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2012年5月27日

第14回国際バラとガーデニングショウ

今年も埼玉県の西武ドームで第14回国際バラとガーデニングショウが開催されました。
メインテーマは 「バラできれいになる」 

今回のみどころは何と言っても人気ブランド「キャス・キッドソン」とのコラボで、グッズ販売も同時に行われました。

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ドラマチックガーデンでは黄色とライラック色のツルバラがつたうカントリーハウスと、庭につながるダイニングが再現されまるでドールハウスのような造りに誰もが魅了されました。庭造りと要所に「花柄」を取り入れたダイニングなど、ライフスタイルの新しい見せ方が伝わってきます。連日、40分~1時間待ちの行列はバラとガーデニングショウのブースとしては異例で、キャス・キッドソンの人気と話題性、日本人女性に好まれる「花柄」と生花の組み合わせという新しいタイプのトレンドを感じました。

今回はもう一つのコラボブース、「ベルサイユのばら」も話題となりました。

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漫画・アニメとのコラボレーションは花業界では今回が初となりますが、幅広い年代層からの支持、バラ一筋の育種家やロザリアン達からも大好評で、「ベルサイユのばら」の人気の高さがうかがえます。こちらのブースでは原作イラストの展示もあり、花とイラストの調和に親しみやすさを感じます。また、メイアン作出の新作バラ「ベルサイユのばら」は深紅ベルベットの大輪種で最もバラらしい薔薇といえます。現在、切り花専用の新品種に「エロス」というHTローズがありますが、その名と深紅色は大人の薔薇に相応しく、こちらもバラらしい薔薇です。

毎年素敵なアレンジメントで多くの支持を集めるローラン・ボーニッシュ氏の展示はベルサイユ宮殿が今回のテーマ。

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高貴な女性、色彩に彩られた優雅な暮らしをイメージした演出は懲り過ぎず、その場の雰囲気に合った色彩の選択、生花の魅力を極限まで引き出す
家具類・花瓶の配置は素晴らしいの一言です。

今回キャス・キッドソンに次いで注目を浴びていたブースが、蓬田勝之先生の「バラの香り研究所」です。

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バラの香り研究所のテーマ「バラの香りできれいを磨く」は、今回のメインテーマ「バラできれいになる」そのものと言えるでしょう。世界に存在する全てのバラから香りを抜いてしまったら、バラの魅力は半減すると言っても過言ではありません。それ程バラの香りは素晴らしく魅力的なのです。

今回の香りブースでは各種香りのトンネルやバラの香りを駆使した団扇の制作等、内容も充実で常に若い女性客が絶えなかった、花の展示がメインでないブースでこの人気ぶりは驚きです。「バラの香りを嗅ぐだけで女子力アップに繋がる」、花の香り研究は花業界の中で最も期待される分野といえます。

第14回バラとガーデニングショウはコラボ展示メインという新たなトレンドの移り変わりを感じましたが、バラの品種トレンドという面においても大きな変化がみてとれます。
新品種の大半が和の個性や独特の雰囲気また強香を持ち、可愛らしい和名やそのバラの雰囲気に合った名前が付けれらている、そしてバラ苗を購入する人のほとんどが和名の品種、素敵な名前の品種、香りの良い品種を選択しています。

今やバラのトレンドは人気色や咲き方メインの時代から、香りや品種名メインの時代へと変わり始めているのです。展示ブースに使用されているバラのほとんどが可愛らしく素敵な名前をもつバラばかりというのも時代の流れを感じます。

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ラデュレは個人的に最も注目の品種ですが、女性人気が極めて高いバラです。マカロンが日本でも大人気の老舗パティスリー「ラデュレ」の名前がつけられた超強香種。「バラとスイーツのコラボレーション」も今後のバラとガーデニングショウで実現するかもしれません。

(むらた)

2012年4月15日

世界に誇れる日本の花

世界一の国際園芸博覧会「フロリアード2012」が4月5日からオランダで開催されています。今回の日本ブースのテーマは「世界に誇れる日本の花・自然と調和する人生」です。

日本国には原種や野生種、そして古より日本の心として人々に親しまれてきた植物が数多く存在しています。その中で最も美しく日本らしさも表現できる植物、それが桜・椿・桔梗です。今回はこれらの植物をいつもとは少し違う視点で紹介していきます。

