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2007年4月16日

vol.37 沼田弘樹さん&常陸野カーネーション組合

今回は訪れたのは茨城県の常陸野カーネーション組合です。

かえでkaede.JPG→てぃあらthiara.JPG→らなんranannkyuras.JPG

あっ、「ん」が付いてしまった!
…と “しりとり”になっているこれらの単語は常陸野カーネーション組合オリジナル品種の名前なんです!

さらに、そのオリジナル品種を生み出しているのも組合員!
そこで、まずは生産と育種を手掛ける沼田弘樹さんを訪ねました。

育種家 沼田弘樹さん


では早速、沼田さんが生産しているオリジナル品種をご紹介しましょう!
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      ひよこ                 いちご                  れもん
『ひよこ』hiyoko.JPG

オリジナル品種の代表作!名前とマッチした花色はお花屋さんからも使いやすいと評判です。
さらに、軸が太く、バランスもよいことから、関東東海花の展覧会で銀賞に輝いた実績もあります! oukan.JPG

『いちご』ichigo.JPG
沼田さん:「レッドバーバラなんかと違って小輪でこじっかりした赤でしょ!」
この“こじっかりした赤”を作りたくてベースにグリーンの遺伝子を加えたのだとか。


『れもん』remon.JPG
沼田さん:「花びら1枚1枚をよ?く見ると、縦にピンクや白っぽい色が入っているでしょ!」
う?ん、写真じゃ分からないですが…これも一つのコダワリなんです。
ぜひ本物を見てください!


そして、その他に こんな未発表品種も!
CIMG4149.JPG CIMG4151.JPG 今後に乞うご期待mark10.JPG
オリジナル品種画像一覧は このページの一番最後、もしくは常陸野カーネーション組合のHPをご覧ください。→http://www.hitachino.net/p.html


ところで、もう皆さんもお気付きかもしれませんが、品種名が全てひらがな3文字!
とても明快で覚えやすいですよね。その名付け親であり、産みの親でもある沼田さんに育種する際のポイントを聞いてみました!
CIMG4158.JPG
すると意外にも、「色に対するコダワリはない」という答えが返ってきました。

「茨城は暖地でも高冷地でもない、どっちにも特化してない地域なんです。冬は寒くて、夏は暑い!だから、茨城の気候で花を作るのはホントは難しいんです。

だからこそ、いい品質のものを安定して、長い期間出荷できる品種作りを目標としています。」


沼田さんが手にしているのは、カーネーションではないようですが…?
実は育種しているのはカーネーションだけではないのです!
それは、また後でご紹介するとして…
良いカーネーションとはどんなものなのか聞いていました!

Pointc_h1.GIF ステムしっかり!

Pointc_h2.GIF 花は四方にバランスよく!

Pointc_h3.GIF 葉はクリクリ!

Pointc_h4.GIF ワックスによって限りなく白い葉!

Pointc_h5.GIF 最後まで咲く!

圃場を見ていると、確かに!

CIMG4168.JPG
葉がクルクル巻いています。
「栄養バランスがいい証拠なんだと思うけど…、カーネのお決まりで昔から巻いていた方が良いと言われているんですよ。」と沼田さん。


表面の白いものは手でこすると落ちますが、農薬ではなく、自らが分泌するワックスがのっている状態なのです。
これによって害虫がつきにくくなるのだそうです。


そして、それらの条件をクリアした代表作が『ひよこ』>hiyoko.JPGなのです!!

でも、茨城という土地が花を栽培するには難しい土地柄である上に、組合員が12市町村に点在しているという常陸野カーネーション組合。
共撰出荷にも関わらず、統一規格と高品質を維持していく秘訣は何なのでしょうか?
組合員の方々の圃場を拝見しましょう!



沼田 実さん



圃場主はご不在でしたが、奥様が作業をされていました。
CIMG4234.JPG CIMG4229.JPG CIMG4231.JPG

栽培している品種は…          キャンドル    ライトクリームキャンドル など

もしかして、キャンドルがお好きなのでしょうか?

