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2008年6月23日

vol.62 JA北空知広域連

ウンチク探検隊、2度目の北海道上陸!

今回やってきたのは北海道の深川に生産拠点を構える

「JA北空知広域連 北育ち元気村花き生産組合」

です。
長い(^_^;)・・・ので、以下「元気村」と呼ばせていただきます♪

深川はどこかというと、ここ。arrow41.jpg

hokkaiMAP.JPG


上から見るとこんな感じです。
DSC08935.jpg

この広大な大地を生かして花を作る元気村は、なんと
300を超える生産者さんから成る
大きな組合。
その組合をまとめるのが、北海道の千葉真一こと竹内常雄組合長flower02.jpg

DSC08831.jpg

2008年1月から組合長に就任されました。信頼厚く、頼れる組合長です。

前置きはこれくらいにして、早速VTRを見ちゃいましょう!!
☆ひとつだけ・・・
VTRの中で、皆さんスターチスのことを「シヌアータ」と言っていますが、全て「スターチス」のことです。
学名をスターチス シヌアツム(Statice sinuatum)とかリモニウム シヌアータム(Limonium sinuatum)などというため、地域によっては"シヌアータ"と呼んだり、"スターチス"と呼んだり、略して"チース"と呼んだりします。


ではこちらをどうぞ!


次のVTRはあの伝説の人「第2代元気村組合長 村椿 健造(むらつばき けんぞう)さん」の語録集です。
ハウス内は本当にきれい。
日々花を見つめてきた村椿さんならではの花に対する熱い思いや、組合の心意気などを語ってくださいましたback04.jpg


300軒以上の力を集結して大田花きに送り込まれるスターチス出荷量は以下の通り。(2007年実績)

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元気村からは、スターチスをメインとし、広大な土地を生かして夏場の大産地として多岐にわたる品目をご出荷いただいています。

■スターチス
 
アラビアンブルー        ピンクキッス         ミルキーウェイ

arabianblue.JPG pinkkiss.JPG milkyway.JPG


シネンシス
sinensis.JPG


■デルフィニウム
delfi.JPG


■ヒマワリ
helianthus.JPG


■カラー ドリーミィピンク
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■ダリア 黒蝶など
kokucho.JPG


■テマリソウ
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■アナベル
anabel.JPG


■リンドウ
rindo.JPG


■スズバラ
suzubara.JPG

ちなみに実がなる前のバラの枝はこんな感じです。
赤紫でとてもきれいです。
DSC08928.jpg DSC08929.jpg

■ブルースター
bluestar.JPG

 


■カボチャ(ハロウィン用)
halloween.JPG

↓以前大田花きでカボチャの展示会をしたときの様子です。
http://www.otakaki.co.jp/topics/2005/200519/index.html


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ところでみなさん、こちらの写真をご覧ください。
何かお気づきのことはありますか?

DSC08845.jpg

うーーーん、デカイ??


ハズレです(-.-)。

正解は「ハウスとハウスの間隔が広い!」です。

DSC08846.jpg


なぜかというと、除雪した雪を置くためです。life095.jpg

全てのハウスは2.5メートルから3メートルの間隔をとってあり、連続して設置するのは3棟までとなっています。

北海道は降雪量が多いので、冬場はハウスのビニールを取り外します。
  arrow41.jpg
1月20日ころからはひたすら除雪!!
(除雪した雪は3メートルのキープした間隔へホイッ!)
1月、2月は除雪がお仕事になります。
  arrow41.jpg
除雪が一段落したところで、今度はテントをかけます。
  arrow41.jpg
定植!!(3月初旬)
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栽培、出荷
  arrow41.jpg
収穫終了(11?12月)
  arrow41.jpg
ビニールを取る
  arrow41.jpg
積雪・・・

といったサイクルになるわけです。


スターチス部会長の大西さんが
「ここの畑、一町歩貸してあげるよ?」
とオファーしてくださいました。

「へ?、一町歩ってどのくらいですかね?」
と聞いたときに"ここからあの辺りまで"と大西さんが指した面積の広いこと、広いこと!!
(一町歩はおよそ3,000坪≒1ha)

「おいくらですか?」と大西さんにお伺いしたところ、人差し指を立てたので、
「月1万円ですか?、安いですね?」
なんて言ったら、なんと
「月じゃないよ。年間1万円でどう??

