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2006年6月12日

中国と日本の花き生産

 『ワイルドスワン』の著者ユン・チアンの『マオ?誰も知らなかった毛沢東』をようやく読み終えた。広義での団塊の世代の小生にとって、マルクスとエンゲルスの思想は青少年時代最も大きく影響を受けた思想の一つだ。現に何度もソ連や東ヨーロッパ、中国やベトナムに解放前に行っており、その分富がどこよりも格差なく分配されている日本の良さを改めて感じたりもした。
 文化大革命によって、中国の園芸文化の伝統は途切れたが、一部に伝統を受け継いだ人などが小平首席以降、植物園に復帰して、大変立派なボタンや菊やダリアを咲かせている。しかし全体としては現代中国の花き業界は、欧米を中心とした花き産業が導入された。現在新しい花き生産や流通については最も進んでいるオランダからの導入が盛んになった。これは中国があらゆる分野で世界の最も進んだ技術を導入移転して、世界の超大国になっていくことを希望しているからだ。洋才を取り込むのは中華思想と矛盾しない。
 今後の中国の花き産業はさまざまなことを学習しながら、輸出志向で好循環をさせていこうと考えている。日本より他に有利な輸出先があるわけではないので、植物特許などを遵奉しながら、業的拡大を図っていくつもりであろう。その仕向け先のマーケットは花束加工業者を通じた量販店での仏花となるであろう。だから今後国内の生産者はギフトマーケット、業務需要マーケットを狙い、自分の花を銘柄化していく必要がある。銘柄化していく中で当然高級仏花の素材として使われていくようになる。もう一段階、現在よりも上のランクを狙うことが価格を下げない努力となるのはなんとも皮肉で厳しい現実だが、しかし手を抜いたら産地にこだわる有力店が離れていく。産地にこだわりをもった有力店の需要を満たすことで国内産地は生きていく。
 フラワーデザイン教室の需要が昨年に比べ3割近く落ち込んでいる。もっと普通の値段でフラワーアレンジメント教室に通えるようになったのだ。アレンジメント教室の大衆化、そして一部トップデザイナーの教室の高級化、まさにどの産業も一緒だ。この二極化の現実から、国内でもしっかりお金の取れる産地はまさに、毎年進化しようと努力する産地に限られてきた。景気は確かに上向いてきた。だがどこの花を選ぶかの目はますます厳しくなっている。

投稿者 磯村信夫 : 2006年6月12日 00:00

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