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それにしても草丈の長さに驚きです!

なんと肩の位置より高く伸びています。
「実さんのハウスは草丈が伸びるんだよね。ウチの土壌とは違うせいかな…?」と沼田さん。


生育は良好!!出荷商品に期待です。


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ハウスの片隅では、花キリンも  こんなに立派に咲いていました!



藤崎 千秋さん、一樹さん


続いて、藤崎さん親子です。

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栽培している品種は…              レジーナ             ピンクテッシノ など

品種選びの基準について聞いてみると…

藤崎さん:「レジーナは花が好きだから…、それにウチは同じ組合でも広範囲におよんでるから、田んぼと畑のような土地の差があるんですよ。だから、それぞれの土地に合った、作りやすい品種というのも自ずと異なってくるんです。でも、品種選びは毎年悩むよねー。」

沼田さん:「我々のような中堅産地では品種を絞り込まず、同じ色でも幅広いラインナップで、それぞれのお客さんに対応できるようにしているんですよ。」

なるほど、組合内で同じ品種に集中しすぎず、それぞれの土地に合った品種を栽培することによって、様々なお客様の要望に応えられるような幅広い商品構成も常陸野カーネーション組合の魅力なわけですね。

CIMG4217.JPG
カーネーション作りを始めて32年の藤崎さんの作るカーネーションは、“太くてしっかりした茎”+“ぷっくり膨らんだ蕾”が魅力的!

それぞれの土地で、組合員みんなが同じように栽培できるだけのキャリアがあるのも魅力の一つです。


CIMG4223.JPG

そして、冷蔵庫の中で発見したのがコレ!



花持ち保証の秘密兵器『鮮度保持装置』です!


point.JPG13日間花持ち保証の取り組みをご存知でしょうか?
CIMG4256.JPG常陸野カーネーション組合では、2001年11月から取り扱い市場及び茨城県経済連との厳格な品質管理によりセリ日から13日間の花持ち保証をしているのです。

そして、それを可能にするのが組合全員の冷蔵庫に取り付けられた『鮮度保持装置』!

花持ち保証がされていると、消費者の方にも安心してお奨めできますよね。
箱の側面には、長く楽しむ為の取り扱い方法についても記載されていますので、ぜひ参考になさってください。


さらに、この箱スグレモノ!
CIMG4254.JPG CIMG4253.JPG
名付けて『常陸野オリジナルワンプッシュロック』!

その名の通り、ワンプッシュで開閉可能。ガムテープを貼ったり、はがしたりする手間も省けて

省コスト! + 再梱包の際もラクラク!なんです。



販促活動やお客様のニーズを探るヒアリング活動にも積極的!



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作るのも大変ですが、売るのも大変な今の時代!

常陸野カーネーション組合では、お花屋さんの生の声を聞こうと数班に分かれて都内のお花屋さんを回ったり、大田市場内仲卸通りにて来場するお客様に展示した商品についてのアンケート調査を行ったりしています。
売る人、使う人の意見に耳を傾けてくれる常陸野カーネーション組合から生み出される商品は これからも期待できます!


組合長 尾形昌寛さんからお花屋さんへのメッセージpinkkane.JPG


組合員14名は12市町村に離れていますが、ネットワークでしっかり結ばれています
メーリングリストで情報共有しているので、共撰でもきめ細かい対応が可能です。
とにかく、イイモノをお届けしよう!という一心で一生懸命作っています!!


常陸野カーネーション組合の格言pinkkane.JPG



・茨城で生まれ育った maid in 茨城のオリジナル品種は、茨城の気候にマッチしているからストレス知らず!ボリューム、輪付きが違います!

・多品種栽培でお客様の要望に応えます!

