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2006年10月30日

オランダHorti Fairに向けて

 日本のIFEXに続いて、オランダのアムステルダムでHorti Fairが開催される。B to Bでの新しい花き業界の提案を行なうものとしては世界最大で最高の品質レベルだ。弊社では大森園芸の頃から都合25年毎年行っている。特に大田市場の花き部に入ってから、見学に行く社員の目的もそれぞれ変わって、ロジステックの角度からオランダの花市場や仲卸を勉強する人、新品種を見たり時代の傾向を見たりする人など様々だ。数年前から労働生産性の切り口で、小売花束加工業者や仲卸、卸、生産者を数値で見る人もいて見学の仕方も多様になってきた。今年の小生の課題としては、この夏ロシアに行きロシア人は一輪菊を大好きで、良い品物がどの高級店でも日本円で250円から300円の売価で並んでいたのを見て、そういえばポーランドやウクライナも一輪菊が好きだったことを思い出した。たくさんお金を出すところに良いものが集まってくるからその供給元であるオランダの一輪菊の今とこれからを勉強しようというのが小生の目的だ。研修グループの中には生産者もいて一緒に見学をする。生産者の立場から品種を選ぶことだろう。
 さて昨日の朝、花き業界のとある方から電話を頂き、「ビッグニュースもう入りました?」と聞かれるので、「何ですか?そのビッグニュースとは・・・」と聞くと、アールスメール市場とオランダ花市場が合併することになったのです」とのことであった。世界のビッグビジネス鉄鋼業界と同じ危機感を持ったのか。どのような見通しの共有が合ったのか等、花市場の社長やボードのトップに聞いてみたいと思う。それでは次回は拡大EUの中で行なわれるユーロ高のオランダHorti Fair 2006のエッセンスをお知らせします。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2006年10月23日

新しい消費の予感

 たくさんの方にIFEXにお越しいただき、誠にありがとうございました。出展者はこの日のために新しい提案を用意し、それをつぶさに見ることができた。前回と代わり映えがしないと見る人もいるかもしれないが、よく見てみると趣向が凝らされており、花き業界の時代を先取りしたものを大変多く見聞することができた。それらを1、2年かけてブレイクダウンしていく、それが業界の発展へつながっていくことだろう。
 さて、昨日大田市場まつりが開催されたが、お天気に恵まれたせいもあって、花の即売会は大変盛況だった。全国の百貨店9月の売上では、紳士服がプラス6.2%と気を吐いている。新しい時代がはじまってきているかのようだ。
 まずは僕が考える花き業界の近未来について・・・。今、花き業界はカジュアルフラワーから始まり、ガーデニングブームが過ぎ去り、花は珍しいものではなくなって、フラワーアレンジメント教室の生徒が少なくなっている。だから、前から比べたら人気がなくなっている方向へ行っている。
 昔からジーンズを見ていて今回のブームは、ボトムスからはじまって擦り切れジーンズまで古いヴィンテージもののような加工が一巡したと思ったら、また紺のジーンズへと戻る。昔ジーパンと言われていたものが、飽きられてチノパンへ移り、しばらくしてまた大のジーンズブームになって今がある。確かにチノパンも少しは見るけれど、ジーンズはジーンズで発展をしている。花もこのような流れであると思っているのだ。あらゆる花の種類で新品種が何百では利かないほど毎年投入されているから、消費者が飽きるはずがない。前から言っているように、男性衣料は一巡して最後に上がってくるものだから、景気循環で花の売れるタイミングと同じだ。特に今日の衣料品は日本の男性も無粋が売り物では生きていけず、「ちょい不良(ワル)オヤジ」までいかなくてもジェントルマンのたしなみをもった大人の男の身だしなみ、そして作法、それが一定所得、一定教養以上の男性に求められるような時代背景がこの日本にある。
 若者の生活文化だけでなく、大人の生活文化がアジア諸国に受け入れられる今日になっている。その中に花がある。昨日の市場まつりでの花の売れ具合を見ていると、切花がよく売れるので、即売係りも切花売り場から鉢物の方へ、声の大きな販売員を助っ人に出したようだ。新しい花の大衆消費文化がもうそこまで来ていることを昨日の市場まつりで実感した。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2006年10月16日

人材

 今週はIFEXの週である。インターナショナルフラワーエグジビジョンは今年で3回目だが、世界の花の大産地や消費地で行なわれる国際的な展示会競争に、世界第2位の経済大国の日本は遅まきながら参加し、アジア諸国では唯一、一早く定番化した。これでヨーロッパ大陸と一部アフリカ、南北アメリカに偏っていた国際的な花の展示会がアジアでも世界から認められることになった。この意義は大変大きい。今週の木・金・土に開催される。詳しくは下記の通り
IFEX第3回 東京国際フラワーEXPO http://www.ifex.jp/

