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2006年3月 6日

新たな局面に入った世界の政治経済と日本花き業界

 偶然かどうか分からないが、中国共産党全人代の会期中、ブッシュ大統領はインド・パキスタン・アフガニスタンを訪れ、政治経済において今後とも相互補完をしながら発展していく旨を約束した。アメリカについての見方はいろいろあろうが、当のアメリカ人やヨーロッパ人が思っているアメリカ像というのはピルグリム・ファーザーズの考え方そのものだ。自分の主義主張を通すために、旧大陸、すなわちヨーロッパを捨ててでも果敢にチャレンジする。勝つためには圧倒的な軍事力が必要だ。こう考えているのがアメリカという国だ。だから傲慢さが出るときもあるし、若さが出るときもある。だが世界で唯一の超大国といっていいアメリカで、2005年、上院と下院合同の公聴会で中国政策が話し合われ、中国をかつてのソ連ほどでもないにしても、石油戦略上の仮想敵国と位置付けた。アメリカの対中戦略が変わったわけだが、その一端はブッシュ大統領のインド訪問となっているし、先週の台湾陳総督の発言となって表れている。そのような新しい枠組みの中で、景気が上向いてきた日本は経済的に21世紀型に変わったかのように思われているが、そうは楽観視できない。
 日本の本当のご近所である中国やインド、ロシアが世界経済の中で台頭してきているから、日本人がやらなければならないことは弛まぬイノベーションによって更に価値を高めたり、生産性を上げてコストダウンを図っていくことである。知識(知価)社会になっているから、絶えず知識を更新しながらこの世にないものを生み出していくことが必要だ。これは言うは易いことだが行うは難し。というのも実際日本の得意技はゆっくりした改革(維新)で、根本的に改革のスピードが遅いから改善を積み上げていく。この改善が日本の得意技だ。海外から日本は保守的だとよく言われる。例えば白バラならティネケが中心となって流通している国は、もはや日本を除いてはない。もっと大輪のアキトが中心だ。赤バラならローテローゼのように良いとなったらずっと続くのも日本ならではの傾向だ。これは花の例であったが、規制緩和が撤廃され、自由競争が世界の潮流となったが、日本では規制もしくは自ら内部のルールで、自由化の中でもインフォーマルな課題について規制を敷く文化があり、その保守的な暗黙の規制の中で商売を発展させていくのが得意技の一つだ。中国・ロシア・インドが台頭してくると、これがむしろ仇となり、遅れをとりかねない。

 ここまでは日本経済の一般的でインフォーマルな課題について話をしてきたが、花き業界はまさにこの縮図である。景気が良くなったというが、なかなか実感できないとの声を聞く。それはそうだ。10年近く貯金を取り崩して支出をしてきた日本国民は、所得が増えたので貯蓄をまた始めた。そんなに簡単には花の消費に回ってこない。プラス経済界同様、フラワービジネスも構造改革を余儀なくされているのだ。構造改革をしているということだけでも意識していく必要がある。大田市場の仲卸通りを見ていても知識時代だから、情報売りが欠かせない。ポップやお勧め表示など、今の時代に合った販売をしている店があるかと思うと、相変わらず20世紀と変わらない売り方で何を売ろうとしているのか分かりにくい、唯一箱から出した花を水に浸けて売っている、そんな仲卸の店舗もある。その会社の経営者が構造改革を意識しているかどうかはこんなところでもすぐわかる。花き業界の我々も日本の課題を花き業界の課題とし、精進してリストラしていく必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 2006年3月 6日 17:16

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