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2016年9月29日

vol.115 大島みらい農園さま(ブバルディア)

みなさま、今回ウン探がやってきたここがどこかわかりますか?

ヒント:海に囲まれていて観光客は船で訪れる。

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ヒント2:標高が高いところからの見晴らし。

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ヒント3:馬

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ヒント4:巨大地層

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ヒント5:パッションフルーツ(ジュース)

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う~ん、あまりヒントになっていないかもしれないので、わからなくてもお気になさらないでください。

そんなヒントの中でも「伊豆大島」とお答えになった方は大正解◎!サスガ!

ナントこのたび、産地ウンチク探検隊は、山手線から最も近い伊豆諸島こと「大島」にランディングいたしました!!

オメデトウ*【祝】*:・゚\('∇'*)*:・゚*:・゚

 

伊豆諸島といえども「伊豆」とは名ばかりの東京都ですが、東京都内で生産される多くの切り花は、実はこの伊豆諸島で生産されているのです。

その花き生産で有名な伊豆諸島の一つが大島。

とりわけブバルディアにおいては全国トップクラスの名産地。

 

その名産地に、昨年4月に新しくブバルディアの生産法人が誕生しました。

その名も「大島みらい農園」

 


job_tantei_woman.png昨年、ウン探が送り込んだ産地ウンチク偵察隊の情報によると、どうやら新規生産者さまは尋常ならぬ様子。本土から若い人たちが集まりなにやら都会のストレスを拭い去り、かなり楽しそうにブバルディアを生産されているというではないか。

これはなにか秘密がありそうじゃ。

産地ウンチク探検隊としては放っておけぬと、使命感から訪問に至ったわけです。

※産地ウンチク偵察隊とは架空の部隊ですのでご了承ください(笑)!

  

秘密を知っているかもしれないと偵察隊から紹介されたのは、東京都大島町役場観光産業課農業係主任の雨宮祐一郎(あめみや・ゆういちろう)さん。

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この並々ならぬ目ヂカラが、大島町のすべてのことをご存じであることを物語っています。

 

早速「大島みらい農園」さまへ。

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ここで大島みらい農園さまの基本情報。

圃場面積1.3ヘクタール、露地とハウスとでブバルディアを中心にハランのほか、野菜(島唐辛子を含む16種類)を生産しています。

雨宮さんがこの新規産地の真の姿を明かしてくれました。

「実は、大島みらい農園とは大島町新規就農者支援研修センターの屋号なんだ。

新規就農者支援研修センターとは、島内農業者の担い手確保のために、島内外からやる気のある方を対象に、島内にいる現役農家が実践的に指導することで、短期間で就農を目指すという企画です。

平成27年の4月立ち上がった就農支援プロジェクトだよ。」

平成27年4月・・・というと昨年の4月からスタートして今ちょうど1年半といったところですね。

「農地は大島町が借り上げ、生産圃場としているんだ」

なるほど~。その力強い目ヂカラとは裏腹に、とても優しくまろやか~な口調の雨宮さん。

そこで生産されている花こそブバルディア!

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ブバルディアとは、別名ブバリアと呼ばれることもありますが同じ花を指します。(今回は時々略して「ブバ」と呼ばせてくださいませ)

和名を管丁子(かんちょうじ)といいますが、管状の丁子(クローブ)と思うと、なんだか言い得て妙ですね。

 clove.jpg←クローブ。確かにブバルディアの一つ一つの花に形が似ています。

 

なぜブバルディアをメインに生産されているのでしょうか。

I_2031.jpg「大島では昭和28(1953)年にブバルディアの生産を始めたんだ。ブバルディアの生産は全国でもパイオニアと言っていいと思うよ。

しかも、ブバルディアは通常は季咲きで秋に開花するものだけど、大島で周年栽培の技術が確立されたんだ。

その技術と生産力を生かして、みらい農園でもブバルディアを栽培しているんだよ。」(←まろやか声で)

 

