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2007年1月29日

親しい人たち、家族の絆

先週の木曜日、研修所のある御殿場へ赴いたが、今年の富士山は七合目まで雪があった。箱根ターンパイクなど雪のあるところもあり、冬用タイヤの装着が必要だと警告が出ている。そこへ行くと雪国は雪が少なく環境問題で盛り上がった先日のダボス会議ではないが、天候異変を自らの問題としてとらえる必要がある。

さて、国家予算が全体で83兆円と決まり、そのうち社会保障や公共事業、防衛、教育などで47兆円の予算が見込まれている。社会保障について言えば、日本は長い間、地域で子どもやお年よりの面倒を見てきた。この時代が過ぎ、職場が社員と社員の家族の面倒を見てきた。それが1990年代のバブル経済崩壊後、会社はグローバリゼーションの中で勝ち残るべく、本来の目的を持った組織としてゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ移行した。成果主義の賃金人事体制がその最たるものである。あるいは年金の401Kも同様である。地域社会から離れたので本家分家などの意識は急速になくなり、家の付き合いから近い親戚や親しい友人中心の付き合いになってきた。職縁が薄くなり、上司や仕事関係者が仲人になることはなくなって仲人自体が存在しなくなった。このような日本で誰が義務教育や老後の面倒を見るのだ。それは国家なのか。すなわち日本はヨーロッパ型に行くのか。国家だとすれば、消費税を目的税化して上げる必要がある。

さて、花のことについて言うと、昨晩小生のお仲人のお通夜があった。親友の両親に仲人をしてもらったが、ご主人は当の前に亡くなり、奥様が先週の金曜日に亡くなった。5人兄妹で男が3人。それぞれ経済界で活躍しており、昨日のお通夜には黒塗りの車で多数駆けつけていた。中目黒のそのお寺には会館が2つあり、ご参列いただける方の数が多そうで寒いといけないから急遽会館を二つ押さえたとのことだった。大きい方の会館にはストック、スナップ、バラ、胡蝶蘭をメインとした祭壇、もう片方の少し小さめの会館には白一輪菊でスロープを作りカトレアが飾られて、祭壇用の造型として美しいものであった。好みはそれぞれあろうが、大きな通夜、しかも経済界でも名前を出せば知らない人はいないくらいの会社の人たちが駆けつけたその通夜に、本来であれば保守的であろうはずなのに、我々の言葉で言う洋花が飾られていた。一輪菊を使わない葬儀がほとんどになるとは思わないが、しかし昨日2つの会館を使い、片方にはメインで洋花と胡蝶蘭、もう片方には菊とカトレアでこれが2番目ということは時世を反映していると感じた。

追伸:このように大きな葬儀は喪主の社会的な立場から行なわれたようでした。しかしそこに至るまでの家族会議の話を聞いていると、親しい仲間だとか内内でだとか、家族だけでだとか、そのように○○家の葬儀ではなく、○○さんの告別式と一回りも二回りも小さなスケールになっていく傾向が感じられたのでありました。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年1月22日

新しい日本の花き業界への動き

 今日は雨模様だが雪になるようでもあったので、雨で済んで良かったというところである。冬なのに関東地方は日射量が不足し、ステムが柔らかかったり、細かったりするものが多い。2月後半からのものは例年のとおりだが、それまでは少し優品や良品が多くなる。入荷量を見ていると案の定、昨年よりも5%以上少ない日々が続いている。

そんな中で昨年の「千葉中」の閉鎖と同じように、「相模原園芸」が19日の金曜日、市場の業務を閉鎖した。いずれも経営が健全のうちに閉鎖したので、そこを利用していた荷主さんやお花屋さんは困ったろうが、良い判断だと言える。

