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2006年3月27日

今年の彼岸は団塊の世代のお陰

今年の人事異動も大変多いようで、東京のオフィス街の花屋さんは今週、1年で最も忙しい日を迎える。レストランや飲み屋さんも大変なことだろう。

さて、狭義の団塊の世代は1947年から49年の3ヵ年に生まれた人たちで、日本の人口の6%あまりを占めるが、広義で1951年生まれまで入れると10%になる。2007年問題とは、団塊の世代のリタイアが始まり、技術力を持った人がリタイアするので、この技術力をどのように社内に伝承していくかという点と、大勢定年退職していくため、その後の労働力確保をどうするのかという2点が問題とされ、対策が練られている。
今年の彼岸はどこの花屋さんもよかったと聞く。今年の彼岸は定年を前にした団塊の世代が日本中で墓参りに行った。卒業式などの需要は店により偏ったが、お彼岸の仏花需要はどのお花屋さんも良かった。それはやはりお客さんの数の問題だ。団塊の世代の人たちが花のお客様としてこれまで以上に、今回の彼岸や盆のように花を使ってもらえるよう我々は努力する必要がある。

先週、日本フラワーデザイナー協会主催の日本フラワーデザイン大賞を東京フォーラムに見に行き、昨日は日本家庭園芸普及協会主催の日本フラワー&ガーデンショウを幕張メッセに見に行った。いずれも展示技術は素晴らしく、年々レベルが高くなっており、教えられることが多い展示会であった。団塊の世代が夫婦連れで多く来ていた。それにしても両展示会ともかなりの人手で、花のイベントの集客力を見せつけられる思いであった。

投稿者 磯村信夫 : 11:48

2006年3月20日

移民も大丈夫なのではないか

昨日第28回全日本ラングラウフ月山大蔵大会に行ってきた。今年は20回連続出場の表彰を受けたが、このラングラウフ大会も団塊ジュニアが小中学生だったピークの頃、4,000人弱の参加者がいたが、いまでは1,000人くらいに減った。20年前に最上郡舟形町の花き生産者や農協の方と一緒にラングラウフを始めたが、その間この地域も成熟国家としての新たな進展をしてきた。
舟形町は雪が深く、お墓が雪に埋もれているので3月のお彼岸はしない。ここで農業を営んでいくためには収入の面からだけいくと、夏に人一倍働いて、稼いでおかなければならない。そんなふうだから嫁の来てが少なく、中国の吉林省から多くのお嫁さんをもらっている。同様にフィリピンからもそうだ。新庄地域のお父さんお母さんが優しく迎え入れてくれるから、海外から来たお嫁さんたちも本当によく地域に溶け込んで生活している。

話は変わるが、昨年、今年とオランダでたくさんのポーランド人が農場やら花束加工場で働いているのを見た。ポーランドの人たちは日本の鹿児島の人と同じように、毎日と言っていいほどお墓参りをするし、先祖や家族を大切にする。日本人の我々と宗教こそ違うものの、似たような精神面を持っているのでとても気が合う。ポーランドはEUに加盟し、大変な面もあるが、メリットは大きいし、先に進んだドイツやオランダなども中長期的にはメリットが大きい。
日本もFTAやEPAでアジアの人たちと行き来が多くなる。新聞を開けば靖国問題や歴史問題、領土問題など中国や韓国とのいざこざが目に付くが、実感としてはアジア諸国でも日本の受けは良い。舟形や肘折の人たちの中国人やフィリピン人の受け入れ方を見ていると、偏った職業にだけ就くようなことがなければ、すなわち日本人が嫌がる仕事だけを外国人にしてもらおうとさえ思わなければ、大体において移民を受け入れるだけの度量が日本にはあると見てよいと思う。

私はここ5,6年、毎年ラングラウフで肘折温泉に行く度に、日本人の包容力と外国から着たお嫁さん他、働き手の相互信頼を確認して帰路に着く。EPAは日本が推し進めるべき政策であり、慎重な中にも急いで締結数を増やしていくべき政策である。