周年栽培の技術が確立してからというもの、大島では年3回の収穫期を迎えるようになりました。その分生産量も増えることとなり、この技術が次第に国内の各産地に浸透していったのです。

 

 

101o.png研修生紹介

では、この大島町就農支援プロジェクトの研修生をご紹介しましょう。現在3名いらっしゃいます。

 

まずおひとりは、山口芳和(やまぐち・よしかず)さん。

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埼玉県上尾(あげお)市のご出身のIターン生。

プロジェクト開始当初(昨年の4月)から研修されている第一期生です。大島の未来を作る元祖研修生ですね。

  

こちらのお二人は、第2期生の石川ご夫妻。栄貴(ひでたか)さんと陽菜子(ひなこ)さんです。

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「陽菜子さんは、ウチの大島優子(元AKB)ですよ」と雨宮さん。

あ~、なるほど大島町だけに!確かにカワイイ!ナットク(゚▽゚*)!!

栄貴さんは大島ご出身。大学時代に農業を学びに本土の大学へ。そこで陽菜子さん(神奈川ご出身)と出会い、東京での会社勤めを経て、現在は大島に戻り、Uターンで研修制度を活用しています。

 

山口さんは、なぜ大島で農業研修をしようと思われたのですか?

「以前からリフレッシュを兼ねて、趣味の旅行で大島にはよく足を運んでいたんだ。」

大島のいいところはどのような点ですか?

「景色もきれいだし、一つの島でこれほど豊かなところってそれほどないかなって。東京都心からも近くてアクセスしやすいしね。

3-4年くらい前から通い始めたんだ。」

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曰く「通う」ほど大島への旅がお好きな山口さん。当初は日帰りで訪れていましたが、それが1泊で通うようになり、そのうち2-3泊するようになり、徐々に泊数が長くなって気付いたら"住んじゃった!"という感じなのだそう。

まさに大島に魅了された山口さん。元々田舎暮らしに憧れていたのもあり、大島町役場のプロジェクトに応募しました。

結構なチャレンジだったと思いますが、不安などはなかったのでしょうか。

「農業の素人の私でもできるのかな~なんて思っていたよ。

勇気も必要だったし、周りからも随分と"どうしてわざわざ海の向こうまで行って農業するんだ"って言われたしね。

でも私は、何度か大島に通っているうちに、"海の向こう"という違和感や心理的な距離感も払拭されていたので、ここに飛び込むのは問題なかった。

プロジェクトは立ち上がったばかりだったので、一期生として何でも思ったことを実現していけるのではないかと思ったんだ。」

 

I_2045.jpg引っ越してきて研修生となると住まいがどうなるのか気になるところですが、研修生は大島町役場借り上げのお部屋に住まわせてもらえるのです。

研修期間は2年!

 

ン??では、この2年が終わると・・・?

 

「独立して営農していきます!」

大島で、ということですよね?

「はい、そのための研修です。独立支援まできちんと受けられるんです。

既に農地の目途をつけていて、そこでブバルディアを生産していこうと思っているんです。」

 

山口さんが来年独立したら、大島の営農プロジェクトの第1号モデルとなるわけですね。

「失敗できませんね!」(・Θ・;)アセアセ...

そうですよ~!山口さん、失敗できませんね。応援しています♪

 

 

石川ご夫妻はこの4月に研修生として参加したばかり。

ご両親が農業をしているわけではないのですが、将来的には御祖父母さまの農地を開拓して、ブバルディア生産で独立を目指します。

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陽菜子さんにとってこの研修はいかがですか?

 

「毎日楽しい♪」

 

ぬぁんと!どのようなことが楽しいですか?

 

「新しいことばかりですし、これまで大学で学んできたことが大切なんだなって改めて実感することが多いですね。

授業内容も含めてやっててよかったと思うことがたくさんあるんです」

研修で大変なことは何ですか?

「土壌消毒かな~。重装備でやるものですから。」

重装備ってどのくらい?