だーーーーー!なんと!?(゜◇゜;)

瞬間的に月何万円も支払っているマッチ箱のような東京の我が家を回想してしまいました。
世の中、そんなもんですね。


ここで、もうひとつ元気村にとって大切なことをご紹介しましょう。
それは「若手の育成」です。
wakatekenshufukei.jpg

元気村では、このように若手の勉強の機会を設け、未来を担う若手を積極的に育てています。
勉強会では市場見学や都内の小売店巡りなどをされています。
これで元気村の将来も安泰!!


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さて、ここでVTRの中に出てきた、不思議な三角形についてご説明しましょう。

8855.jpg DSC08851.jpg

↑これです、これ。

これは「稲架木(はさぎ)」という木です。
冬場、小さい木や稲などの植物を雪害から守るために三角形に組まれて使います。
今は雪が降らないので、取り外して暫定的にこのように置いているわけです。
もともと、はさぎは水田のはさがけの作業に使っていたもので、米所として有名なこの深川の地域では、農家さんならどこにでもあるもののようです。


もうひとつ、北海道の不思議をご紹介。
写真の真ん中にたくさん並ぶ矢印・・・なんだと思いますか?

DSC08859.jpg

「この下に大金眠る。掘ってみよ。」のマーク!??


ハズレです(-.-)。

路肩を標すものです
道路が雪で埋もれて路肩がわからないと事故になりかねないので、矢印で標してあるんです。
その道路にもきちんと標されていました。すばらしい、雪国ならではの工夫!現地の人からしたら、当たり前のことなのかもしれませんね。でも私たちには新鮮に映ります。


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・・・JA北空知広域連 
北育ち元気村花き生産組合の格言・・・green37.jpg


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clover01.jpg量は力!北の広大な大地と組合の組織力を生かして、数を取るべし!ブランドも確立できる!!

clover01.jpg栽培で大切なことは土作り。自ら工夫を凝らし、土作りに丹精を込めるべし!そうすれば、連作障害も防止できて、良い株ができる。

clover01.jpg元気村はマーケットニーズに応じて常に挑戦していくべし!
良いと思えば精査の上、すぐにでも取り掛かる。元気村はいつも元気!

clover01.jpg若手を育成すべし。元気村の未来は若手にかかっている!


・・・JA北空知広域連 北育ち元気村花き生産組合のポリシー・・・green37.jpg


arrow24.jpg


clover06.jpg他産地からの圃場見学は快く受け入れるべし!
情報交換もできる。「"見学受け入れ"は人のためならず!」まさに、自身の勉強のために受け入れるのです。
uuum...なんと心も広いこと。


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(第2代元気村組合長の村椿健造さんと、現(第4代)組合長の竹内常雄さんsmile10.jpg

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元気村のURLはこちら
arrow54.jpghttp://genkimura.chicappa.jp/

(文責: ないとう いくこ kate.bmp

2008年3月12日

vol.51 和歌山県 JA紀州中央 スターチス

皆さん、ニュースです!!


記念すべき第51回、我らが産地ウンチク探検隊はなんと和歌山初上陸です!!hakushu.gifcongratulations.bmp


和歌山と和歌山ファンの皆様、大変お待たせいたしました。

これが和歌山県です!!kirakira.bmp

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じゃじゃ?ん!

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・・・あれ?
ただの空ではないか。カメラさん、もっと下です下!
(って、「カメラさん」はあたしやな。すみません。)











改めまして、これが和歌山です!

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和歌山城です。
今でこそ天守閣はありませんが、その荘厳な構えや全体の大きさは圧巻。いかに往年の天守閣が立派だったかを思わせる迫力です。


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海が近いせいか、なんとも美しく城の入り口の端の手すりにカモメが整列してお出迎え。

足元にはエサを突付くハトちゃんたちが戯れています。



そんな入口を左に見ながら、和歌山城のお堀をひと回り・・・







ん?
ちょっと待って。
何、あれ??
 ↓
  ↓
   ↓
    ↓
     ↓
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あの奇妙な物体は一体何?
和歌山城を囲む高い木の枝先に怪しい黒い陰をなしているあの物体は???


