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2005年10月31日

家賃も経営力で差

10月は散々だった。4週続けて週末は土日のどちらかが傘マーク。独立店舗の売上は前年の3割減のところが多い。そこへ行くとドーム型の花店である駅中やショッピングセンター内、量販店のテナント、量販店そのものは前年をクリアしたところも多いが、一般に1割減といったところ。花の流通商売は本当に三気商売。天気・元気・景気の順で売上が左右される。
こんな状況の中でも店頭売りで気を吐いている会社は何十人の従業員の会社から、2,3人規模の会社まで様々あれど、?経営理念 ?経営ビジョンが徹底していて、これに添って商売が行われている。また、?金銭管理、数値管理がかなり厳しくなされている。これらが共通している。これは小売りでも仲卸、卸、運送会社、或いは生産グループでも言えることで、組織活動として当たり前のことを当たり前に行っていながら、絶えずチャレンジし続けることで前進しているのだろう。

こういう小売りの会社のテナント家賃を見ていると、駅や量販店から売上の15%未満の率で契約している。これは大きい。20%以上だと店頭売りの場合、どうしても競争力が保てない。また、葬儀用の花や仏花を納める場合でも、35%以上ではお客様に喜んでもらえない。
結婚式では、5割近い率の所もあるが、結婚式コーディネーター会社が業界に参入し、競争が激化していて、花を無視するなら徹底して無視、こだわる人は徹底してこだわるので、これも35%がお客様に負担をおかけしない上限であろう。

競争力のある店は益々有利な条件で出店しているところ見ると、経営力の差が富の差となって表れているのがよくわかる。

投稿者 磯村信夫 : 07:17

2005年10月24日

地元での存在感

昨日の朝、東京からこの秋初めて雪をかぶった富士山を見ることができた。季節が一ヶ月ほど遅れているような気もするが、遅れに遅れた運動会を開催した幼稚園などは、良い天気でよかったことだろう。
今年のエネルギー事情から、中国からの神馬の出荷量が大幅に減っていると聞く。昨年は台風で花の値段が高騰したから、この10月11月は昨年の半値である。昨年の高騰により地域によっては作付けも多く、半値以下の所もあると聞く。そのような中でも油高だから国内はもとより、世界中の生産者がこの冬どうしようか頭を抱えている。アジアだけを見ると、日本を除く東南アジアで稼ぎ出すGDPの総和は、日本単独のGDPの半分以下というのが現在の力である。原油は国際商品でどこの国でも同じ価格であるから、現在発展中の東南アジアのこれらの国々にとっては日本よりも痛手であることは言うまでもない。だから上海まで含めた中国の東側でキクの生産を止めたいというところが多く、生産が本当に少なくなっているのだろう。

JFMA(日本フラワーマーケティング協会)のセミナーで、東京近郊の私鉄の3つの駅で専門店のお花屋さん5軒が組んで新しいショップ展開を試みることをお話したことがある。真中の駅を中心に、両隣1駅ずつ、計3駅周辺の花店で同じ屋号、凡そ同じイメージを持つ店作りをして、新しい住民や若い人たちを新たなお客さんとして取り込もうという試みである。このボランタリーチェーンのトップになってもらったお店のOさんが積極的に動いてくれ、3店から同意書をもらったものの、隣の駅に2店舗持つ会社がどうしても同意してくれなかった。昭和40年代に始めたこの会社は、今の社長とご子息を含め3代で運営に当たっている。資産家でもある。最も影響力のあるその店が乗ってくれなかったので、結局このボランタリーはできず終いであった。まだそれほど困っていないからとリーダーのOさんは言うが、大切なのは意識改革だろうと思う。21世紀になって、まず意識を21世紀のものにしておかなければならない。それは入りやすい店、センスや鮮度、安全・安心などの保証、すなわちブランド化などが花店にも必要になっている。どこにでもありそうな花店というのは記憶に残らない花店であり、記憶に残る花店にしなければならない。
私が尊敬する小売店の一つである戸塚の或る花屋さんは、戸塚という所で圧倒的な店舗展開をして、地元とともに生きようとしている。店舗展開をするとなると、人通りの多いターミナル駅を思い浮かべるが、それも一つ。もう一つはこのように地元に密着して当てにされる花屋さんになることである。

