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2007年11月19日

現在の花の輸出とサブプライムローン問題

サブプライムローンの焦げ付きから、最初に手持ちの長いEUの金融機関、次いでアメリカの金融機関の被害総額が発表されるにつけ、株価が下がってきた。株価は7?8ヶ月経済事象を先読みして、実態経済に先行していると一般的に言われている。そうなるとさらに格差が世界中で広がることになる。差はどこに現れるかというと、良いときはどこも良いのだが、経済が悪くなってくると、通称“勝ち組”と言われているところは5%くらいのマイナスで済むのに対し、“負け組”と言われているところはドーンと下がっていく。景気、不景気を繰り返すうちに差が大きくなっていくのだ。

日本はバブル崩壊後、1999年まで国や地方自治体が、民間が稼げなくなったGDPを肩代わりし、トータルの日本のGDPは横ばいであった。しかしロシアのデフォルト、またタイバーツの暴落に端を発したアジア通貨危機は日本を除くアジアの国々を1997年直撃した。それは悲惨な状況であった。

そこから10年、アジアは立ち直った。しかしアジア諸国で花き産業がその恩恵を受けるようになったのは、2005年頃からで今年はまだほんの3年目にすぎない。もちろんそれまでも台湾のように官民挙げて競争力をさらにつける品目や品種の開発や改良、花保ち剤の開発、輸送コストを落とすための船便のテストなどに取り組んだところは一定の成果を出している。最終消費財の農産物に2000年から力を入れはじめたマレーシアも特にここ5年ほどの農地の規制緩和で民活を使い、日本にもたくさんの上質なスプレー菊を通年輸出するまでになっている。しかし今度のサブプライムローン問題は、アジア圏での域内貿易がそれぞれの国で一位か二位の輸出割合になるとは言っても、結局はアメリカが一番消費しているわけだから、その各国に及ぼす経済的な影響は大きい。当初は「北京オリンピックまでは大丈夫、いや2010年の上海万博までは大丈夫。」と中国のみならず、ASEAN諸国の景気動向をアジア圏ではこう肌で感じている経営者がほとんどだった。だから大規模設備投資も行い、各国の経済はうまくまわり、結婚式や葬式の花は日本のバブルのときと同じくらい使われることもあるらしい。それが現在設備投資の取りやめにまず来た。そうなると日本からの上質な切花の輸出はどうなるかである。国を挙げてやりはじめたことだから、そうは簡単にやめる訳にはいかないが、少なくとも定着することを目的に、息の長い取組みをし続けなければならない。台湾で日本の1/5の消費金額であるがその花き産業の育成と共に輸出額が伸びるようにすることから、韓国では日本の1/10の消費金額からはじめ、タイも同様だ。2010年ASEANが統合し、日本もFTA、EPAを結んでくれないと、切花で28%?35%も関税を掛けられたのではたまらない。その辺りも考えて、今回のサブプライムローンによる影響を考えながらも近隣諸国の花き業界と付き合っていく必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 2007年11月19日 00:00

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