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2006年5月31日

Vol.15 長野県信州?群馬県 シード会 編

今回は長野県青木村?千曲市、そして群馬県前橋市のシード会産地を中心に探索してきました!

?フラワーファーム沓掛…魂の入った拘りの花作りを目指して!?

  (長野県青木村?シード会)
ガードレールもない細い山道を軽トラックです?いすいっと進む沓掛さんを必死で追いかけて ハウスに到着しました!

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訪れた時期はちょうどラ・フランスや、アーモンドの木が白やピンクの花をつけてきれいでした。

さて、出荷されている商品はどんな風にそだっているのかな?とハウスの中を覗いていると
水菜?葱?ハウスの中に花と一緒に野菜が?
mizuna.jpg negi.jpg

お茶やコーヒーの出がらしを
肥料代わりに使用している
のだとか。
だからここで育った野菜も
食べられる、安心!の環境
なんですね。



そして、主力品目!ブライダルには欠かせないダスティーミラーのハウスへ。

kutukake.jpg 実は沓掛さんは大田花き初代“その他の草花”担当なのです!
当時まだ未開拓で荒れ放題の品目だった草花類でしたが宝の山だと感じ、「担当させてほしい」と自ら志願したとか。そして、白い葉っぱがなかったのでいいなぁーと思って取り入れたのが
ダスティーミラーなのだそうです。
それから生産者となっても自ら作り続け、今では定番商品となりました!


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       翁草               オダマキ       ギボシの葉っぱを食べる畑荒らしの
                                      犯人はかわいいヤギでした。
           


「園芸図鑑 ア?ワまで見てる?」沓掛さんからの突然の質問に私達二人が固まっていると

「俺噛り付くように見てたよ!」と胸を張っておっしゃったのでした。

図鑑を読むほどの植物好きなのです。

同じく植物好きならば、カラマツ草や翁草、レンゲショウマ、オダマキなど作っているものから想像できるかもしれませんが、特にキンポウゲ科が大好きなようです。

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?ベルテッセン…花はまだ葉っぱの中に隠れてました

?ディセンドラ ピンク ・ 別名 タイツリ草

?ディセンドラ 白→露地物は茎がしっかりと太いです。ラインを活かすならハウスものがお奨め!

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妹の紀子さんが手掛ける『紀子の花』のハウスも見せていただきました。
ここには様々なハーブが育っていました。
「○cmの物を○本欲しいって言ってくれればいくらでも対応します」との事ですよ!
→1年中紅葉しているヒューケラは紅葉ゲイラックスの代わりにもなるのでは?
このところの出荷で丈が短かったのは寒さのせいだということが判明!気候には逆らえません…。


 沓掛さんが目指すのは、“ここに頼めばなんでも揃う!”という産地。
長野県青木村の気候と土壌、そして水に合った植物に拘り抜いているのです。
「あったらいいな!」を叶えてくれるかもしれません。

?千秋園…妥協を許さない花作り??

 (長野県千曲市)
ranann.jpg 残念ながら大輪系ラナンキュラス“ローヌシリーズ”は
出荷が終了したばかり。
ハウスで咲き乱れていました。

しかし、千秋園さんは他にも存在感のある花を作っているのです。 それがトルコキキョウ“コサージュシリーズ”です。 こちらも花の直径は10cm以上!!バラのような巻きがすばらしいトルコキキョウ!
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コサージュピンク        コサージュオレンジ       コサージュオーシャン
育苗2ヶ月、植えて4ヶ月、成長する力を分散させず大きな花にする為に最低2週間に1回のわき芽取り…と育てるには手間隙かかってます!
また、コサージュシリーズは放っておくとツル性のように茎が巻きやすい性質を持っているので、それをほどいてあげなくてはいけないのです。トルコキキョウなのに不思議ですね。
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        ↑生育途中            ↑わき芽              ↑こんなにクネクネに


金子さん曰く、「手を入れてやらないとやぼったいし、しなやかさが出ないんだよ」
「ここまで花の頭を揃えて出荷してる人はいなんじゃない」
自信を持ってお奨めするだけのことはあります!

伺った時期はカラーの出荷も終盤でした。
変形MIXなんて出荷もありましたが奇形のマンゴー発見!
kikei.jpg一部の花屋さんから「味があってよい」「曲がりや奇形ももっと出荷して!」
なんて声を聞いたことがあるのですが、奇形が生まれるのは
成長ホルモンのせいなのだとか。

この成長ホルモンがないと花芽が上がってこないし、多すぎると奇形も多く発生してしまうのです。
そのさじ加減がプロのなせる技なのですね。

確かな腕で作る存在感ある花に今後も期待です。

?マリーハウス…女性の感性で選んだ花作り?

