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2009年7月31日
vol.73 JA津南町ユリ切花組合(ユリオリエンタル)
2009年のMs.リリーも黒木メイサさんに決まり、夏場のユリの出荷も最盛期!
(Ms.リリーについてはこちら→http://www.otakaki.co.jp/topics/2009/200918.html)
ならば、日本最高峰のユリ生産地に行って、ユリのうんちくを探ってこようではないか!
ユリといえばカサブランカ、カサブランカといえば雪美人、雪美人といえば・・・
津南です!
と向かったのが新潟県津南町。
新潟ではNHK大河ドラマ天地人で、大フィーバー!
どこへ行っても「天地人」だらけ!
上越新幹線は越後湯沢で下車して、西へ車を走らせることおよそ40分。
↓こんな標識を見ながら、着いたところは・・・
"出会い"はいつも新鮮で素敵なものかと思っとったけど、注意せなあかん出会いもあるもんやねんな~。
「熊との遭遇に注意」とちゃうか?敢えてロマンチックに書いとるんか。
ユリの里、新潟県津南町。
JA津南町ユリ切花組合の青年部会の皆様が迎えてくださいました。
最初に案内して下さったのは、津南の秘密兵器「雪室」です。
突然雪室(ゆきむろ)
な、なんと?(゜◇゜;)
集出荷所の室内にあった「普通の扉」を開けるともうそこは冷蔵庫。
冷蔵庫の中にあったカーテンを開ければ、すぐそこにドドンと広がる雪の山!
カメラのフレームに入りきらなーーーいっ!
なぜこんなところに?!
「これは球根を冷やす保冷庫なんだよ。これは今年の3月に雪をブルドーザーで入れるんだよ。」
と説明してくださったのは、JA津南町ユリ切花組合広報部長の江口裕さん。
なるほど。雪の冷気で冷蔵庫を作っているわけです
これを雪室といいます。
雪は徐々に溶けていきますが、ひと夏通り越して、秋まではばっちり使えます。津南に冷房は必要ありません。
中はヒンヤリ・・・どころか、寒すぎて、半袖ではプルプル凍えてしまうくらい。
冷え切った体で雪室から外に出てると、真夏のうだるような暑ささえも心地良く、ふんわりと優しく体を温めてくれます。
雪室の中はカーテンでいくつかに間仕切りされ、それぞれ温度管理されています。
雪のある部屋は常に2?5度!そりゃ半袖では震えるわけだ。
カーテン越しの倉庫では3?4度。出入り口付近では7?10度。
なんといってもこの雪室の利点は、適度な湿度を保てること。
この湿度は球根の貯蔵に最適なのです。
球根の芽が乾くことなく保管できるからです。
これを冷房を使った冷蔵庫で行うとどうなるか。2?3日に1度は球根に水を遣る必要があるのです。
しかし、こうすると球根にストレスをかけることになり、開花輪数を調整できなくなってしまうなどの品質に問題が出てきます。
ですから、極力ストレスを与えないよう、空気中の湿度で自然に湿らせておくのが最善の方法なのです。
通常、オランダから球根を輸入して定植、栽培しますが、津南町はオランダから若い球根を輸入して、1年間自らの手で球根を育ててから定植します。
このことを球根の「養成」といいますが、このことにより、開花輪数を調整することができる。
→つまり、マーケットのニーズに合わせ、大きい球根にも小さい球根にも自分たちで調整できるのです。
この養成を自分たちの手で行うからこそ、雪室が必要なのです。
<まとめ>「雪室」を使う利点
? 湿度が85?90%に保たれる。⇒花や球根の保管に適している。球根の養成には必需品!
? 二酸化炭素排出量を削減できる。⇒結果的にエコ生産をしている。
? つぼみのまま出荷されるユリは開花が進まない。⇒新鮮なまま消費者の手元に届く!
もちろん保冷車を使って大田花きまで完全コールドチェーン出荷!
