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2010年6月 6日

バラの香り品種紹介

5/24〜28の間、中央通路にてJA清水市の薔薇の展示会を行いました。その中より香りの良い品種をご紹介致します。

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◆ヴィーナス  【ダマスクモダンの香り】
クリアピンクのハイブリットティーローズで混じりのない純粋なダマスクモダンの香り。低温・開花初期であっても良い香りを放つのが特徴、開花後はやや香りの飛び(薄まり)が早い。クリアピンク(透き通るようなピンク)のバラでダマスクモダンの香りは珍しく貴重。
*ダマスクモダンの香りは上品で心地よい香り、精神安定や抗うつ効果があるといわれています。やさしい色合いをもつヴィーナスは、机の上やベッドの近くに飾るバラとして最適です。


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◆キャラメルアンティーク 【ティーの香り】
アプリコット〜キャラメル色のカップ咲きハイブリットティーローズ。強いティーの香りをもち、その強さは市場入荷の切りバラの中ではアメジストに次ぐ。低温・開花初期では香りにくいが、部屋の気温が20℃前後あれば3〜4時間程で香り始める。また多花弁種でお椀形ということもあり、花の中に香りがこもりやすく採花後5日経っても香りが持続する。(花弁が柔らかく散りやすいため、これからの季節は花保ちがやや悪い)
*キャラメルアンティークはティーの香りの主成分ティーローズエレメントが他バラよりも多く含まれるため香りを嗅ぐだけでストレス緩和効果・スキンケア効果が得られます。


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◆アリアンナ 【ティーの香り】
クリーム〜クリーミーピンクのフロリバンダローズで咲き始めは形の良い剣弁高芯咲き。花弁の質が良く、花保ちがとても良い。中程度のティー香で強さは今回展示のテレサと同等、開花後も弁質・巻きが良い分香りが持続する。
*キャラメルアンティークも含め、クリーム系のバラは水色や瑠璃色の花材と相性が絶大、美しすぎる青い花オキシペタラム(ブルースター)を散りばめたアレンジはこれからの季節にぴったりです。イメージはバニラアイス×サイダーやバニラ×ミントといった感じ。さらに爽快感を持たせるためペパーミントを加え、フレグランスブーケとするのも良いかもしれません。


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◆彩 【フルーティーなミルラの香り】
白〜オフホワイトのフルカップ咲き品種、開花前は非常に硬くとても香りにくい。開き始めるとフェアビアンカに近いミルラの香りを放ち、開花ステージによってはフルーティーやティーの香りも混ざる。花弁の質や咲き方が可憐で清楚、ロゼット状になると散り際が早い。
*現在、「あや」という品種はアヤ・綾・彩と3種の入荷がありますが、香る品種は彩のみ。交配の奥深さを感じさせるとても興味深い品種です。

(む)

2010年5月21日

第12回国際バラとガーデニングショウ

今週の月曜日まで西武ドームで開催された、第12回国際バラとガーデニングショウに行ってきました。

今回は鉢植え・切花・ハンギング等のコンテストが充実しており、どの品種が人気あるのか?いま流行の色はどれか?来場者の行列や盛況ぶりにより、分かり易い展示内容だったと思います。

また大盛況の企画、バラとドレスの競演ではドーム内でも一際目立つドレスを羽織ったマネキンが登場。
足元にはそれぞれのドレスに似合う色合いのバラを配置、「この衣装に合わせるならこんな色合いのバラがいいな」といった感じでさまざまなイメージを膨らませることができました。

今年は全体的にパールピンクや淡いサーモンピンクといったカワイイ系の色合いが大人気、一目見てこれ欲しいと思わせる資生堂のシャンプー 新マシェリ の色合いです。マシェリのボトルデザインがあらゆるタイプのお花と相性が良いように、パールピンクは組み合わせ易さ、使い易さが魅力です。ミルクティー色のジュリアや藤色のミスティーパープルはその色彩のめずらしさから相変わらず注目を浴びていました。また会場全体をみてもブラックバッカラのような、いわゆる黒薔薇は殆ど展示がありませんでした。