・常陸野カーネーション組合の強みは、12市町村に渡るそれぞれの土地でも、組合員みんなが同じように栽培できるだけのキャリアがあること

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さてさて、お待たせしました!
続いては沼田農園レポートです。

まずは、グラジオラス!
通常グラジオラスという名前から思い浮かべる花は、初夏の頃から見られる鮮やかで大きな花だと
思いますが、沼田さんが育種しているのはスプリンググラジオラス!
圃場に咲いた花をご紹介しましょう。

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 サザンクロス         フォンティーヌブロー          ヌーベルモーヴ

CIMG4173.JPG CIMG4174.JPG CIMG4177.JPG

  クレッセント           アメジスト                オーロラ(今年は出荷なし)

細いラインで繊細なイメージの花ですよね。
この花の育種を手掛ける切っ掛けを聞いてみると…
「20代半ばに原種のトリスティスに出合っていいな!と思って…。あの時見た木漏れ日の中で風に揺られていた姿は鮮明に思い起こせますよ。」と初恋の人を思い出しているよう(?)でした。

CIMG4159.JPG
以来、可能性ある全ての色と、原種がもつ繊細な草姿をイメージしながら育種を続け、切花として出荷できるまでに7年もの歳月を費やしたそうです。

そして、「かわいいでしょ!こうやってフワっとまとめるだけでも花束らしくなるでしょ!」と差し出してくださいました。


CIMG4175.JPG

太陽の方を向き、お辞儀をするアメジスト。→


華奢な雰囲気ながら、凛とした上品な面持ちの花が魅力的です。


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でも出荷最盛期のハウスを見せていただくと、こんな感じで真っ青。
切り前も右の写真のように ちょっと色付いたくらい。
花傷みを防ぎ、長く楽しんでもらう為に蕾が色付き出した程度で出荷しているのです。


一度使ってみれば、その可愛らしさの虜になるはず!
数ある品種の中からお気に入りの品種を見つけてみてはいかがですか?

次に案内してくださったのは、ヤツデのハウス。
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これまた、「かわいいでしょ」と沼田さん。

ヤツデの葉は、成長するごとに3枚葉⇒4枚葉⇒5枚葉と枚数が増えるのだそうです。
軸も10cm程あるので、ミニブーケに使ってもカワイイのではないでしょうか?

ハウス周辺の景色に見とれていると…
CIMG4185.JPG CIMG4186.JPG

「あの山も、この道の左側も全部ウチだよ。」と サラッとおっしゃる沼田さん。

そして大王松が立ち並ぶ場所へ着くと…、
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「年末にはこうして伐採するんだよ。」と身のこなしも軽やかに登っていきました。
動画でお届けできないのが本当に残念(+_+)

それもそのはず、沼田さんにはこんな趣味もあるのです。
広大な土地の中にはお手製ロッククライミング練習テントを発見!
CIMG4207.JPGCIMG4209.JPGCIMG4210.JPG

CIMG4212.JPG

いとも簡単そうにやっているので桐生隊員も挑戦しましたが…、

へっぴり腰。

この次の瞬間 ボタっとあえなくマットに沈みました…(-。-;)


ちょっと横道に逸れましたが、年末の大王松も楽しみです!

これからも たくましい腕っ節 + 育種家としての凄腕で、理想の姿とオリジナリティを現実のものとする沼田さん、そして 買う人の要望に応える花作りに取り組む常陸野カーネーション組合から目が離せません!

(文責 中川美紀)

★カーネーション オリジナル品種一覧★

ichigo.jpg ichigo2.JPG hiyoko.jpg hiyoko2.JPG 

   いちご                                   ひよこ

shion.jpg shion2.JPG arare.jpg arare2.JPG

   しおん                                   あられ

usagi.jpg usagi2.JPG natume.jpg natume2.JPG

   うさぎ                                   なつめ

remon.jpg remon2.JPG thiara.jpg thiara2.JPG

   れもん                                   てぃあら

borudo.jpg borudo2.JPG kaede.jpg kaede2.JPG

   ぼるどー                                   かえで

ranan.jpg ranan2.JPG

   らなん

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