「マスクを付けて防護服を着てね。作業をするにも動きづらいんです」

 

「こんな感じだよ」と見せてくれた写真はコチラ★

じゃじゃ~ん!

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「コレ、わたし^^」

というのは陽菜子さん。

カッコイイ~(≧∇≦)

宇宙服のようですね!

何がカッコイイって陽菜子さんの立ち方がカッコイイです!

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連作障害を避けるため、土づくりのためにも植え替え時に土壌消毒は基本。不織布でできた防護服を着て、仕事をする人の健康を保ちながら進めていきます。

 

栄貴さんにとって、大島での研修生活はいかがですか?

densya_manin.png「新卒の時は東京で会社勤めをしていたときは営業をしていましたが、都心のコンクリート砂漠で朝早く満員電車に乗って、夜遅く帰宅して、寝て起きて、また満員電車に乗ってという生活をしていたら、ストレスも多いことでしょうが・・・」

 

あ~、アタクシ、今そんなカンジの生活しています・・・

(-▽ -;*)ゞアハハ

 

「そのような生活に私もピリオドを打って、心豊かな生活に戻って良かったと思っています。

ここに来れば、太陽とともに起きて、今日も疲れたな~と思ったら海岸線に出て、きれいな夕日を眺めながら心を休めれば、ストレスも吹き飛びます。人間性を取り戻すこともできます!

SUNSET2217.jpg←陽菜子さんが撮影した夕日

星もこぼれ落ちてきそうなくらいきれいですよ☆」

会社勤めで営業をしていて、農業へ転職されたことについてはいかがですか?

「営業の時は会社の商品を販売していました。会社の商品は自分で企画したものでもなければ生産したものでもない。

だけど、花や野菜は自分で作ったもの。

他人が作ったものを販売するよりも、本気になれるし、お客様に喜んでもらえることでなによりやりがいを得ることができ、この仕事をやっていて良かったと思えるところです。

夏は暑いし体力的に厳しい点もありますが、やはり"楽しい"方が勝ります。」

農産物生産は商品のメーカーであり、営業でもあるわけですから、販売結果やお客様の声が成果として全て自分に返ってくることが何より楽しいとおっしゃいます。

 

そしてもうおひとりご紹介させてください。このプロジェクトに欠かせない方がいらっしゃいます。

この就農支援プロジェクトでは地元の農家・関係機関が協力して、より実践的な農業を学んでもらうために研修カリキュラムを組んでいます。

そこで、現場を知り尽くしたブバルディアを含む切り花類の講師、営農指導ご担当の五味秀策(ごみ・しゅうさく)さんです。

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五味さんは、大島の西側に位置する神達(かんだち)地区でブバルディアを生産されていた五味文明(ごみ・ふみあき)さんのご子息。日本のブバルディア栽培のサラブレッドとあれば、そりゃあもう品質を見る厳しさは尋常ではありません。

2013年の土石流災害で約1.4ヘクタールの圃場を消失してしまいましたが、着々と復活の準備をしつつも、研修講師として力を貸してくださっています。

しかも、五味さんは8年間、島外の某生花店さまでお勤めされていました。店長経験もari.pngです。

生産に加えて小売りのこともよくご存知!生産と小売と両方における豊富な知識と経験を生かしてご指導にあたっています。

 

五味さんのお父様がブバルディアの生産を始めましたが、お父様がブバルディアの生産を始める前までは「馬方(うまかた)」といって、観光客を馬に乗せて引くお仕事をされていました。

馬方というこのお仕事、「馬は馬方」ということわざがありますが、「何事も専門家が一番」という意味。その専門家の象徴的なお仕事としてことわざになるくらい、馬方とは奥が深く、昔から専門性の高い職業なのです。

三原山が大きな観光資源の大島では、登山が人気で、馬方への需要が非常に多かった。そして当時の給料も良かったんです。

それなのになぜお父様の代でブバルディアを作り始めたのでしょうか。

I_2100.jpg「父はちょうど私が生まれた昭和50年にブバルディアを作り始めたんだけど、もしかしたら将来馬だけではやっていけなくなるかもしれないという危機感があったんじゃないかな。

決して当時は馬方の所得は低いものではなかったんだよ。

なにせ、1日お客様を乗せていると、多い日で公務員の月給くらいの稼ぎがあったのだから!!」

 

w|;゚ロ゚|w ヌォオオオオ!!

