大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 浮上してきた世界経済 | トップ | 花が勝る »

2005年8月15日

新しい時代に入った日本の花き産業

前線が停滞し、天気が優れなかったので8月盆の売れ行きが心配であったが、日本海側を除き、少なくとも前年並みは確保できた小売店が多かったようだ。遅れ気味だった開花も適当なお湿りのお陰でどうにか間に合い、一輪菊が70-80円中心の相場で多く流れたから、花き業界の皆が良かった8月盆需要期であった。

 7月から実感しているのは、都市と地方の格差が確実に改善されているということだ。経済的指標で土地の価格は下がり続けている。しかし、90年代のような混乱はなく、グローバリゼーションとITデジタル化による21世紀型の生活態度を身に付けたようだ。確かに社会にはひずみがある。しかし、それと同様に前を向いて歩んでいる人たちも多い。これはなかなか数字になって表れてこないが、少なくとも8月盆の相場の出方を見て、花は立ち直ってきたと言えよう。アメリカ、ヨーロッパ同様、農産物の中で花は嗜好品だから、品質プラスセンスの高いものが大変評価される。衣料品同様、素材ばかりでなく合わせの技術を持つ小売店の時代に入った。花き業界の新しい秩序への残る産みの苦しみは、

1 農業改革による生産者の入れ替わり

2 市場法改正による卸・仲卸の入れ替わり

3 量販店の寡占化による小売業者の入れ替わり

が主なものである。いずれも本来の役割を時代に合わせてきちんとすればよい。当たり前のことを行うことによって、生き残れることが可能と分かったわけで、温故知新を行うということであろう。

 以上の確証を掴んだのは先週11日(木)に東京証券取引所で証券アナリストの皆さん方へ当社の第1四半期説明会を行ったときの感触からである。かつては生販同盟で中抜きが叫ばれていたが、進化する卸を使った方が流通上割安という事実から、新しい機能を身につけた卸売会社に買いが集まり、生配販同盟を言う人たちが多くなってきた。昨年の説明会で中間流通に対する風向きは変わり、応援してくれていると確証を持ったが、今年は日本のアナリストに加え、外資系企業からの質問が多かったのは中間流通に対する理解が深まったことの表れと嬉しく思った。

 今年8月盆でも仲卸は在庫を抱え、自分の取引先のストックヤードになったり、水揚げの付加価値サービスを付けたり、新しい機能を身につけていた。日本の仲卸や卸売会社は一歩も二歩も踏み込んで、お取引先である産地や小売店に役立てるよう機能を磨いていくに違いない。

投稿者 磯村信夫 : 2005年8月15日 18:12

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.