◆桜(サクラ)
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バラ科サクラ属の植物、日本人に最も親しまれている花の一つで日本の国花。桜色とも呼ばれるフワリとしたウスピンクは春の象徴でありこの時期の流行色でもある。桜色の○○・桜の香りがする○○という表現は商品のイメージアップにも繋がる。

桜は古より絵画の中に登場しその柔らかな色彩で見る人を和ませてきた。現在でも花びらを含めイラスト・CG等の使用は花として№1である。今、若い世代の男性を中心にサクヤまたはコノハナサクヤという言葉がよく使われ、この名前でイメージされたキャラクター等も数多く存在する。コノハナサクヤとは日本神話(日本書紀等)に登場する女神で 木花咲耶姫(コノハナサクヤビメ) のことを指し、日本神話の中で最も美しく、桜の語源になった女神ともいわれている。木花咲耶姫を祭神、桜の木を御神木として祀る静岡の富士山浅間大社は近年パワースポットとしても人気が高い。

昨年は震災の影響で全国的にお花見が中止となったが、その分今年は例年以上の人出が各地で予想されている。早咲きの桜として有名な伊豆の河津桜は、寒さで開花が半月遅れたものの3月上旬に満開を迎えお花見客で賑わった。

桜はお花見として野外で楽しむことが一般的だが、近年は切り花も充実している。正月から真冬に楽しめる啓翁桜・早咲きでピンクの河津桜濃いピンクと下方ラッパ状が特徴の寒緋桜・小輪で花付きの良い彼岸桜、他にも多品種が揃い種類も豊富だ。そしてほとんどの品種がソメイヨシノより早い時期に楽しむことができる。これが桜切り花一番の魅力である。桜は日本の心、春を告げ震災後の日本を元気にすることができる日本の名花だ。


◆椿(ツバキ)
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ツバキ科ツバキ属の植物で冬に咲く花の代表種。椿には数多くの園芸種が存在するが、日本らしい美しさを表現できるのは藪椿(ヤブツバキ)と茶ノ木との交雑種である侘助(ワビスケ)だ。お寺や神社の裏、雑木林にひっそりと咲く藪椿は一見飾り気も無く誰の目にも留まらない、人通りが多く目立つ場所に咲いていたとしても見る人は少ないだろう。

藪椿の良さは花枝を1~3輪挿しにしてこそ現れる。深紅と黄金しべのコントラスト、深緑の照り葉、統一性のない枝振り、斜め下向きに咲く表情これらが合わさり完璧なまでの美しさを醸し出す。(深紅や赤色の藪椿・侘助は黒と相性抜群、黒い花瓶や黒い背景であればその個性が最も生かせる)
藪椿は葉が多く葉色も濃いため全体的に暗く汚いイメージがあるが、花の表情と美しさは全ての花に引けを取らない究極の和花だ。ひっそりと誰の目にも留まらず、暗くてどことなく汚い木にこれ程の花を咲かせる、そのギャップもまた良い。

よく花の展覧会や花屋さんの店頭で藪椿が展示されているが、どうしても大枝の状態(葉が多すぎて花が目立たない)での展示になってしまっているこれでは完璧な美しさをもつ藪椿の花もその名が示す通り藪や、どこにでもある街路樹と同じに見られてしまう。椿や山茶花は生け花としては使われるが、菊や鉄砲百合のように花瓶に入れ玄関や部屋に飾られることは意外と少ない=日本の花文化が衰える。「花瓶に活ければこんな感じ」・「玄関に置けばこんな感じ」といった見せ方の提案も椿には必要だ。

椿の仲間はガクを残して花全体がポロリと落ちてしまう特性がある。開花前に飾ったとしても開花後2日程度で花が落ちてしまう。この特性により「武士の首が落ちる」・「椿の古木には妖怪が宿る」と伝えられ一般に縁起の悪い花とされている。しかしこのような妖怪にまつわる言い伝えなどがあるからこそ、日本の花はストーリー性に富んでいて面白いのだ。

縁起が悪いといわれる落ちた椿の花も、地面を紅に染める「落ち椿」や花を水に浮かべる「水盤」では他の花にはない風情を楽しむことができる。また椿の学名であるカメリア(Camellia)という言葉は、カッコ良さ、美しさ、高級感、に満ちている。一般にはほとんど使われることの無いもう一つの名前 カメリア これも椿の魅力のひとつである。 