そもそも導入のきっかけは、北海道の野菜の産地を倣って導入を決めたのだそうです。
球根の養成について
「品種によっては、1本で14輪から15輪も付く品種があるからね。輪数を調整することが重要なんだよね。」
・・・確かに、1本から15輪も付いているユリは怖い(-.-;)
それほど輪が付いたら、使うときに困ってしまう方もいらっしゃるはず。
オランダから直径2?3センチくらいの小さいうちに球根を輸入して、春に植えて養成。秋に掘り起こして定植に備える。
この養成畑に植えられた球根数は20万球!
「球根を持ってそのままグイッと手を土にねじ込んで、手首くらいの深さまで一つ一つ手で植えていくんだよ。」
とデモンストレーションをしてくださった江口さん(1回)X20万回!!!と思うと・・・ふ?、気が遠くなるような作業です(+_+)
球根を植える間隔も品種の特性によって違います。
【球根を養成する「養成畑」】
例えばカサブランカは22?23センチ間隔で植えますが、色ものの球根は20?21cmくらい。
球根が大きくなると輪がたくさん付いてしまう場合があるため、その輪数をマーケットニーズに合わせ調整するために、間隔を狭めてあまり大きくならないようにします。もちろん、色物全てをそうするわけではなく、品種による特性を見極めてそれぞれに間隔を決めていくという大変地道で繊細な作業なのです。
養成した球根を選抜して養成畑に植え、またこの段階でも成長に異変が見られるものなどを廃棄、養成が終わった時点で球根をチェックし、異変のあるものはまたそこで廃棄を行い、選抜を繰り返します。
「養成した後は、球周(球根の円周)が20?26cmになるんだよ。
もちろん、この養成畑でも成長して開花してしまうので、ツボミが付いて2cmくらいになったら花に養分を取られないよう、これまた一つ一つ手で切っていく。そうすると球根部分に養分が溜まって、いい球根ができるんだ。」
「あら?この葉についた白いものは何ですか?」
「牛乳!」
「え?冗談??確かに牛乳っぽい白さですが・・・」
「ほんとに。消毒に牛乳を混ぜているんだよ。アブラムシ除けにね。その分消毒の濃度も少なくて済む。」
なるほど。いろいろと研究されていらっしゃるんですね。
多くのユリ産地はオランダから若い球根を輸入して、他産地に養成を委託するか、そのまま定植します。津南がそこまで手間をかけて自分たちで球根を養成する理由はなんでしょうか。
「他産地との差別化だよ。オランダから輸入してすぐ植えるのではなく、自分たちで手をかけて1年越しで定植を行うのが津南流。葉とツボミを大きくすることは簡単。肥料をやればいいことだからね。でも津南のユリはスッとしたスタイリッシュなユリでなければならない。」
このように時間と手間をかけて自分たちの品質を保とうとしているからこそ、日本最高峰のユリの産地として名高いわけですね。
脱線しますが、養成畑の向こうに見える淡い緑の畑は何ですか?
「タバコだよ」
なんと。タバコ・・・。
お恥しながら、初めて見ました、タバコの葉。涼しいところで生産されるんですね。
それにしても、大きい葉ですこと!?(゜◇゜;)
でろ?んと大きく、ペンを載せると葉の大きさがよくわかります。
養成球の人生
さてさて、栽培圃場をご案内いただき、お会いしたのは広報部長の江口さんのお父上でいらっしゃる江口一衛さんがいろいろ教えてくださいました。
養成した球根は、地上部分の茎を切っておがくずに入れます。(これをパッキングといいます)
1度冷凍して保存
雪室で解凍
定植
採花
おしまい。本分全う!
