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2006年11月13日

要は心の持ちよう・改革・イノベーション

 相場を扱っていると認識や意識の違いによって流れが大きく変わることを経験する。コップの水を半分しかなくなったと思うのか、まだ半分あると思うのか、それによって試合の流れに相当する時の機運が違ってくるのだ。
 今年のオランダの市場は2ケタ成長している。青果の東京青果さんより大きな売上を持つオランダの2つの花市場はいずれも9月までで10数%増の取り扱いだ。1995年から10年間、投資や合併を繰り返しながら売上微増を辛抱してきた。一定規模以上の生産者から構成される生産組合、一社で日本のその品目(例えば菊、バラ、ポインセチアなど)の何分の1を生産する大規模海外生産者、そして大規模流通会社。小売店向けのキャッシュ&キャリー。このようにサプライチェーンがいずれも一定規模以上であるから、意志が徹底され、作戦がムダなく遂行される。2004年EUが旧東ヨーロッパまで拡大し、二ヶ年間デフレが先行したが、昨年末より景気はじわじわ上げてきている。今期、花もしっかり上向いてきた。さすが5億人以上を消費ターゲットにするオランダの市場は、耐えるときは耐え、打って出るときは果敢に打って出て、グローバリゼーションに的確に対応し、これを絶好のチャンスだとして生かしている。そしてこれが2008年1月、アルスメール市場とオランダ花市場の合併発表となった。
 さて、どのようにこのグローバリゼーションを見るか、オランダの花き業界は「変化はチャンス」と見ようとしている。日本も同様に見るべきだろう。では、どのようなチャンスかというと、?消費者にとっての利便性は??自社の有り様、自分の属している業界の有り様は今のままで良いのか、どのように変えるべきか??自分の取り扱うものやサービスのチェーンの中で、最適なサプライチェーンはどんなものか??そのとき自社は何をなすべきか?チャンスは4つの問いにある。
 消費者は一人一人、あるいは一家庭である。例えばホームユース需要なら、専門の小売店は地域に密着して、人口相応の店舗数がなければならない。また結婚式や葬式をつかさどる儀式の場所はそれよりもずっと少なくて良い。学校で言うと、義務教育の小中学校の数と同じ数だけ花のホームユース用花店があればよいし、高校と同じ数だけ葬儀場があれば良い。そして大学と同じ数だけ、結婚式場があれば良いと、こういう勘定になる。
 生産サイドは一定の規模拡大が必要だ。農協の花き部会とか、○○出荷組合などと、少なくても出荷団体としての規模拡大は必要になる。小売店やできれば消費者にまでも、その生産者名を、あるいは生産地域を知ってもらう必要があるからだ。そうでないとブランド化は図れない。ブランド化が図れなければ価格競争をしなければならない。「良いもの安く」競争だ。これを日本人はどこまでできるか、移民を決意しなければならないのか。茨城のトルコ生産者のように思い切って海外に出て行くのか。オランダのバラ作りはそうしている。
 さて今日は「日本ばら切花協会創立50周年記念大会」が東京で開催される。多様化の代表とも言えるバラ切花は、現在5本に1本が輸入品である。まだまだ輸入品が増えると言われている。今後をどう読むのか、そして多様化の中でどこまで国産のシェアを保つことができるか、それは健全な精神をばら切花協会の会員がしかと持つところからすべてがはじまるのである。

投稿者 磯村信夫 : 2006年11月13日 00:00

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