 (長野県千曲市?シード会)
住宅地の裏にハウスはありました。
まずはクレマチスのハウスへおじゃましました。白万重の壁に感激!
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白万重ってしっかり咲くのかしら?と不安なお花屋さんもいるかもしれませんが、出荷時?3日程度でこんなにすばらしい八重に変身するのです。
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次なるハウスは何の花?と思って覗いてみるとぶどう棚ができていました。

budoudana.jpg 「ぶどうの桃太郎をもらったの。夏ぐらいに生い茂って
ちょうど日陰になるので下にクリスマスローズを植える予定なの。
冬は葉が落ちて日が入るしちょうど
良いでしょ♪それにおいしいしね。」
と中曽根さん。
なるほど一石二鳥、ナイス アイディア!ですね。

そして、見るのを楽しみにしていたダリア“黒蝶”。
ハウスの屋根に届きそうな程の背の高さにビックリです。
ハウスの中でもしっかり存在感をアピールしていました。    ↓切ってもこの長さ!採花作業も大変そう。
kokucyo1.jpg kokucyo2.jpg nagasa.jpg                        


その他にも…


tekisennshisu.jpg?temarisou.jpg?marigo.jpg?

?おちょぼ口が可愛いテキセンシス…意外にも花びらは肉厚でした。ぜひ一度触って欲しい!

?てまり草…スプレータイプも見つけました!

?マリーゴールド…中心がグリーン?と思ったらまだ開花途中でした。でもグラデーションがステキ!


立ち居振る舞いも女性らしくてステキな中曽根久枝さんが作るセンス良い花にこれからも期待です!

?南国園…スターチスとは思えない新しい色や形が生まれてます?

 (長野県千曲市?シード会)  
千曲川の程近く、きれいな山に囲まれた場所にありました。
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                                      南沢さんご夫妻


染野、藤野、瑠璃など和風の名前が多いのですが、名付け親は旦那さまでした。
“大正ロマン”とか“江戸小紋”をイメージするような渋?い色合いがお好きのようです。
でも時には「汚い色じゃない?」と奥さまから非難を受けることも…。
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?鮮やかな赤が魅力的な“ガーネット”

?「こんなのどお?」と奥様が切ってくださる花を抱える下坂隊員

?紫式部からとった その名も“式部”


いろんな掛け合わせを試して、気に入ったらメリクロン(=茎頂培養:植物の茎の先端の生長点を取って培養すること)を行うのだとか。だから、他にない色が沢山あります!

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 ボンジェリー           ライム           サマーシュカッシュ

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 瑠璃              パープルマム…花の並びに特徴あり!
                      ブラシっぽいのが嫌いという方にも。

こんな色合いがほしい!と注文したら作ってくれそうです。
色も形も新しいスターチスに注目です!

?関根幸子…癒してくれるような優しい花を届けます??

 (群馬県前橋市?シード会)
以前はブライダルのお仕事も手掛けていらっしゃった関根さん、今でもアレンジ教室の先生をされているので、使いやすさといった視点も考えて作っています。
sekine.jpg hausu.jpg


生産でもバラを作っていたとか。でも今は様々な草花を作ってます。
「なぜですか?」と尋ねてみると、
「長いこと作っていたら野草の方が愛しく思うようになったの。だから私は主役の花に合う花で、脇役の花に徹しようと思っているの」と関根さん。

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オリエンタルポピーのつぼみ。出荷時はこんなツボミでも掌ほどの大きさで、まぶしいほど鮮やかなオレンジ色の花が開花するなんて驚きです。
そして、咲き終わった後のシードもアレンジで使えそうですよね。

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  ハニーサックル            スティックセニョール…食べてもおいしいブロッコリー

ハウスをひと通り見せていただいた後、「矢車草の畑を見せてあげるわね」と案内されたのがここ。

hatake.jpgこの写真で伝わるかどうか分かりませんが、数万本の矢車草のお花畑は圧巻でした。
これならいくら注文がきても大丈夫!!です。
矢車草はハーブの仲間。英名で“とうもろこし畑の雑草”というのだとか。

実はアールグレイの紅茶のCMにも登場したことがあるんですよ!