津南の球根は一度切ったら終わりです。
「その球根を畑に入れたまま、もう一度切ることはないんだよ。2回切ろうとすると、雪美人としては品質にも問題があるし、結果的に一時期に集中して大量に出荷されることになってしまう。それじゃ、市場を混乱させちゃうでしょ。これは禁止だよね。」と教えて下さったのは江口さんのお父上の江口一衛さん。
定植後発芽したら
小さい時は十分な湿度を与えるために、毎日湿らせます。
大きくなったら根を張らせるために少し水を切ったりしますが、小さいうちは十分な水分が必要なのです。
まだ命が若いうちは、ちょっとした水切れも致命的になってしまうのは人間と同じですね。
「また、津南の品質のこだわりは茎の堅さにある。これは太陽にあてることが重要なんだよ。でも当たりすぎると背が低くなってしまうし、このあたりが経験則に基づいた勘によるところが大きく、手間の掛けどころなんだよね。遮光をコマメにしないと。」
茎の堅さは、持ってぴんと立つもの。
←JA津南町 石澤雄太さん(24歳)
市場に出荷されるときは大きなつぼみがたくさん付いていますし、花屋さんでは少し咲いているものもありますが、それでも手で持った時に花の重さで頭が下がってこないものが◎です。
栽培のときに細心の注意を払うことは?
栽培のときに気を付けることはなんでしょうか。
「温度と湿度だね。」と江口お父さん。
温度が高いと丈が伸びないし、日射量が多すぎたり、雨が多すぎたりしても、根の張りが悪くなり、地上部のボリュームがなくなってしまいます。従って、露地といえども遮光も行い、水をやりすぎることのないよう、特に梅雨時期は注意が必要なので、ビニールシートをかぶせて潅水をコントロールします。
「こうしておけば葉の日焼けや雨による傷も防ぐことができるからね。葉に一度傷がついたら、もう修復されないんだ。」
このコントロールには細心の注意を払います。
みなさん、津南のユリをご覧いただければ、葉のツヤなど商品の細部にもこのような津南スピリットが宿っていることがお分かり頂けると思います。
これも「できたものだけが雪美人なのではなく、生産過程から雪美人」というポリシー故。
花が良ければいいのではなく、圃場が汚れていたり、葉に問題があったりすれば、巡回のときに注意されるという徹底ぶり!
ユリ栽培の環境は?
津南の場合は殆どが露地で栽培されます。
ユリに必要な条件は、コントロールされた潅水と日照量、そして風です。
優しい風に当たり、ある程度「揺れ」ないと、茎がしっかりと堅くならないのです。(←後で出てくるキーワードです!この「揺れ」を覚えておいてください!)
日中の温度も26度くらいまでが生育の適温で、夜温が下がることも重要です。
このシルバーの敷物は何ですか?
「"ワラ要らず"という商品名のシートです。」
そのまま・・・わかりやすい商品名ですね^_^;
以前はワラを使っていましたが、徐々にワラも減り、代わりにこのような商品を使うようになりました。
栽培過程でこれは必需品なのです。そのお役目は?
? 地温を上げない。⇒地温を下げないと丈が伸びなくなってしまうため。
? 土の跳ね返りを少なくするため(泥が葉に跳ね返り、商品が汚れてしまうのを防ぐ)
? 雑草の生長抑制のため
むむ、やはり雪美人を育て上げるには無くてはならないツールのようです。
津南町の土壌
津南では連作障害を防ぐために、毎年必ず新しい土地に定植します。養成畑についても同様です。
「こうすることによって、病気が出たときに消毒をしなくて済むから、花にも消費者にも、延いては環境にもいいことなんだよね。」
「来年はあっちに圃場を作るんだよ。」と隣の土地を指差した江口お父さん。
毎年、1から始めているからこそ、毎年良品質に揃えたものが出来上がるのですね。
新しい養成畑を選ぶ時は、牧草をまいて一度その土を作ってから研究所に土を送って成分を分析してもらいます。
その結果によってユリの作り方が変わってきます。このあたりの徹底ぶりが素晴らしいですね。
理想的にはPH5.5?6.6がベストです。PHが高すぎると葉の色がのりづらいし、低すぎると葉先がおかしくなります。
これも津南の土地を有効に活かせるからこそ消毒を使わずに、新しい土壌でユリを栽培できるというもの。
ご覧ください、津南の土壌は火山灰土が多く含まれているため、赤土です。この火山灰土も球根には適しています。
←土が赤い。
そもそもどうして津南でユリ?
