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2006年4月 3日

デザイン力

昨日の午前中、新橋にある東京美術クラブへ「東美アートフェアspring」を見に行った。好きな作家の絵や香炉などを堪能したが、景気が上向きのせいもあり、例年になく力の入った展示会であった。
目の保養だけのものや、車を買うのだったらこれをという購買意欲をそそられる秀作がいくつかあり、なじみの美術商と相談をしたりした。特に島田文雄の香炉は、大田花きの商品開発室でちょうど香り分析や香りを花の付加価値として販売するプロジェクトをやっているため、私とその作品との間に壁がなく、愛情を持って見ることができた。
新橋の美術クラブには友人の古美術商の家が三軒先にかつてあったことから、建て替えてからも何度か行ったが、長い不況のため秀作も思った値段が通らなかったので、美術組合としてもようやく春が来たというところであろう。
さて、そのあと並木通りを通って日本橋へ行ったが、美術品を見る目で商品を見ているものだから、あるいは人の所作を見て値踏みをしているため、買い物をしていてもなかなか買う気にならない。そこへ行くと桜もそうだが、花店の春の花はのびのびしていて本当に買う価値がある。
日本橋界隈で買い物をしていても、どうしても美術クラブの影響でデザインに目が行く。機能も含め、このデザイン力が商品力だ。ついに日本橋をあきらめ、いつも買い物している新宿の伊勢丹に行ったが、ここの品揃えは昨日の私の価値観によく合っていた。
ファッションは生活デザインであり、そのデザインゆえに買う者の心を強く打つ。一流ブランドの物はデザインに優れ、プラス機能的であるから、普段はブランドをきちんと見ようとしない私も、昨日ばかりはそれぞれのブランドのデザイン力と自分の生き方のデザインを重ね合わせて買い物をした。新宿にも高島屋と伊勢丹に花店が入っているが、それぞれデザインを意識した取り組みがなされている。そして他の物財と比べると、さらに花もデザイン力を高めていくことが必要である。デザイン性の観点からいくと、テーブルセッティングやインテリアデザイナー、家具デザイナー、居住空間デザイナーの方が、現在のところ我々花のプロよりも勝っていると言わざるを得ない。デザインの視点でもう一度切花の作品や鉢物を見直す必要がある。特に、鉢物にはデザイン力は生命線となっている。

投稿者 磯村信夫 : 2006年4月 3日 00:00

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