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2006年10月 9日

ダリア

東京は半袖で日中は過ごせるほどだが、今年初めての西高東低の気圧配置となり、初冠雪の富士山がはっきりと見える。

今日ダリアの切花の入荷が1,000ケースを超えた。台風のような低気圧だったので、関東から東北のダリアの産地は、ダリアが折れ曲がってしまう前に収穫してしまおうという気持ちも働いたであろうが、ちょうど集荷最盛期に入ったと、こう単純に見るべきだろう。ダリアは季節の大品目に育ちつつある。

弊社がダリアに力を入れ始めて早7年が経つ。力を入れるようになったきっかけは、株式会社サカタのタネの専務であり、弊社の社外取締役であった故岩佐吉純さんが大のダリア好きで、サカタのタネを退職された後、「ダリアの会」の会長に就任されていたこと。そして岩佐さんがどうしてももう一度日本の園芸界にダリアを定番として入れたいと情熱を持っていらっしゃったことである。私自身は日本経済が上向きになってくるタイミングで、80年代バブル景気のときのオリエンタルハイブリッドユリやチューリップのブームとまでは行かないが、何かインパクトのある大きな花を特に団塊ジュニアに向けてアピールすればヒット間違いないと思っていた。現在、弊社商品開発室長の宍戸はダリアの持つ多様性に目をつけ、大輪種の生産を山形と、育種家のいる秋田にお願いし、「ダリアの会」を通じ日本全国で営利栽培をお願いした。少量であるが日本各所の花市場で「花笠」や「はいばらのさと」等、伝統的な品種だけでなく新しい品種も出荷されるようになってきた。盛り上がるには全国主要都市で流通しないとダメだ。

今日1,000ケースを超えたダリアだが、以前弊社の商品開発室に在籍し、現在実家である千葉の勝浦で花き生産をしている鈴木誠氏は岩佐さんと同じ危機感を抱いていた。茎が空洞であるダリアはやはり花保ちが良くない。珍しいからといってそうは売れるものではない。切花で10日間保つダリアを作らなくてはならない。それには茎が空洞ではない保ちが良い品種を親に、花保ちの良い品種を作り、流通させようとしている。岩佐さんの影響を受けた「ダリアの会」の会員はじめダリア好きの人は、今保ちの良いダリアを出荷し始めた。この動きはとても大切でダリアの消費熱が衰えぬうちに花保ちの良い品種を出していきたいのだが、なんといっても育種には時間がかかる。育種は間に合うか。この「時」の競争に今大田花きは賭けている。岩佐さんの夢を現実のものにする役割が私にはある。

投稿者 磯村信夫 : 2006年10月 9日 00:00

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