なぜこのようなことを書いたかというと、我々のような中小零細の廃業や倒産が2005年から再び増えてきたということだ。これはあらゆる業種に言える。ゼネコンや知事の汚職問題まで含め、広くはグローバリゼーションの中で21世紀の日本に生まれ変わるべく新陳代謝が行われている。2010年までこのような状況が日本では続いていくと思われる。そう思う理由は、日本は第二次世界大戦後米軍に統治されたが、ものの考え方やあらゆる社会システムが日本流だからである。2,3年前までのアジアンビューティーから、現在はジャパニーズビューティーになっている。ジャパニーズビューティーになってきたのは一方には日本の良さが忘れ去られ、失われつつあること。一方には日本の得意技であらゆるものを入れて日本流に焼きなおしたものに磨きがかかってきたということ。この二つの意味からであろう。日本は日本独特の文化、文明を持つと世界では定義付けられている。そして日本の役割はイギリスのそれに似て、アメリカとアジアの掛け橋になることであるとしている。よって日本は「お互い様」の思想や「フェアー」の物差しで自らを律し、アジアに位置しながらも、西洋とアジアの掛け橋になっていく役割を果たすことが必要であろう。

そのような視点でチェンマイ花博のジャパンデーに合わせ、先週国交120年のタイ、国交50年のマレーシアの花き業界を日本花き卸売市場協会の視察団の一員として見た。東南アジアの花き業界は中国系の人たちが多く、花は仏教や道教、ヒンドゥー教の仏壇に月2回は供えられるなどの日本との共通項も多いことから、アジアの花産業に日本は貢献できると確信した。日本はイギリスのようなポジションで他のアジア諸国と接していくのが一つの道であるように思う。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年1月15日

多様化

先週、筑波山で猪鍋を食べた。猪年だから食べたくなって所望したが、ご利益があるかバチが当たるかわからない。

さてその会場は一つの勉強会であったが、なんと大田花きで販売しているバラの品種は一年間で1,200以上もあるそうだ。そんなにたくさんあってよく覚えられると思う。特にここ10年、品種数が多くなり、担当部署の社員以外、ほとんど名前と現物が一致しない。このことは知識社会と作業サービス社会の一つの特徴だ。病院を例に取るとわかりやすい。例えば内科。ここでも循環器系云々、専門がそれぞれ全部違う。外科も然りだ。大田花きは切花・鉢物・苗物の総合卸だから、総合病院のようにそれぞれがプロとして知識や作業サービスを補充しあい、総合的な良さを実現しようとしている。花き産業が知識社会や作業サービスに対応した産業だと言われるのはこのためだ。一言で言ってしまえば多様化。多様化は中間流通の卸・仲卸に活躍の場を与える。さて、話を戻して知識社会とサービス社会の特徴だが、院長先生が心臓病の権威より偉いとは限らないように花き産業の会社の社長も同じだ。花店でも社長とデザイナーの関係はこれと同じだ。すなわち相対的な地位の問題はそこにすでにないように、社長は組織上の役割として方針決定することにその役割がある。よくオーケストラの指揮者に例えられるのはそのためだ。

しかし先ほど言った心臓病の権威や手術に優れた人、また大田花きの例で言うと、菊のプロや、バラのプロ、IT操作のプロなどは、社長が下した方針通りに動くべきであるが、それぞれは社長のパートナーとして会社を盛り立てていくことが必要なのだ。

大田花きは「30歳代の人たちの好みに合う花を供給するのが今年の品揃えの目標」だが、その方針に合わせて、菊やバラをそのプロは選び、集荷をする。あるいは生産者に作付けのお願いをするなど、そういったパフォーマンスが求められているのだ。

それにしてもバラの1,200にも渡る品種は多すぎる。同じような個性をもったものなら、そこの中から一つか二つだけにする作業をしなければならない。消費者は色や型や保ちや香りで買うだろうから、同系色のグラデーションができるようにしながらも、早急に品種を絞り込む作業をする必要がある。消費者にも買い手にもあまり喜ばれずに出荷され流通されている品種が多くあり、その分生産者も利益機会をロスしているからである。積極的な多様化は良いが、消極的な多様化はだらしなさをあらわし、機会ロスとなってあらわれている。日本中の卸売会社の品目担当者は、この冬の時間のあるときに、自らの顧客に合った品種構成を作るべくデスクワークをしてほしい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年1月 8日