バラといえば香りですが、来場した人はほぼ全員香りを嗅いでいました。会場で絶賛されていた香りは大きく分けて2種類、ダマスククラシックとダマスクモダンとフルーティーの混香です。市場に入荷されているバラのなかでこの香りをもつバラは・・・

◆Mーヴィンテージコーラル◆
ディープカップ咲きのスプレー品種
Dクラシック(ブルガリアン)を含む唯一のバラ。

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◆サーシャ◆
黄金のバラ、とても香り高くまるで香水のよう。
Dモダンの中にレモンの様な香りも広がる。

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今回は初日と日曜日の2回行きましたが、どちらもかなりの大盛況、去年よりも混雑していたような気がします。来年はバラとドレスの競演のような来場者がお花の組み合わせをイメージできる企画が増えることに期待したいです。

(む)

2010年3月14日

ラナンキュラスの香り

今回は旬の花 「ラナンキュラス」 から香りの良い品種を紹介します。

ミレス

◆ミレス
朱赤の整った花弁が極めて美しい最新品種。ラナンキュラスのなかで最も香りの強い品種でエニシダの香りとオランダガラシ(クレソン)の葉を潰したときのような辛味のある匂いが特徴です。また、採花後7日以上経っても香りを放ち続ける魅力的な品種でもあります。

シバス

◆シバス
2007年フラワー&ガーデニングショーで人気No1に輝いた品種で鮮やかな黄色が特徴。とても素晴らしい香りをもち、その香りはエニシダと全く同じレモン系(食器洗い用洗剤)の香り。かつてエニシダはキングサリと共に 「黄色い藤」 と呼ばれマニアの間で流行しました、そしてその香りの良さが口コミで広がり鉢物として普及、玄関などに置かれるようになりました。そしてあまりの香りの素晴らしさから部屋や食卓に飾ってこの香りを楽しむことが待ち望まれていました。エニシダと同じ香りをもち、部屋に飾ってもカワイイこのシバスはそんな願いを叶えたラナンキュラスです。

*ミレス程強香ではありませんが、香りが飛んで薄くなりにくい品種です。

エクレール

◆エクレール
カーネーションを思わせる花弁が特徴のレモンライム色の品種。ミレス・シバスに比べるとかなり薄めですがレモンのような香り、20℃前後の部屋では時間が経つにつれスイカやキュウリのような野菜の香りに変化していきます。

オルレアン

◆オルレアン
バラの名花、ピエール・ド・ロンサールを思わせるラナンキュラス。香りは全くありませんが、この品種の特徴は花弁と花弁の間にある細長い小弁、発色がよければハート型のようにも見えます。フランス中部の都市オルレアンの名前がつけられたこの品種、オルレアンの乙女の名前がつけられたバラジャンヌ・ダルクとは花型や咲き方が似るためアレンジでも好相性です。


オールドローズやイングリッシュローズを思わせる咲き方が魅力のラナンキュラス、ミレスのような朱赤や
深みのあるオレンジ色はカップ咲きのバラにはほとんど存在していません。花き業界でラナンキュラスは比較的新しい品目ですが、品種改良も進み年間の新品種も増えました。新たなミレスやシバスのような芳香種、ラナンキュラスの今後に期待です。

(む)

2010年2月28日

チューリップの香り(Part2)

ショーケースにて展示しておりました【JA新潟みらい白根市チューリップ】より良い香りを放つ品種をご紹介します。

◆ラルゴ
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赤の八重咲き品種、今回展示のチューリップの中で最も強い香りを放ち、現在出荷のある赤系チューリップではトップクラスの強香種です。香りはからし菜などの菜花に多くみられるツンとしたやや鼻を突く香り、20℃前後の部屋に飾れば1時間程で漂い始めます。今回展示のモンテカルロとは同じ系統の香りになりますが、このラルゴの方がやや強め。春を予感させる芳香花に梅やストックがありますがストックとは一味違った菜花の香り、十分春を堪能できます。

