている。生産技術の革新で、あるいは品種改良の技術で、海水浴場が近い千葉の館山で上級のトルコキキョウが作られている。こういう可能性もあるのだ。

 今一度、納期ということを重点に、そして、質は一般的に専門店チェーンや駅ビルで扱うレベル。つまり、ピンでもキリでもなく、中~中の上で通常の真ん中のもので産地を選び出荷いただく。そのようにするのが、日本の花き市場で最も数が多い20億円未満の地元の花き文化を支える市場の生き方となる。

 どの産地と組むか、またトラック輸送状況についても申し上げたが、今後とも物流コストがますます高くなり、さらにトラックも鮮度保持ができる装置を付けていくことが必要となるので、運賃をいただく、あるいは運賃を必ず意識して商品に添加して販売していく。このことを適切に行ってほしいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 2016年9月19日 14:33

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