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2015年8月10日

指名委員会等設置会社の監督機能について

 株式会社大田花きは指名委員会等設置会社であり、指名委員会、報酬委員会、監査委員会の三つの委員会が設置されている。私自身は、今年度は監査委員会のメンバーであり監査委員会の委員長となった。このため監査委員会が実効性を発揮できるように運営するべき大きな責任を感じている。

 指名委員会等設置会社は社外取締役による監督機能が期待されるため、監督機能としては強固であると考えられているが、最近その指名委員会等設置会社である株式会社東芝において不適切会計が問題となった。私は東芝でなぜ指名委員会等設置会社の仕組みが機能しなかったのか、特になぜ監査委員会の監査機能が機能しなかったのか知りたいと思った。7月に公表された東芝の第三者委員会の報告書を読んだところ、監査委員会が機能しなかった理由として「①概ね元東芝CFOが常勤の監査委員として監査委員長を行っていたこと。②社外監査委員の中に財務・経理に関して十分な知見を有しているものがいなかったこと。③監査委員の監査の主眼がコンプライアンスの管理や財務情報等の信頼性の確保よりも業務の有効性・効率性の確保にあったこと。」としており、「財務・経理に精通した監査委員および補助スタッフの増員と社外取締役を監査委員長とすること」などの提言がなされていた。

 東芝の第三者委員会の報告書はもっともであると納得する一方、よくよく考えてみるといくら報告書のとおり仕組みを整えても、結局担当する人次第で機能するかしないかは決まるのではと感じている。社外取締役の職務は事なかれ主義に徹すると、実に楽に仕事が済んでしまう役職である。仮に問題点に気付いても、それを追求すると面倒だなと考えたり、多分大丈夫だろうと思ったりして何も行動せずにいたとしても通常誰からも非難されることがない。こうなると、指名委員会等設置会社の強固な監督機能の仕組みは簡単に形骸化してしまう。社外取締役が高い意識を常に持ち、楽な方へ流されないように自分を律して職務を遂行しないと強固な監督機能は発揮されない。

 大田花きの私以外の取締役は皆、花き業界、流通業界、市場運営といったことに豊富な知識と経験を持ち、取締役会においても含蓄のある発言を積極的にされ「なるほど」と思わされることが多々ある。皆高い意識を持って取締役の職務を遂行されていると感じている。私自身は花き業界等についての特別な知識や経験がないため、他の取締役の方々のように含蓄のある意見は期待できない分、公認会計士・税理士としての視点から会社の財務・経理、コンプライアンス及びリスクの管理といった部分については誤りがおこらないように注力していきたいと思っている。

 現時点において大田花きの指名委員会等設置会社の監督機能は十分に機能しているといえるであろう。しかし上述したようにこの監督機能は簡単に形骸化して機能しなくなるもろさを持っている。このことを念頭に、今後もこの監督機能が機能し続けるために私は取締役として事なかれ主義にならずに高い意識を持って職務を遂行していかなければならないと考えている。

取締役 内田 善昭
(内田善昭公認会計士事務所 所長)

2015年8月10日 06:26

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