◆桔梗(キキョウ)
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キキョウ科キキョウ属の植物で秋の七草のひとつ。平安時代より伝わる、桔梗色と呼ばれる淡い青紫色と星型の花が特徴、園芸種には白と極薄ピンクがある。

極めて完成度の高い星型の花は、日本家紋の図案として使われた程で、明智光秀の桔梗紋、安倍晴明が使用した五ぼう星は有名なところである。桔梗の花は、その美しい色と明智桔梗紋から明智光秀の娘 細川ガラシャ のイメージに例えられる。完成された花の形、どこか儚い青紫は、絶世の美女であり女性として強く、そして悲しい運命をたどったガラシャそのものである。キリシタンでもあったガラシャには、大天使ガブリエルが片手に持つという白百合 マドンナリリー も似合うところである。

桔梗は日本の涼をあらわした花でもある。初夏には玄関などに一輪挿しにして飾られる他、イラストを始め、着物・浴衣柄、風鈴などにも描かれることが多い。一輪挿しが特に似合う花だが、椿と違いある程度本数を多く活けても汚くはならない。灰色系(石の色)の花瓶と抜群の相性をもつ、黒または白の花瓶でも相性が良い、また木製の花挿しでも個性が生かせる。

万葉集の中では秋の七草として詠われているが、秋近く開花するのは絶滅危惧種でもある野生の桔梗である。一般に出回っている園芸種の開花は関東では5月下旬~7月、切り花の桔梗は4月下旬~6月にかけて出荷される。園芸種の桔梗は秋近くになると種子が膨らみ、葉は枯れ落ち、なんとも無残な姿になってしまう。

現在、切り花ではトルコギキョウ(リシアンサス)が主流である。トルコギキョウは切り花として極めて安定している花であり、今ではオリエンタル百合と肩を並べる程。それ故日本の桔梗は影が薄く、園芸誌やフラワーデザイン誌による掲載も少ないため、桔梗=トルコギキョウになりがちである。

日本の花はそのどれもが個性的で独特のストーリーをもっています。花の良さを世界に伝えることで新たな花文化が誕生するかもしれません。

(むらた)

2012年3月 4日

世界ラン展日本大賞2012

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2月26日まで東京ドームで開催された「世界ラン展日本大賞2012」に行ってきました。

震災後の大きな花イベントとしては「薔薇とガーデニングショウ2011」に次いで2回目となります。今回は平日に行きましたが会場はかなりの盛況ぶり、主催者展示のボルネオに自生する青いランは長蛇の列で観るのに60分待ち、大賞のデンドロビウムや去年の大賞であるセロジネにも行列ができていました。

ディスプレイ部門のコンテストは毎年行列ができる人気コンテストではありますが、今回はそれに次いでフレグランス部門の人気が高く、芳香性の品種が限られるラン類において会場全体で見てもランの香りを嗅いでいる人が多く、香りの重要性を感じました。

また今回のメインが青いランということもあり、全体的にバンダの人気が高く「こんな色のランもあるんだ」・「この色凄いね」と驚く人がたくさんいました。

花業界やマニアのあいだでは青紫のランとしてバンダは誰もが知るところではありますが、一般の人からすればこれ程鮮やかな青紫の花はとても珍しいものだと思います。それがランの仲間であればなおさらです。

現在ホームセンターの園芸コーナーや地方の花屋さんで見ることのできるラン類はシンピジウム・胡蝶蘭・デンドロビウムがメインでバンダ・バンダセルレアはほとんど見かけません。すばらしい色合いを持ちながら一般にはまだまだ馴染みが薄い、この知名度の低さがラン展でバンダに人気が集中する理由です。

ここ数年の間(2008年頃から)ラン展ではバンダに限らず、珍しい蘭・変わった咲き方をする品種・奇抜な色の品種の展示が急激に増えこれらのランは一般の人からも高く評価されています。

花業界では花のトレンド、流行色はランから始まるといわれていますが、これはラン類にはコレクターやマニアが多く存在し、彼らによって流行が創られ一般の人に伝えられていくからです。さらに今回は若者の来場がとても多く、男性には春蘭やセッコクの人気が高く、女性は販売ブースにもよりますがカトレアや胡蝶蘭を使ったやや高価ではあるがシンプルなアレンジメント(使用色は3色程度)やブーケ、パフィオなどの植物画も売れていました。

バニラとレモンの香りがするオンシジューム「シャリーベイビー」は毎年フレグランス部門の展示では人気がありますが、販売ブースでは宣伝不足の為あまり売れていませんでした。