トラクターで耕すと思いもよらない色が出てくるようです。
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近くの園芸店などにも足を運んで動向チェックしたり、新たな品目を取り入れようと意欲的な関根さんの作る癒しの草花にこれからも注目です。


?おまけ?
inu.jpg関根さんの愛犬。
人懐っこくて ぬいぐるみみたいなワンちゃんでした。

シード会とは、花を愛し、栽培に拘っている育種家・生産者が集う会です。
こちらをクリック!→http://www.otakaki.co.jp/profile/company/seed.html


シード会の格言



・信州で生まれた拘りの花に注目すべし。
・見た目で判断すべからず!出荷時はつぼみでも驚きの八重、大輪に変身する花を使ってみるべし。

・根っからの花好きによって、愛情をたっぷり注がれた花の魅力を上手に引き出すべし。

・欲しい色や形は育種家に伝えるべし!願いを叶えてくれるかも?

(文責 中川美紀)

2006年5月 7日

Vol 14.千葉県 三宅花卉園

三宅さんといえば、球根業界の先駆者として知られる育種家。

うんちく探検隊を愛読されてる皆さんなら、モチロンご存知ですよね。
アルストロメリアの出荷最盛期と聞きつけて、4月某日探検隊は一路、千葉県茂原へ。
三宅さんは原種アルストロメリアの育種家でもあります。

おりしも春の全国交通安全キャンペーン実施中とのことで、途中のパーキングエリアには
そこかしこにパトカーの大群が。
「どうぞ?」とおまわりさんから手渡された粗品は、眠気覚ましシートにクーラーボックス(?)など
なぜか実用的。
「交通安全運パン」なる、あんパンまで貰ってラッキー!良いことありそう。

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↑三宅さんご家族。壁に飾ってあるボタニカルアートはなんと奥様の作品らしい!
大変お上手なんでうっとり…写実的なボタニカルを描く観察眼とセンス、きっと育種にも
生かされているに違いない!

1972年から球根切花をメインに花の栽培を始めた三宅さんですが、その3年後には
アマリリスやアルストロメリア等の育種を始め、ミニアマリリスや八重品種を200種類以上
作り出しました。
今流通している八重咲きのアマリリスは、ほとんど三宅さんが普及させたと聞いて二度ビックリ。

(有)三宅花卉園を設立してからはリューココリーネやグラジオラス、イキシャの育種も
手がけているそう。世界のマーケットに向け、順風に乗って航海中。

house1.jpghouse.jpg

三宅花卉園に着陸。
社長、奥様、ご子息の泰行さん、企画デザインをご担当されているスタッフの橋爪さん
そして7000?の温室群が出迎えてくれました。
ここから世界のミヤケストレインが世に送り出されていたんですねぇ…

hojo.jpg

いざアルストロメリアの育種現場、ヒミツのハウスに潜入!

【入賞おめでとうございま?す!】

園芸ニュースをチェックしてる方はご存知の通り、今春のコンテストやショーで
三宅さんの花が多数入賞しました。

★第1回ジャパンフラワーセレクション・スプリングショー鉢物部門にて・・・
 アルストロメリア「ロートレイツ」、「ミルフィー」入賞。

★フラワー&ガーデンショウ「個人育種家部門」人気投票では・・・
 第1位 リューココリーネ「ディーセントピンク」
 リューコファンの私にとっても、ほら?やっぱりね!な嬉しいニュースでした。

今後の出荷が楽しみな新品種たち、今後に期待しましょう。

senkazyo.jpgsenka.jpghouse2.jpg

まずは選花場へ向った探検隊。選花場で出荷を待つたくさんのリューココリーネを発見しました。
大田行きのリューコはどれどれ?目を皿のようにして探しちゃいました。

【やっぱりリューココリーネが好き】

リューココリーネは3月上旬?4月中旬頃まで出荷される、初春の代表花。日本で初め
て紹介された当時は1本数百円!という値段で取引されたらしい。希少な花だったんですね。
三宅さんの人気品種といったら純白のディーセント。

ryu1.jpgryu2.jpg
↑ん!これは珍しい丁子咲きのリューコ。
 右隣 ピンクストライプのリューコなんて市場でもめったに見かけない珍品種。

「リューコだけは毎日どれだけ見ても、飽きることがないの。不思議でしょ?」と奥様。

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リューコ畑でお気に入りの一枚。
よく見るとネットに細ーい茎を通して、仕立てています。風通し良さそうですね。