冬の一日を大切に

大荒れの天気が二日続いた。ビニールハウスの被害が心配だ。

今日から平常の営業となる。とは言っても今日は祭日営業。だから普段の月曜日の朝なら、活け込み用の花材の仕入れでごった返す仲卸通りも、今日は少し静かだ。それを見込んで、店売り分の仕入を控えた仲卸もいるし、また飛行機などの交通の便が乱れていることで仕入を減らしたり、やめたりした仲卸や地方卸もある。だから平常に戻ったとは言えないが、入荷量を見るとどうも今月中は予定通り少なそうだ。油代の高騰は生産者の懐を直撃している。入荷の少ないときは需要の少ないときでもある。しかしそれは個人消費が少なくなるということであって、販促をしなくていいということではない。花は寒いからよく保つのでかえって消費者価値は上がっているから、人気が出てきたラナンキュラスなどのような春の小花を前面に押し出してアピールしていきたい。

年末の需要期が終わったばかりだが、いわゆる物日相場による売上増を予算の中に組み込んではならない。せいぜい予算組みするとしても、正月を迎えるにつけ、品質の良いものが量的に売れるから平均単価が高くなる。よって、この程度のアップに売上予算をとどめておくべきだ。物日相場によるインフレを計算できなくなった昨今、いかに三月中旬までのそれぞれの週を大切に商いするか、ここが最も大切なところである。もちろん次の物日に準備しておくことも大切であろう。しかし目の前にある今に集中すること、そこで最善を尽くすことが必要だ。計画を今日に落とし込み、そして今日も欠かせない1日として計画を立てて行動する。そういう努力を花き業界はしていきたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年1月 5日

花の品揃えの幅

新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

初市にあたり年頭の挨拶として、本日セリ場で三世代の顧客に利用してもらうことこそ繁盛の秘訣。そのために大田花きとして特に30歳代の働く女性、そして子育て真っ最中の女性が思わず買いたくなる花を品揃えする旨、決意を述べさせていただきました。

内需関連で業績を伸ばしているところは、お年寄りに気に入られているところ、団塊の世代がよく利用するところ、そして更に団塊ジュニアがここならと信頼して買ってくれるようなところが業態を問わず繁盛しています。小売店で言うとデパートの高島屋が伊勢丹、大丸に次いで注目され始めたのは、この三世代に渡る「大人狙い」のためではないでしょうか。ダリアや香りをテーマに供給をしてきた弊社でありますが、新春の手始めとしてまず枝物を厚くするところから始め、更にそれを切花・鉢物含めた中から選んで仲卸、小売の皆様へ提供していきたいと考えております。

本年も変わらぬご愛顧の程、宜しくお願い致します。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年1月 3日

ストーリー性とサプライズ

 明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。新年にあたり、二つの花き業界の目標を皆様と共有したいと思います。

1、普通の花をよく売れるようにする
 花き生産は時代をとらえるのが決して楽ではありません。それは三年も前に仮説を立て、技術を磨いて、そしてようやく今製品化されているからです。三年前に今を予測することの難しさといったら、我々流通業も、生産者の苦労を自分のものとして感じなければなりません。だから生産者はどうしても無難なものを生産する傾向になるのは人情でしょう。そうやって作られた花を消費者に見せる工夫をしましょう。新しくその花をアピールするアレンジと説明書き、あるいは良さをより解かりやすく説明、出生地をはっきりさせるなどして、ストーリー性を強調して販売していきたいものです。こうすればマンネリ化なぞ起こりません。マンネリ化はいつでも自分で自分をつまらなくしていることから起こります。まずは自分でおもしろがりましょう。自分でどうしたらもっと仕事がおもしろくなるかを考えながらそれぞれ自分の仕事を致しましょう。

2、消費にアクセントをつける
 種苗会社は日夜努力して新しい花を生み出しています。生産者の民間育種家も日本にはたくさんいらっしゃいます。プロは細部にこだわる。素人ならぼんやり見過ごしてしまうものを、違いの分かる人として、その違いを強調していきます。素人目にもわかる珍しい形のもの、個性的なものも一年にいくつか出ます。でもそのいくつかは花の場合、少量ですからなかなか入手が難しいのです。そういったヒット商品以外の他の新品種を、我々業者は種苗会社や生産者に変わってこんなに素晴らしいと細部を強調して、消費者に買ってもらいたいものです。消費者にサプライズを買ってもらう、マニアックな知識をつけて花を買ってもらうのです。

以上、このストーリー性とサプライズを今年は強調して花を流通させていくところに、昨年より素晴らしい今年が約束されると思うのです。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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