よもやウン探の聞き間違いか?

い、いま、五味さん、「1日で公務員の月給くらい稼ぐ」とおっしゃいました??

 

「そうだよ。」

 

すンごいw(゚o゚)wオオー!アゴ外れる。

昭和40年代の離島ブームで、大島でも来島者が年間84万人(現在は30万人弱)と爆発的に増加したこともあり、観光客が途絶えることがありませんでした。それだけに馬方さんの収入も良かったわけです。

「だけど天候にも大きく左右されるし・・・農業もこの点は同じだけど、観光客がいなくなれば仕事もなくなる。

環境に左右される要素が大きく、自分でがんばればなんとかなるというコントロールできる要素が少ないよね。

現に1986年に三原山が噴火して以来、観光客は激減した。その後も細々と続けていた人はいたけど、実際に今は大島に馬方さんはゼロなんだ」

 

羨ましいほど稼げたお仕事だったのに、数十年でゼロですか・・・(+_+。)。。。時代の変化早し。

その馬方さんの将来性を見越して、五味さんのお父様はいち早く馬方業を切り上げて農協生産に移行されたわけですが、ブバルディアに目を付けられた理由は何でしょうか。

 

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「ブバルディアの新品種が日本に導入されたとき最初に紹介された地域はこの大島なんだ。

導入されたばかりの新品種はほかの農家さんが作っていない分、出荷量が少ないから当初は高値で取引されていたし、やりがいもあった。

また、生産を続けていく中で、ブバルディアが大島の環境に合っているという実感があったんだろうね。」

やはり「馬は馬方」、「ブバは大島」ですね。

土壌、気温、日照などに加え、もう一つ"環境に合っていた"という理由があります。

生産の坪効率も良くてね。つまり、生産性が高いということ。しかも、生産した花をどーんと市場に送れたんだ。

大島からの場合は市場に花を送ろうと思ったら、船しか手段がない。昔は今より送料も高くてね。今のように1箱50本入りで送るわけにはいかない。運賃はかなり高額になってしまうから。

そこで・・・」

 

そこで?c(゚.゚*)?

 

「大きな箱400-500本入れて各市場へ送っていたんだよ。」

そんなにたくさん!まるで今の輸入品のようですね。輸入品なら成田空港で小分けにリパックされて市場に届きますが、まさかブバはそのまま売るなんて・・・?

「いやいや、大島のブバルディアも小分けにしてもらっていたよ。当時は各市場の人がやってくれていたんだよね。」

毎販売日ことに1ケース400-500本入れて何ケースも出荷するなんて!

「大島はブバルディアの先駆けだったから、よく売れたんだよね」

 それはやりがいがあったでしょうね。

 

101o.png圃場拝見

さて、ここでせっかくですからブバルディアの生産を拝見いたしましょう。

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本来秋にしか咲かないブバルディアを年3シーズン出荷されいますが、どのように開花コントロールされているのですか。 

(山口さん)「電照とシェード(遮光)コントロールするんだよ。」

電照とシェード↓

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「ブバルディアは、キクやコスモスなどと同じ短日(たんじつ)植物。つまり、日照時間が短くなると開花する植物。

そこで、人工的に日照時間をコントロールして、秋以外も日照時間が短くなったことを感じさせて、開花に導くんだ。」

なるほど!

大島は火山でできた島と伺いましたが、何か土壌に特長はあるのでしょうか。

IMG_2066.jpg「砂壌土(さじょうど)。つまり砂質の土なんだ。

本来ブバルディアが好む原産国(メキシコ)の土壌条件に適合しているんだ。」

 

触ってみると、土はふかふか~ん(´ー`)!!

