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2005年7月 4日

2段階上がった競争レベル ?昨年と同じでは歯が立たず?

月間仕入れの平均が100万円前後というのが街のお花屋さんの一般像だ。他に物日や活け込み、定期的な納め、JFTDの通信販売を行い、2,500万から3,500万円ほどの年商である。この小売店さん達は、ロスが増えて利幅が少なくなってきたと感じたのが99年くらいからである。その間、業務改善を積極的にしていったが、ちょうどコンビニエンスストアは本部が資金的援助をし、おにぎりやお弁当が縮小均衡になるのを防いだ時期でもあった。20円引き、30円引き、これとこれを合わせて買えば幾ら値引きなどと提案し、店のオーナーがロスが出るので発注は少なくしようとする。そこにお惣菜屋さんやお弁当屋さんなどが出てきて、コンビニがおにぎりやお弁当の部分で負けるかもしれないとなったとき、ロスが出るのを避けたいオーナーは、当然余った分だけ少なく発注する。このように縮小均衡になっていくのだが、それをコンビニ本部は金銭的に補填し、縮小均衡を免れた時期があった。今年の冬から春もそうであった。そこで質を上げ、競争力のあるものにした。コンビニはこのような縮小均衡に陥らない手立てを打つのはシステム的に可能な業態だが、花の場合には仲卸や卸がそれをするというわけにはいかない。結局小売店に任せるしかない。何せ経営が違うのだから。もちろん縮小均衡は正しいことではなく、商品回転率を上げていくことこそ売上や利益を取っていくことに繋がる。また、競合店が増えれば増えるほど、お客様に支持されるだけの花の質や作業サービスの質が良く値頃であれば、競争が激しい分店は繁盛する。競争が激しくなって売上を落すのはどこで買っても大差のない質の花か、並のサービスしかしていないからだ。我が社の実績を見ても偉そうなことはいえないが、それが事実である。良い店、良い会社というのは競争が激しいほど際立つ。

 現在、街の小売店は更に縮小均衡化した。パートの人件費も削り、とにかく人手が足りない。だからセリ場を見ていても11時を過ぎて仕入れをしている人はセリ開始時の多くて半分、大抵は3分の1以下になる。このようなことで大田花きは花の相場の指標を生み出す社会的機能を果たせるのか。もちろん現実の問題として、当社の相場が指標とならざるを得ないが、いくつもの改善が必要である。

EUのように卸売市場の数を絞り込むことによって生み出される相場を真実に近いものにしていこうとする努力を続けていく。これも一策であるが、こういう合理性は国を“States”と呼ぶ国民にはあっても、“Nation”と呼ぶ国民にはなかなか持ち得ない。さすれば、実際のセリと自宅からセリに参加できるシステムを構築すること(これは東京都の買参権を取得した方のみに限られる)、そしてセリ前取り引きを一定割合行うことの2つが時代の要請だと感じている。一方、「卸売市場は物流センター化せよ」、「卸は問屋になれ」との声もある。この問屋になった卸とどのように競争し勝利していくか。その競争状態によっても海外の産地と競争し棲み分けを探る国内産地の大切な時期である昨今、状況判断を間違えてはならないと身を引き締めている。

投稿者 磯村信夫 : 2005年7月 4日 18:19

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