大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 2005年5月 | トップ | 2005年7月 »

2005年6月27日

むしろ規模拡大から家族経営に傾斜す

本題に入る前に一言。6月25日(土)には弊社の第17回定時株主総会が開催されました。招集ご通知にご案内のとおり報告並びに原案どおりに承認可決されましたのでご報告させていただきます。暑い中、遠路はるばるご来場くださいました株主の皆様に深く御礼申し上げます。また、弊社では毎年土曜日に株主総会を開催しておりますので、来年以降も更に多くの株主の皆様にご来場いただけますようお願い申し上げます。

さて昨日、神戸生花卸売株式会社社長の増田富士雄氏の藍綬褒章受章祝賀会が新神戸オリエンタルホテルで行われた。全国から300名余りが駆けつけ、盛会裏に行われた。

 この頃小生は電車に乗ったときできるだけ景色を見るようにしている。今まで電車やバスに乗ると本ばかり読んでいたが、たとえ少しの情報でも車中から外を見ることができれば、世の中の移り変わりやその地域の方々の生活がわかるのではないかと思ったからだ。 昨日も新幹線に乗り景色を見ていた。座席が往復とも富士山側だったが、往路は空いていたので海側の3座席の方に席を移って外を見ていた。帰りはまだ明るいうちだったので、富士山側の景色を堪能した。昨日の目的の一つは、グローバルな経済になった今日、温室やビニールハウスは大きくなったか、規模はどうだろうか、工場はどのように変わったかを自分の目で見てみたいと思った。まず工場はきれいになっており、特に神戸までの間は正に日本の心臓部とも言えるような場所で、高いレベルの工場ばかりだろうから、海外からもお金をもらって成り立っていると言うことがよく分かる。また、お茶の産業は元気なようだということが景色からも読み取れる。また温室やビニールハウスは温州蜜柑の施設栽培の規模が拡大しているが、花や野菜の施設栽培面積は以前のままだ。グローバリゼーションと共に面積が拡大していかないと、粗利を確保できない状況になっていくと、オランダ人が自分達がやってきたやり方で日本の園芸栽培を予測していたが、実際には1軒当たりの面積はこれ以上増やさないか、むしろ小売店と同じように家族経営で一定の規模、製品の歩留まり率を高めていこうとするこの方式を園芸生産者の皆様方は取ったようだ。

 そういえば、東京都花き振興協議会会長の天田氏(生花店経営)とお話をしている中で「3千万円前後の家族経営のお花屋さんはなかなか良い経営をしています。花屋という商売は働き者が多いです。その中で一家を上げて仕事をしていく。確かにデフレですから一時期より大変ですが、平均したら1ヵ月に100万円前後を仕入れる普通の花屋が気を吐いている限り、花き業界の基礎はぐらつきません。」という話になった。小生から小売店は生業であるため改善すべき点も多いが、素晴らしい点も多いという話をした。まず一つ言えることは、昨日新幹線から見た温室の規模でやっていけるのはこの家族経営の小売店が家族経営サイズの生産者の荷を買ってくれているからだという事実、そしてこの専門店を大切にすること、頑張ってもらうということが日本の生産者にとって必要不可欠であるということである。卸売市場も当然日本中の平均的なお花屋さんたちにご利用いただくことによって荷主さんから荷をお預かりすることができる。現状はまずこれでよい。しかし後継者をどうするか、考えておくことが現在の課題だ。この1点に注力してどのようなやり方でどのようなサイズであれば小売店経営と農場経営は後継者たちを育成できる経済条件が整うのかを考えながら仕事を進めていきたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 18:21