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土が柔らかいのはやはりブバルディアにとって好条件なのですか?

「そうですね。

・水遣りがしやすい

・肥料を吸収しやすい

・根の張りがよくなる

というメリットがあるから、土壌はいつもフカフカな方がいいんだよ」

 

木本性のブバルディアは、その土壌でしっかりとした株に生長します。根元をご覧ください!

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最も品質と収量のバランスが安定するのが2年目くらいの株。

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1株を3~5年栽培し、収穫します。1株から収穫できるのは年間10本ほど。

IMG_2102.jpg「1回につき1株から3本ほど採れて、1年で3シーズンあるから1年で1株10本程度。」

と五味さん。

3シーズンはいつごろなのでしょうか?

「各農家さんによって定植時期などの違いもあり、まちまちなんだけど、大きく括れば春の時期、夏の時期、秋から冬にかけての時期です。」

従って今がそのシーズンヽ(^◇^*)/ 

ご覧ください!出荷までもうすぐな感じのこのツボミたち!

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ブバリアの切り前(採花のタイミング)はどのように判断するのですか?

(栄貴さん)「ツボミがふくらみ、その花本来の色は十分載っているけど、開花前という状態でバシッと切るんだ。

八重のものだったら1-2輪咲いていても大丈夫。

 これは確実に"今日切ります!"というタイミング。

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たとえば、この品種(八重)でいけば、左くらいがちょうど切り時。右は早いんだ。色が十分に載っていないでしょ。」

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ちなみにこちらの品種名は「ナオミ」。写真より実物を見ると、浮かび上がるような透明感のある美しい品種です。

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大島の農家さんたちの中では、ファッションモデルのナオミ・キャンベルさんに因んだネーミングであると噂されています。

・・・もし本当だとしたら、すごいトリビアです。

(雨宮さん)「花開いたときはすごいと輝きで、スーパーモデルを感じるでしょ!?」

 

感じます!!o(>▽<o)(o>▽<)o←一同共感

  

ついでに言ってしまえば、「ブバルディア」という名前も人名に由来しています。その人こそ、フランス国王ルイ13世の侍医、兼パリ王室庭園の園長シャルル・ブヴァール氏(フランス、1572-1658)です。ブヴァールさんからブバルディアの名前が付いたというわけですね。

 

 

あれ?

ハウスのすぐ横の藪に・・・

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なにやら実がなっていますが・・・これは何の実でしょうか?

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(雨宮さん)「これは藪椿(ヤブツバキ)だよ。防風林として使っているんだ」

 あは~、なるほど。これは失礼いたしました。藪ではなくて防風林だったのですね。

さすが海に囲まれているだけありますね。しかもヤブツバキってのが大島らしくていいじゃあーりませんか。 

「そう、防風林として使い、実からは副産物としてツバキオイルを生産するんだ。」

無駄がなくていいですね~!すべてが効率的に循環していく。自然との共存・共栄を図る地域の人々の知恵そのものです。

 

101o.png大島みらい農園さまのひ・み・つ 見つけちゃいました!

①秘密の花園

あれれ??なんだかこの畝にはブバとは異なる葉が芽を出していて、雰囲気も少し違うような気がするのですが・・・これは何でしょうか。

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公称ブバルディア生産がメインといいつつ、なにか秘密アイテムを隠し持っていらっしゃるのでしょうか??(ー∇ー;)

IM68.jpg(山口さん)「これはストックだよ」

なぜ、ストック? 

「ブバルディアの出荷ピークの3回のうち、そのスケジュールから外れる期間を有効に使うために、季節的にちょうどいいストックを定植してみたというわけ。

ちょうど今の時期に定植すると、今冬から年明けくらいまでのブバルディアの出荷がない時にストックの花が咲いて出荷できるから。」

なるほど圃場の稼働率を上げるために生産を始めたわけですね。

 
②秘密の海藻

ちょっとマッターーーーー(゚Д゚;)!!

