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2007年11月26日

進化する街、進化する商品

忘年会やらお歳暮、はたまた来年の年賀の仕込みやらで、丸の内の中通りや有楽町、東京駅近辺に行くことが多くあった。「日本じゃないみたいね」というのが丸の内の中央通りだが、これにどのように日本の良さを出していくかどうかが課題だ。「なくても生きていける。でもほしい。」こういったこだわりをもったものが日本には少ない。海外のブランドはいずれもものつくりにこだわりがあって、使えば使うほど味が出てくる。日本のものはそこまで行かず、大量生産で作り手の個性が感じられないことが多い。どのように日本はもっと良いものを作っていくか、この作り手の個性を前面に押し出したものがあってもいいと思うが、新しい東京の街を歩いても、なかなかそれが見当たらない。

ヨーロッパやアメリカに行くとアシックスの運動靴やミズノのグローブやバットの評価が高いのでびっくりする。ゴルフクラブもそうで、ヨネックスまで含めて日本の運動具類はさすが日本人の技、機能だけでなくフォルムも素晴らしく、使えば使うほど味が出てくる。ここに日本の良さがあるのではないか。油絵、文学、クラシックやジャズなど明治時期から学び、日本人の表現として世界から評価されているそういうものがもっと身近にあって良い。小澤征爾を出すまでもなく、現代日本人の生活様式に合った日本の本物を我々は身にまとい、それらと一緒に生きたいのだ。丸の内中通りに文房具の「伊東屋」がある。これである。家具や洋服、靴や眼鏡などもっと質の高い日本の本物を作出し、路面店で販売してほしい。これと同じ様に日本人がこだわって作った花、ここに日本の生産者の生きていく道がある。産業としての花作りだから、一定の規模は必要だ。かつて3000坪と言われていたが、先週シンガポールで日本とASEANとのEPAの締結がなされた。将来を見込むとグループ化するなり、共撰化するなりして、5000坪を1ユニットとして自分たちのブランドをデザインし、販売戦略をきちんと立ててこだわって作っていく。お客はすでにもういる。日本中の政令都市で販売することをイメージし、新しく産地をリニューアルしてほしい。売上が落ちているということは、リニューアルすることに遅れをとったという意味だ。早く新しい都市に似合う良質な花を作り上げてほしい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年11月19日

現在の花の輸出とサブプライムローン問題

サブプライムローンの焦げ付きから、最初に手持ちの長いEUの金融機関、次いでアメリカの金融機関の被害総額が発表されるにつけ、株価が下がってきた。株価は7?8ヶ月経済事象を先読みして、実態経済に先行していると一般的に言われている。そうなるとさらに格差が世界中で広がることになる。差はどこに現れるかというと、良いときはどこも良いのだが、経済が悪くなってくると、通称“勝ち組”と言われているところは5%くらいのマイナスで済むのに対し、“負け組”と言われているところはドーンと下がっていく。景気、不景気を繰り返すうちに差が大きくなっていくのだ。

日本はバブル崩壊後、1999年まで国や地方自治体が、民間が稼げなくなったGDPを肩代わりし、トータルの日本のGDPは横ばいであった。しかしロシアのデフォルト、またタイバーツの暴落に端を発したアジア通貨危機は日本を除くアジアの国々を1997年直撃した。それは悲惨な状況であった。

そこから10年、アジアは立ち直った。しかしアジア諸国で花き産業がその恩恵を受けるようになったのは、2005年頃からで今年はまだほんの3年目にすぎない。もちろんそれまでも台湾のように官民挙げて競争力をさらにつける品目や品種の開発や改良、花保ち剤の開発、輸送コストを落とすための船便のテストなどに取り組んだところは一定の成果を出している。最終消費財の農産物に2000年から力を入れはじめたマレーシアも特にここ5年ほどの農地の規制緩和で民活を使い、日本にもたくさんの上質なスプレー菊を通年輸出するまでになっている。しかし今度のサブプライムローン問題は、アジア圏での域内貿易がそれぞれの国で一位か二位の輸出割合になるとは言っても、結局はアメリカが一番消費しているわけだから、その各国に及ぼす経済的な影響は大きい。当初は「北京オリンピックまでは大丈夫、いや2010年の上海万博までは大丈夫。」と中国のみならず、ASEAN諸国の景気動向をアジア圏ではこう肌で感じている経営者がほとんどだった。だから大規模設備投資も行い、各国の経済はうまくまわり、結婚式や葬式の花は日本のバブルのときと同じくらい使われることもあるらしい。それが現在設備投資の取りやめにまず来た。そうなると日本からの上質な切花の輸出はどうなるかである。国を挙げてやりはじめたことだから、そうは簡単にやめる訳にはいかないが、少なくとも定着することを目的に、息の長い取組みをし続けなければならない。台湾で日本の1/5の消費金額であるがその花き産業の育成と共に輸出額が伸びるようにすることから、韓国では日本の1/10の消費金額からはじめ、タイも同様だ。2010年ASEANが統合し、日本もFTA、EPAを結んでくれないと、切花で28%?35%も関税を掛けられたのではたまらない。その辺りも考えて、今回のサブプライムローンによる影響を考えながらも近隣諸国の花き業界と付き合っていく必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年11月12日