今年のラン展は昨年以上に個性的で珍しいランの展示とディスプレイの見せ方の上手さに新たなラン展の進化を感じました。

(むらた)

2011年3月13日

夜来香とフリージアの香り

3月に入り、1年の内で最も多くの芳香花が咲く季節となりました。そしてこの季節を代表する芳香花といえば、やはりフリージアではないでしょうか。

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フリージアの香りはバラ、沈丁花(ジンチョウゲ)、金木犀(キンモクセイ)に次ぐといわれていますが近年フリージアの香りを再現したフレグランスの登場や、スマートでオシャレな花の咲き方が人気となり今最も注目されている芳香花となりました。

フリージアの香りはフローラル(最も花らしい香り)やウッディー(スギやヒノキの香り)で表現されることが多いのですが、最近になって、とある花の香りにそっくりなことが判りました。

それは、夜に強香を放つ花 夜来香(イエライシャン) です。夜来香はガガイモ科のつる性植物で、日本では植物園などでしか観ることができず、一般にはほとんど知られていない植物です。さらに香りは深夜ほど強くなるため調査が難しく、香り表現や近い香りの花を見つけることは非常に困難といわれています。

また、市場に出回る月下香(チューベローズ)やナス科の夜香木(ヤコウボク)もイエライシャンと呼ばれることがありますが、本来はガガイモ科の植物を指します。インターネット等でも、甘い香り・幽玄な香り・きつい匂い、など表現がはっきりしないのはこの為です。

昨年、我が家で夜来香が開花し調査したところ、官能評価(鼻で嗅いだ時に感じる香り)ではフリージアのアラジンが最も近い香りであることが判りました。*香りの強度や成分は異なります。

フリージアの香り成分は主にリナロールという成分で、これには鎮静効果やリラックス効果がありストレスの解消になるといわれています。「フリージアを飾って香りに癒された」、「近くにあるだけで心が落ち着く」という声をよく聞きますがこれらはリナロールによる効果だと思われます。

女性に大人気のフレグランスにクロエのオードパルファムがありますが、この香水にもフリージアの香り成分であるリナロールが含まれています。
クロエはどちらかと言うとフリージアよりもローズ(ダマスククラシック)を基調とした石鹸のようなやわらかい香りですが、近くで嗅ぐとフリージア調のウッディーな香りも感じます。

今年からフラワーバレンタインが開催され、男性にとって花がより身近になり、花屋さんでお花を買い易くなりました。ホワイトデーのお返しや誕生日プレゼントに、天然の香水フリージアを贈ってみてはいかがでしょうか。

(む)

2011年1月16日

桜の香り

先日、桜をイメージした香水が、ゲームやアニメで人気の薄桜鬼から限定で発売されるということで新宿へ行ってきました。

桜の香りのフレグランスは種類が少なく、コレクターの間でも希少とされています。今回の新作フレグランスは「桜をイメージした、甘く切ない羅刹の香り」という興味深い内容で、早く香りを嗅いでみたかったのですが、当日は薄桜鬼グッズ販売のイベントもあり、新宿マルイワン前は長蛇の列。店内もグッズを買い求める女性ファンで大盛況。

そんな中、なんと本物の桜の花束(啓翁桜)を持つ10代の女性グループがいました。

伺ってみると、これから桜の花束を持って土方さん(新撰組・土方歳三)のお墓や銅像のある日野市へお参りに行くとのことでした。若者の間で生花が広まることを嬉しく思うと同時に、新たな『萌え』「女性の視点では薄桜鬼の登場人物一君(斉藤一)や平助君(藤堂平助)に萌える」の文化を感じました。

【啓扇桜】
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切花としての啓翁桜の歴史は意外と古いのですが、啓翁桜という名前を耳にするようになったのはインターネットや通販が普及し始めた最近のことです。お花屋さんでも蕾の状態で花がほとんど咲いていないため、一般的にはまだまだ知られていません。

かつて、丸の内に足利フラワーパークから藤の木が届きましたが、この時は都会のド真ん中に満開の藤が登場したということでかなりの盛況ぶり、道行く人の大半に知れ渡りました。啓翁桜は真冬に切花として観賞できる桜の代表種で、これはソメイヨシノやヤエザクラ等の春桜にはない魅力のひとつです。