 さて、毎週いくつかの定例会を持っているが、土曜日に行なっている例会でここのところ「人」の話になっている。まず採用問題は団塊の世代のリタイアと、すっかり攻めの体制が整った大手企業。この二つを考えただけでも新規大卒者の採用はなかなか容易ではない。中途採用といっても卸売市場システムそのものが新しいものに生まれ変わろうとしているわけだから、業界の経験者はよほど吟味しないとかえって会社が変わろうとする足を引っ張ってしまう。他業界の経験者となると生活のリズムが違う。こういった話にここ2回程なって、どのように人を採用し教育していくかという話になっている。
 現在花き業界を構成する種苗、生産、輸送、卸売、仲卸、小売、これら構成要素の中で、最もバイタリティーがある、あるいは魅力的な人材が多い業種は仲卸業界である。このようにどこに人物がいるか業界を比べてみたら、会議ではこのような結論になった。それは二世、三世が少なくほとんどが創業者だということからであった。サラリーマン根性がなく、いわゆる「おぼっちゃま」ではないのだ。仲卸と言っても、全国卸協会という名称で場内仲卸、場外仲卸、花の問屋の人たちが参加しているが、この人たちは一代目の人たちが多い。リスクもあって小売店のために仕事をしなければならないだけでなく、自分より図体の大きい卸から仕入れなければならないことが多いのでよく揉まれる。仲買業として働き者だし、仕事が彼らの信念を鍛える。この仲卸の人たちが必要とする人材を採用できるようにすることが現時点での花き産業の発展におおいに寄与すると思われる。
 尤も、この卸売商(仲卸)の人たちは地方卸売市場と激しく競合している。2000年以降、この競争の中で地方卸売市場は従来の市場業務から新しい問屋業務をも内政化してきた。これによって小売店に役立っている。卸も仲卸も今、時代として必要なのは消費者に顔を向けた花の卸売業(問屋業)だ。ここに不足なく人材を届け、良い仕事をしてもらいたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2006年10月 9日

ダリア

東京は半袖で日中は過ごせるほどだが、今年初めての西高東低の気圧配置となり、初冠雪の富士山がはっきりと見える。

今日ダリアの切花の入荷が1,000ケースを超えた。台風のような低気圧だったので、関東から東北のダリアの産地は、ダリアが折れ曲がってしまう前に収穫してしまおうという気持ちも働いたであろうが、ちょうど集荷最盛期に入ったと、こう単純に見るべきだろう。ダリアは季節の大品目に育ちつつある。

弊社がダリアに力を入れ始めて早7年が経つ。力を入れるようになったきっかけは、株式会社サカタのタネの専務であり、弊社の社外取締役であった故岩佐吉純さんが大のダリア好きで、サカタのタネを退職された後、「ダリアの会」の会長に就任されていたこと。そして岩佐さんがどうしてももう一度日本の園芸界にダリアを定番として入れたいと情熱を持っていらっしゃったことである。私自身は日本経済が上向きになってくるタイミングで、80年代バブル景気のときのオリエンタルハイブリッドユリやチューリップのブームとまでは行かないが、何かインパクトのある大きな花を特に団塊ジュニアに向けてアピールすればヒット間違いないと思っていた。現在、弊社商品開発室長の宍戸はダリアの持つ多様性に目をつけ、大輪種の生産を山形と、育種家のいる秋田にお願いし、「ダリアの会」を通じ日本全国で営利栽培をお願いした。少量であるが日本各所の花市場で「花笠」や「はいばらのさと」等、伝統的な品種だけでなく新しい品種も出荷されるようになってきた。盛り上がるには全国主要都市で流通しないとダメだ。

今日1,000ケースを超えたダリアだが、以前弊社の商品開発室に在籍し、現在実家である千葉の勝浦で花き生産をしている鈴木誠氏は岩佐さんと同じ危機感を抱いていた。茎が空洞であるダリアはやはり花保ちが良くない。珍しいからといってそうは売れるものではない。切花で10日間保つダリアを作らなくてはならない。それには茎が空洞ではない保ちが良い品種を親に、花保ちの良い品種を作り、流通させようとしている。岩佐さんの影響を受けた「ダリアの会」の会員はじめダリア好きの人は、今保ちの良いダリアを出荷し始めた。この動きはとても大切でダリアの消費熱が衰えぬうちに花保ちの良い品種を出していきたいのだが、なんといっても育種には時間がかかる。育種は間に合うか。この「時」の競争に今大田花きは賭けている。岩佐さんの夢を現実のものにする役割が私にはある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2006年10月 2日

カイシャ需要

 オフィス街の花屋さんにとって9月29日(金)は一年で二番目に忙しい日だ。3月末も年度末の金曜日が一番忙しいのだが、お店によってはむしろ9月末の方が忙しいと言うところもある。
 株式を公開している会社は今、四半期決算といって1年に4回決算をして、株主に会社の今を知らせる。9月は上期の決算で弊社もご多分にもれず、忙しい日々を送っている。僕自身は上期末で、前半の総ざらいをし、下期に向けて的確に指示を出す必要があるから9月に入り本当に忙しい日々を過ごした。
 9月末の人事異動は転勤の場合、単身赴任が多い。だから、より花束が多く動くわけだ。特に今年の9月は昨年よりも需要が多かった。昇格もあり、ランのギフトを専門にしているところは組閣もあって、今週いっぱいまで忙しい。このようなオフィス街の需要は大なり小なり日本中の県庁所在地では起こっている。テレビドラマを見れば分かる通り、かつては店屋さんの家族を中心にしたドラマが多かったが、この頃はビジネスマンやビジネスウーマンを主人公にしたものばかりだ。“カイシャ”は花業界にとっては大切な需要である。カイシャ需要をもう一度掘り起こしたい。

 さて、上半期の総ざらいとして札幌や大分など卸売市場が立ち行かなくなってきているのがわかる。買付が自由化されたが、それはリスクが高くなったことでもある。花き業界の仕事の中で、誰もができてリスクの少ないものは利益が少ないという当たり前の状況になってきた。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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