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2006年2月20日

自然の心地よさ

今年のドイツのエッセンのIPMの方向付けは「ホッとする環境=自然」と「アップサイドダウン(さかさま)」であった。ドイツ人は週末に森を散策することが大好きで、自然と共生しようとしている。小生はこの欧州の旅にドイツのシェリング哲学の第一人者である西川富雄氏の環境哲学の本を持っていった。旅行最後の日、ムハンマドを風刺したとかでデンマーク大使館が焼かれ、このトリノオリンピックでも、イタリアの閣僚の一人が風刺のTシャツを着て挑発したとかで、警備が厳しくなっている。
アミニズムから多神教へ、そして一神教へと、こう宗教は進化してきた訳だが、弁証法でいう螺旋状の進歩がグローバリゼーションとともに、一神教からもう一度多神教になって、それで終わりではなく、寛容が大切になってきているように思う。ニーチェの“神は死んだ”から自然の創造物の一つである人間が尊大になり、他の生物を滅ぼしたり、自然環境の破壊をするなどを戒めようとして、現代はそこに神の存在を認識したり、宗教的な価値を哲学でも見出そうとしている。
 フィリピンの大規模な地滑りをみても、結局森林破壊が山の神を怒らせてしまったようだし、まさにゲーテが言っていた“自然の前で人はひとたまりもなく埋め尽くされてしまった”光景となっている。一方に、人のエゴの大きすぎる破壊やご都合主義があり、一方にそのバランスをとろうとする自然なるものへの畏敬と、それを自然の恒常性(ホメオスタシス)が保てるよう、我々人間が慎み深く生きていこうとする規約を作り、守り、行動することが求められている。
花き産業も当然人為的に生み出されたものといえども、有機野菜の料理を手を入れた自然調な盛り付けをして食卓に並べるように、花も減農薬や省エネ栽培、土に戻りやすい鉢ものや関連資材を使って、魅力的な自然を作り出したり、一つ一つの花の生命力を魅力的に映し出す技法で消費者に訴えかけていく必要がある。自然環境についての世界的な関心は、日本の花き業界でもそれぞれの分野で真剣に取り組んでゆく必要がある最優先課題である。

投稿者 磯村信夫 : 2006年2月20日 17:31

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