新しい住環境が新しい花の需要を生む

先月から今月にかけてヨーロッパ、東アジア地域を訪れてみると、日本だけ取り残されているといった印象を持った。平時において国民の関心事は飢えをしのぎ、寒さをしのぎ、夜露をしのぐこと。この段階を脱すると、美味しいものが食べられて、おしゃれが出来て、良いところに住めるようにすること、そして生、老、病、死に対し十二分に慮り、家族や社会の手助けを出来るようにしておくこと。これが政治上、最も重要なことである。

日本は生においては3万人を超える自殺者、老においては年金の問題、食においては偽装、衣は現在最も充実しており、男性もおしゃれを楽しむようになっている。そして花き産業にとって最も大切な少子高齢化にふさわしいゆとりある住環境、グローバリゼーションでも負けないシャープなアーバンライフを演出する都市、ここも耐震構造疑惑姉歯問題から、官が検査するのは良いが手続きが大渋滞し、内装メーカーだけでなく大手家具店の株価も停滞の影響で下がってきている。このようなマイナス点が一時に頻出しているのが日本の現状で、恐ろしいのはこのようなことで政治家や産業界のみならず国民も自信を喪失しているということだ。自信がぐらつき、余裕がなくなると、足を引っ張ったりいじめを行なったりすることに繋がりがちだ。そうならぬよう小さなうちに消火活動し、すでに燃え盛っているような問題に対しては、早さが重要で一刻も早く全力で立ち向かい、火を消し暫定措置をする。その暫定措置の間、抜本的な改革を行う。そのようなことが必要だ。

日本の花き業界だけを言えば、現在停滞している新しい日本の街づくりを一刻も早く再度軌道に乗せることが必要だ。住みかが新しくなると、家具も家電製品も、場合によっては衣類も食生活さえも、車も新しくする可能性がある。このように住は裾野の広い産業だ。せっかく人口が少なくなっていくのだから、それにふさわしいウサギ小屋ではない住環境を整えること、その豊かな暮らしを花き産業はお手伝いしたいと思っているのだ。そこに花き産業のこれからのお役立ちのポイントがある。そこに日本が早く踏み込むよう運動する必要があるが、そのプラスを得るまでは現状の需要に対してモデルチェンジをスピーディーに行い、飽きさせない努力が必要となる。

世界をリードする日本の先進企業が世界の各所で計画されているビッグプロジェクトに参加し、成果を上げている。その影響を受け、日本経済は好転している。しかし内需の問題となると、経済だけではなく政治が重要な鍵を握っている。ここを花き産業としても認識し、打つ手を間違えてはならない。こうヨーロッパと東アジアの諸国から帰ってきて痛感している。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年11月 5日

仕入れ機関として最もローコストな卸売市場の開拓者

仙台生花株式会社の橋本芳一氏の告別式、法要、会席が日曜日、仙台で最上級の礼を尽くして行なわれた。
昭和48年、仙台に中央卸売市場花き部ができ、東北・北海道のみならず、花き流通の整備が国中行なわれるようになって今の日本の花き産業がある。私たち卸売業者は、橋本会長が追求してきた卸売市場はどうあるべきかを自分流に考えて我がこととして捉え、その時代その時代に合うようモデルチェンジを絶えず行い、地域の花き流通の中核として今後とも改革に努めなければならない。それはなぜか。それは取引の手法がセリだろうが相対だろうが何だろうが、卸売市場はプロの目利きを育てる場所だからだ。花は生き物で品質と価値が絶えず変動するし、花は生鮮品の中でも最もファッショナブルなものだから、それを値踏みするのが毎日の仕事となると、仕事は卸売市場や仲卸の社員をプロ化する。また市場の仕事は物流のプロ、銀行業務のプロも作る。だから市場は経済学で言う、「取引減少の法則」「在庫適正化の法則」の経済効果以外に、プロの目でスクリーニングした花の取引が実現されるから、花をお金に替える機関として最も安上がりにつく。
橋本芳弘社長は会葬御礼のご挨拶の中で新たな決意を語り、一連の法要は参会者に深い感銘を与えた。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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