2006年10月 3日
Vol.23 岐阜県 セントラルローズ
岐阜県といえば、長良川の鵜飼・・・
岐阜県といえば、超高級品の富有柿・・・
(既に特大の柿がたわわに実っていました!)
岐阜県といえば・・・
次が出てこなかったそこのあなた!
岐阜県といえば、花き業界で言わずと知れた大産地!
特に鉢物に関しては、全国の有名産地が多数存在する
日本の代表的な県なのです!!
周りは小鳥のさえずりと虫の声が響く田園地帯
今回お邪魔したのは、岐阜市の西隣の本巣市にある
セントラルローズさんです。
農場の総面積はなんと7,000坪
従業員数35名、何を作っているかと言うと・・・
その名の通りバラです。
しかもポットのミニバラ。
セントラルローズさんの何が素晴らしいかって、
私のようなぺーぺーレポーターに、
社長自らお時間を割いて御案内くださったこと・・・<感謝、感激!>
セントラルローズ社長の大西隆氏です。
寛大な大西社長のこだわりは、農場全体のオートメーション化による
省力化&コスト削減!
そう、セントラルローズさんは生産の機械化をいち早く日本に導入した
リーディングカンパニー的存在なのです!
オランダから自ら導入した数々の機械により、
農場のオートメーション化が実現、ミニバラの大量生産に成功したのです
まずポットに土を入れていくところから早速機械なんです!
・・・と言っても、本日は機械の休息日。
取材日には年末用のバラを作るために、いつもより少し大きめなポットに
手作業で土を入れていました。
はい、そこで問題です。
この土はどこの土だと思いますか?
? 太平洋の深海の土
? リトアニアの土
? 大西社長のお宅の庭の土
答えは?。リトアニアから輸入しているのです。
この土はピートモスといってミズゴケが腐植したものです。
毛足がしっかりしているため、水持ちがよく、鉢のミニバラには
最適なのです。
リトアニアってどこか分かりますか?
ヒント:バルト三国のうちのひとつですよ。
↓分からない方はこちらですかさずチェック!
ちなみにバルト三国はラトビア・リトアニア・エストニア。
相撲で有名な把留都(バルト、本名オットー・ガイド)力士はエストニア出身です。
そんな話は置いといて・・・
機械で土を入れるのは、直径10センチほどのポットです。
それから1つのポットにバラの苗木を4本挿します。
その苗木はこんなに小さいのです↓!
ミニバラの苗木は、やっぱりミニだった
4本の挿し木をしたそのポットにビニールシートをかけ、湿度を保ち発根を促します。
2週間して出てきた可愛いらしい新芽たち・・・
新芽が出てきたら、ビニールを取り2週間、こんなに青々と大きくなりました!
潅水は真夏など暑い日は30分に1回、タイマーでセットされていて、自動的に
霧状の水が噴射されるようになっています。
冬場などは、天候に応じて潅水しないときもあります。
この潅水マシン(←勝手に命名)は広いハウス内を巨大な電話線のようなロープで
ぐぃ?んと伸びていき、一面に噴水できるようになっています。
ちょうどいいタイミングで潅水マシンが始動!!
セントラルローズさんのうら若き姫たちは、すくすくと育ち、
あっという間に青々とした葉を付けていきます。
ちなみにこちらは電照器具。
冬場など、日照時間の短いときや、
曇天が続き日照不足を解消するときなどに使用します。
この生長のステージと共に苗をハウスからハウスへ移動します。
どのように移動するかというと、そこがまたセントラルローズさんの素晴らしい
ところで・・・「大西社長、秘密を公開してもよろしいでしょうか?」
「どうぞ」と言っていただいた気がしたので、公開致しましょう。
移動の秘密は“ムービング・ベンチ”です!
つまり動くベンチ。
ベンチとは、苗を入れている大きなトレーのことで、生長に合わせ
このトレーごとハウスからハウスへ移動させるのです。この作業の
省力化を実現したのがムービング・ベンチというオランダから導入した
システムです。農場内の導線に合わせてレールが敷かれていて、
トレーが簡単に移動できるようになっているのです。
「人が動くのではなく、物が動くシステムに改良しました」と大西社長。
5週間くらいしたころに、このもじゃもじゃと伸びてきた葉を一度剪定します。
女の子の髪の毛と同じで、可愛くカットすることによって、見栄えも可愛く、
仕立てよくなるわけですね
でも、その道具はなんとバリカン!
