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2007年3月26日

人材の多様化が花き業界を発展へ

花の卸売会社もさまざまな雇用形態になっている。パート社員、アルバイト社員、派遣社員、嘱託社員、契約社員、正社員、このように多様化している。このように雇用形態が多岐に渡ってきたのは、何も大田花き一社のことではない。少し広く見ると世界でそのような傾向になってきている。世界で現在最も躍進著しい人材の会社は、派遣会社と請負会社である。

現在、国で議論されているように、残業が25%増しの賃金ではなく、5割増の賃金だとすると、日本は残業が減ると言われている。理由は仲間や上司から残業稼ぎだと思われたくないので、その従業員が段取りよく仕事をこなすからだ。日本には仲間から認めてもらう、通称「裏承認」と、秀でた才能パフォーマンスを披瀝したときの「表承認」と二つある。現在の知識社会、ポスト工業化社会では、創造性が不可欠である。会社でも成果主義の人事制度をとり、実力のあるものは年齢ではなく働けるようなシステムにしながらも、独創性が今ひとつ出せていないと言う。それは日本特有の仲間内から認められる「裏承認」のためだと言われている。バカになってみたり、ドジをしてみたり、できるヤツほど付き合いや義理を果たして、あんなに忙しかったら大変だろうと思うことがある。こういう中で、先ほど書いたように多様な種類の雇用社員がいる。ここではじめて各自がお互いの人としての特質や欠点を認め合い、一つの目的に向かって仕事をしていこうとする気運が生まれてきている。混沌と競争が必要なのだ。

今まで同質性が強調されていた雇用形態では、「出る釘は打たれる」という風であった。それが花き業界も全体で売上が落ち、ゼロサムの法則どおり、どこかが伸びるとどこかがへこむとういことになり、嫉妬や陰口などが出てきた。しかし、2009年手数料の自由化でいよいよ押し詰まってきたときに、このままではいけないと、世間をよくを見、外に目を転じていく人たちが増えてきた。特にバブル経済崩壊後、花き業界に入った35歳以下の人たちに素晴らしい人材が多くいる。もちろんそれよりも年配の人たちにも素晴らしい人材は多いが、気持ちの切り換えが行動に結びついているかというと、何か昔の成功体験と比較しているかのように、出来ない理由を並べたり、自慢話になったりしている。花き業界における雇用の多様化と新しい人たちの活躍が、新しい花き業界を生み出していくことが実感できる。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年3月19日

アジアの中の日本の花

彼岸のお墓参り需要と卒業式需要が重なりセリ場は活況である。ロジスティックの観点から見て、飛行機便の荷物は月曜日に遅れることが多い。それはこの時期、通常に飛行機便を使う産地に加え、沖縄の荷物が増えてくるから、羽田の航空貨物取扱所が混雑するのであろう。飛行機機材もかつてのジャンボ系からどんどん小さくなり、その分、荷が割れてくることが多くなっている。成田は良いのだが、問題は羽田の荷物となってきた。他のトラック輸送はずいぶん改善され合理化されているので、飛行機便の羽田の改善が望まれる。

さて、話題をもう一つ。フラワーアレンジメントを習いたいという若い女性は、一時に比べて少なくなっている。しかし、サークル活動のようなアレンジメント教室は活発だ。ちょうど大学でも○○部は部員が集まりにくくなっているのに、サークルは気楽なのか人気である。今、我々の財布では、「健康」に対する財布と「絆」に対する財布の紐がゆるい。この絆の一つに、気の合うもの同士の花のサークルやお料理のサークルがあり、もちろん音楽のサークルもある。仲卸さんの営業活動を見ているとフラワーアレンジメント教室だけでなく、このようなサークル活動への花の供給が増えていることがわかる。花を習いたいという人は減っているのかもしれないが、楽しみたいと思っている人は確実に増えているのだ。

さて、このような環境の中で、日本フラワーデザイナー協会(NFD)は「今年の日本のフラワーデザイン」を発表していく方針だと聞く。それは大変素晴らしいことだ。楽しみの中には流行のスタイルを取り入れるということもある。アジアの人たちは今でも日本の花について学ぼうと努力している。外に向かって、NFDが情報発信するということは、アジアの花のセンターである日本が、今後益々その役割を果たしていく上で、必要不可欠なものであろう。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年3月12日

輸入花は増加傾向

 東京では六本木ミッドタウンが新たにできるなど、質の高い生活空間を整えつつある。富山のように海・山・自然・持ち家などの伝統文化に根ざした生活の質を備えたものではないが、グローバリゼーションで世界の大都市に負けないハイテクに裏打ちされた居住空間が東京の目指すところだ。過去3,4年ほど、日本は世界の同時好景気と円安が相まって、特にアメリカと中国の高度成長のおかげで、大企業は利益を上げてきた。しかし、企業の順風満帆の状況はここで一旦仕切りなおし、これからは普通の経済成長となる。
家計部門では企業によって異なるが、昇給が行われているところもあり、初任給を上げているところもある。このように所得が増えていく基調にあって、個人消費は2007年の夏のボーナスから少し期待ができそうである。