また、ソメイヨシノ等の桜に比べ色が濃く、がくのグリーンと相まって春の訪れを感じさせてくれます。さらに花の付き方や枝の姿がとても素晴らしく、どのように活けても場の雰囲気をキメてくれます。

桜は日本人の心ですから、啓翁桜をもっとたくさんの人に知ってもらうため、冬に観賞できる桜として積極的にアピールしていくことが大切です。

(む)

2010年12月26日

冬を彩る紫羅欄花(あらせいとう)

冬になると、まるで華麗な花畑の如くお花屋さんを彩るパステル調の花があります。
それがストック(紫羅欄花【あらせいとう】)です。

ストックは、菜の花やダイコン・キャベツなどと同じアブラナ科の植物でありながら豊富な色彩をもちそのほとんどが白粉を塗したかのようなパステル調です。
*彼岸王のような鮮やかな赤紫もあります。
薄紫系の寒色からアプリコット系の暖色までのパステル色が豊富に揃う花は市場でも珍しく、まさに黄色系のイメージが強いアブラナ科の常識を覆す植物と言えます。

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【アプリコットカルテット】
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【イエロースパーク】
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【ピンクカルテット】
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【マリンカルテット】

特にアプリコットカルテットは他のパステル色全てと相性が良く、薄紫のマリンカルテットや風の舞と組み合わせて飾ることで部屋の雰囲気を明るく変えることができます。愛の絆や永遠の愛という花言葉をもち、バレンタインデーやホワイトデーに贈る花としても最適です。

またストックは冬を代表する芳香花の一つで、その独特で強烈なスパイシー香は辺り一面に広がる菜の花畑をイメージさせる春の香りそのものです。菊に次ぐ日持ちの良い花で、長期間香りを楽しむことができます。

お正月はストックを部屋に飾り、一足早く春を感じてみてはいかがでしょうか。

(む)

2010年11月28日

スパイシーな香りのバラ 「ペシェミニョン」

今年は新品種のバラが、国内で交配・改良されたオリジナル品種を中心に多数登場しましたが香りの良い品種は、そのほとんどがスタンダードタイプ(ハイブリットティーローズまたはフロリバンダローズ)で業界でも登場が期待されている【香りの良いスプレーバラ】は極めて少なく、改良の難しさや奥深さを感じました。

【ペシェミニョン】
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今年の初め登場したスプレーバラの新品種「ペシェミニョン」は香りの良いスプレーバラとしては約2年ぶりの新品種で国内オリジナル品種以外では4年半ぶりの登場となります。

基本となる香りタイプはフルーティーで、リンゴや洋ナシを思わせる甘くみずみずしい香り、そして開花が進むにつれチャイナローズの粉粧楼に近いスパイシーな香りも漂い始めます。また、ペシェミニョンの照り葉はとても美しくアプリコットピンクの花色を引き立てます。さらに、トゲが非常に少なく扱い易さも大きな特徴です。

*バラのスパイシー香とは胡椒やシナモン(ニッケイ)のような刺激のある匂いではなく、上品なダマスク系の香りに丁子(クローブ)を加えたコクと深みのある香りといわれています。代表種には北海道の海岸などでみられるハマナス、一重の巨大輪種として有名なデンティーベス、クライミング系のグロワール・ドゥ・ディジョンがあります。

ペシェミニョンはスプレータイプのため香りの拡がりが早く、1~2本でも十分香りますが、花自体が小さく持続性は良くありません。甘いもの好き・小さな罪という意味をもつ「ペシェミニョン」。今後の作付け拡大が期待されます。

(む)

2010年10月17日

パワースポットとナギの木

ここ数年、日本ではパワースポットや戦国武将がブームとなり、ゆかりのお寺や神社が注目を浴びています。歴史ある神社仏閣には御神木とよばれる樹齢数百年以上の巨木があり、神様が宿る木・神様が降りてくる木として人々に親しまれています。

御神木には樹齢1000年を超える大銀杏、樹齢500年以上の楠木や杉、そして戦国武将ブームで話題となった伊達政宗ゆかりの臥龍梅などがありますが、そのなかでも神の憑代と呼ばれ、国の天然記念物に指定されている熊野速玉大社のナギ(推定樹齢1000年)は最も有名です。