地上の巨大マリモ?群れを成した昆虫か鳥がじっとしているのか、それとも大気中のクズが磁石のように集められて、あの木に付着しているのか、はたまた和歌山城の守り神か・・・?



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よもや・・・

なんとヤドリギではないか!?しかも相当巨大!mark_surprise.gif




こんな巨大なヤドリギを生で見たことない!


うぉーーーーーー!恐ろしいほどモコモコ付いている!

ヤドリギフリークの探検隊としては、この先に起こりうるHAPPYな出来事を感じずにはいられませんね。うふ♪
(ヤドリギの特集こちら→http://www.otakaki.co.jp/development/recommendation/yadorigi.html

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では皆さんは既に和歌山のことは良くご存知かと思いますが、ここでもう一度復習いたしましょう。
japanmap.jpg




←とても大切な位置についてですが、言うまでもなく和歌山県はこの赤い部分です。


black.jpg

←そして、皆さん、どうぞこの和歌山の形を覚えておいてください。

今、はやりのTVクイズ番組などで、ポンッ!とこんな形で出題されても、「和歌山県!」と自信と優越感たっぷりに言えるようにしておいてくださいね!
(日本で唯一の飛び領があるのも特徴の一つです。)



ハイ、では和歌山県の位置と形がインプットできたところで、和歌山の有名どころもきちんと抑えておきましょう。


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日本の喜望峰こと本州最南端の潮岬、泣く子も黙る世界遺産に登録された熊野の地、神々が静まる熊野と高野山の参詣道、日本三大美人の湯の一つに名を連ねる龍神温泉hotsp.bmp(ホントにツルッツルkirakira.bmpになるらしい)、日本で最も荘厳で美しいとされる滝の一つである那智の滝、透き通るような白いビーチ白浜、みんな知ってる紀州梅の名産地南部梅林、紀州みかんで有名な有田市、お隣大阪府に限りなく近い県庁所在地和歌山市。和歌山城もここにあります。


前置きが長くなりましたが^^;、今回お邪魔したJA紀州中央のスターチスの生産地は赤丸がしてある御坊(ごぼう)市です!

御坊市はもともと本願寺の御坊があることから名付けられました。


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JA紀州中央は和歌山県内に11の農協がある中で、花の取り扱いでは県下最大の農協です。主な出荷品目はスターチス、カスミソウ、デルフィニウム、ガーベラ、スイートピー、ササユリ、ダリアなどなど他品目に亘ります。

今回はJA紀州中央のスターチスに着目し、取材してまいりました。

なんでスターチスかって??

はい、ご説明いたしましょう!(^-^)(自信たっぷり)

なぜならそれは、JA紀州中央のスターチスは全国シェア第1位だからです。!!hakushu.gif

冬場は全国シェア8割近くを占める産地には、きっと何か秘密があるのではないか、世界遺産のある和歌山だけに、なにか凄い秘密が隠れているのではないかと思い、引き寄せられるようにやってきたわけです。ハイ。


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さて、テレビならここでコマーシャルに入るくらいのタイミングですが、少しここでスターチスについてご説明いたしましょう( ^ー゜)b

★ スターチスの別名で“リモニウム”って聞いたことありますか?

聞いたことがある人は「なんでそんなに横文字でいくつも名前があんねん??(もちろん関西弁)」と思った方がいらっしゃるかもしれませんね。

その謎を解いて差し上げましょう。

スターチスとは古い学名Statice sinuatum(スターチス シヌアータ)といい、このことから英名では単にスターチスとかシーラベンダー(sea lavender;海のラベンダー)といったりします。イソマツ科で今は学名をLimonium sinuatum(リモニウム シヌアータ)といいます。
まだスターチスという名前の方が一般的ですが、徐々にリモニウムと呼ぶ人も増えています。



