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2007年3月 5日

3月の相場予測

3月に入ってからも暖かい日が続く。週末にはコートなしで街を歩く人が大変多かった。車椅子の人たちも、街に出ていてなにやら楽しそうだ。
ある航空貨物を扱う責任者の方と話す機会があった。「今年は雪が少ないから、お墓参りの需要が増えると花き業界では予想しているのですね」とさすがプロらしい発言があったが、小生からは「一面そのようです。しかし他の面から見るとこの暖冬は花の商売にとってマイナスの点もあり、例年並ではないでしょうか」と話した。

そこを、もう少しお話すると、早咲きの桜はもう咲き始めた。3月一ヶ月で見ると、東京は九州と同じで3月20日に染井吉野の開花が見られるとされているが、お彼岸のお中日のときに花見ができそうだから、当然にお墓参り以外の切花の需要は落ちそうだ。パンジーはようやく元気になり始めたところで、その頃真っ盛りであろうから苗物の需要もそれほど大きくなるとは期待できず例年並みといったところであろう。

今朝も荷を見ていると、お彼岸用の露地ストックなどが出てきたから二週間早い。キンセンカはピンチをして、二又仕立てにしてもらっているので後にずれ込む予定であったがこれも早い。沖縄の小菊も三日程前進していると聞く。では前進をしてしまって14日の水曜日以降高騰するであろうか、いや少なくなってもそんなに高値相場が出るとは思えない。理由は二つ。一つ目は、消費者はすでに花の値段をよく知っており、いくらからいくらだったら買うが、それ以上でもそれ以下でも買わないとなっている。二つ目は、所得が増えていないので、花の消費が例年以上に活発化するとは思えないからだ。確かにアルバイトを社員化したり、団塊の世代の退職に合わせて新卒を増やしたりなどの賃金アップの動きがある。しかし基調は日本では外国人労働者ではなく、女性と高齢者の労働意欲が活発で賃金を押し上げる状況にあるとは思えない。もちろん高くしたら売れなくなってしまうから、コストが上がるとなるとグローバリゼーションで中国やインドなどに工場が移転する。あるいは日本は法人税率が高いので会社を外国に移すなどといったことが考えられるからだ。よって若年労働者の賃金がそう簡単に上がってくるとは思えないので、みんなが良い賃金上昇は考えにくく、花の消費はそんなに活発になる状況下ではない。

3月は総じて中値安定の相場展開になるであろう。そしてみんなが花を買うときに自分も買いたいと思うので花が売れていく。しかし、消費の手応えはあっても、パイが拡大するといった力強さはまだ感じられないだろうと予測している。

投稿者 磯村信夫 : 2007年3月 5日 00:00

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