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2005年1月24日
情緒を大切に
コチョウランの切花が増えて人気である。今まで鉢物用として出されていた物が品種名をきちんと付けて出荷されている。持ちが良いだけでなく、中小輪も存在感があり、なかなかのものだ。2,3年前まで毎年この時期になると安くなるガーベラやカスミソウも持ちが良すぎて一度買ったらなかなか売れないということも言っていたのが嘘のように、相場は高くないものの、結構売れている。そこへいくと鉢物のプリムラ・メラコイデスは安値が続いている。花屋さんの店頭で切花、鉢物を問わず売れるようになったものはいずれも人を引き付ける個性豊かなもので、どちらかというと「気」があるというよりも「気」が強いものだ。バラも大輪が好まれるのは、結局消費者の心持ちがなにやら勇ましくなっているのではないか。
年金問題や天文学的数字となった国債のことなど、将来を考えると不安は大きい。すっきりした気持ちになれないのは、わたしばかりではなく、殆どの日本人がそう感じているのではないか。結局不安におののいても仕方ないと気持ちが切り替わったのが2002年の秋口くらいからだったのだろう。前向きな考え方になって、癒しのために花を買っていた時代から励ましや自分に元気を付けるために花を買う人たちが多くなった。「子供から大人へ」、「甘さから厳しさへ」、「癒しから励ましへ」などなど、社会の価値観、社会的意識が変わってきた。
昨年の夏、ヒマワリはバラの平均単価を上回った。第1回IFEXでも山形県の大輪ダリアが来場者の目を引いた。しかしである、鉢のサクラソウがこうまで安いというのは行き過ぎではなかろうか。私達はもっと情緒を大切にすべきではなかろうか。あらゆる組織で改革の名の下、外科手術が行われている。その対極に各種義援金やNPOボランティアなど素晴らしい社会貢献もある。
私が言いたいのは、真中にある両方を含む心理状況、対症療法ではなく、問題を内在化し、“OR”ではなく“AND”で受け入れること。こういう心持ちでいることが必要なのではないか。静かにそっと咲く花の価格が安くなっていて、このことを強く思う。
投稿者 磯村信夫 : 2005年1月24日 18:52