★ スターチスの花はどうやって咲く??
それではここでは本来スターチスはどのような一生を送るのか、ダイジェストでご説明しましょう。


夏?秋 種子が発芽して株になる(花は咲かない)shooting.bmp

冬 冬の寒さを経験する 株はじっとしている

春 開花!flower.bmp

夏 種子ができて土に落ちる



★ 春開花??冬もスターチスを見るけど、どうして??
開花時期を人工的に調整するからです。スターチスの中でもシヌアータというのは開花を調整しやすい種類です。
発芽した種子を苗までの時に、冷蔵庫に入れ、「うぉ!寒い、冬だ!snowman.bmp」とスターチスちゃんに思い込ませます。

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←種子冷蔵/苗冷蔵(2-4℃)








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冷蔵庫から出したら今度はクーラー室に入れて育苗、早春の環境を作ります。(10-25℃)



 ↓

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クーラー室から出したら徐々に加温していき、高温・長日の環境にします。




・・・すると、“あ、春だ!”と勘違いしたスターチスちゃんたちが、冬期でも見事に咲いてくれるわけです。うふ♪(作戦成功)







その結果、JA紀州中央から大田花きへのスターチスの出荷量推移はこんな感じ推移していきます。

quantitychg.jpg


10月に出荷スタート、3、4月に出荷の最盛期を迎え、6月にそのシーズンの出荷を終了します。



★ スターチスはなぜ驚異的な花保ちの長さ?
スターチスがよくドライフラワーにも使われるように、“花保ちがいいわね?”と感心されているあなたへ♪
ここで秘密を教えちゃいます!

あの色が付いている歯ブラシのような部分は花ではありません!


じゃあ何よ(-.-)

↓まあまあ、こちらをご覧ください。

petal.jpg
一見花のように見える部分は実はガクになります。なんと中の白い部分がスターチスの
この花の部分がちょこんとあるから全体のワンポイントとなってかわいらしいですね。


この小さくて白い花はぴょこぴょこと出てきてはしぼみ、出てきてはしぼみを繰り返しています。
・・・まるでワニワニパニックのようだわ?ん。





★ スターチスって葉っぱあるの?
あります!れっきとした植物ですから。
↓あとの方でご紹介しますので、出てくるまでチャンネルはそのまま!hand.bmp


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さて!お待たせいたしました。スターチスのことがだいたい理解できたところで、早速生産者さんを訪問してみましょう。


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キラキラと輝く太平洋沿岸、ほんとに海際で、多くの施設を利用して花栽培をしています。

さすが英名でシーラベンダーと言われるだけのことはありますね。





このハウス群、よく見ると形がいくつかのパターンに分かれていることに気付きましたか?

houses.jpg

屋根が丸いのと三角のと、全体的に少し黒っぽい丸屋根のもの・・・。はて、何が違うのかquestionmark.bmp

少し黒っぽい丸屋根のものが従来のパイプハウス、三角形のが鉄骨のハウス、そして白い方の丸屋根が・・・はい、ここでキーワード出ますよ( ^―゜)b・・・「低コスト耐候性施設」です。

過去20年間で台風の上陸回数トップ3にランクインする和歌山は、ただでさえ年間の台風の被害が多いのに、これだけ沿岸にあると、台風の影響をもろに受け、被害甚大、台風が来るたびに気が気でないわけです。

そこで通常のパイプハウスから、丈夫な鉄骨ハウスに替えていったわけですが、鉄も値上がりした昨今、通常の鉄骨より使っている鉄の量が少ない「低コスト耐候性施設」を導入したのです。

なんとこのハウス、風速50メートルまで耐えることができるのです。すごい!!
・・・って、この風速の目安、ピンときますか?ピンと来なかった方はご参考までにこちらをご覧ください。


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中心の最大風速が17.2m以上のものを台風と定義しているようで、風速50m以上のものは「非常に強い台風」を通り越し、「猛烈な台風」となるようです。ま、ちょっとやそっとの甘っちょろい台風が襲ってきた来たくらいでは、JA紀州中央の皆様は、左団扇で鼻歌を歌っていられるようになったわけですね・・・なんと画期的!