2005年6月20日

消費は週末型に完全移行

6月12日(日)の北京日報に北京市民が1年間に購入する観賞用植物の総額は5億5千万元に上がっていると報じられた。また、同記事に市場調査で80%の家庭が観賞用植物を購入したことがあると答えており、室内装飾として需要が高まっていると言える。一方、総務省によると日本全体では40%の家庭でしかホームユースがないとしている。この2つの数字はどちらが正しくて、どちらが正しくないのかわからないところである。唯一、確かだと思うのは中国ではこれから花の消費が増えようとしている。日本ではまずは一服で、新しい時代の生き方をそれぞれが確立し、次の花の需要の前段階になってきている。私が大田花きの社長だから言うのではない。例えば朝日新聞の湯浅先生の「花おりおり」のコーナーは一時夕刊に移ったが、また朝刊に復帰した。一面だからすごい。産経新聞でも「皇居の花」として一面で似たようなコーナーを設けている。

土曜日、高島屋のお中元の新聞広告をご覧になっただろうか。生花でボール状にアレンジし、それをアイキャッチとしている。花のイベントだけでなく、路地裏園芸やマスメディアの記事など本当に花が多く使われている。確かに見栄の消費は殆ど姿を消したろうが、1990年代に花がたくさん使われていたこと、その経験を踏まえた需要が予期できる。それは何かと思い、またいつ本格化するかを見極めに昨日街を見て回った。父の日と梅雨の晴れ間だったから、めぼしいお花屋さんは良く売れていた。5Sが行き届いた店でないとまず売れなくなったと痛感する。それからキーパーを置かないお店も多くなってきたから、バラのように咲いていく過程を楽しむものは、荷がごちゃごちゃとありすぎるとあまりきれいだと思わない。もう少し生きが良くてシャキッとした切り前のものがあると手を出しやすい。五分咲きになったものがギューギューに詰まったものがあるとどうもいけないということだ。これはユリにも言える。

 昨日確信したのは、花の消費はは週末型に移行したということだ。例外はオフィス街の花店くらいで、殆ど全国の花店は週末型になった。だから週末に向けての小売店の買い気は天気が悪くなければ今まで以上のものがある。その代わり、月曜日、或いは火曜日の鉢物は週末の売れ具合を反映する。水曜日・木曜日は月曜日・火曜日の荷があまり多くなければ品揃えのために仕入れを起こすが、普段はまあ仕入れるか我慢するかのどちらかで、あまりウェイトが置かれない。このように仕入れる日、或いは相場が立つ日が少なくなっているところに問題があって、卸売会社は小売店・仲卸ともどもこれをどのように平準化していくか、打開策を見つけて行動するのが現在の流通業者の課題である。しかし、消費は確実に週末型になっている。

投稿者 磯村信夫 : 18:22

2005年6月13日

使命感に燃えて・・・

  5月27日付けの日経新聞の『交遊抄』で、グローバリゼーションを折り込んで果敢に花作りに参入した多和田さんとのお付き合いの一端を紹介した。日経新聞だから、読者層は経済界の方たちが多いと思い、「私が見る限り多和田さんを初めとする若手の花作りたちは尊敬に値する知力や気概を持った人たちばかりで、日本の将来は心配がない」とお伝えした。『交遊抄』を読んで多くの反響があり、友人からだけではなく面識のない方からも感想や励ましの言葉を頂いた。

 小欄でも取り上げたことがあるが、生産者の子弟で研修に来ている人と接すると、日本の花き産業は心配することはないと思う。特にそれはここ3,4年ほど強く思うようになった。それ以前はサラリーマンの家に育った子供たちよりも甘やかされて育ったなと感ずる研修生もいた。しかし、最近は大変立派な厳しい育てられ方をしている。それはそうだ。農場経営者の卵だから、将来社長になるとすると、それなりの人物に育ってもらわなければならないわけである。

では、何が変わったか。ヨーロッパの高校や大学にあって、日本の高校や大学に欠けているのは倫理・哲学・宗教などの科目だが、「如何に生きるべきか」という難問に取り組む姿勢をどこで学ぶかだ。学校ではなく、ご両親やご家族から学ぶのだ。お父さんと直接問答したわけではなかろうが、お父さんとお母さんの生き様から学び、それを実践しているに違いない。もちろん中には学校の先生やTVや本からという人もいるだろう。

