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2006年8月 7日

ソウルブランディング

 「政治は日曜日作られる」と言われているが、このところの日曜のテレビは、政治番組だけでなく経済番組も潮目が変わってきたことを痛感させられる。それはというと、日本は長寿国であるのに、機能食品を売り物にする宣伝の比率が減ってきた。健康でありたいということは誰もが願うところだが、LOHAS(Lifestyles Of Health And Sustainabilityの略、健康と地球の持続可能性を志向するライフスタイル)的な訴えに健康食品は変わってきた。さらに言うと、禁煙や野菜の5 a day、10種類以上の異なった食べ物、各種運動の1ユニットなどLOHAS的習慣化へ向けた健康維持の宣伝や番組が目を引く。そして比率的に多くなっているのが、環境を考えた精神の豊かさや、カタルシスを促す悲劇や人の証であるユーモアに富んだドラマや映画、あるいは宗教の番組、さらには政治話題やその具体的な取り組み事例の紹介番組などが増えてきていることが分かる。
 精神的な心の問題までくると食品添加物を使っていない食べ物や減農薬有機の野菜や花などに生活者の関心が行く。現代は、一方にはニートや自殺者の平均年齢が下がってきていること、または男性も女性もファッション雑誌が良く売れていること、一方にはサスティナブルをキーワードに身体だけでなく精神や心を鍛えることを提唱し、仕事においても自分を成長させるという面を強調することが多くなっている。確かにスピリチュアルな方向に世の中の価値は動いてきているが、一般大衆の我々のところではただいま現在、ヨガが示すとおり、精神の安定の前に肉体の健全化、健康に大衆は関心がある段階だ。これをどのように精神にまで繋げていくか、この段階に新しい日本と日本人の生き方がある。花き産業のあり方がある。
 花き業界を見ているともう一度和に戻ろうとする力が強く働いているように思う。企業経営で言えることは結局、近年言われ出した“ソウルブランディング”、その企業の精神の価値と言われるものであろう。それはただいまのところトヨタやホンダに代表される企業の生き様である。4号前に日本の花き業界でこれに関することに触れたが、組織運営に関して欠かせない価値であるソウルブランディングは新たな富の源泉が地球環境・社会性、ともによくなろうとする諸活動などにおかれはじめてきているということであり、取引先や生活者の共感がビジネスの繁栄となったのである。今までと時代が変わって、新たな時間に入ったのではなかろうか。

投稿者 磯村信夫 : 2006年8月 7日 00:00

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