「津南には、もともと球根を作る文化的な土壌があったんだよね。作っているうちに開花した美しいカサブランカに惚れこんで、ユリの栽培を始めたことが発端です。」
と江口さん@広報部長。
当時は1球300円でオランダから輸入したそうです。
(高ッ!?(゜◇゜;) そんな時代の店頭販売価格ってどんだけ?!??)
「5,000円前後はしたらしいよ。」(大田花き営業本部藤田章治)
どッ!!!目玉が飛び出ます。。。(◎_◎;) !!
「だいたい、カサブランカの花そのものがオランダから初めて日本に入ってきたときは、卸値で6,000?7,000円くらいしていたこともあったらしいよ。」
以前はそれほどの高級品が、私たちのような一般家庭でも気軽に楽しめるようになったことは、嬉しいことですね。
「津南は土地が広かったから、通常一棟に4,000球植えるところ、3,000球を植えて茎が堅くて良いものができたんだよね。そしたら市場評価が高かった。それが20年前。」と江口さん。
津南は標高400?450メートル。夜温が落ちることが栽培の強みに生かされています。8月のお盆過ぎには涼しすぎて窓を開けて寝られないほど夜温が下がるのだとか。夜温が下がると、夜休めるので、ユリが育ちやすい環境になります。「夜温が下がる」、これはユリ生産には欠かせない条件なのです。
また、標高が100メートル違うと気温が1度違うと言われますが、津南では標高200メートル、450メートル、600メートルとおよそ3段階に分けて栽培しています。このことによって、標高の低いところから徐々に出荷し始め、組合全体での出荷期間を長くすることができるのです。
どれをとっても津南はユリ生産のためにあるようなお土地柄ですね。充実したハード面はあるようですが、生産される方々のこだわりなど、ソフト面はどうでしょうか。
JA津南町ユリ切花組合について
「"うちがよければ良い"という私利私欲よりも、"みんなで産地を作る"という意識の下に団結している組合です。
また、JA津南町ユリ切花組合は20代、30代を中心とした青年部の活躍によって成り立っています。」
取材の日に忙しい合間を縫って駆けつけてきてくれた青年部会の方々です。
普段は一緒に仕事をしているわけではありませんが、巡回のときや栽培過程でわからないことがあるときなど、チームワークを発揮し、助け合います。同世代の皆さんだけに、とても仲が良く、それぞれ本当に働き者なのです。
"雪美人"は津南のブランド名です。
JA津南町が商標と取得したので、ユリ以外でも日本酒などの商品名としても使われています。
冬季は積雪4メートルにもなる豪雪地帯津南に合った良い名前ですね。
厚くキラキラと積雪した表面と、津南のユリたちの花弁の質感を思わず重ねてしまいます。
その津南から良いものを作って出荷する
高品質を安定的に出荷するからこそブランドが成立する
それができるからこそ、まさしく"雪美人"の名に恥じない産地であり続けることができる!
・・・というわけです。
津南での栽培品種は、カサブランカを中心に60品種にも上ります。これも需要の多様化に伴い、部会で品種を揃え、これに対応していこうという姿勢があってのことです。
津南の熱い若手による品質維持の秘訣
品質維持はチームワークによるところが大きいようです。
毎月、技術部でメンバーの圃場を巡回し品質を揃えます。
また、別に企画部が行う目合わせ会というのがあり、アドバイスしながら、品質向上を目指しています。
このようになんとも機能的に組織された組合なのです。
実は探検隊がお邪魔した時に対応して下さったのは、青年部の若手の方々。
この若い力が津南のパワーになっているのです。
皆さん、本当に仲良し!