◆フルハウス
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赤地に縁が白を帯びる一重咲き品種、あらゆる芳香花の中でも極めて珍しいハッカの香り。歯磨き粉の匂いにそっくりです。前回紹介のライカとは同じ系統の香りになりますが、こちらの方がハッカ香が強め。
とは言え、ラルゴのような強香種ではないため気温が上がっても香りが漂う程には至りません。
ハスのつぼみにハッカに似た匂いがありますが、シソ科のミントやニホンハッカでも花にはこの香りがないため、とても希少な品種と言えます。

◆ブルーダイヤ
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青みの強い紫系の八重咲き品種、白色蛍光灯下ではバラのマダムヴィオレやカーネーションのムーンダストのように紫が映えます。香りはやわらかいイメージのあるプリムラジュリアンの香り、強香種バレリーナに近い香りです。

◆クールクリスタル
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滲んだウスピンクのフリンジビリデフローラ咲き、チューリップでは珍しい桜餅の香り。リューココリーネやヘリオトロープに近い香りですが、他の品種に比べ開花が早く花粉が見え始めるとカスミ草やスノードロップに似た匂いが混じる場合もあります。また、白系チューリップにはスノードロップと同じ匂いをもつ品種が多いようです。

◆シルバーパロット
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クリーム地にピンクが滲むパーロット咲き品種、葉の縁に沿って白い斑が特徴で、鉢植えでは密かに人気の高い品種。そしてこの品種の真髄はその素晴らしい香り、前回のフィノラ同様みずみずしいオレンジの香りには本当に癒されます。この香りの系統では周りに漂う程の強香種がないため残念なところでもあります。

皆様も香りを嗅いでみて下さい。

(む)

2010年2月14日

チューリップの香り

2月8日?12日の期間、中央通路にて展示しました【チューリップ王国とやま2010 in 東京】から特に良い香りを放つ品種をご紹介します。

フィノーラ
◆フィノーラ
オレンジやミカンの皮を剥いた時に広がる柑橘系のみずみずしい香り。ストレスや緊張を解き、気分をリラックスさせる柑橘系の効果は芳香花の中でも珍しく、今回最もオススメの品種です。

イエローマウンテン
◆イエローマウンテン
ヒバの葉を揉んだ時に広がるグリーンの香り。芳香剤や入浴剤にある森林の香りといったところでしょうか。チューリップの中でもかなりの強香種で玄関の消臭やルームフレグランスとしてリフレッシュ効果も期待できそう。

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◆バイキング
からし菜やアブラナのようなやや刺激のあるツンとした香り。この香りはチューリップ特有の香りで、芳香性チューリップの代表種であるモンテカルロやバレリーナも高温になり開花が進むとこの香りを放ちます。今回展示されているチューリップの中で最も春をイメージさせる香りです。

ライカ
◆ライカ
見た目もオシャレな百合咲きタイプのチューリップで、微香ではありますが歯磨き粉のようなハッカの香りがします。開花が進むにつれスパイシーな香辛料の香りに変化します。

《ギヌラの香りをもつチューリップ》
チューリップを飾っていると、どこからともなくカスミ草の匂いが漂ってくることがあります。周りにはカスミ草は使われていないのに実はこの匂いの正体もチューリップの香りで、最も臭い花の一つに挙げられるギヌラの香りそっくりです。

ハウステンボス

今回展示ではハウステンボスがこの香りをもっています。芳香性のチューリップは限られた品種のみですが、とても良い香りから臭い匂いまでバリエーションの豊富さもチューリップの魅力です。

あまり知られていないチューリップの香りではありますが、ぜひ香りにも注目してみて下さい。

(む)

2010年1月24日

永遠の愛 ?バレンタインに送る花言葉?

日本のバレンタインデーでは女性から男性へチョコレートをプレゼントする日とされていますが、プレゼントはチョコレートに限ったものではありません。バレンタインデーは大切な人に愛を伝える日、世界で最も多く贈られているプレゼントはやはり「花」です。チョコレートと一緒に花も贈ればさらに想いは伝わるはず!

