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2005年11月14日

値段が下がっても大丈夫な取組みを

 先々週、ドイツとオランダを見ていてグローバリゼーションの中、花の価格は日本でも下がっていかざるを得ないと覚悟した。島国だから輸送コストはかかるものの、今の切花鉢物の単価で留まっているはずはないと確信したのだ。
その理由を2つ挙げるとすれば、日本・北アメリカ・ヨーロッパの国々の人たちを合わせると8億人近くいて、その人たちは経済的にも花を楽しむだけの余裕がある。また、これらの国々と同じ生活レベルとしている人たちのうち英語とインターネットを操る人たちが7億人いて、合わせると地球上で15億人の人たちが同じような価値観で生活している。だから今後とも相対的に農産物価格が高い日本に農産物を輸出しようとする力が働く。2つ目は国内事情だ。中流意識がなくなり自分らしさを求めようとする中で自己実現を目指すのであればいいが、気に入らないことはやりたくない、自分に合っていないからやらないなど、努力することに重きを置かない社会になりつつある。グローバリゼーションは競争社会だから働かざる者食うべからずであるにも関わらず、今の日本の社会はフリーターやニートが示す通りである。
上流が15%、中が45%、下が40%の社会となってきた。そうなると良い物は物語性を付けてブランド化し、売り抜くことができるがこのマーケットは大きくない。花の出荷者は日本だけではなく海外にもあり、上流の15%に好まれない花は価格が下がっていく。こう考えているのだ。
現在の日本の花き業界では、売れ筋が分からなくて結局多様化しすぎてしまい、手間ばかりかかっている。
品種数が多すぎるから、まず効率化を目指し死に筋をカットしよう。そうでないと生産するにも農協の選別所も卸売市場で売るのも大変で、小売店にしても覚えきれないほど品種がある。品目も絞れるものは絞ろう。国内では一番物流効率の良い箱の規格を決めよう。4トントラックや大型車、エアカーゴコンテナの内寸に合わせた最も効率的な統一箱を日本でも作ろう。産地は取引業者ごとに営業コスト、分荷コスト、ロジスティックコストなどを含め、一つ一つの取引コストを明確に計算しよう。ABC分析(Activity Based Costing)で行うのがよいだろう。運賃はプール計算などで丼勘定などしてはいないか、卸売会社は産地と買参人ごとに一つ一つの取引コストや収益バランスを計り、より効率的に取引できているかをチェックしよう。このように個別具体的に収益チェックをしていくことにより新たな事業や利益機会を検討することができる。また、取引する者同士(種苗・産地・輸送業者・卸・仲卸・小売店)がそれぞれ取引条件を提示し、それに基づいて合理的な取引ができていく。日本はWTOやFTAで農業が一つの問題となり、結局主導権を握れないどころか、隅に追いやられる始末である。食管法をなくし、所得保証に踏み込んだ日本の農政はもう農業問題で貿易交渉が暗礁に乗り上げるという恥ずかしいことはやめなければならない。花・青果・魚・肉の価格を見ても分かる通り素材価格は下がっていく。これを前提に考え、収益が出せるしくみを各業界、各社が責任を持って作っていかなければならない。それが今年の価格安の示唆である。

投稿者 磯村信夫 : 2005年11月14日 17:39

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