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2007年4月 9日

合わせるのではなく条件に合ったものを選ぶ

昨日はいくつもの行事が重なり忙しい日であった。統一地方選挙の前半戦、お釈迦様の誕生日の「花まつり」、そして春分の日後、最初の満月後の最初の日曜日の「復活祭」である。

もう10年も前のことになるが、大田市場を見学に来られた藤本農林水産大臣(当時)は小生と話していて、「磯村さんはクリスチャンですね」と言われた。実際は親父の跡を継いで、大井の養玉院の檀家総代の端くれであるが、自分を構成しているかなりのものは中学から高校時代に家庭教師をしてくださった高橋先生の影響を強く受けた。高橋先生がクリスチャンで、ギリシャ哲学を学んでいらっしゃったので、私自身はヨーロッパに強くあこがれていた。私自身の考え方はルーズ・ベネディクトの「罪と恥」にある「人目を気にする」あるいは承認で言えば「内部の人たちに承認を受けることが第一優先される」といったものは身に付けることをせず、そのまま成人した。自分が全体を考え、よしとする方向、こうすることがフェアーだとする手法を選び、ことを起こす習慣が身に付いた。もしかしたらこのキリスト教的考え方に加え、成城学園の自由闊達な教育方針が、今言った思考方法や手段の選択をさせたのかもしれない。このような考えや行動は日本でもかなり認められるようになり、今はかなり自由に発想したり、仕事をしたりすることができるようになった。競争が激しくなった現在、最初に条件やルールを決めておき、その条件に合ったもののみ取り上げて仕事をしていくといった仕事のやり方は、大変有効に作用している。

小売を例にとってお話しよう。花店はレストラン等と同じで、技と立地条件がものを言う商売だ。理想的には売上高に対し、材料費と人件費で60%、家賃が10%、その他販管費で20%。税引き前の経常利益で10%を出すことが目標だ。目標をここに設定し、この理想に近付けるよう邁進していくことが必要である。しかし、家賃が仮に駅ナカ立地やショッピングセンターなどでは15%以上となる。有利な条件でも15%だから、そうなると現在しわ寄せが来ているのが人件費だ。材料費を下げると競争に負けてしまう。これを下げることはできない。人は中・長期的な競争優位を約束するが、今まで花屋さんになりたい女子は一定数いた。だから何も正社員にしなくとも、アルバイトで済んだ訳だ。しかしここが今問題になってきている。早く優秀な人材を獲得しないと、結局将来店が成り立ちえない。ここを一定水準上げていく。そうなると家賃で5%、人件費で5%高くなって、利益が出なくなってしまうのだ。利益が出ない商売はやってはならない。利益はお客様をどのくらい適確に喜ばせたかの証で、万が一のときの予備費であるだけでなく、時代とともに、その会社が変わっていくための大切な投資財源だ。利益を出し、そして仕事を評価してもらう。そして税金を払う。私企業はそうやって社会を豊かにしていく。農業もそうだが、小売店でも先ほど示した売上高における各費用と利益目標を掲げ、努力を積み重ねている花店が増えてきた。バブル崩壊後、新しく花き業界が生まれ変わっていく。

投稿者 磯村信夫 : 2007年4月 9日 00:00

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