先達と若い世代とのジャンクション
現在(第5代)のJA津南町ユリ切花組合長をされているのはこちらの藤木孝嗣(ふじきたかし)さん。
青年部会の若手でも、先輩組合員が更に若手の新人組合員に教えられるように取り組んでいます。
「ひとつの世代が結成されているわけだからね。ここを大切にしなければいけない。
私の役割は世代と世代をつなぐジャンクションのようなもの。
日本一の雪美人のブランドを継承するために、昔気質の先代たちから叩き込まれたことを、そのまま若手に引き継ぐのではなく、自分なりに噛み砕いてギャップやショックを少なく引き継いでいくことが私の仕事。"雪美人の何たるか"を若い人に理解してもらわなくてはならない。」
このような役割を担う人がいるからこそ、津南のブランドは脈々と引き継がれているわけですね。
津南の将来は安泰です。
津南町独自の取り組み
オランダの球根会社が新しい品種の日本導入を検討する際に、試験栽培をする圃場として津南町を選ぶ・・・これ、本当です。
つまり、津南にできなければ日本中どこでもできないというお手本産地として海外からお墨付きをもらっているということです。
そこまで信頼を得る津南は、与えられた環境に甘んじることなく、自ら積極的に産地ブランドに磨きをかけます。
ではどのようにブランド維持を確実なものにしているのか。それはTYSに秘密があったのです。
「津南の球根は全てTYS!」
TYSとは"津南(Tsunan) 雪美人(Yukibijin) セレクト(Select)"の略ですが、一体何のことでしょうか。
そもそもこのような細いツボミが発生したことから、「これはおかしい!」ということで球根にこだわりを持ち始めたことからTYSは生まれました。
←通常より細いツボミ。
「これはおかしい」に端を発し、津南の方々は、5年前から自ら年2回オランダに足を運んで、球根輸出会社とオーナー農家さんを訪問しています。
オランダではその両者と会って話をして、圃場を見て、津南の方々の判断で信頼に値する優秀な輸出会社とオーナー農家さんを決め、そこからのみ出荷される2年の若い球根を選定し、輸入する業務提携をしているのです。
つまり、津南に供給できる球根のオーナー農家を限定しているわけです。ビジネスパートナーは自ら選ぶ!
球根が日本に到着してからではなく、オランダでの球根作りの段階からのこだわり――これがあるからこそ、津南の高品質、安定供給、雪美人のブランドがあるのです。
それだけではありません。ここからが津南のすごいところ。
普通は、このようにして信頼関係を築き、供給してもらった球根は独自のブランド品として独占しがちなものですが、なんと津南ではこのTYSを日本の他の産地に供給してもいいことにしているのです!
それは「日本のカサブランカの品質向上、日本のユリの品質底上げのため」なのだそうです。
何と懐の広い(T_T)(目の幅涙)
これこそJA津南町ユリ切花組合のポリシーなのです。
そして、みなさん津南町の心配りはそれだけに留まりません。
雪美人のパッケージをご覧になったことはありますか?雪美人のイメージ通りの白い箱、そして花を包むラップもつぼみが良く見えるように、材質や形状にこだわって素材を選択しているのです。
津南町のポリシー
津南町のすごいところは全てオープンであるということです。
また、暖地の他産地と連携をとって、「日本中に素晴らしいユリを供給しよう」という信念の下、毎年津南が主催で情報交流会を開催しているのです。
今年も、ついこの7月に開催したばかりなのだとか。また、近年では、一定の産地のみならず、ライバル産地なども線引きをせずに招いて交流会を開いているのだそう。
広報部長の江口さん曰く、「人に教えてもらうには、まず自分たちの情報をオープンにしなければならないからね。」
津南町のオープンマインドで日本の花の文化レベル向上を目指した高い志を感じます。
雪美人の特長
? 最初の一輪から最後の7輪目まできちんと咲くこと。これは自分家でも飾って実証済み!
