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2006年4月17日

『良くて安い』は国内で供給するか?

 冬は、スキー場の天気が良いときにはスキーに、昨日のように雨のときは妻と朝からお台場のスポーツクラブに行く。それが日曜日の午前中の過ごし方だ。
 7時30分にスポーツクラブにいたが、トレーナーは「今日はゆりかもめが動かないから、宿泊の人で朝から盛況です。」と苦笑いしていた。確かに2日間も止まっていたなら、身動きできず、まずスポーツをというところだろう。
 一汗流して、16日の日曜日の目的、JR中央線で立川駅から歩いて行ける国営昭和記念公園(故昭和天皇のご遺徳を偲び作られた公園)の立川駅口にある花みどり文化センターに行った。ここで第1回切花・鉢物等部門のジャパンフラワーセレクションが行なわれている。初回だということで、出品数は100点あまりと少なかったが、NFDの協賛もあって、「こう飾ったらこんなに素晴らしい」をその場で体感でき、質の高い展示会であった。昭和記念公園を時折降る小雨の中散歩したのもよかったが、この展示会は確かに見に行く価値がある。
 会場の中でバラの新品種に目をみはった。東京都花き市場組合の樋口理事長が14日の金曜日に「磯村さん、バラの品種は素晴らしいですよ」とおっしゃっていたが、日本も菊類を除くとバラがますますシェアを拡大するのではないかと予感した。それを見終わったあと、八王子と並ぶ多摩地域の拠点都市である立川の駅周辺を探索した。
 とある百貨店の社長さんによると百貨店という業態が成り立ちえるのは、札幌・仙台・東京・名古屋・京都・大阪・広島・福岡の8つの都市で、京都は横浜と同じく百貨店の適地として入れてもよいし入れなくてもよい都市だそうだ。これはあくまでも百貨店と言う業態が活躍しつづけられるかという視点で都市を見た見方だが、花市場でも70億円以上の取扱額がある都市と合致しているので、一つのしっかりした地域経済と文化を持っているところと言えるだろう。
 さて、百貨店の話になったついでに、立川の伊勢丹と高島屋、またJRのルミネを見ると百貨店という業態がここでも機能しているのがわかる。
 男性のワイシャツで言えば、世界的なシャツメーカーのブランド品は1枚5万円以上する。さすがにこれは立川にはない。衣料品の世界ブランドのワイシャツは2万円台、それよりちょっと落ちたブランド品が1万円台。デパートで売る一般的なワイシャツは8000円台が主だったところだ。そしてルミネのようなところでは1万5000円から5000円が多い価格帯。そしてユニクロなどでは3000円台。このようにワイシャツはなっている。お仕立て券付で2万円ちょっとが一般的になっているのは、それなりの生活様式をする名士の人たちが日本にはまあまあいるとうことだ。
 花屋さんでも名の通ったレベルの高いお花屋さんたちがここ立川でも消費者の支持を受けている。立川は良いものが売れるのだ。
 花やみどりの本物というものはしょっちゅう見ている身のまわりの自然にあるので、花や緑の品質を誰でもよく知っている。そうなると、良くて値頃なものはどんなものか?ブランド好きな人は「価値あり、高いけれどこれは価値あります」という花束や一流花店で花を購入する。しかし、デパートが存在できない都市で、ここ15年間花の価格帯が下がったところの花店や花市場はどうすれば良いだろう。現に、この国で年収600万円未満の人が80%以上いるのだから、よくて安いものを花も供給しなければ花の需要は減退してしまう。高級品はジャパンフラワーセレクションのように、素材もよく新商品で消費を刺激する。しかしこれはM字消費の高額所得向けだ。中流が下流化し、一家600万円以下で生活をする。その人たちに向けての花は国内で本当に作れるのか。展示会を見たのち、立川の街を見て、つくづくそう思った。たぶん専門店や百貨店で売る花に国産は絞り込むべきではないのではなかろうか。

投稿者 磯村信夫 : 2006年4月17日 00:00

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