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2006年1月23日

『年商3500万円』

 21日の土曜日、東京は雪が降って、一都六県の小売需要は鈍い。今年は本当に寒い日が続くので、小売需要は日本列島冷え込んでいる。しかしヨーロッパは今年は暖冬気味で、読者の皆さん方も冬物衣料が売れ残ったパリの1月大バーゲンに、日本人が大挙して押しかけ、コートなどを買っていたとのニュースをお聞きになった人も多いでしょう。ロシアは寒いものの、ポーランドぐらいまでそんなに寒くなく、オランダで最低温度が3℃以上の日がずっと続いているので、小売需要が活発で、ヨーロッパは総じて去年よりも相場が一割ほど高い水準で推移している。
2月のヨーロッパは、パリでメゾンオブジェがあり、ドイツのエッセンでIPMがある。11月のアムステルダムの花き園芸フェアと、この2月の冬のフェアは、花き産業がどういう方向に向かっていくのかを見る大切な展示会だ。これにチェルシーフラワーショー、日本のギフトショー、アメリカのスーパーマーケットショー、そして日本のIFEXを見ておけば、おおよそ世界の花き業界がどのように動いていくか、両3年の見通しはつく。
 世界の花き業界では、日本とオランダを除き、前向きな投資を行っている。特に東アジア、東南アジア、中央アフリカ、南米で花き生産業への参入が盛んだ。これは将来産地が移動することを意味する。荒っぽい数字だが、オランダの花市場協会で2005年の輸入花比率は30%であったという。日本が20%を下回る水準だから、日本より10%オランダは多い。そうなると、この冬場など半分以上が諸外国のもので、よほど高付加価値のものを作っていかないと、製造原価の高いオランダでは既に生産が難しくなっている。
日本の問題点は、オランダの生産者より、産地から消費地まで運ぶ運賃コストが余分にかかる点だ。もう一度各生産地は、トータルのコストの見直しと、品目品種の見直しをしていく必要がある。また買い手である買参人は、小売業は立地産業だから、自分の立地を再度チェックし、ネット販売などの比率も考え、年商で3,500万円以上の店作りをしなければならない。個店で平均日販10万円で年商3,500万円が、そこで働くもののお子さんを大学に行かせることができるかどうかの目安で、何も大学に行かなくてもいいが、しかし行きたいと言った時にお金がないというのはこれは問題で、花き業界の人材の質に懸念が残る。生産地、小売店ともこの3,500万円が、世界で購買平価から見た独立店舗の花店や生産者の売上目安である。日本は、そこを一つの目安として、自分の事業の再構築を行ってゆきたい。

投稿者 磯村信夫 : 2006年1月23日 17:41

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