景気が良い良いと聞くが、花には少しも良い影響がないと、昨年花き卸売市場協会の会合のたびに異口同音に言っていた。それはグローバリゼーションでデフレのプレッシャーが絶えずあるからで、昨年は天候などの不確定要因を除けば、秋までかなり好調だったと言えよう。

今年は円高にふれ、輸入品の数量が昨年よりも多く入ってくるものと思われる。中国やベトナム、あるいはインドにしても、GDPの中で輸出が占める割合が甚だ高い。例えば日本であればせいぜい輸出入共々15%前後、アメリカで20%、ドイツで40%、中国はなんと70%だ。どう見てもこの経済はバランスの取れたものだとは言えない。しかしグローバリゼーションの世の中で、新興国はここまで世界に打って出ているということである。とりわけ東南アジア地域は、工業製品だけでなく花も輸出をして外貨を得たい。先日、エチオピア大使がもっとバラを買ってくれとセールスにいらっしゃった。今後、人口が最も増える国の一つにエチオピアがあり、食っていくためには外貨を稼がなければならないということのようだ。そうなると、平均して日本の輸入花のシェアは15%から5%増えて、20%に届くのではないかと予測される。花き専門輸入商社の努力で、日本で再度選別したり、日本人の好みに合うものを入れたり、咲ききる品種を指定したりして、品質は毎年上がってきている。国内の花もアジア諸国に向け、輸出したいと思っているが、実行しているのは4,5箇所と少ない。ほとんどの産地は地域リーグ、あるいは日本リーグだけでどう優勝するかを考えている。例え日本で仕事をしていても、世の中はすっかりグローバリゼーションになっているから、再度世界一を目指すことで生産者間の目線を合わせてもらいたい。(野球に例えれば、草野球、高校野球、都市対抗、日本のプロ野球、アメリカの大リーグがある。世界リーグもあるが、実質はアメリカの大リーグが世界リーグと言って良いだろう。)
花そのもので、直接消費者を喜ばせるのが生産者の仕事。世界の優良な花は今後とも、質の高い生活を目指す日本に輸出されつづけていくことだろう。国内産地は、輸入花による中級品の価格のプレッシャーも強く、今後どのような土俵でナンバーワンになるか、戦略の見直しが必要となっている。競争を絶えず意識して仕事をしていただきたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年3月 5日

3月の相場予測

3月に入ってからも暖かい日が続く。週末にはコートなしで街を歩く人が大変多かった。車椅子の人たちも、街に出ていてなにやら楽しそうだ。
ある航空貨物を扱う責任者の方と話す機会があった。「今年は雪が少ないから、お墓参りの需要が増えると花き業界では予想しているのですね」とさすがプロらしい発言があったが、小生からは「一面そのようです。しかし他の面から見るとこの暖冬は花の商売にとってマイナスの点もあり、例年並ではないでしょうか」と話した。

そこを、もう少しお話すると、早咲きの桜はもう咲き始めた。3月一ヶ月で見ると、東京は九州と同じで3月20日に染井吉野の開花が見られるとされているが、お彼岸のお中日のときに花見ができそうだから、当然にお墓参り以外の切花の需要は落ちそうだ。パンジーはようやく元気になり始めたところで、その頃真っ盛りであろうから苗物の需要もそれほど大きくなるとは期待できず例年並みといったところであろう。

今朝も荷を見ていると、お彼岸用の露地ストックなどが出てきたから二週間早い。キンセンカはピンチをして、二又仕立てにしてもらっているので後にずれ込む予定であったがこれも早い。沖縄の小菊も三日程前進していると聞く。では前進をしてしまって14日の水曜日以降高騰するであろうか、いや少なくなってもそんなに高値相場が出るとは思えない。理由は二つ。一つ目は、消費者はすでに花の値段をよく知っており、いくらからいくらだったら買うが、それ以上でもそれ以下でも買わないとなっている。二つ目は、所得が増えていないので、花の消費が例年以上に活発化するとは思えないからだ。確かにアルバイトを社員化したり、団塊の世代の退職に合わせて新卒を増やしたりなどの賃金アップの動きがある。しかし基調は日本では外国人労働者ではなく、女性と高齢者の労働意欲が活発で賃金を押し上げる状況にあるとは思えない。もちろん高くしたら売れなくなってしまうから、コストが上がるとなるとグローバリゼーションで中国やインドなどに工場が移転する。あるいは日本は法人税率が高いので会社を外国に移すなどといったことが考えられるからだ。よって若年労働者の賃金がそう簡単に上がってくるとは思えないので、みんなが良い賃金上昇は考えにくく、花の消費はそんなに活発になる状況下ではない。

3月は総じて中値安定の相場展開になるであろう。そしてみんなが花を買うときに自分も買いたいと思うので花が売れていく。しかし、消費の手応えはあっても、パイが拡大するといった力強さはまだ感じられないだろうと予測している。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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