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2016年10月 3日

状況を知り、己の仕事を明確化する

 来月の11月、米国や中国に押されてか、EUは環境保全の新ラウンド・パリ協定を批准する方針だ。いよいよ、地球全体の環境保全を各国で手分けして取り組んでいく。地球の人口はみるみる増えていき、既に70億人を超えている。しかも、そのうちの半分以上が都市部で生活をしているわけだから、各国が責任を持って環境保全をしていかなければならない。現在のインドの都市部、それよりもややましだと言われる中国都市部の、PM2.5による実害は目に余る。どこの国でも避けなければ、何の為の人類の進化だったのか、何の為のその国の国民の人生なのか、豊かさの実感は消え失せて、危険すら感じてしまう段階なのである。天気がおかしい日本。国民の幸せを考え、日本も早く具体的な施策を打ち出すべきである。

 このような状況の中において、花とみどり、そして、ミネラルやビタミン等の野菜・果物が、人類社会で担う役割は、健全な精神と肉体においてますます重要になっている。供給も消費も天候の影響を受けやすく、しかも、腐りやすい生鮮食料品花き業界は、スピーディーに生活者に届けるため、世界の流通拠点である各国の卸売市場が中心となって、日夜休むことなく活動している。

 10月2日、南米コロンビアで52年続いた政府と反政府ゲリラ組織との、和平合意を問う国民投票が行われたが、残念ながら僅差で和平合意とはならなかった。コロンビアの第二の都市・メデジンは、麻薬生産が有名だった。そこで、麻薬を撲滅する為にコロンビアからアメリカに入る花の関税をゼロにした結果、花の大産地になったのだ。メデジンの草花やボコタ周辺のカーネーション農場では、夫が反政府ゲリラ組織と戦い、未亡人となった人が優先的に働いた。そこには保育施設もあり、コロンビア政府の支援もあった。今回の国民投票では内戦終結が成されなかったが、今後の大統領の交渉で和平が取り結ばれれば、国民一本化で共に国の発展に向けて協力することで、さらなる花き業界の発展にも期待が持てるだろう。

 今年は、ブリクジット(イギリスのEU離脱)、ウクライナ問題等により、イギリス・ロシアでコロンビアの花の価格低迷が目立っていた。こういったことも、一枚板になったコロンビア業者間の情報共有化によって、オランダのように花きの戦略的輸出が行われ、価格は安定するだろう。

 日本は、近い所に1億2千万人もの生活者を抱え、しかも、平均年収で3万ドル以上ある世界第三の経済大国である。こういう恵まれた状況であった為、生鮮食料品花き業界は、内だけを向いたマーケティングでも食べていけた。しかし、気付いてみると、花の場合、カーネーションの苗にしても、ユリ他の球根にしても、もう自給自足ではなくなっている。もう一度、この地球の中で日本の花き業界はどうしていけば良いか。種苗から小売りまでの業界人は一定の方向性を示し、それを共有していく必要がある。パリ協定や、今日のコロンビアでの国民投票は、少なからず日本の花き業界に影響を与える。日本の花き業界で各社の仕事の内容の入れ替えと、優先順位を考える機会となっている。

投稿者 磯村信夫 : 2016年10月 3日 16:36

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