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2006年5月 8日

“Learn”

 マイケル・ポーターの「国の競争力」を読んでいて、つくづく教育の大切さを痛感した。もう3年以上も前になるが、インドネシアを訪れたとき公立の小学校で落第があるというのを知って驚いた。義務教育できちんとした学習をしていないと経済発展がおぼつかないためだという。国の競争力の中で貧しい国が中進国になることはいくつかのデータが示している。しかしこの中進国から先進国に浮上していくのがなかなか難しい。経済で言えば、イノベーションのような革新が必要なのだろう。その意味で、ノルウェーやフィンランド、スウェーデン、デンマークなど北欧の競争力は持続し、とても高い。
 パレートの第2法則の2:6:2法則「言われなくてもやる人が2、言われたことしかやらない人が6、言われたこともやらない人が2」に従うと、普通の6の人がイノベーションを起こし、言われなくてもやる2の人に入ろうとする。ここに国の競争力がジャンプする大切なポイントがある。
 私たち花の卸売業は2009年に委託品の販売手数料が自由化になり、今までと同じようにやっていたのではもうすでに単価が下がっていて利益が取れなくなってきているのに、もしこの上、粗利の下げにつながっていくとしたら、何も考えず今までどおりのやり方で一生懸命働いたとしても朗報が待っているわけではない。となると、“think”考えなければならない。考えて、こうありたいという自社のイメージをはっきり持って、そして今できていることでそこにつながる道を歩んでいくしかない。できないことを今さら取り立てても意味はない。できることで、できそうなことで将来自社が向上していく方法を探るほかない。
 先日ドラッカーの本を読んでいたら、ソクラテスがソフィストたちを痛烈に批判している個所があった。ソフィストは若者たちを“teach”教えたのである。それをソクラテスは不遜だと言うのだ。ソクラテスは唯一人に教えていいのは、自ら欲するものの学び方だけだという。自主的な学ぼうとする心を学ばせることが教師や先輩、上司の最も大切なことだというのである。
「啐啄同時(そったくどうじ)」ということがこの世にはある。よって学びの道には必ず師が必要だ。良き師に恵まれたとき、はじめてその人はその人のもてる力を発揮する。
 さて私たちは手数料の弾力化と新しいお役立ちの道を歩みはじめた。誰もどうしたらよいかを教えてくれない、自ら学び考える以外にないのだ。主体的に学ぶとき初めて個性化が出てくる。護送船団方式の卸売業界において、花も青果も魚も肉も卸売会社のその個性にあった付加価値がつくられていくのである。2006年現時点では、考え学び、力をためているときである。

投稿者 磯村信夫 : 2006年5月 8日 17:57

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