ナギの木は古来より霊的(スピリチュアル)な植物とされ、縁結び・夫婦円満・厄除けなどさまざまなパワーを秘めているといわれています。

神社仏閣に植えられる日本古来の植物でありながら極めて美しい葉をもち、縦に揃う綺麗な葉脈は横にちぎることが困難とされ、切っても切れない夫婦円満の守り神とされています。また、鏡の裏に葉を入れておくと愛する人の姿が映るという言い伝えがあり恋愛の神様とも呼ばれています。

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パワースポット巡りでナギの木を見つけた女性のほとんどが落ち葉をお守りとして持ち帰るそうです。熊野速玉大社ではナギの種から作ったお守り、ナギ人形が人気で、これをきっかけに「縁結びパワースポット」や「恋愛パワースポット」として注目がさらに高まったようです。さらに最近ではナギの木をモデルにしたアニメ「かんなぎ」も人気を集めました。

パワースポット熊野からの贈り物 スピリチュアルプランツ”ナギ”は熊野で実生から育てた大変貴重な植物です。コンパクトな鉢植えで観葉としてお部屋で手軽に楽しめます。

詳しくは大田花き花の生活研究所のホームページの中でご紹介させて頂いております。

2010年9月12日

シンテッポウユリの魅力

日本では仏花としてのイメージが強いテッポウユリですが、台湾が原産のタカサゴユリとの交雑種であるシンテッポウユリはここ数年で改良が進み、白色化・上向き性・蕾の開きが従来種に比べ大幅に向上しました。

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シンテッポウユリ【優雅】は、蕾の開き・上向き性に優れ、さらには香りの良さも魅力の一つで、他品種に比べ柑橘系(ミカンの皮)の香りが強めです。

最も香りが強まる深夜には、スイセンに似た深い香りに柑橘系の爽やかな香りが混ざります。オリエンタル百合のような独特のクセがない為、仏花としてではなく芳香花として玄関先で楽しむこともできます。

*テッポウユリはイエライシャンやチューベローズ同様、夜になってから香りを放つ芳香花で昼の間は高温多湿であってもほとんど香りを放ちません。

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またシンテッポウユリとオリエンタル百合を交配させたテッポウユリ【美白】は、極めて純白の品種でありその白さはテッポウユリでありながらコチョウランやユーチャリスと同等かそれ以上です。

蕾の時点で既にテッポウユリとは思えない程白く、開花してからは黄色のおしべが純白の花弁に反射し
まるでランプのようにも見えます。香りは深夜になっても弱めで柑橘系(すだちの皮)に近い香り。
混じりのない白、清楚な花姿は大天使ガブリエルの象徴といわれスピリチュアルフラワーのひとつにも
挙げられる マドンナリリー に最も近い百合といえます。

美白は夏期限定の品種ではありますが、テッポウユリ=仏花のイメージを覆す品種であり、今後の作付け拡大が最も期待される花でもあります。

(む)

2010年8月 1日

オリエンタル百合の新たな香り

カサブランカに代表されるオリエンタル系のユリはとても豪華で、その場を圧倒する存在感がある反面
特有の濃厚で強い香りがあります。

高貴すぎるこの香りは、結婚式場や飲食店など「強い香りを嫌う場」では不快臭として扱われる場合もあり部屋を閉め切ることの多い一般家庭では、こもったユリの香りで気持ちが悪くなってしまうこともしばしば。花き業界ではオリエンタル百合の香りを抑える技術や微香品種の改良が望まれていました。

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そんな中、登場したユリが「ニンフ」という品種。
ギリシャ神話に登場する美しい女性の姿をした精霊の名前が付けられたこの品種の特徴は、オリエンタル百合で唯一の爽やかな芳香。近くに飾っても不思議と気持ち悪くならない香りです。

※全体的な香りはオリエンタル百合が基調となっています。 

これはニンフの香りの中にハゴロモジャスミンに近い香りが含まれることで、元々濃厚なオリエンタル百合の臭いをパウダリーなハゴロモジャスミンの香りで心地よい香りに変化させたためです。印象としては昔の消しゴムのような匂いです。

※一般に知られているジャスミンティーや入浴剤のジャスミンの香りは茉莉花という花の香りですので
ハゴロモジャスミンはジャスミンティーのような香りはしません。

ニンフはフレグランスブーケとしてチューベローズとの相性が抜群で、部屋に飾れば夜に漂う妖艶な芳香が楽しめます。また、オリエンタル百合の中でも珍しいレトロな色彩をもつニンフは明治〜昭和初期の洋館に似合います。木製の花瓶に挿せば、その存在感をさらに活かすことができます。

(む)

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