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2006年6月26日

世界一を目指す

先週、日本フローラルマーケティング協会主催のMPSに関する講演会があり、本部のde Groot氏が来社され、世界の花き生産につき話し合う機会があった。
「伝統的な小売店が少なくなって、量販店の取扱が増えてきています。また生産地もオランダからアフリカなどに移行をし、その規模もどんどん大きくなっています。この傾向は、今後ますます加速化するのではないでしょうか。」「その通りだと思います。それが日本も含めて世界の花き流通のメインストリームだと思います。しかし日本は共同組合組織(農協)と仲間同士で作る任意組合の伝統があり、一人一人の面積は小さくとも、リーダーさえいれば心を一つに合わせて一定規模の面積を確保し、花の生産をしつづけてくれると思います。また、日本の農業は確かに65歳以上が約60%と将来に不安がありますが、株式会社も農業をできるという道を日本は切り開こうとしています。」
「ヨーロッパやアメリカのように大きな小売会社、生産会社というこのような構図だけでなく、一家庭の中での家計に占める花き消費のウェイトを反映した小規模でも成り立つ花き業界ができるのではないかと思います。」
「ただし今後とも活躍しつづけるには条件があります。かつて野球を例に出し、お話したことがあるように、野球は草野球、高校野球や都市対抗などのノンプロ野球があります。セ・リーグ、パ・リーグのプロ野球とノンプロ野球の違いは、プロは野球が職業で、お客様・ファンを喜ばせるために存在し、日本一を目指します。そして、大リーグがあって個人としてもチームとしても世界一を目指し、世界の野球ファンに感動を与えることを商売にしています。プロは誰よりもうまく野球をするために生活の全てを組み立てます。ちょうど私たち市場の人間が夜中や早朝、よい仕事をしようと休日でもコンディションを整えるようにです。その仕事で給料をもらっていると言うことは基本的にプロなのですから、私生活をどのように合目的に過ごすかこれも重要なことです。」
日本がASEANとEPAを結んだあとも、またASEAN+3で新しい東アジアの経済圏が確立したあとも、生産者が花で生活をしていくためには日本一を目指すだけでなく、世界一を目指す必要がある。一つの素晴らしい事例を取り上げよう。
ご本人たちは世界一を目指すなど大それたことは考えずに世界一の花作りをしている人たちである。その人たちとは千葉県 JAいすみの17名のSPストックを作っている岬の部会の方々だ。千葉県でもストックをはじめたのはむしろ最近で、ちょうど館山の世界的育種家黒川さんがSPストックを開発されたその時期にストックを作り始めた。だから基本に忠実、言われた通り生産するこの岬の方たちの評価たるや、大変高く、買い手同士でも岬のSPストックを買っている人は仲間から一目置かれている人たちである。このように日本にはすでに高い評価を受けている産地があり、なにも未来を憂慮することなぞ必要のない産地がたくさんあるのである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2006年6月19日

父の日

 16日(金)に父の日に向けて黄色のバラだけでなく、ひまわりやガーベラなど黄色のものの市況が全般的に強かったので、今朝いくつかの業態の小売店の仕入責任者に、「土・日の父の日どうでしたか?」と尋ねてみた。昨日街を見る限りでは、クールビズ用のシャツやお父さんの好きそうな食べ物等、明らかに父の日用とわかる売れ方をしていて、父の日なのに何もしないという家はほとんどなかったのではないかとうれしく思った。花店もお父さんへのプレゼントのためか、父の日を花を買うきっかけにしているお母さんや娘さんがいるということかわからないが、花はまるっきり父の日に関係ないというわけではないようで、母の日と一緒に父の日の需要を取り込んでいった花き小売業界の成果がじわじわ効いてきているのかもしれない。
 さて、団塊ジュニアを中心に、お子さんがまだ小さいお父さんは土・日のどちらかは家族サービスの日にしているのだろう。この世代は学校を卒業し、働き始めて10年仕事がどんどん解り出し、今後の仕事人生でどの分野のプロになるかの分かれ道にある。20歳の後半から35歳までにかけて、それぞれのサラリーパーソン(組織人)は、何を目指すか決めておく必要がある。よく言われることだが、仕事上の自己目標を決めておかないと、仕事がだいたい解ってきた頃から社内政治や怠惰な生活に走ることがある。それが45歳まで続く。この間の10年間は、伸びる人とそれなりの人と分かれる時期だ。仕事をしはじめて20年後がもっとも脂ののった生産性のあがる時期だといわれており、その間に社内政治にうつつを抜かすようでは、その会社の生産性は高い意識には上がってこない。二人からが組織だが、組織の生産性を高めていくためには、理想に向けてお互いに協力し合い、切磋琢磨していく必要がある。それは夫婦であろうが、社内の一部署であろうが同じことだ。
 日本のお父さんたちで会社によって差がつきはじめているのは、この30歳代からのキャリアプランの持ち方や、研修制度の有無、あるいは会社の中でこのようなことを意識しているか、していないかである。あっという間に45歳になる。組織人からすれば折り返し地点だ。エキスパートで行くか、プロの経営者になるか等、日本のお父さんたちもプロフッショナルが求められている現代、家族に対する責任を昨日は噛み締めたことであろう。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2006年6月12日