・・・でもバレンタインデーに贈る花って何だろう、やっぱり定番の赤い薔薇? と、なかなか難しいところでもあります。そんなとき活躍するのがその花につけられた花言葉です。今回はバレンタインデーに似合う素敵な花言葉を持った花を紹介します。


チューリップ(紫) 「永遠の愛 永遠の愛情 不滅の愛」
チューリップ(赤) 「愛の告白 愛の宣告」
◆チューリップは色によって花言葉が大きく違います。
中でも愛の告白という花言葉を持つ赤いチューリップはバレンタインデーにぴったり。

カーネーション(ピンク) 「熱愛」
◆カーネーションの花言葉は一般的には 母への愛 ですが、ピンクの熱愛はバレンタインデー向けの花言葉です。またナデシコの花言葉は「純愛」です。

キク(赤) 「愛しています あなたを愛します」
◆キクの花言葉は一般的には「高貴」ですが、赤菊の花言葉は愛を伝えるのにはぴったり。
バレンタインデーに高貴で華やかな雰囲気をもつ赤菊のプレゼント、なかなか良いですね。
赤菊は実際の色は赤紫です。

ヒヤシンス(黄) 「あなたとなら幸せ」
◆黄色のヒヤシンスは青紫や白から比べるとやや希少種ですが、花言葉は本当に素敵。また黄色は 「勝負」という花言葉も併せ持ちます。

定番であるバラの花言葉は色に関係なく「愛」です。

花言葉はあくまでイメージではありますが、花言葉を知っていれば花を買うことが楽しくなり、花を観賞する機会も増えます。店先のお花につけるポップに、花言葉を大きく紹介していくのも良いかもしれませんね。

(む)

2009年12月27日

もう一つの青いバラ (後編)

前回ご紹介した【ブルーヘブン】のほかにも、魅力的な品種が河本純子さんのヘブンシリーズには揃っています。

・ミカエル
真紅の半剣弁咲き、最近人気のフリルを帯びる品種
・ガブリエル
シルバーパープルのカップ咲き品種、こちらもフリルを帯び今までにない花姿のバラ、強ダマスク香
・ラファエル
ピンクのカップ?ロゼット咲き品種、花姿はイングリッシュローズのガートルードジェキルそっくり
・ウリエル
クリームイエローの半剣弁咲き、ブーケにぴったりの色合い

シルバーパープル・カップ咲き・フリル・ダマスクの香り、これらを兼ね揃えたバラは現在ガーデンローズ・切花用品種ともに見当たらず、ガブリエルはとても魅力的で画期的なバラといえます。さらにヘブンシリーズの新品種でブルーヘブンの血を受け継いだ【ルシファー】もバラ展や品評会などで女性を中心に注目を浴びていました。

ご覧の通りヘブンシリーズのバラには大天使の名前がつけられており、バラ展では皆さんこの名前にも魅かれていました。韓国ドラマ「天国の階段」のオープニングテーマとのコラボも好評だったようです。

残念ながら現在、ヘブンシリーズのバラは切花としての入荷はありませんが、サントリーから【アプローズ】が発売された今、もう一つの青いバラ「ブルーヘブン」と共に、最も市場入荷が期待されるバラのひとつとなりました。

店頭や玄関などにブルーヘブンのようなバラがひとつ咲いているだけでも人の目を惹きつけてくれる、青いバラにはそんな不思議な魅力が溢れています。


(む)

2009年12月13日

もう一つの青いバラ (前編)

11月3日の発売以来、品薄状態が続いているサントリーの【アプローズ】。首都圏のお花屋さんでも中々お目にかかれず、現在では「幻の青いバラ」と呼ばれているそうです。

実はかつて切花として出回っていた青いバラのなかには本当に幻となってしまった品種がいくつかあります。そのなかでも特に青いと言われているバラが【ブルーヘブン】という品種です。