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ほぅ…とため息がでる美しさ。絞り模様の入り方が独特で、鳥の羽根のよう。
やっぱりこのイノセントな美しさが魅力です。
「これは特に気に入ってる品種なの♪」と、とにかくリューコ好きな奥様。

【原種アルストロメリア】

日本に初めてアルストロメリアが入ってきたのは、大正末から昭和初期頃。
当時は花びらの斑点(スポット)があまり好まれず普及しなかったといいますが…
あのポツポツ(斑点)は、自然界で昆虫を誘うためのものなんですって。
三宅さんは斑点のないスポットレス品種を開発して、大ブレイクしました。

meria5.jpgmeria6.jpgmeria7.jpgmeria13.jpg



オリジナル品種 ミヤケストレイン カリオ系【スポッティーシリーズ】
メリアの特徴でもあるスポットを生かした人気品種。
←グリーン系もやっとこさ登場しました。





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カリオ系品種たち。赤から白から、黄色からとにかくカラフルです。
カラフルだけど、和の雰囲気は忘れません。

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↑葉っぱにご注目!ピカピカの銀葉が美しい。

kageroi.jpg
原種アルストロメリアを見ていると自然のなせる色彩センスに驚きます。
社長は赤黄系がお好きらしい。
スタッフの橋爪さんのイチオシはカゲロイという新品種。(上 画像↑)モダンですね?

barie.jpgobarei.jpgobarei2.jpg
アルストロメリア バリエガータといえば斑入りの葉がステキ。
お隣の赤いボールは迫力の「オバレイ」。

fukidasi.jpgfukidasi2.jpgchristmas.jpg

カラーの洪水に流さるる探検隊!
「命名、カラー・ミルフルール」と隊長。この品種は種が取れず増やせないのが残念ですね。
この不思議カラーは「フキツメザキカラー」という名前で出荷中です。

【フローラルな香りアルストロメリアを発見】

meria11.jpg

↑「赤白系は香りを持つものもありますよ」と泰行さん。

【開花ステップ】
utsumuki1.jpg うつむいて?
utsumuki2.jpg よいしょっと
utsumuki3.jpg 開花!
seed.jpg 「完」

【こだわりの有機栽培】

三宅さんは有機無農薬栽培のアルストロメリアを作り続けています。アブラムシやハエなど
害虫対策には念を入れていますがひとたび発生してしまうと大変なんだそう。

【納豆菌で虫ガード】

natto.jpg

あれ?葉っぱに白いポツポツが。
「あーそれは納豆菌ですよ」と泰行さん。えぇっ納豆菌!ナットウキナーゼ?!
害虫対策に納豆菌を空中散布するらしい。漢方から納豆菌から、ありとあらゆる手を尽くして
完全無農薬を維持しているんですね。

有機栽培花にだけを置くお花屋さんってないのかな?
無農薬の花は近頃流行りのオーガニックカフェに置いたり、エステのフラワープールに使ったり
部屋にペットを飼っているお宅でも安心して飾ることが出来そう。
LOHAS(Lifestyles of Health and Sustainability)=健康と環境のためのライフスタイルも
最近の流行ですしね。まずは食べるもの、体に触れるものからオーガニックが浸透して行くのかな。

syugou.jpg

【三宅花卉園の格言】

リューコは勝つ花!@社長 
      
至言。そんなふうに言ってもらえる三宅リューコの幸せなことよ…

たった1本でも絵になる原種アルストロメリア。
      
この色と形の美しさ、絵心をとっても刺激する花。

安心、安全な有機栽培花は苦労なくして生まれない。
      
三宅さんの努力に頭が下がります。

今後の育種の動向やいかに?三宅ファミリーの個性と趣味が育種のカギを握る。


【私の格言】


ロハスな時流に乗って三宅オーガニックフラワーを取り入れるべし!
      
無農薬のアルストロメリアを餌に混ぜてみるか?」@社長
本犬の了解無くエディブルフラワーの試食モニターにされそうな三宅家愛犬ジョリーの運命やいかに!?