↓こんな感じです。これもオートメーション化の一つです。
バリカン後→
バリカン後、いえいえ、美しくカッティングされた後、
挿し木からトータルで12週間で美しく成長し
出荷準備体制が整います!
(い?な?。12週間で嫁入り準備完了か・・・うらやまち?!)
こちら↓が嫁入りの衣装を着せられている様子です。
これももちろん機械で!
ベルトに載せられ、エアブラシでホコリなどを掃い、
カッターでシャキンシャキン!と足元が美しく見えるように
剪定し・・・この辺も嫁入り直前の女性と一緒ですね。
まるでブライダルエステのようだわ。やったことないけど。
出荷を目前にするセントラルローズのお姫様たち・・・
「自分の娘達が誰に買われて、いま元気にしているのかなと
思うことがあるよ」と大西社長。
第1農場で作られるバラは全体の4割。
農場はここだけではなく、第2、第3、第4農場と続きます。
第4農場ではガーデンローズを栽培しています。
この見事な美しさ!
ここに近づくと、バラ独特の良い香りがします。
そして、ここでも徹底したオートメーション化!
↓ムービング・ベンチ登場!
この種々の咲き乱れるガーデンローズの中でも、
大西社長のお気に入りは、「ピンクノーム」!
選択のキーワードは“CARE FREE”(ケア・フリー=手間要らず)
消費者のために手間が余りかからない品種を追い求め、
少しでもバラを普及させたいという思いからアメリカで出会ったのが
このピンクノームだったとか。
手間がかからない上に、小花がたくさん付いて可愛らしいところが
大西社長の心を掴んだようです。
また、ローズヒップ(バラの実)まで楽しめ、「ローズヒップで実を結ぶ」という
縁起物でもあるそうです。
更には薬を殆ど使わなくても、花も葉もたくさん付けてくれるので、
MPS(※)を推進する大西社長にとっては、本当に真価を認めるべき
品種だったというわけですね。
「これも花き業界全体を底上げするため」と。
花を愛する優しい大西社長に気に入られたピンクノームちゃんは
幸せ者よね?
※MPS:「花き産業総合認証プログラム」のこと。
詳しくはこちら→http://www.mps-jfma.net/
PAPASの白いシャツが良くお似合いの大西社長。
ミニバラを手掛けたきっかけは、オランダやフランスを視察したときに、
現地でミニバラを見て感動し、「日本でやろう!」と思ったことだそうです。
それ以来、先述に紹介したようなシステムを確立するのに10年かかったとのこと。
ご自身の商品のことを考えるだけでなく、
「業界の底上げなしに、消費拡大はありえない!」
と視野を広くお持ちになり、業界全体のことを常に考えていらっしゃる方です。
ピンクノームちゃんがお気に入りでいらっしゃることが分かる通り、
大西社長は、
「消費者のニーズに合わせて生産したい!
自動車に1,000ccから4,000ccクラスがあるように、バラも多種多様のものを
試行錯誤しながら作っていきたい!」と熱い思いを語ってくださいました。
また、「バラは石油製品。この原油高の時代に石油製品を生産し続ける
ことは至難の業です。このまま自然の流れに逆らったことをやっていては、
いつか行き詰まってしまう」と、現在の問題点も認識されていました。
大西社長は業界全体のことを考えていらっしゃるだけに、
ミニバラだけでなく、切花も含めて様々なアイテムの仕掛け人に
なっていらっしゃるんですよ!
ご趣味は旅行やトレッキングだそうですが
最近は国内外と問わず続く出張、や日々の業務で
なかなか趣味に費やす時間が取れないとか。
ご家族はなんと4世代に亘って同居されているそうです。
大西社長のお父様から、ご子息、またそのそのご子息までの4世代!
お孫さんのお話をされていたときの大西社長の優しいお顔が
なんとも印象的でした!
?そんな大西社長から、消費者の皆さんへメッセージ?
花をもっと楽しんで、素晴らしさを再認識してほしいですね。
食べ物はお腹がいっぱいになると食べられなくなってしまいますが、
花はいくら楽しんでも限りはないでしょ。
心の胃袋はいくら食べても壊れないんですよ。
心を花で満たして欲しい。
“花ってすごくいいよ”って分かって欲しいですね。
?花き業界の皆さんへメッセージ?