投稿者 磯村信夫 : 10:10

2006年3月13日

情報経済

ホワイトデーの買い物がてら、久し振りに土曜日の街を歩いた。最高の天候に恵まれたので、銀座も新宿も繁華街は大勢の人で溢れていた。
高くても価値のあるものは売れているというが、本当にそうで、衣料品だけでなく花も良く売れていた。13日の今日はお彼岸の花の最大の出荷量。沖縄県が前進しており、今日が最も多い日となっている。小売店も店により卒業式、ホワイトデー、宴会と寝る間もないほど忙しい店があるかと思うと、これらの3月の特需を得ることができず、彼岸の需要だけになっている店も多い。なぜこうも特定の小売店にあらゆる需要が集中するのか。かつては卒業式もホワイトデーも満遍なくどこの店でも需要を取れていたのに、21世紀になって情報販売と言おうか知識販売と言おうか、経済そのものが情報化して、情報経済をきちんとこなしていかないと物やサービスを売れるということができにくくなってきた。商いが細るのだ。事前に段取り、呼びかけ、商品の陳列が出来て初めて売れる。こうなってきているのだ。実体経済の発展は情報経済が条件となっているのだ。
このことは売り場や会社だけのことではない。業界についても言える。卸売会社でもセリ前取引の手法のひとつ、ファックスやインターネットでお知らせし、定価売りをしているところが随分と増えた。ホームページを出すというのは企業として至極当然で、これがなければ信用すらおぼつかない。こう思ったとき、もしかしたら花き業界が伸び悩んでいるのは、オーバーストアだけでなくPR不足なのではないかということに思い至った。どうすれば全体としてアピールできるか。全体という時代でないとすれば、力ある企業は積極的に消費者にアピールしていく。いくつもの企業が積極的にPRし、それにより需要が喚起されるというふうに世の中はなってきているのだ。

投稿者 磯村信夫 : 16:00

2006年3月 6日

新たな局面に入った世界の政治経済と日本花き業界

 偶然かどうか分からないが、中国共産党全人代の会期中、ブッシュ大統領はインド・パキスタン・アフガニスタンを訪れ、政治経済において今後とも相互補完をしながら発展していく旨を約束した。アメリカについての見方はいろいろあろうが、当のアメリカ人やヨーロッパ人が思っているアメリカ像というのはピルグリム・ファーザーズの考え方そのものだ。自分の主義主張を通すために、旧大陸、すなわちヨーロッパを捨ててでも果敢にチャレンジする。勝つためには圧倒的な軍事力が必要だ。こう考えているのがアメリカという国だ。だから傲慢さが出るときもあるし、若さが出るときもある。だが世界で唯一の超大国といっていいアメリカで、2005年、上院と下院合同の公聴会で中国政策が話し合われ、中国をかつてのソ連ほどでもないにしても、石油戦略上の仮想敵国と位置付けた。アメリカの対中戦略が変わったわけだが、その一端はブッシュ大統領のインド訪問となっているし、先週の台湾陳総督の発言となって表れている。そのような新しい枠組みの中で、景気が上向いてきた日本は経済的に21世紀型に変わったかのように思われているが、そうは楽観視できない。
 日本の本当のご近所である中国やインド、ロシアが世界経済の中で台頭してきているから、日本人がやらなければならないことは弛まぬイノベーションによって更に価値を高めたり、生産性を上げてコストダウンを図っていくことである。知識(知価)社会になっているから、絶えず知識を更新しながらこの世にないものを生み出していくことが必要だ。これは言うは易いことだが行うは難し。というのも実際日本の得意技はゆっくりした改革(維新)で、根本的に改革のスピードが遅いから改善を積み上げていく。この改善が日本の得意技だ。海外から日本は保守的だとよく言われる。例えば白バラならティネケが中心となって流通している国は、もはや日本を除いてはない。もっと大輪のアキトが中心だ。赤バラならローテローゼのように良いとなったらずっと続くのも日本ならではの傾向だ。これは花の例であったが、規制緩和が撤廃され、自由競争が世界の潮流となったが、日本では規制もしくは自ら内部のルールで、自由化の中でもインフォーマルな課題について規制を敷く文化があり、その保守的な暗黙の規制の中で商売を発展させていくのが得意技の一つだ。中国・ロシア・インドが台頭してくると、これがむしろ仇となり、遅れをとりかねない。

 ここまでは日本経済の一般的でインフォーマルな課題について話をしてきたが、花き業界はまさにこの縮図である。景気が良くなったというが、なかなか実感できないとの声を聞く。それはそうだ。10年近く貯金を取り崩して支出をしてきた日本国民は、所得が増えたので貯蓄をまた始めた。そんなに簡単には花の消費に回ってこない。プラス経済界同様、フラワービジネスも構造改革を余儀なくされているのだ。構造改革をしているということだけでも意識していく必要がある。大田市場の仲卸通りを見ていても知識時代だから、情報売りが欠かせない。ポップやお勧め表示など、今の時代に合った販売をしている店があるかと思うと、相変わらず20世紀と変わらない売り方で何を売ろうとしているのか分かりにくい、唯一箱から出した花を水に浸けて売っている、そんな仲卸の店舗もある。その会社の経営者が構造改革を意識しているかどうかはこんなところでもすぐわかる。花き業界の我々も日本の課題を花き業界の課題とし、精進してリストラしていく必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 17:16

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