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このようなハウスを導入しつつ、JA紀州中央を通してスターチスを出荷するのはなんと約120軒!
今回訪問したのは、育種家の佐藤さんと部会長の寺下さんの2軒です。あとの約118軒の皆様ごめんなさい(汗)。3軒目にお伺いしようとしたら、飛行機に乗る時間になってしまいました。cry.bmp


言い訳はさておき、1軒目は自称紀州太郎こと、佐藤公彦さん。

何を隠そう佐藤さんはスターチスの「紀州スター」と「紀州パープル」を育種して、本当に紀州のスターになった伝説の人です☆
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なんと爽やか!


紀州のスター佐藤さん、こんにちは!

スターチスの「紀州スター」と「紀州パープル」はどのように生まれたのですか


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佐藤さん:「ソピアから培養をかけたらいいのが出てきてね、これが紀州スターなんだけど、5年ほどしたらみんなが植えてみようということになって、そうしている間に7年目になったらもう少しパープルの濃い突然変異が生まれてきたんだ。それが紀州パープルで、3年かけて固定したんだよ。」



←手前はJA紀州中央の福井卓さんです。




紀州パープルのいいところはどんなところですか?

佐藤さん:「一つは樹勢が強いこと、二つ目は枝ぶりがすっとしているので、作業効率が良いということ。枝が暴れてがさがさしていると、採花して、まとめて、数えて、箱に詰めて・・・作業するのが大変でしょ。生産者が取り扱うのが大変ということは、お花屋さんにとっても大変ということだからね。三つ目はなんと言ってもブラシの部分が大きくて整っていることだね。」

DSC07243.jpg
←噂の紀州パープル。・・・ってもう噂どころではなく、実は大ブレイクです。
ブラシの部分が大きく、ガクの並びが整っています。





紀州太郎さん、じゃなかった佐藤公彦さんが秘密の(?)育種ハウスを見せてくださいました。

↓こちらです。
DSC07262.jpg

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中で発見したのは、見慣れぬプラスチックの透明な容器。これは何ですか?






佐藤さん:「これはね、“ビトロ”といって、培養をしたメリクロン会社からこれに入れて納品されるんだよ。」



ビトロの中で発芽してから順化して、プラグ苗の状態で30日育てます。
DSC07265.jpg
その後は2.5寸のポットに植え替えて40日育てます。この育苗期間は気温を25-15℃に保ちます。
夏場は25度以上になることが多いので、遮光とミストで25℃以上にならないように管理します。


この作業をこんな風に↓テーブルを組んで流れ作業でするわけですね。
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ん??
ちょっと待って!突然目に飛び込んできたデザート用フォークと縄跳びのグリップ・・・?
えッ?はッ??なんでquestionmark.bmp

DSC07270.jpg

ここでちょっと休憩に何かを食べようとフォークがあるのは理解できけど、縄跳びのグリップとの関係性を全く見いだせない・・・ちょっと、ちょっと、どーゆーことですか??

佐藤さん:「培養で増やして苗がこのプラグにさしてあるよね。今度は2.5寸ポットに植え替えるときに、このフォークで刺して植え替えるんだよ。
そして2.5寸のポットには、このプラグ苗を移植しやすいように、穴が開いていた方がいいよね。
ま、親指でやってもいいけど、爪の間に土が入って大変だから、ちょうど親指と同じくらいの大きさのこの縄跳びのグリップを使っているだよ。」
RIMG0346.jpg


プラグ苗をフォークで刺す!     2.5寸ポットはグリップで穴開けグリグリ!
DSC07268.jpg DSC07269.JPG


な?るほど!そういうことだったんですね。この育種ハウスにあるもっとも大きな謎が解けました!
まるで名探偵コ●ンになった気分・・・って全部佐藤さんに教えてもらったのですが^_^;


謎が解けて気分も晴れたところで、苗の植え替えデモンストレーションをご覧頂きましょう!
(ウンチク探検隊ザ・ムービー登場です!)
今は植え替えの時期ではないので実物はありませんが、そこに苗があると思ってご覧ください。
きっとあなたには苗が見えるはずです!
クリック!!↓


2.5寸ポットに植え替えて40日間が過ぎ、育苗期間が終わったところで定植します。


はいここでクイズです。スターチスの葉ってご覧になったことありますか?次のうちスターチスの葉はどれでしょう?

