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2007年7月 2日

“Unbowed”へこたれない

第一四半期が終わった。切花では昨年と全く反対の展開、今年は4月が良く、母の日前から値崩れが始まり、6月は住民税の支払いなどもあり特に店売りが不振。鉢物は出荷量が底を打ち、都心部を中心に家具やペットとしての新しい鉢物の需要も見え、単価がじわじわ上がる気配となった。総じて6月は15%近く売り上げを落としているところが多く、第一四半期で10?5%近くマイナスのところが多いようだ。需要はこのような形で縮小均衡化しており、例えばこの6月に大田市場で行なったフェアの中でトロピカルフェアは久々のヒットだった。このように需要を的確に捉えて、「あなたたちが欲しいものはこれですか?」と具体的に提案しないと消費に繋がらない。このような状況になってきている。一般消費者を巻き込んだ展開は以上の通りだが、業者同士の取引では新商品に付ける名前も重要になってきている。これも昔とは違い、消費者に受け入れられるものでないといけないので、例えば草花ではライステリアのように、このテリアという言葉を単語の語尾に使われているので、言葉の響きからセンスの良さを表したり、覚えてもらいやすくなったりしている。

この時代を反映した売り方のうち、減農薬や無農薬などの安全・安心の運動が県指定でエコファーマーの表示をしたり、GAPやMPSの認証準備中などの表示をしたりしているが、このように考えるべきではないかと私は思っている。世界は単一経済になり、同じ経済価値で世界中の人たちが動いている。経済システムでいうと、世界経済システムがメインストリームで、その下に個別のその国の経済システムがあるという風だ。私はワンガリ・マータイさん(ケニアでグリーンベルト植林をしたことによりノーベル平和賞受賞)の“unbowed”を読んで、彼女がノーベル平和賞を受賞したのは、平和活動、持続的な資源管理の必要性、良い統治、この3つに向けて努力することが多国籍企業に対して世界経済が単一化した中で大変必要なことであり、ケニアで地道にグリーンベルト活動をしてきたマータイさんがこの3つの要件を満たしていたので、新しい時代を体現している人としてノーベル平和賞受賞者に選ばれたのだろうと思う。

1985年のベルリン会議で先進国が自分の領地を地図の上で線引きした。そこから国が部族を考慮することなくできてしまった、それがアフリカの国々だ。その中にあってケニアのマータイさんが毎日新聞の招きで来日、「もったいない」や「風呂敷」を世界に広めてくれている。先進国の7億人の消費者はグリーン購買やフェアバイイングなどの諸活動を日頃の消費活動の中で行い、大きな単一国家としての地球を意識した消費活動をしている。こうなるとその国独自の環境保全システムは例えばエコファーマーなどは現段階では良いと思うが、これはサブシステムである。メインの環境保全システムは花の場合、世界に通用しているMPSを使うことが日本の生産者として正しい選択であるというのが私の考えだ。世界基準になっている*EUREP GAPをどのように日本流に焼き直すかがMPSを使うことになるのではないか。世界の消費者の団体であるコーデックスがいくつかの検証を重ねてそう言っている以上、すすんでそれを受け入れるべきだと思われる。
それにしてもワンガリ・マータイさんの笑顔、67歳だというのにこんなに透き通った笑顔の人は初めてお目にかかった。すごい笑顔の力を持っている人であった。“unbowed”の出版記念パーティーのときそう思った。

*EUREP GAP・・・Euro-Retailer Produce Working Group Good Agricultural Practices(適正農業規範)

投稿者 磯村信夫 : 2007年7月 2日 00:00

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