投稿者 磯村信夫 : 22:21

2005年10月17日

消費は徐々にしっかりした足取り

 東京は生憎の天気が続いているが、昨日の午前中の強い雨の割には大田市場祭りはまあまあの賑わいであった。花き部は大田市場祭りで2つの催しをした。1つは恒例の花の展示即売会、もう1つはお花屋さんの組合が主体となって場内卸が協力して行ったハンギングバスケットなどのデモと展示の他、JFTDの長野大会で最優秀賞に選ばれた工藤準氏のデモであった。この第2部は大田市場内のアーバンホテルで行われた。アーバンホテルには愛知県や千葉県の産地からも出展があり、会場通路をほどよく埋め、来てくれた方々を喜ばせた。私は午後に小学校のクラス会があり、第2部を見ることができなかったが、一部で思ったのはお客様の心理としてまずは仕事、すなわち魚や野菜のお買い物が先、次のお楽しみの花となっていることを実感した。合理性からいえば、重い野菜や果物は帰る前に買う、傷み易いお刺身なども帰る前に買うのが良さそうに思うのだが、人の心理は面白いもので、まず先に仕事をして楽しみはあとに取っておくというわけだ。だから、私たちも上手に切花や鉢物を販売することができた。雨なので心配したが、少なくとも昨年以上には売れた。

 この10月、当然のことながら、台風で被害のあった昨年よりはキク類を中心に単価は半値である。半値といっても例年並だ。お天気があまり良くないので市況に緊張感が足りないが、洋花や鉢物は遅れているのと、必ずしも質が良いわけではないのでこの先が心配だ。


 小売りには2通りの意見を聞く。一つは都市部の繁盛店からで、涼しくなって花が持つようになったので、夏場、あまり花を買わなかった人も買ってくれるようになって、雨でも売上はまあまあですという都市型繁盛店。もう一つは、緑豊かな地方で庭もある家が多い所で、紅葉の時期だし花保ちもよくなって、これから11月の半ばまで1年の内で商品回転率の悪い時期になりますという地方都市の繁盛店である。

 都市型繁盛店とは少し拡大解釈すると、駅中や駅周辺立地やショッピングモールに入っている花店、量販店にテナントで入っている花店など、涼しくなってお客様が衝動買いするようになり、客数が増えていくタイプのものだ。

消費について市況を見ていて確実に景気が良い方向に向かっているという解釈が一つ。また中小零細企業はリストラを本格化して、喘いでいるサラリーマンも多く、デフレに歯止めがかかっていないと相反する感触がひとつある。どちらを強調するかだが、いつの時代にも幾つもの出来事が一緒に起きている。本流ではないが、確実に良い花が評価されているこの潮流に目をやり、積極的に提案していきたい。

投稿者 磯村信夫 : 19:53

2005年10月10日

量販店の仏花は使える

関東地方だけあいにくこの三連休で雨降りが続いている。昨日今日と運動会のところも多いだろうから、きっと団塊ジュニアのお子さん達は、幼稚園の運動会ができず、おじいちゃんおばあちゃんも含め、皆が残念がっているに違いない。このおじいちゃんおばあちゃんを含めて皆で行動することは、デパートなどで買い物をしていても本当によく分かる。

今は家族間で花を贈る機会はあまりないかもしれないが、誕生日には花が添えられていることが大変多い。それは団塊ジュニアの世代が誕生会で花を持っていった習慣があるからで、かく言う小生の孫も誕生日のときに花を贈ったので、8月の家内の誕生日にはその子がバラ一本誕生日にプレゼントしてくれた。

 たぶん女系化していて、娘夫婦が家の側に住むとなっているから、ここをきちっと専門店のお花屋さん達は開拓していってほしい。

さて先週の金曜日、小生の私塾ナルシス会にて都営新宿線江戸川篠崎の会員の店舗競争力を実測するフィールドワークを行った。お花屋さんというのはおかしいもので、ライバルの生花店・園芸店のことはよく知っているが、スーパーマーケットやホームセンター、そしてインターネットの花屋さんのことをあまりよく知らない。ディスカッションしているうちに分かったのだが、駅に隣接しているスーパーマーケット「ライフ」の花が確実に地元のニーズに合ってきている。そしてその分会員の売上が鈍化したことが数字でわかってきた。