?                ?                ?
DSC07252.jpg DSC00091.JPG DSC01000.JPG


バレバレですか(笑)??

そう、正解は?!


この葉からこんな順序で花芽が現れてきて、色付きます。


shoot1.jpg

←花芽が出てきたところ



DSC07285.jpg

←ニョキニョキと長さは出てきましたが、花はまだタワシ状態と色付いた花弁が混在している



DSC07238.JPG

←完成!





出荷が終了した6月には全部株を引っこ抜いて(!)、夏は次期に向けての夏は土作りと育苗に専念します。
既にご説明したとおり、佐藤さんの場合は苗を購入するのではなく、ご自身で育苗されているので、夏場も休みなく働かれているわけですね!
そして10月に定植、6月まで出荷というサイクルを繰り返しているのです。


DSC07244.JPG

佐藤さん:「自分のオリジナル品種で生活できて嬉しいなぁ。ワンシーズン、スターチスが大きな病気もせず、事故なく切れるように日々勉強だよ。状況が毎年変わるからね。



一般消費者の皆さんには、スターチスという名前と花の形が一致してくれるといいね?」




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そして、次にお邪魔したのはJA紀州中央花き花木部会、部会長の寺下和宏さん。
ちょうどお邪魔したときに奥様がご自身より大きいスターチスの束を出荷用に採花されたところでした。

DSC07288.jpg DSC07280.jpg




台風も多いでしょうに、“低コスト耐候性施設”を導入してまで、この辺りで栽培を続ける強みは何ですか?

寺下部会長:「まずこの紀伊半島は南の温暖な地域で、花や作物の栽培には適しているね。
そして、海が一望できるこのあたりは、暖流が流れているため霜も下りないし、冬でも2-3℃は違うんじゃないかな。
そしてね、なんといっても海面に反射した光がハウスに入るから、日射量を必然的に増やすことができるんだよ。昼間それだけ光りを入れているから、ハウス内は夜もそれほど冷え込まないしね。これを湯たんぽ効果って言っているんだけど。・・・いいところでしょ。」
DSC07232.jpg

な?るほど、和歌山の自然環境をうまく利用した適地適作を実現しているわけですね( ^ー゜)b

農業の基本ですが、適地適作で花を作ると無駄なエネルギーを使わずに品質の良い花を出荷することができます。
結果的に環境に優しい農業を実現することにもなっているのです。

 ☆JA紀州中央 スターチス栽培ポイント 三箇条☆

・ 紀伊半島の温暖な地域を利用している

・ 暖流が流れる海が近いため、気温が2?3度高い

・ 海面に反射した光を利用して、日射量を増やしている

恐るべし和歌山、なんというパワースポット。mark_surprise.gif


ん? ちょっと待って!
あれ、何??
ハウスの中の遠くに見える黒い物体・・・あれは一体??
DSC07290.jpg


和歌山に来てから高い空をトンビが悠々と飛んでいるのをよく見かけましたが、よもや寺下部会長もハウス内でトンビを飼っていらっしゃるというのかquestionmark.bmp






いや、どー見てもあれは作り物やろ(関西弁で)。
じゃ、何のために?


寺下部会長:「スズメ対策だよ。下にもみ殻を敷いているだろ。これは湿気で病気が出ないように、ハウス内の湿度を低く保つためなんだけど、このもみ殻を目当てにスズメがよく入ってきちゃうんだよね。それで花をよく突ついていっちゃうんだよ・・・」


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↑この籾殻を狙ってスズメが入って来る!


そのスズメ除けで“なんちゃってトンビ”を吊り下げてあるんですね。
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なるほど、よく見るとちゃんとトンビの形にしてある。
しかも結構プロ仕様な感じ。


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寺下部会長からのメッセージ
「スターチスの国内最大シェアの産地として、安定供給は我々の使命と認識しています。

また、120軒という大所帯のため、生産者によって品質にそれぞれに格差が出ないよう、出荷前に充分検査をしています。
今後も市場と連携を図り、責任供給産地として自覚を持って品質・鮮度を重視し、長期安定供給に努めていきますので、JA紀州中央のスターチスをよろしくお願いします。」


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ここでJA紀州中央のスターチスちゃんたちを紹介いたします。