ブルーヘブン

以前ブルーローズの特集をした時、水色に近いバラということで名前と特徴を紹介したのですが、最近になって 『ブルーヘブンて一体どのくらい青いの?』 と言う声をよく耳にするようになりました。色の濃さでは色素を持つアプローズに大きく劣りますがブルーの発色(青み)はアプローズと同等かそれ以上です。

ブルーヘブンは河本純子さん(河本バラ園)が2002年に作出したフロリバンダローズでヘブンシリーズの代表種です。現存するバラの中ではガーデンローズ・切花専用品種を含め最も水色に近い品種と言われています。

開花性は四季咲きですが低温になればなる程、青みが強まるタイプで特に夜間の気温が低下する秋開花の花色が最も美しく、逆に夏の高温期では青の発色が弱く白色または灰色が目立ちます。雨天や曇りの日、または白色蛍光灯下では水色?シルバーブルーがさらに映えます。

香りはアプローズとは全く異なるティーの香り、切花のサフィーアやテレサをやや薄めた香りといったところでしょうか。花弁の質は和紙のように可憐で、外弁は緑を帯びる場合もあります。また中部国際空港のイメージフラワーとして「セントレア・スカイローズ」の別名が贈られました。

河本バラ園作出のバラといえば皆さんご存知のローテローゼ、そしてトップクラスのブルー香をもつパープルレインが有名ですが、河本純子さん作出のヘブンシリーズにはさらに魅力的な品種が揃っています。こちらの紹介は後編で。


(む)

2009年11月29日

青いバラ アプローズ

世界初の青いバラ (世界で初めて青色色素を持ったバラ) がサントリーから発売されました。
品種名は【アプローズ】で「喝采」と言う意味。

アプローズ

色彩は鮮やかな青紫で同等の青みを持つオンディーナより色が濃いのが特徴、色あせ等も目立ちません。また、発色の良いくっきりとした青紫であるため、茶色よりもベージュ・クリーム・オフホワイトの花材と相性が良く、もちろん一輪だけであっても主役を飾ることができます。

青いバラの特徴を最大限に生かすには白色蛍光灯の明るさが最も良いとされています。暖色を帯びるスポットライトでは紫色はピンクに変色してしまい青バラらしさをアピールできません。

アプローズは香りも素晴らしい品種、開き始めの香りはブルーとフルーティー(レモン)を併せ持つ非常に珍しいタイプ。現在、このタイプの香りをもつバラは切花では清水市農協のラブリーブルーのみです。

昨今のブルーローズは色が薄く香りもティーになりがち、また株全体が弱いため採花も難しい状態にありました。このアプローズは株全体が強健で、なにより濃い発色・香りもブルー、フルーティーと素晴らしい品種。現段階ではまさに 最高の青いバラ と言えるでしょう。

またアプローズの花言葉は 『夢かなう』 各ブログのカキコミを見る限りこの花言葉も評価が高いようです。


(む)

2009年10月18日

若者を振り向かせるフルーティーハーブ

2年前、さいたまスーパーアリーナでジャパンフラワーフェスティバルが開催されました。会場は色彩豊かな巨大花壇が中心で全体的に凝っていて、とにかく派手な印象を受けましたが、とても地味な空間にたくさんの若い女性が集まっているブースがありました。

そこでは「レモンの香りがする木」ということでシソ科ハーブのレモンバームが紹介されており、葉をさわった人は皆その香りに驚いていました。併せてアロマテラピーの紹介もおこなわれていましたが、レモンの香りという分かり易い表現がこれだけの集客に繋がったものと思われます。

果物の香りをもつハーブは女性を中心に高い人気を誇りますが、残念なことにフルーツ別に香りを紹介している図鑑や雑誌はとても少なく、ハーブ園や植物園でも原産地や品種別での紹介がほとんどです。
今回は私たちの最も身近にあるフルーツ、りんご・いちご・れもん・パイナップルの香りをもつハーブをフルーツ別に紹介していきます。