ガーデニングブームで客寄せに使った商材を、
楽しみ方のアドバイスもせぬまま量販してしまったために、
今そのツケが回ってきています。
花の使い方や楽しみ方を消費者に理解してもらっていないこと
も、消費が離れていってしまった理由の一つでしょう。
園芸では今後何年かかってこの消費を取り戻せるか、
努力のしどころです。
↑大西社長とご長男の裕(ゆたか)さん(取締役)。
裕さん曰く、「末端のお客様との接点がないことが問題。
一番大切なのは消費者だから、もっと消費者と接点を持って
やっていきたい」と。
なんとご次男はデンマークで修行中とのこと。
今年、4年間の留学を終えて帰国されるので、
ご家族も心待ちにしていらっしゃるご様子でした。
セントラルローズさんは頼もしいお2人の後継者を持つ
今後の発展が非常に楽しみなバラ農場なのでした
セントラルローズ・大西社長の格言!
・消費者を第一に考えたケア・フリー品種を世に送り込むべし
・消費者のニーズに合わせ、多種多様の品種を栽培すべし
・業界の底上げなしに、消費拡大はありえない!視野を広く持って業界のことを考えるべし
セントラルローズさんのホームページはこちら
http://www.centralrose.co.jp/index.html
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●おまけ●
岐阜は鉢物の大産地なだけに、大きな生産者組合があります。
“岐阜花き流通センター”という組合で、岐阜で作られた鉢物の
流通拠点になっています。組合員数は約160名。
岐阜各地で作られた鉢物が一度ここに集められ、北は北海道から
南は鹿児島まで全国に発送されていく、いわば集出荷所なのです。
中は広々、各地へ発送される荷物が準備されています。
台車は市場ごとに分かれていて、台車に取り付けられた黒板にチョークで市場名が
記載されています。
ならば大田花き行きもあるはずでは?
あった・・・(*^-^*)
レポーターのささやかな喜びでした
大西社長もかつては6年間この組合の代表理事組合長をお務めだったご経験があります。
主に若い世代に支えられているので、50歳を迎えられたときに自ら退任されたそうです。
その当時は組合員も180名を越える最盛期!大西社長、お疲れ様でございました。
この岐阜花き流通センターを経由して、大田花きに届いたセントラルローズのお姫様たちは
こちら↓
きれいなエメラルドグリーンのラッピングペーパー(嫁入り衣装)が目立つので、
広い市場の中でもどこにあるかすぐ分かります。
「自分の娘達がどこに嫁いでいるのか分からない・・・」とおっしゃっていた大西社長ですが、
この日は新宿や品川、杉並を始めとする首都圏の有名な花屋さんに買われていかれましたよ♪
皆さんも、花屋さんでこのマーク↓を見かけたら、岐阜のセントラルローズさんで
大切に育てられたミニバラなのね( ^ー゜)bと思い出してくださいませ。
・・・おまけが長かったけど、おわり・・・
写真・文責:ikuko naito@R&D
2005年12月 9日
Vol 10. 茨城県 涸沼(ひぬま)ランドグループ
今回のウンチク隊は当室タケマサ兄さんと共に、大物揃いの鉢物生産者グループ「涸沼(ひぬま)ランドグループ」へ突撃!
早いものでもう今年もあと1ヶ月切ってしまいましたが、取材時にはポインセチア、シクラメンなど、クリスマス商戦に出撃体制の鉢花たちが圃場にひしめいていました。クリスマスシーズンには必須の鉢花たちですね。
←この箱が涸沼ランドの目印です
温度の魔術師
さて、こちらは市村花卉園の市村正義さんのハウスです。見事にハウス全体が赤と緑のクリスマス一色!
↑これは「イチバン」という品種。これぞポインセチアの王道!の形ですね。
「イチバンはあばれるから作りづらいんだよ?。」
今の時期のポインセチアは見事に完成形ですが、初めはどんな形なんですか?
「6?7月に苗が来るんだよ。5cmくらいかな。」
そんなちっちゃいものが半年でこんなに大きくなるんですね。
「5cmくらいーにカットした挿し芽をオアシスに挿して発根させた苗を買ってひとつひとつ植えるんだよ。生産者によっては発根していない挿し芽をそのまま使う人もいる。」
「ポインセチアは全てがしっかりパテント管理されている唯一の植物じゃないかな。」とタケマサ兄さん。
←こちらは佐藤又ヱ門さんの「ウィンターローズ」。苞がバラの形をしています。
ポインセチアもいろいろな品種がありますね!