☆サンデーラベンダー      ☆エターナルピンク        ☆シースルー
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 (シースルーは爽やかな薄紫に黄色い花が胸キュン系♪↑)



☆紀州ファインイエロー      ☆紀州スター         ☆ローズワイン
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 (ローズワインは大人の女性の心を掴む情熱的なローズピンク色♪↑)




☆(そして噂の)サンデーバイオレット
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この重油高の時代、紀州中央においては恵まれた自然環境を味方に付け意気揚々とし、新規の設備投資を積極的に行っています。栽培面積はこの1年でなんと3ヘクタールも増えました。
いまどき原油高もなんのその、自然をうまく利用し右肩上がりに増産を続けているのです。
これも熊野三社の神の思し召しか・・・。

もうそろそろ今回の取材も終わりだろうと思っていらっしゃるそこのあなた!!

実はもうひとつ、我らが“ウンチク探検隊”以外ではあまり語られないであろうJA紀州中央スターチス生産にまつわる大きな秘密があるんです。

でも、本当にここだけの話ですよ!・・( ^ー゜)b

それは「なぜ生産品目がスターチスなのか」ということです。

暖流沿岸の温暖な環境を利用して、以前から花の生産は盛んでしたが、ひと昔前にメインで栽培していたのはエンドウマメでした。

しかし、連作障害回避のため、一旦カスミソウを栽培、またエンドウマメに戻そうとしましたが、「カスミソウの黄金時代!!!kirakira.bmp」が到来したため、そのままカスミソウの栽培を続投しました。

その次にカスミソウに続く別の品目はないかと様々な品目を試した中で、スターチスについては栽培指導員もいたこともあって、生産性や仕上がりが最も良かったのです。
あまり難しい技術もなく、誰でも取り掛かれることから量を確保することもできます。
このような経緯で、JA紀州中央でスターチスをメインとした花栽培が始まったのです。

まさに生産性を重要視するJA紀州中央とその要求を満たしたスターチスとの海辺における運命的な出会い・・・heart.gif

寺下さん:「生産性というのはとても大切なことなんだよ。
親が苦労して苦労して、生活も苦しそうな姿を見たら、二代目はそれを継ごうと思わないでしょ!?
農業に魅力があれば、それだけ後継者も続くわけだからね。」

事実、生産性にこだわり、花栽培に魅力を持たせることにより、JA紀州中央では20?30歳代の若手の後継者が続々と育っています。

彼らはとても勉強熱心で、研修会にも積極的に参加、東京で勉強会があるときには
都心の小売店などを見学していきます。このようにして、和歌山の花き栽培の可能性を常に探求し、自分達の盛り上げていこうと頑張っています!


【JA紀州中央 花き産業の連立方程式!】

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1. 暖流沿岸の温暖な自然環境を味方につける + 自然災害への対策として先手を打つ = 適地適作を実現、良品質商品を大量生産


2.お父さん衆によって固められたしっかりとした地盤 + 若手のやる気や柔軟な発想 = 世代を越えた磐石な生産体制




この連立方程式によって、JA紀州中央スターチス生産は、他には真似できない魅力を保ちつつ、持続可能(サステイナビリティ)な農業を実現しているのです!




◆JA紀州中央スターチス生産の格言hammer.bmp


・ 鉄が値上がりした時代、「低コスト耐候性施設」でコスト削減、
   災害の日にも充分備えて余裕綽々(しゃくしゃく)!

・ 重油が高い時代、適地適作を徹底、“湯たんぽ効果”で環境にやさしい農業を実現!

・ 国内のスターチス責任供給産地として、品質・鮮度を重視し、安定供給に努めるべし!

・ 生産性を重視し、農業を魅力あるものにするべし!そうすれば後継者として若手も続々と育つ!

JA紀州中央のURLはこちら(紀州君が元気をお届けます!)
URL.bmphttp://www.ja-kc.or.jp/

◆ついでに和歌山格言◆

関東から遠いイメージは払拭すべし!

羽田から関西空港まで70分程度。関空から和歌山駅までバスで30分。
実はイージーアクセス!和歌山には世界遺産や日本三大美人の一つである龍神温泉(これまたJA紀州中央管内です!)など魅力スポットの宝庫!もっと気軽に和歌山を楽しむべし!