危うく素通りするところでしたが、これまで何十軒、何百軒と圃場を訪問させていただいたウン探でさえも、なんだか見慣れないものが畝に敷き詰めてあります・・・なんじゃこれ??σ(;;;ФωФ;;;)'ナンデショゥ???

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(石川さん)「海藻だよ。」

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か、か、かかかかかかか、海藻??

これがッ??

 

(雨宮さん)「大島はところてん作れるヤツも採れるし。」

え、まさか天草(てんぐさ)??

石川さん「そう、天草も混ざっていますよ。」IM2030.jpg

え―――――、どうして、どうして?(°‐°?)(。‐。?)どこからどうやってここにそんな海藻が辿り着くのですか?

石川さん「この近くの野田浜というところがあってね、そこに打ち上がる海藻を4人(研修生と五味さん)で採ってきたんだ。

軽トラの荷台一杯分くらいね。」

 

ぎょえ~~~w( ̄Д ̄;)w

海藻を圃場に敷き詰めるとは!?何のためにでしょうか。ミネラル補給ならウン探の顔にも敷き詰めてほしい (○。○)!!

(石川さん)「ある農業書を読んだときに、土壌に必要な微量要素のミネラル分を海藻で補えるという記載があったんです。そこで、五味さんにやってみませんかとお伺いしてみたら・・・」

 

みたら・・・?

 

「"やってみましょう!"と五味さんが言ってくれて、早速やってみたってワケ。」

 

おっと、さすが五味さん。研修生の師匠であり、応援隊長でもあるんですね。

そこでみんなで採りに行ってみた・・・という実際の写真↓

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(石川さん)「研修農場だから何でもチャレンジさせてくれるんですよ。自分でよさそうだなと思ったものは試すことができるのも、大島みらい農園の特長だよ」

海藻の効果は? 

「今、敷いてからから2週間くらい経過するのですが、なんとなく葉の発色や生長が違うような気がします。

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あと1か月くらいすると差がわかるんだけど、今の時点では何とも言えないかな~」

 

そのほかに、研修生のみなさまで考えて何か試してみたことはありますか?

「研修材料としてブロッコリーがあるんだけど、食べ物だしあまり農薬を使いたくないので、ミントの葉を煮出して吹きかけてみたんだ」

 

すると?σ(゚・゚*)

 

「モンシロチョウが減った・・・ような気がする~!」

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"気がする"OKです!

(石川さん)「基本をしっかりすれば、研鑚を積んで新しいことをやってみようよという姿勢に対し、五味さんはいつも賛成してくれて温かく導いてくれるんです。

"失敗も経験だから"とよくおっしゃってくれるんです。」

 

スヴァラシー\(*^▽^*)/

 

そのほか、サツマイモやオクラなど、少しずつ多種の農産物を研修材料として栽培し、総合的に独立に向けて農業を学ぶ。このように研修生のアイディアを前向きに捉えて、「じゃあやってみよう!」と応援してくれる素晴らしい仕組みになっているのです。

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101o.pngオモシロ大島データ

こちらは石破茂議員が地方創生担当大臣だったときに作ったRESAS(リーサス)という地域経済の分析ツールを使った大島のデータ。大島の農業の中における分野別販売金額を示しています。

REASUS2.png

大島の農業生産の中で花きは圧倒的大品目。

それには理由があります。

実は江戸時代、米を作りにくかった大島では、年貢として米の代わりに塩を納めていました。

塩だなんて!大島らしい年貢ではありませんか。 morijio.png

何せ古代ローマ時代、お給料は塩で払われたというくらいですから(その通りsalary"給与"の語源はsalt"塩")、古今東西、人々の生活にとって塩がいかに昔から重要なものであったかよくわかりますね。

昔も今もミネラルをたくさん含んだ塩は人体の活動を維持するのに欠かせないもの。

現在においても工業用を含めおよそ85%が輸入に頼っているくらいですから、昔から大島の塩は貴重なものだったのです。

 

(雨宮さん)「塩のほかに薪(まき)を年貢として江戸の御上に納めていたんだ」

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薪ですか!