? 茎がしっかりしているため、花の重みで茎がしならない!店頭ではではこれが良いユリの見分け方にもなります。
農協では、ユリの品質を統一するために、茎の端を持った時にどこまで頭が下がってくるか、その角度によって等級を決めるようになっています。
↑こちらの写真のように、30度以上に立てば「秀品」、15度から30度未満は「優品」、15度に満たない場合は「良品」としましょうという決まりがあります。
通常はそれに沿って出荷しているのですが、津南の規格はそれより更に厳しいものなのです。
30?45度→「秀品」 ふむふむ、これは同じ。
20?30度→「優品」 なんと、優品の下限は20度から。この時点で農協の規格と5度違っている。
10?20度→「良品」 農協が15度以下全てを良品と規格しているのに対し、この許容範囲の狭さ。
あら?それで終わり?その下は?
10度に満たないものはどうするんですか?
「出荷しません。」
あ?、なるほどぉ・・・さすがです。雪美人ポリシーは一貫しています。
? 一番花の付け根の茎と、根茎付近の太さがほぼ同じ!
普通、頂花(一番上の花)に行けばいくほど、細くなるものですが・・・
津南のユリの場合は、第一花の付け根の茎の太さと根本の吹きの太さがほぼ同じなのです。
むしろ一番花の付け根の茎の方が太いかもと思わせるほどしっかりしています。
津南のユリの至る所にブランドたる所以を見てとることができます。
まさに「神は細部に宿る!」
津南のブランドは細部にも宿っているのです!
雪美人を作る青年部会の津南の男性陣。
青年部会は平均年齢30歳。23歳から36歳までの9名で構成されています。
そのメンバーの中には、2代目さんばかりではなく、新規就農者もいらっしゃるほど、津南のユリ組合は魅力的なものなのです。
それでは取材当日にお集まりいただいた方にお伺いいたします。
"皆さんにとってユリとはなんですか?"
江口一衛さん(江口お父さん)
「ご飯の種です。」
河田太郎さん(広報部)
「これからもユリで生計を立てていきたい。消費者に捨てられないように、しっかりとユリを作っていく。ユリの生産は思い通りにならないところが面白い。また、うまく行った時の喜びが醍醐味だね。」
大口浩太さん(広報部・今年から入った切り花組合の最年少ホープ★)
「人との付き合いが面白いですね。他の部会の方とか、市場の人や花屋さんと会うといつも勉強になります。」
藤木成和さん(広報部)
「ユリ生産は家業です。親の仕事を継いで3年目になりますが、抵抗なく自然に始めましたね。部会には同世代の人がいるから刺激になります。」
江口裕さん(広報部長)
「ユリはズバリ第2夫人でしょう。個人的にはカサブランカやラベンナがお気に入りです。僕の葬式のときは、カサブランカでいっぱいにしてほしい。」
さすが広報部長。おっしゃることが違いますね。
大口貴裕さん(販売部副部長)
「ユリは仕事。親の仕事を後継して6年目。東京のお花屋さんでアルバイトをしていたこともあるんですよ。」なんと大口さんはスキーで全日本技術選手権に出場した経験を持つプロ並のスキーヤーなのです。
大口善弘さん(青年部長)
「雪美人という名の通り、まさに女性です。言うこと利かないし、管理も難しいし・・・(笑)」
うまい ^?^!
津南のうんちく探検隊を見てくれた人だけに教えちゃう★ユリの秘密
みなさん、ご存知でしたか。このユリの秘密を知れば、皆さんも今日から"ユリ通"です。
ユリの球根部分にある鱗片は養分を蓄えるためにあり、この太り具合で、球根の力がわかるものですが、実はのこ鱗片を向くとユリの芽が出てきます。
このユリの芽は既に小さな葉が重なってできているのですが、このとき既に地上部での葉の枚数は決まっているのです!
つまり、鱗片に包まれたユリの小さな芽の葉の枚数は、大きくなってからの葉の枚数と同じなのです!