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探検隊が訪れた日、和歌山は日中の温度が15℃を越える温かい陽気で、風もなく、なんとも快適なTシャツ日和でした。2月といえども、関東ではコートを脱ぎ捨てた頃に見るような草花が足元にいっぱい!梅の花も八分咲きで見頃を迎えていました。

DSC01044.JPG DSC07321.jpg 
 



自然環境を最大限に利用した適地適作のスターチス生産に感動しながら、探検隊は帰路につくべく関西空港に向かうのでした。


(文責: ないとう いくこ kate.bmp


“もっとDEEP和歌山!”へようこそ!


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この御坊というところは、実はあの有名な道成寺があるところなのです。
■道成寺入口      ■清姫のイメージ     ■道成寺の鐘

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ストーリーの詳細はこちら→http://www.dojoji.com/anchin/anchin.html


そして道成寺でも巨大惑星系ヤドリギを発見!mark_surprise.gif

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さすが和歌山、柑橘だらけ?
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そして、鉄道ファンの皆様へ、お待たせいたしました。遂に花き業界も鉄道ファンの皆様の心をくすぐるネタをご提供できるようになりました。

「紀州鉄道」train.bmp・・・ご存知ですか?

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御坊駅の0番線から発着する1両編成の紀州鉄道、御坊市の市街にある西御坊駅から市役所前駅を経由し、市街からちょっと外れた所にあるJR線の御坊駅までを結びます。
営業距離は2.4kmで、日本最短のローカル線で、1日24往復します。・・・つまりおしなべて、1時間に1本ということですね!


外観も車内も昭和の香りがしていい味を出しています。

レトロな車内、板張りの床、今は使われていない運賃箱、機械体操の大車輪を思わせる程、輪の大きい吊革、・・・
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和歌山に来たら、この紀州鉄道を体験しやな(しないと)、和歌山を出たらあかん!
板張りの床を歩いて響く靴の音・・・なんとも趣深いものがあります。


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ところでみなさん、知る人ぞ知る「和歌山ラーメン」を召し上がったことはありますか?ramen.bmp
なぜかここ和歌山では「中華そば」と呼びます。

↓これね、これ!
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とんこつベースでありながら、味はあっさりマイルド系しょうゆ味。
ツルッといってしまうので、病み付きになりそうです(笑)。


そして、もう一つ和歌山の食文化のご紹介。

茶粥(ちゃがゆ)ってご存知ですか?
関東以北ではまず食べたことのないものだと思います。
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茶色いのは、おかゆをお茶で炊くからなのですが、ほうじ茶の馥郁(ふくいく)とした香りがして、おいしいんですよ?。

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私が頂いたときは、付け合せに白子干し(これも和歌山の名産)や金山時味噌、梅干(さすが和歌山!)などが付きました。

ここでぴんときた方は和歌山通!
そうです。金山時味噌は和歌山の特産として、和歌山県推薦優良土産品に指定されているのです。
なぜかという紀州由良の禅師「興国寺」の開祖である法燈台国司が、宋の国の径山寺(きんざんじ)で修行していたときに、食事に出された味噌の味が大変気に入り、修行のかたわら、そのお寺の僧侶に製法を学んで帰国し、紀州の地に広めたからです。修行したお寺にちなんで径山寺味噌(後の金山寺味噌)と名付けました。
この金山時味噌、茶粥ととても相性がいいんですよ?。

そして、いわゆるお茶漬けとは違うこの茶粥はどのようにつくっているのか、知りたい方は映像でご覧ください。茶粥炊きデモンストレーションはこちら↓
ご存知の方はおなじみのあの音楽に載せて?
クリック!↓

そして最後にこの説明してくれはった和歌山美人さんが、親切にも「おうちで作ってごらん」と茶粥パックをくださいました。
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和歌山初上陸記念に、いつもウンチクをご覧頂いている方にプレゼント・・・したいところですが、欲しい方は、是非とも和歌山に足を運んでください。
きっとおいしい茶粥を頂くことができますよ( ^―゜)b

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