【りんご】
代表種はキク科のカモミールで香りもリンゴそっくり、カモミールは大きく分けてローモン種とジャーマン種に分けられ切花として使用されるのはジャーマン種の方、ジャーマンカモミールは花が香るタイプで葉を触っても全く香りません。乾燥することで葉も香るようになり花とともにハーブティーとして利用します。
ローマンカモミールは逆に葉を触るとリンゴの香りがするタイプで、ジャーマン種ほど草丈が伸びずグランドカバーとして使用されています。また葉を摘んで入浴剤としても利用。
大地のリンゴとも呼ばれるこのカモミールはハーブティーとしての人気がとても高く、リラックス効果や安眠効果、さらに体を温める作用もあり、カゼの初期症状に良いとされています。
* リンゴの香りがする芳香花は・・・ ランの仲間、グラマトフィラム・ヒヒマヌに薄い青リンゴまたは洋ナシに近い香りがあります。


【いちご】
この香りをもつハーブはストロベリーゼラニウムとワイルドストロベリーのみ、ワイルドストロベリーは実にとても甘いイチゴの芳香があり主に観賞用として利用。ストロベリーゼラニウムは全ハーブ中、唯一葉にイチゴの香りをもつハーブでセンテッドゼラニウムのなかでもかなりの希少種です。
レモンゼラニウムの変種でやや柑橘系の香りも混じるがラストノートとして感じる香りはまさにイチゴの香り。
* イチゴの香りがする芳香花って?・・・ クロバナロウバイという茶褐色の花が咲き始めに腐ったイチゴの香りを放ちますが、この香りは好みが分かれそう。花自体は腐敗して悪臭を放っているわけではないので触れても心配はいりません。


【れもん】
この香りをもつハーブはシソ科を中心に多数存在。

シソ科  レモンバーム・レモンタイム・レモンバジルなど
フウロソウ科  レモンゼラニウム・ライムゼラニウムなど
イネ科  レモングラス

この他にも数種類ありますが、代表種といわれるハーブはクマツヅラ科のレモンバーベナで、香りの強さ・上品さは上記ハーブの比ではなく、葉をこするだけで部屋の中をレモンの香りに変えるほど。 
また細長でライトグリーンの葉はとても美しくブーケ・フレグランスブーケの素材として十分活用が可能、そしてこのレモンバーベナ、乾燥してからが本領発揮、フランスでは乾燥葉はベルベーヌと呼ばれ高級ハーブティーとされています。
部屋に置いて香りを楽しんで良し、フラワーアレンジの素材に使って良し、しおれたら捨てずに乾燥させてハーブティーとして利用。将来性が高く、注目度No1のハーブです。
* レモンの香りがする芳香花ってあるの?・・・ マメ科エニシダの香りがレモンに似ています。黄色花なので相性もバッチリ。
* 果物レモンの花もレモン香なの?・・・ レモンの香りはしませんが、究極の芳香花と呼ばれる茉莉花に近い香りを放ちます。


【パイナップル】
パインの香りがするハーブなんて本当にあるの?と思われがちですが、実際に葉をこすると甘いパインの香りがするハーブが今のところ1種存在しています。シソ科のパイナップルセージというサルビアの仲間で、香り自体弱めですが若葉をこすると確かにパインの香りがします。
「なんで葉っぱにこんな香りが発現したのか」 と思わせる不思議なハーブです。
じつはこのパイナップルセージ鉢物として出回っており園芸店などでよく見かけますが、ハーブミックスの中にひっそりと置かれているため残念なことにほとんど目立っていません。本物のパイナップルの香りをもつハーブですから紹介の仕方、提案次第で知名度が高まることは間違いありません。
* パイナップルの香りがする芳香花は現在確認されていません。


今回はフルーツの香りをもつハーブを紹介しましたが芳香花やハーブに限らず、全ての花には必ず良い点・素晴らしい特徴があります。たとえそれがセイタカアワダチソウやヘクソカヅラであっても・・・
この特徴を見抜き提案していくことが、若い人達に花を楽しんでもらうきっかけになるのかもしれません。

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