球根を養成して畑から取り出した時点で、鱗片の数をボリュームを見ればその質はわかりますが、
いくら成長しても葉の枚数は増えることはありません。ですから、背が伸びすぎてしまうと葉と葉の間隔が間延びした締まりのないものになってしまいますし、茎も弱くなってしまいます。節間が縮まれば、堅く丈夫な茎になるというわけです。
養成が終わった段階で、どのくらい球根が太っているか=鱗片に栄養が溜まっているかをみれば、その球根が持つパワーがわかります。育てる前に、どの程度の花が咲くのか、わかってしまうわけです!
う?ん、ユリは永遠の学問!by江口さん@広報部長
なぜ「ユリ」というのか
前半部分で覚えていたきましたキーワードに語源があります。
ユリの語源は、「揺る」といわれています。「揺れる」の古い言葉です。風に揺れるその姿からその命名に至ったのでしょう。
また、よくご存じのとおり、「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という美しい女性を例えた表現がありますが、なぜユリは「歩く姿」に例えられるのか。
これは私の勝手な想像ですが、これもやはり「揺れる」ことに起因しているのではないかと思います。
ユリが揺れる様子を女性がしとやかに歩く姿と重ね合わせての例えでしょう。
また、漢字で「百合」と書くのは、葉や鱗茎が多数重なり合うことに由来しています( ^ー゜)b
■ユリの栽培は養成からが基本!赤ちゃんの時から自分たちの手で育てて、その品質に責任を持つべし!
■赤ちゃん(球根)は生まれ(出所)がしっかりしたものに限る!そのためには自らオランダに足を運び、契約農家を自らの目で見つけるべし!
■球根養成から製品完成までは度重なるチェックと選別を繰り返す!
津南の雪美人は、ユリの BEST OF THE BEST也!
■ユリに必要なのは湿度と温度と適切な日照量、そして適度な風。
■冷蔵には自然の力を利用した雪室を利用。
冷房を使わないから、湿度も保て、球根への負荷が少ない。
二酸化炭素排出量も削減でき、結果的にコ栽培。
■できたものだけが雪美人なのではなく、生産過程から雪美人。
■ユリ生産は自分の産地のためではなく、日本全国のユリの品質の底上げのためであることを忘るべからず。
消費者の皆様にユリの花を楽しんで頂くために、日本の産地が頑張って少しでも良いものを提供する。
是、津南之指針也!
■ブランド確立に成功したら、生産過程やノウハウはオープンにすべし。
■自らの品質には責任を持つからこそ出荷規格を厳しく設定!雪美人のブランド維持はストイックに行うべし!
消費者の皆さんへ一言
津南のユリは最後まで咲くことと姿がきれいなことが特長です。
値段は他産地より高いかもしれませんが、咲いているところを見れば高いと思わせないほどの品質ですので、是非使ってみてください。
満足感は高いはず。花瓶に挿せば必ず差が出ますので、納得していただけると思います。
一度雪美人を買ったら、病みつきになるかも?O(≧▽≦)O ♪
津南のユリオリエンタル出荷実績
今年も高品質のものをじゃんじゃん出荷してまいります!
URL http://www17.ocn.ne.jp/~yukibi/
品種一覧 http://www17.ocn.ne.jp/~yukibi/index2.html
津南の町興し
津南の町興しの一環として作ったこのヒマワリ畑には何と50万本のヒマワリが植えてあります。
このあたりは「龍ヶ窪」とよばれ、ちょっとした観光スポットになっています。
ヒマワリが満開の頃には、ここで結婚式を挙げる方もいらっしゃるそうです。
ここにはその名に因んで、このヒマワリ畑にも龍のオブジェが置いてあるのですが、この龍に願い事を書くとその願いがかなうのだとか。龍の鼻先に隙間を見つけ、真剣に願いを書き込む江口さん。
その願いはお子様が大きく丈夫に育つことでした。
きっと江口さんのお子様もJA津南町ユリ切花組合も大きく育つことでしょう!
<写真・文責:ikuko naito@花研>