中国と日本の花き生産

 『ワイルドスワン』の著者ユン・チアンの『マオ?誰も知らなかった毛沢東』をようやく読み終えた。広義での団塊の世代の小生にとって、マルクスとエンゲルスの思想は青少年時代最も大きく影響を受けた思想の一つだ。現に何度もソ連や東ヨーロッパ、中国やベトナムに解放前に行っており、その分富がどこよりも格差なく分配されている日本の良さを改めて感じたりもした。
 文化大革命によって、中国の園芸文化の伝統は途切れたが、一部に伝統を受け継いだ人などが小平首席以降、植物園に復帰して、大変立派なボタンや菊やダリアを咲かせている。しかし全体としては現代中国の花き業界は、欧米を中心とした花き産業が導入された。現在新しい花き生産や流通については最も進んでいるオランダからの導入が盛んになった。これは中国があらゆる分野で世界の最も進んだ技術を導入移転して、世界の超大国になっていくことを希望しているからだ。洋才を取り込むのは中華思想と矛盾しない。
 今後の中国の花き産業はさまざまなことを学習しながら、輸出志向で好循環をさせていこうと考えている。日本より他に有利な輸出先があるわけではないので、植物特許などを遵奉しながら、業的拡大を図っていくつもりであろう。その仕向け先のマーケットは花束加工業者を通じた量販店での仏花となるであろう。だから今後国内の生産者はギフトマーケット、業務需要マーケットを狙い、自分の花を銘柄化していく必要がある。銘柄化していく中で当然高級仏花の素材として使われていくようになる。もう一段階、現在よりも上のランクを狙うことが価格を下げない努力となるのはなんとも皮肉で厳しい現実だが、しかし手を抜いたら産地にこだわる有力店が離れていく。産地にこだわりをもった有力店の需要を満たすことで国内産地は生きていく。
 フラワーデザイン教室の需要が昨年に比べ3割近く落ち込んでいる。もっと普通の値段でフラワーアレンジメント教室に通えるようになったのだ。アレンジメント教室の大衆化、そして一部トップデザイナーの教室の高級化、まさにどの産業も一緒だ。この二極化の現実から、国内でもしっかりお金の取れる産地はまさに、毎年進化しようと努力する産地に限られてきた。景気は確かに上向いてきた。だがどこの花を選ぶかの目はますます厳しくなっている。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2006年6月 5日

花の個人出荷者も組合を大切にする

 先月末、花き業界の重鎮で、元サカタのタネ専務取締役、また弊社の取締役でもあった岩佐吉純氏がお亡くなりになった。享年75と本当に惜しまれるが、岩佐さんの意志を受け継ぎ、花き業界発展のために尽くしていきたい。

 ヨーロッパのアルコールといえば、ワインでありビールであり、ウィスキーであり、ジンである。日本でもそうだが、酔っ払いは本当に少なくなり、かつての西側の先進国といわれた国のアルコールの消費量はいずれも減っている。お茶やコーヒーも同じで、前年比3?5%減というところのようだ。ビール業界では、一定の規模になったところはまだそんなに目減りはしていないが、中小のメーカーはこのままではやっていけないのではないかと、市や州ごとに生き残りの道について検討を重ねている。ドイツやベルギー、イギリスのビールメーカーだけでなく、ボルドーやブルゴーニュのワイナリーもそうで、シャトーといわれる生産・販売を垂直統合した会社はまだ良いが、国内密着型の中小はチリやオーストラリア、アメリカ、南アなど新興勢力に押されて存続が難しいと言われている。もちろんウィスキーにしてもジンにしても同様で、いかに国内産業を守っていくか、中小零細業者はどのようにして生き残っていくかは、業界を超えて世界の先進国といわれる国々の共通の課題だ。
 ではフランスやイタリア、ドイツのワインメーカーや、ベルギーやドイツ、イギリスのビールメーカーはどうしようとしているか。中小は業者だけ集まって出荷組合というブランドを作ろうとしているのだ。農協のような組織もあれば、特定目的会社のようなところがあり、株式会社のようなところもあるが、特定目的協会(協同組合)のような新しいタイプの組織を作るところが多い。地元のメーカーをこよなく愛すのは、どこの国どこの地域でも行なわれているが、世代が代わったり、価格が重要な購買動機だったりするような昨今、中小零細は自国の消費者に覚えてもらうため、地域の人に当てにしてもらうため、一定規模にせざるを得ないとして個人主義のフランスやベルギーでもまとまってきた。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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