教育論に話が逸れてしまったが、花き業界に欠けているものもそこだ。最初に考え、そして事を起こすことが大切なのだ。バブル崩壊後、量的拡大が図られた花き産業に、金銭目的のために参入してきた人たちが大勢いる。その人たちがあまり儲からなくなった。それは当たり前で、どの産業でも昨年と同じようにやっていては儲からない。儲からなくなってからブーブー言うのはおかしいというものだ。もう一度消費者の立場に立った商品政策から始めなければならない。

キーワードは連帯強化のサプライチェーンマネジメント。これにより家庭内需要だけ捉えても、消費量や金額を倍以上増やせる可能性がある。これに向けて努力しないのは私たちの怠慢でなくて何だろうか。もう一度原点回帰し、拡張余地のある消費分野に向けアタックしようと思う。

投稿者 磯村信夫 : 18:25

2005年6月 6日

この6月第1週で変わったこと

多分今年の流行語の一つになるであろう“COOL BIZ”は定着しそうだ。“COOL”の「涼しい、かっこいい」と“BISINESS”をあわせて“COOL BIZ”で日本の熱い夏を乗り切ろうと小泉内閣は提唱している。成功させたい理由の一つに、内外格差是正がある。既に西側先進国ではそうなっているからだ。20世紀最後の10年で西側先進国の大人の男達は、メトロコンシャスですべからくおしゃれになった。世界のファッションの発信地はミラノ・パリ・ロンドン・ニューヨーク・東京で、ヨーロッパでは金融街の人たち以外はネクタイをしないことが本当に多くなっている。だいたい、ネクタイを着用していても、ヨーロッパでは白いワイシャツを着るのは礼装のときだけで、普段のシャツは薄い色がついていたり、柄があったりして、シャツに拘るのがヨーロッパ風。その辺、米国人は日本人と同じで白いワイシャツが多く、ネクタイの色の方にウェイトを置いている。日本はご存知の通りシャツのレベルが先進国の中でも非常に低い。背広とシャツの釣り合いが取れていない人を良く見かける。ようやく“COOL BIZ”で日本のシャツのレベルが上がってくると思うと、大変嬉しい。

 只今、ホットな花の消費の変化は、白のシャクヤクだ。いままで白が一番安かったのに高くなった。それは白のシャクヤクはブーケで使うからだ。絶対量が出てきたら乱高下もしようが、今のところ非常に順調だ。このように社会の動きに合わせて花の好みも変わっていく。

それともう一つ。大田花きではセリの原産地表示を始めて早4年になる。その間次のようなことが起こっている。マレーシアのキャメロンハイランドの2つの農場のミックス箱は、国産の最上級品と同じ価格帯で取引されている。これが面白い。このように卸売段階では原産地表示をしているが、小売店となるとどのようにしているのか。表示をしてもらうように小売店に協力を求め、花の小売店でも原産国、国内なら県や町が分かるようにしたい。母の日のカーネーションをみると、卸売価格で国産品の150円があれば、コロンビア産の60円や20円もあり、中国産の35円や5円がある。消費者にどのように小売りでの価格差を理解してもらうのか。プロの評価が小売りの現場で消費者にわかるようにしたいのだ。

私事だが、近所のスーパーで3月にバラが安かったので買ってみたが咲かなかった。インド産だった。しかも咲きにくい品種だった。しかし、私が見て「咲く」と思って買ったものだった。だから妻は2度とその店でバラを買わない。母の日過ぎ、輸入品も減り、輸入品はより吟味されてどのバラも咲くバラばかりになった。しかも卸売価格も小売価格も安い。にもかかわらず、3月に咲かなかったバラの印象で妻はバラを買わない。このようなことを避けるには、小売店での原産地表示が欠かせないと思う。食べるものだったら冷蔵庫や胃袋に行き、常温で長時間置きっ放しということはない。しかし、花は買ったときから常温に置きっ放しだから、花こそ原産地表示を義務付けるべきではないかと小生は思う。

投稿者 磯村信夫 : 18:27

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.