今でいう石油のように重要なエネルギーですから、塩も薪もいずれも貴重な生活資源といえるでしょう。

そこに新しく芽生えたのが園芸産業です。

大島における花き生産のルーツを辿ればそのスタートは大正時代に遡ります。大正5年にはユリ球根の出荷記録があることから、少なくともの時には既に園芸が始まっていました。昭和9年に本土へ定期船が就航すると、花き生産は出荷先を確保できるようになり、切り花生産がさらに盛んに。環境が米作に向かない大島では、将来的にも園芸を伸ばしていくべし!と方針は見えていました。

そこで、今の園芸産業があるというわけでです。

  

101o.pngここで知っておきたいブバルディアのABC

何を隠そう、今日本の花マーケットにブバルディアがあるのも大島が起源です。

そもそもは1953(昭和28)年に、ブバルディアの生産を開始。終戦が1945年ですから、戦後間もなくといった感じでしょうか。波浮(はぶ)という戦後大変栄えた港地区の温室で栽培し、大島全体に普及していったというわけです。

さらには、昭和35-40年、大島の生産者の打越憲太郎(うちこし・けんたろう)さんという方が、ブバルディアがタバコ植物で発見した光週性の質的短日植物と同じ性質を持っているといことに気づき、タバコ短日処理を応用してブバルディアで成功。

大島のブバルディア生産量がアップし安定していたところに、2000年頃からオランダのパテント種苗を買うようになり、品種のクオリティも向上しました。

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(五味さん)「パテント種苗はよく改良されている品種だけに、ブバルディアの水揚げも改善。また保冷庫など温度管理設備も充実し始めたこともあり、ブバの日持ちが良くなったんだよ。」

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へ~、元々ブバルディアは水揚げイマイチな品目だったのですか?

「悪いわけじゃないけど、ブバルディアは木本性(もくほんせい)の植物なので、アジサイや他の枝物のように元々は水が若干上がりにくい性質があったんだ。

また、エチレン(老化ホルモン)の影響を受けやすい品目でもあるからね」

ブバルディアはアカネ科ブバルディア属の木本性の植物。

花の業界の長い先生方にとっては、ブバルディアは水揚げが悪いというイメージがあるかもしれません。

 

しかーし!そんなことも今は昔。

ここ10年くらいはきちんと水が上がるように品種が改良され、またエチレン対策としてSTS(前処理剤)を使うことがスタンダードになり、且つ流通管理も適切に行われているので、きちんと水揚げをやったのに水が上がらないなんて、めったに起こらないのです。

 

新しい生花店さんや日頃からブバルディアを使ってくださる方なら、このようなこともご存知かと。いまどき、

"ブバルディアは水揚げが悪いのよね~"

なんて言ったら、

"あ~ら、奥様、最近のブバルディアをご存じない古い方なのね~('0ノ'*)オーホホッ"

と笑われてしまいますので、ご注意を^^!

  

大島町役場の雨宮さんは、このプロジェクトが次々と成功し、将来的には大島がブバルディアの生産者でいっぱいになることを目指しています!

う~ん、そんな日が到来するのもきっと遠くありません!

「馬は馬方」、「ブバは大島」!(また言っちゃった^ ^;)

観光客の減少や人口減少が課題の中、今、花き産業を介し、大島町の巻き返しは始まったところです。

 

 

101o.pngまとめ:大島みらい農園様の「ここがポイント!!」

・「馬は馬方」、「ブバは大島」!・・・今日、この記事をご覧になった方は、ぜひ合言葉のように覚えてください!

 大島はブバルディア生産の発祥の地と心得よ!

