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2006年5月 1日

信条としている原理で

 昨日、今期最後のスキーに越後湯沢へ行った。上毛高原も越後湯沢もソメイヨシノがちょうど満開で、今年はお花見を何回もしたことになる。
昨年の4月は、母の日がゴールデンウィーク直後ということもあり4月の下旬から相場が高揚していったので、今年の4月は前年実績を大きく割り込んだ。予定通りといえば予定通り前年を下回ったわけだ。5月は14日が母の日と最も長い前哨戦を送るので、小売大手各社は昨年よりも2割多い取引量を予定している。4月が落ち込んだ分5月に期待したい。

さて、ビジネス誌を多く出版するダイヤモンド社が『世界を変えたビジネス思想家』という本を出版しているが、その本の最初にクリス・アージリスが載っていたので思わず買ってしまった。
 大学時代は経営学部であるにも関わらずほとんど経営学の勉強はしなかったが、唯一このクリス・アージリスだけは学んだ。経営者に向かって従業員に対して、確かこういった本の題名だったと思うが『人間をこう見てほしい』と訴えた経営学の本に惹かれ、アージリスにのめりこんでいった。経営学について他に勉強しなかったから、当然アージリスの考え方がいつの間にか自分の考え方になっていて、「言うは建前、行うは本音」など僕はこれを自分で考えたことだと思っていたが、アージリスの著作を読み返してみると、前者は「信条としての原理」、後者を「実用のための原理」と呼んでいて、僕はアージリスの受け売りをしていたのだと気付いた。
 立派な理想とする原理を体得したとしても、先月の4月期のように10%以上売り上げが落ち込んで利益が出にくくなると組織が生きていくために実用のための原理が働き、生産性をいかに高めるかという議論でなく、経費をいかに削るかという実用のための原理ばかり働いてしまう。会社という組織はこのように過去の経験が役立ちにくい組織で、いかにして信条としている原理(この場合生産性を上げること)に経営資源を集中させて、うまくやるかを考えることが必要だ。結局、組織自体が学んでいこうとする文化をもっていかなければならない。なかなか難しいことであるが、信条とする原理に基づき、会社や業界を運営していくことこそ、健全な社会が出来上がっていく道であろう。花き業界の各組織体も、本音と建前を使い分けるのでなく、どのように信条としている原理で行動できるかを考え、社内文化を改造していく必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 2006年5月 1日 00:00

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