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2006年7月 3日

ソムリエ

 仲卸の店頭で買うフラワーデザインスクールの先生と話していたら、「蒸し暑くなって花が保たなくて困る」との声をもらった。
先生に「この頃大田の仲卸さんがバケツにつけて、立てて花を販売しているものも多いから、保たないとすれば、バケツの中にバクテリアが多くいて水が汚れているからではないでしょうか」と話すと、先生から「生徒さんが家にもって帰ってから保たないと言うのです。」「だとすると考えられる答えは二つあります。一つは、生徒さんが飾るのは常温のところだから、飾られる場所へ行くまで暑かったり涼しかったりといわゆるヒートショックで花が弱ってしまった。もちろんバクテリアの影響もあるかもしれませんが、まずはヒートショック。そして二つ目は、ここが肝心なのですが、プロの我々は、誰が作った・どこの産地か、ここにこだわります。それがさっと水揚げされていると見かけがよければ良いと思ってしまって、この銘柄産地を選ばなくても大丈夫ではないかと思って仕入れてしまうのです。仲卸さんの中にも、極端に銘柄にこだわる会社とこだわらない会社があります。こだわる会社のそのお客さんは、いわゆる有名な専門店で、日本中どの地方でもこだわりを持ったお花屋さんが消費を引っ張って行ってくれます。先生、産地や生産者名にこだわって仕入をしてくれていますか。」「そういえばここ2,3年でこだわりが少なくなっています。仲卸さんで水揚げされているものが多いから、見ればわかると自分の目を過信していたのです。きれいに咲くか咲かないか、花保ちが良いか悪いかは銘柄産地と品種を選んではじめて、中身の品質を推定できるというもの。私はちょっと自分の目を過信していたかもしれません。」

 2010年以降の小売店のブランド化を想像してみよう。専門店はその店の名前、そのものがブランドである。だから銘柄産地の花や職人の花を扱うが、前面に推しだすのは自分の店舗名だ。これをブランド化したところが勝つ。一方、ストアロイヤリティーが少ない量販店、カタログ販売、インターネットサイトでは、自社の格を上げたり、信用してもらったりするために銘柄産地の花を扱いたいと思うが、銘柄産地は量を多くは作っていないので、基本的に二番手、三番手の銘柄産地とお付き合いをする。もちろん四番手、五番手、それ以下のところも産地名や個人名を出し、安全や安心を前面に出し買ってもらおうとする。いずれも産地名や職人名を出して販売することになるが、専門店はソムリエでなければならない。仲卸、また卸はソムリエが社内にいないと仕事にならない。このソムリエこそ、生鮮食料品花きの私たちの業界では欠かせない存在なのだ。もちろんそれだけで商売が成り立つわけではないが、今その要素が花き業界で欠けている。どこの地域、いつ誰が作った。ここが大切で、花は作りものだから、もちろん枝物にしても、山切りできる人がしなければいけない。人がすべてなのである。

投稿者 磯村信夫 : 2006年7月 3日 00:00

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