 

・大島のブバルディアは年3回開花!電照とシェードで開花期をコントロール。

 この技術が今や全国に普及し、花きマーケットには周年ブバルディアが流通しています!

 

・今のブバルディアの水揚げは最高!

 理由その1:積年の品種改良により、水揚げの良い品種が流通している

 理由その2:前処理(STS)技術が確立した

 水揚げが悪いイメージを払拭せよ。

・都会の生活に疲れたら、大島の新規就農支援研修プロジェクトに参加せよ!

 営農を学びつつ、豊かな自然に囲まれ人間性を取り戻せるでしょう。

 

・大島の未来に注目せよ!

 人口減少に悩む地方都市は少なくないはず。

 Uターン、Iターンを望むも、ヘッドハントではなく「人を育てる」ところから始める大島のプロジェクトを参考にしてください!

 

 

101o.png大島町新規就農支援研修事業、就農研修生募集のお知らせ!

このプロジェクトは大島町の基幹農作物であるブバルディア栽培を主とした実践的な農業研修を行うことで、大島での栽培技術を継承し、みらいの大島農業を支える農家を育てることを目的として立案されました。

(雨宮さん)「人を呼ぶだけならあらゆる方法で呼びかけができます。

しかし、たとえ、雇用の創出もできていないまま人を呼んだとしても、来てくれた人の人生どうなっちゃうの?というコトになりますよね。

だから、まずは仕事を作る。その仕事に付ける人に来てもらう。そういう方が自然な流れかなと思うんです。

ヘッドハンティングという手もありますが、人を育てるまでに大変なお金がかかっています。そこを無視して、完成した人を呼び込むというのは、私たちとしては虫が良すぎる話だなと思うのです。

人を育てるところから始める。種まきから初めて、大きな産業に育てて、更にまた人を呼び込む。これが大島流です。」(←いつものまろやかな声で♪)

10月1日より正式に大島町役場の募集要項として発表される予定です。

都会の生活に疲れた方は、人間性を取り戻しにぜひ大島にいらしてください!

広葉樹林の森と豊かな海、美しい夕日と星空に囲まれ、おいしい食べ物と心温かい人たち、また明るい将来に満ちたブバルディア生産研修生活があなたをお待ちしております☆

 

ちなみに雨宮さん曰く、「大島みらい農園」の命名は大田花きの営業員がしたのだとか。

大田花き営業本部・大西瑞希(おおにし・みずき)でございました。

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入社3年目の社員ですが、命名をしたのは入社2年目でした。

どうして「大島みらい農園」と?

(大西)「大島町役場の方がいくつか案を持ってこられて、どれがいいかと聞かれたのです。

大島みらい農園さまはこれから未来ある若者を大きく羽ばたけるよう育てて、また次々と研修生を受け入れ、大島のために大いなる未来を託されている農園だなと思ったので、"みらい農園"がいいかなと私自身の意見を申し上げました。

すると、雨宮さんが即決されたのです。」

 

この思いが実現しますように☆

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101o.png大島町 チョコット☆観光情報

【三原山】

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標高758メートル。

1984年公開のゴジラはこの三原山の火口に落ちてお眠りになったとされています。 

 

【地層大切断面】

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太古の昔から大島の火山噴火史を物語る歴史の証人です。なんと100層も積み重なった見事な縞模様はまるで巨大バウムクーヘンのよう。この地層を見るために海外からも多くの研究者たちがここ大島を訪れるのだとか。

【大島から臨む伊豆諸島】

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訪問当日はぼんやりとした景色でしたが、大島より南の諸島をいくつか見ることができました。

手前から利島(としま)、その左の手前が鵜渡根島(うとねじま)、その奥が新島(にいじま)です。

 

ほかにも心地良い温泉があったりみどころもたくさん!多少強行ですが、日帰りも可能ですのでぜひお気軽に大島に足を運んでみてくださいませ♪

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<写真・文責>:ikuko naito@花研

※いくつかの写真は東京都大島町役場様、また生産者様にご提供いただきました。

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