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三宅アルストロメリアの氷山の一角を知ってしまった私、ますます今後も目が離せなくなりました。
今すぐ知りたい方は飛ばれたし→(有)三宅花卉園 

安全運パンのご利益もあってか今回のうんちく探検も大成功のうちに幕を閉じたのでした。
次回レポートも乞うご期待!

seed.jpg 
「完」

(文責 三浦 彩)

2005年4月15日

Vol.3 千葉県千葉市 小森谷ナーセリー 編

今回のウンチク隊は知る人ぞ知る!世界の小森谷ナーセリーにおじゃましてます。
社長の小森谷慧氏はアマリリスやネリネ、スイセンはじめたくさんの球根・宿根草花の新品種を生み出し続けている育種家です。
今回は珍しく商品開発室(探検隊)全員参加+フローレ21大田店のオオシマ店長も一緒です。ちなみにこの「ウンチク探検隊」始まって以来シシド隊長が取材に初参加です。
(ちなみに隊長はワタクシと思っている方が多いようですが、隊長=シシド室長です!)

コンセプトは「花より美しい、花を。」

社長の慧(さとし)氏は残念ながら外出中とのことで、一人娘の恵里さん(営業担当)に突撃です。まずは小森谷ナーセリーを代表する品目の一つ、アマリリスの温室を見学。目の高さにアマリリスが咲き乱れていて感激!

(オオシマ店長も小森谷アマリリスにこの笑顔!)

「ここでは交配してできた品種の花を見たり、交配するために咲かせてるよ。ここの花を切花で出荷するときもあるよ。」

花弁がめちゃめちゃ細?いアマリリスを発見!なんとスタイリッシュな!
「ああ?それね原種だよ。」
アラ?原種ですか!?ワタクシてっきり新品種かと思っちゃいました・・・。

この原種は『シビスター種』といって、最近人気の細い花弁を持つアマリリスはこの原種を基に交配されたものだそう。このように出来た品種は『シビスターハイブリット』と呼ばれています。


シビスター種


シビスターハイブリット

交配では狙い通りの品種を作るワザとか何か秘伝みたいなのはあるのですか?
「昔はカンでかけ合わせてたけど、最近はいい遺伝子だな、と思ったらいろんなものにかけてるよ。」
同じ品種のかけ合わせでも、雄雌の組み合わせを逆にするだけで違ったものが出てくるそう。まさに神のみぞ知る不思議・・・交配って奥が深いですね。

うちの隊長が球根チーム在籍時代からその魅力にヤラレっぱなしなのが『美パピリオ』。


美パピリオ


(シシド隊長、アマリリスに戦いを挑む(?))

その凛々しいお姿は「パピリオがなかったらオレは花業界にいなかっただろう」と
隊長に言わしめるほど。

「でも2輪ってのが弱点ね。将来パピリオの八重が出るかもよ。」と恵里さん。
おおおっ隊長、こうなったらゴージャスパピリオを見るまで
花業界にしがみつかなきゃだめですね!

今後、アマリリスの新品種選抜にあたって何か狙いはありますか?
「3年前くらいから取り組んでいるけど最低でも4輪咲きを狙ってる。もう2輪咲きは増殖しないね。」ますますゴージャスなアマリリスの誕生ですね?。

「輪数が多いだけじゃなくて一気に咲くほうが価値があるよね。そして上を向いて咲く、かつ八重咲き。」
なるほど?。すでに温室にはその厳しい条件をクリアしているものもチラホラ・・・。
お目にかかれる日も近いかもしれませんね。

「秋咲きのアマリリスも増やす予定だよ。」
魅力的なアマリリスを楽しむ時期がどんどん長くなるなんてステキ!
アマリリスの出回り時期が悪い、なんてことも過去の話になっちゃうかも。

ね、オオシマ店長! 


広大な敷地の中にザクザク宝物

とにかく小森谷ナーセリーは広い! アマリリス温室のほかに、小球根温室、草花用温室など、その品目数は数知れず。30年?40年前から導入して育種しているものもあれば、つい最近導入した品目も。外国から導入したものがほとんどだそう。

どのようにして集めるんですか?
「外国の種苗会社で取り寄せることもあるし、あとはコネクションかな。世界中の育種家から譲ってもらったり交換したり。」
さすが世界のKomoriyaですね。そしてコネでやりとりできるのは信用があってのこそ。信用もワールドワイドです。小森谷コレクションの特徴は数多くの品目品種が揃っているだけではありません。魅力ある品種を選抜・育種するセンスとその徹底ぶり。コレクションを増やすだけが良いコレクターではありません。取捨選択がキッチリされることが、現在のそして未来の魅力ある品種として私達を楽しませてくれることに繋がっているのです。

そもそも小森谷ナーセリーの育種の歴史の始まりは?
「父が水仙、グラジオラスの育種したのを50年前くらいに園芸文化協会に初めて出品したら賞をとったんだよね。ついでにドイツの品評会にも出したら賞とっちゃって。それで、あ、できるって思ったみたい。」