特に今年の彼岸のようにお中日前から日曜日にかけて天気が悪いと、「花はついでに買われる」の法則のとおり、生鮮食料品や日配品を買うついでに花を買うとなってしまう。わざわざ花だけ買いに商店街に来てくれない。そしてそのスーパーマーケット「ライフ」の花が、特に仏花は見劣りのしないレベルになってくると、「1日・15日の仏花もここで十分だわ。」となってくる。こうなると物日には仏事の物日が多いのだから、専門店は売れる物日が限られてくる。対策は、結局、昔と同様に御用聞きをして配達もするお取引先の家庭の御用達になる。こうならなくては売上を増進させることが難しくなっている現実がある。

花束加工業者の作る花が良くなっているのは、またスーパーやホームセンターの花が良くなっているのは、21世紀初頭花屋さんが家族だけで経営しようとリストラをした、花の経験があるパート・アルバイトの人達がここに移動したからだ。地元で移動をしたなら需要もわかるし場合によっては消費者と顔つなぎもできている可能性がある。このような現況は日本中で展開されており、集客力の点から、専門店は自分のところが劣るとして、トータルの競争力を考えなければならない。せっかく良い花を揃えても、通りから見ているだけで楽しいわ。と思ってくれる消費者はあまり多くない。店に入ると何か買わなくちゃいけないようなそんな店構えの店がまだまだ多い。商店街の中にあって、「通りすがりの人達が“わーきれい”と見てくれるだけでいいんです。」とオープンカフェならぬオープン花店を目指しているあるお花屋さんは、毎年10%増の売上を作っている。ポイントは、花屋さんにとって仏花のライバルは量販店になったということ。専門店はまだまだ量販店より品揃えは豊富なのだから、できるだけオープンな店造りをすること。この二点が今繁盛店になるために認識すべき重要なポイントである。

投稿者 磯村信夫 : 10:22

2005年10月 3日

花き業界で何ができるか

経験者を集めやすくなった。今から10年前は花の小売店で働いたことのある経験者を集めることは本当に難しかった。花束加工業者の社長さんは経験者優遇とリクルート雑誌に載せたりしていたが、一から教え込まなければならないことが多かった。それがここ2,3年で花店はよりスリム化して、家族だけでやろうと、パートやアルバイトに辞めてもらうことが多く、そういう人材が集まる状況になっていている。だから、量販店でインショップ化された花売り場でも経験者が集まるし、仲卸さんが取引先のために水揚げサービスをする場合でも人材が確保されている。

 これでは量販店がますます力を付けやすい状況が生まれているのだ。この点を専門店は意識し、ライバル店の品揃え、価格帯、販売方法などをチェックし、棲み分けて共栄していけるようにしていただきたい。

投稿者 磯村信夫 : 17:15

読者の皆さんの会社でもパソコン履歴を取ることをお勧めしたい

 マネジメントのために社員のパソコンの履歴をチェックすることをお勧めする。私の友人で或る大手の会社の子会社(といっても東証一部だが)の社長をやっている同級生がいる。近所に住んでいるので同じ大森の飲食店でたまに会ったりする。彼は社内で個人が使うコンピューターを廃止したことで有名だ。そのまた関連会社では、全ての会議を立って行うし(なにやらドイツの会社のようだが)、資料も配らない。また、パソコンは社員に与えているが、必ず履歴をチェックすることで有名な会社だ。全体の相乗効果でやはり日本で最も優れている会社の一つとなっている。

 私は算数が好きだったので、数理経済学や大学のゼミでも数学を取り、卒論は二進法に関するものであった。だから、ゼミの同じクラスの生徒は私を除き全員がコンピューター関係の会社にいる。彼らと会うといろいろな面白い話が聞ける。

3年前だが、経常利益1-5%の会社は合理化できていないはずだからと、或る大手の食品卸の事務職を調べてみたところ、3分の1が仕事以外のプライベートなことにパソコンを使っていた。人によっては5割、メールでも半分が私的に使用されていた。

本来の目的以外の仕事に人は多くの時間を取られている。営業なら商談、部下がいればマネジメントを行うためにいる。まずパソコンの使われ方のチェックから行うと組織は締まる。それ以外に費やされる時間を徹底的に少なくしていくことが合理化に繋がる。

投稿者 磯村信夫 : 16:54

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