毎年鉢花も切花同様、毎年新品種がたくさん出ます。いろいろな苞の色・形があって一昔前に比べてポインセチアもほんとにバリエーション豊かになりましたね。
それでも、パテント管理がしっかりなされていて、ラベルやシールがしっかりついているので、お客さんに「この品種何?」ってなことが少ないのがポインセチアなんです。
ところで同じ品種でも個体差ってありますよね。涸沼ランドの「イチバン」って、他のところより苞(ほう)が大きいような気がするんですが?
「単純に苞(ほう)を大きくするにはハウスの温度を上げればいい。」
へ?そうなんですか!温度で大きさを調整するなんて初めて聞きました。
「大きくするには22℃くらいかな。ただし、温度が高いと苞が傷みやすくなるけどね。」
うーん、キズがついたら商品としては致命傷ですしね。なかなか調整が難しそうですね。
「普通は18℃。これが一番いい。タイミングもあるよ。仕上げの段階で温度を下げる人、暖房を焚く人と微妙に分かれる。これは生産者の好みもあるねー。」
こりゃ?温度の魔術師ですね。
鉢花は切花と違って出荷時の姿がそのまま商品として最終消費者に届くというある種の恐ろしさ(?)があります。
ということは、生産者にとって仕立てが一番腕の見せどころ!ですね。
「植物は完成の形が明確にイメージしながら育てないと結果もきちんと出てこないね。」
おおお、名言ですね。
しかし?、イメージといっても…難しいですねぇ。好みだけで作っても、お客さんに支持されなければいけないわけですしね。
「仕立てにも、はやりすたりがあるよ。少し前は、赤い苞(ほう)が緑の葉が隠れるくらい大きいのが主流だったな。」と兄さん。
「今は赤と緑のバランスがいいものが売れるみたいだねぇ。」と市村さん。
ちなみに下の写真は佐藤又エ門さんのポインセチア。又エ門さんのは苞を大きめの仕立てになっております。同じ涸沼ランドでもそれぞれの個性とこだわりを大切にして出荷しています。
↑こちらも立派な佐藤さんのポインセチア。右は又ヱ門さんです。
矮化剤の技
温度管理と並んで、ポインセチアの仕立てで重要なことは、矮化剤(わいかざい・丈を調整するお薬)とピンチ(切り戻し)のタイミングもあります。
「矮化(わいか)剤の使用方法は2種類あるんだよ。」
単純にかけりゃいいってもんじゃないんですね(←大雑把者)。
簡単にまとめますと、
・土壌灌中(かんちゅう)法・・・土の中に注ぐ方法
・葉茎散布法・・・葉っぱにかける方法
の2種類があるそうです。
土壌灌中法は、根っこから薬剤を吸い上げるので、株全体に効果が広がり、形が全体的に丸くなるそうです。
葉茎散布法は、上から水をかける要領で葉っぱにかけるため、薬剤がかからなかった奥にある葉や新しく伸びてきた芽が伸びてきて、株の形がフラットな感じになるそうです。
ちなみに市村さんは灌中法を使っていらっしゃいます。
↓矮化剤を使わなかった例 ↓矮化剤を使った例
(ホームセンターでも矮化剤を売っていますが、使い方はプロでも難しいので、2年目以降は自然なポインセチアの草姿を楽しむようお勧めします。
一応「グリーンアドバイザー」取得しているよしだより)
矮化剤やピンチは量や時期を間違うと、ポインセチアのように商期が限られてくる商品は致命傷ですね。
「だから矮化剤の時期や量はデータをきちんととって毎年同じように作っている。もちろん、品種によって違ってくるし、毎年の天候にも左右されるからいつもうまくいくとは限らないけどね。」
鉢と鉢の間のとりかたも生産者によって違うそう。
「光が鉢全体に充分に当たっているものは横の葉が垂直に近い形に垂れているよ。」
ナルホド。
スリーブがついていると分からないですが、店頭で見る場合はぜひお確かめ下さい!