一発目で賞をとるなんてすごい才能ですね。
 

種子の採取作業。地道な作業が魅力ある品種作りにつながります。 

品目:クチビルチュー。ウソです。
ハエマンサス(和名マユハケオモト)。8月に白っぽい花が咲くそう。
 

温室群の後ろには広大な花畑。主にスイセンのトライアル用。珍しい品種がたくさん植えられています。ちょうどうかがったときは満開!まるでお花見に来たみたいです。
(あっ、いや、ちゃんと仕事してますよ商品開発室は・・・)
 

(哀愁ただよう桐生隊員。※写真右)

(通称『軽井沢』)

畑の一角には遮光された場所が。風が吹くとサラサラいい音がします。でも普通の畑でこんな遮光つけているの初めて見たんですけど。「これはシイタケ用の遮光だよ。ここに日陰が好きな植物を植えてる。みんなこの場所を『軽井沢』って呼んでるよ。」
アハハ軽井沢ですか。
「夏はみんなここで仕事したがるのよね。」

この広大な小森谷ナーセリーを見学してはっと気が付いたこと・・・それは恐ろしいほど整理整頓がキッチリなされていること。放置されたゴミも全くなし。「この品種は?・・・なんだっけ??」なーんてものは1つもありません!!

「品種が混ざっちゃうから徹底的に整理はやっている。それでも混じっちゃうことはあるけどね。」



(ハウス間のスペースもキッチリ活用。(もちろんラベリングも完璧!))

しっかりラベリングし、品種の由来をメモに残し・・・、その徹底さにはただただ脱帽です。
整理整頓は小学生でも習う基本ですね。きれいな環境にいい運気もやってくるって風水でもよく言うし。
ワタクシも見習わなければ・・・。
(ちなみにワタクシの今期目標の一つが「整理整頓」です。シャチョーに「デスクが汚いっ!」と怒られた経験アリ)

どんどん出てくる玉手箱

(恵里さん。知的でステキな女性です。)  小森谷ナーセリーから出荷される切花は、魅力ある品揃えからこだわりぬいたラインナップを周年を通して、そのほとんどを大田花きに出荷していただいています。

アマリリスが終わった後はジャーマンアイリス、スプリアアイリス、アガパンサス・・・と続きます。八重のネリネなど、もちろん魅力的な隠しダマもキッチリ用意されていますよ!乞うご期待!

しかし恵理さん、めちゃめちゃ忙しそうですね。
「営業のほか植物園のアドバイザーや講師、展示会の準備、時には通訳まで・・・。(恵里さんはアメリカ、イギリスに留学経験あり)。ほとんど便利屋になってるね(笑)」

でもそんな忙しさも小森谷ナーセリーの品種を世にどんどんPRしたいから。そんな多忙な恵里さんをこれからも大田花きはしっかりサポートしていきます!

小森谷ナーセリーの格言

・「花より美しい、花を。」目指す育種
・ワールドワイド&豊富な品目・品種のコレクション
・徹底した整理整頓!

お花屋さんたちへ一言・・・

・品目たくさん出します!多様な魅力を感じて下さい。

おまけ:恐るべし小森谷氏コレクションの数々

圃場の周りには囲むようにぐるっと何十本ものモクレンが植えられています。

小森谷さん曰く「これ全部種類が違うのよ。30年前にニュージーランドから取り寄せたんだよ。」
しかしこれで驚いてはいけません!温室の間にはステキなコニファーガーデンが。
「このドワーフコニファーもコレクションだよ。」
ひぇぇ!これもですか!しかも一本一本にしっかり品目・品種名・学名がしっかりと
ラベリングされています。「A?Zまで集めたかったけど、A?Cであきらめた。
なにしろン百万円もかかったから。」
ええっ!コニファーにン百万円て!(しかもサラッと・・・)
「ただの趣味よ?。父の道楽道楽。」道楽ですか・・・。
おカネを使うなら、こうやってババンと威勢良く使いたいもんですな・・・。

小森谷ナーセリーから出荷されている花たち

アマリリス、スイセン、ネリネ、ダイヤモンドリリー、ラナケリア、アンスリウム・・・などなど多種多様! 新品目・品種も続々導入予定です。お楽しみに!
アマリリスの品種一覧表(ほんの一部です) クリック!
(文責 よしだゆきえ)

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