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2007年3月12日

輸入花は増加傾向

 東京では六本木ミッドタウンが新たにできるなど、質の高い生活空間を整えつつある。富山のように海・山・自然・持ち家などの伝統文化に根ざした生活の質を備えたものではないが、グローバリゼーションで世界の大都市に負けないハイテクに裏打ちされた居住空間が東京の目指すところだ。過去3,4年ほど、日本は世界の同時好景気と円安が相まって、特にアメリカと中国の高度成長のおかげで、大企業は利益を上げてきた。しかし、企業の順風満帆の状況はここで一旦仕切りなおし、これからは普通の経済成長となる。
家計部門では企業によって異なるが、昇給が行われているところもあり、初任給を上げているところもある。このように所得が増えていく基調にあって、個人消費は2007年の夏のボーナスから少し期待ができそうである。

景気が良い良いと聞くが、花には少しも良い影響がないと、昨年花き卸売市場協会の会合のたびに異口同音に言っていた。それはグローバリゼーションでデフレのプレッシャーが絶えずあるからで、昨年は天候などの不確定要因を除けば、秋までかなり好調だったと言えよう。

今年は円高にふれ、輸入品の数量が昨年よりも多く入ってくるものと思われる。中国やベトナム、あるいはインドにしても、GDPの中で輸出が占める割合が甚だ高い。例えば日本であればせいぜい輸出入共々15%前後、アメリカで20%、ドイツで40%、中国はなんと70%だ。どう見てもこの経済はバランスの取れたものだとは言えない。しかしグローバリゼーションの世の中で、新興国はここまで世界に打って出ているということである。とりわけ東南アジア地域は、工業製品だけでなく花も輸出をして外貨を得たい。先日、エチオピア大使がもっとバラを買ってくれとセールスにいらっしゃった。今後、人口が最も増える国の一つにエチオピアがあり、食っていくためには外貨を稼がなければならないということのようだ。そうなると、平均して日本の輸入花のシェアは15%から5%増えて、20%に届くのではないかと予測される。花き専門輸入商社の努力で、日本で再度選別したり、日本人の好みに合うものを入れたり、咲ききる品種を指定したりして、品質は毎年上がってきている。国内の花もアジア諸国に向け、輸出したいと思っているが、実行しているのは4,5箇所と少ない。ほとんどの産地は地域リーグ、あるいは日本リーグだけでどう優勝するかを考えている。例え日本で仕事をしていても、世の中はすっかりグローバリゼーションになっているから、再度世界一を目指すことで生産者間の目線を合わせてもらいたい。(野球に例えれば、草野球、高校野球、都市対抗、日本のプロ野球、アメリカの大リーグがある。世界リーグもあるが、実質はアメリカの大リーグが世界リーグと言って良いだろう。)
花そのもので、直接消費者を喜ばせるのが生産者の仕事。世界の優良な花は今後とも、質の高い生活を目指す日本に輸出されつづけていくことだろう。国内産地は、輸入花による中級品の価格のプレッシャーも強く、今後どのような土俵でナンバーワンになるか、戦略の見直しが必要となっている。競争を絶えず意識して仕事をしていただきたい。

投稿者 磯村信夫 : 2007年3月12日 00:00

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