ちょっと一息・・・
赤い写真ばっかりで目が疲れた方はこちらでお休め下さい♪
↑「これはレモンスノー。この品種は売れるけど作りづらいんだよ?。根っこが弱くて暑さに弱いし育ちも遅い。」
いや?大変ですね、って箱をよく見たら「豊明」さん行きじゃないですかぁぁ?(泣)
市場に入社してまだまだ駆け出しのワタクシですが、それにしても鉢花って切花とまた違う見立ての難しさがありますよね。
「うちの息子も言うんだけどね、こっちの鉢と自分ちの鉢の値段の違いはなんなんだろう、ってね。」と市村さん。
「みんなどこの生産者のも見た目はよくなっているから一見では違いが分からないだろうね。
鉢花の値段の差は使いやすさの差。スリーブをとってみて、売ってみて、花屋さんでも初めて分かる。お客さんのところに行って保ちの差、これが品質の差、値段の差になる。」
鉢花は切花と違って店頭に置かれる時期も長いですし、もちろんお客さんのところでも長く楽しんでもらう商品です。一瞬の見た目で終わらない、保ちの差が長年の信頼につながるんですね。
地域ごとに一つ一つ
さて、こちらは長谷川さんのハウスです。
こちらもシクラメンの出荷で大忙しのところをお邪魔しました。
シクラメンは一鉢一鉢丁寧にとり、出荷準備です。OH気の遠くなる作業・・・
「市場によって仕立てが違うのをいれているよ。たとえばかっちりとした形を好む市場、すこし長いのがよく売れる市場にはそういう仕立てのを入れる・・・とかね。」
花って地方、地域によって好みが違いますものね。ひとつひとつ把握して対応していただきありがとうございます!
涸沼ランドグループのはじまり
「はじまりはアジサイから。
鉢花は群馬の優秀な人が主流だったんだよな。自分達は後発組でよく真似をしたんだよ。でも、技術的にも向こうはどんどん先を行くし、こっちは追いつこうとがんばるんだけど、後発だから群馬と同じ形にはならないし、かなわない。」
ナルホド、そんな悩みがあったんですね。
「逆に愛知の渥美は手ごろでいいものを作ってるよね。そことターゲットがかぶってしまっても負けると思ったんだよね。『自分達はどうしたらいい?生き残るにはどの道を選択したらいい?』と模索した。相当飲みながら、ラーメン食べながら夜中過ぎまで語り合ってたね。あの頃は。たくさん語ってマトモに早く帰ったことがないね?。」
おおおぉ、アツいですね!!!
「で、考えたのがどうせつくるなら『目立つもの、豪華なもの』を作ろう、と。
そう思っている時期に『隅田の花火』という品種が出たんだよ。
これは作りづらい品種なんだけども、又エ門さんが今までの「隅田」とは違う仕立てのものを作った。『こんなにきれいなつくりは全然別物だ』、と言われたんだな。目立ったわけだ。
ここで作り方と目指すターゲットがぴったりはまった、それが最初のきっかけ。」
涸沼ランドのルーツはそこから考えに考え抜いた戦略と技術から成り立っているんですね。
「うちらのアジサイで『あそこまでやる必要はないんじゃないの??』という人もいるけど。今まで5F(一鉢に5つの花がつく)だったものが同じ鉢サイズで8?10Fで豪華に作ったからな。同業者では半分あきれてる人もいっぺなぁ。」
で、ポインセチアはというと、メンバーの中で一番長いのは市村さんだそうです。市村さんは3年シクラメン作ってそれからポインセチアの道へ。
「市村さん:ポインセチアは作りにくくてしかも400円くらいしかしない、という認識の中、無心にシクラメンの作り方で作ったらうまく形になった。それが17?18年前の話だね。」
涸沼ランドグループの柱であるアジサイは今はハウスの中です
ちなみにこんな寒い中でもアジサイは花芽ができているんですよ!
「霜にあたったら一発で終わり。」花芽が固まらないうちだからやられてしまう。」と二重トンネルでしっかり防御です。来年が楽しみ♪
筆者の驕り!?
おっ、と市村さんのハウスで目にとまったこちらのポインセチア、かわいい?!
「これは今年のうちの自信作だよ。」と市村さん。
ホホホ、ウンチク隊の回を重ねるにつけ私の目も肥えてきましたかな?(自信)
←市村さん今年の自信作「カルーセルピンク」
おまけ
「涸沼ランドグループ」の「涸沼」は実際にある沼の名前です。水戸市から南東約10kmの位置にあります。
「沼」といってもだいぶ広く(面積約9.4平方?)、海水と淡水が混ざったいわゆる「汽水湖」です。汽水湖で有名な島根県の宍道(しんじ)湖はシジミが有名ですが、今の時期の涸沼もなんと寒シジミが有名だとか!!しかも絶品とのウワサですぞ?。(今回は時間がなくて立ち寄れませんでしたが…)
また、釣り場、冬はバードウォッチングの場所としてもお勧めだそうです。新種のトンボ「ヒヌマイトトンボ」もいるロマンあふれる涸沼。
ドライブの目的地にぜひどうぞ!
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