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2007年12月17日

花から見た今年の世相

昨日の千両、苔松・苔梅市も、今日の市でも、総じて上値は重く、手頃なものの流れはすこぶる良い。上値が重いと言っても、期待を大きく上回る特上のものには値段がしっかり通っている。その辺が昨年との違いだ。例えばフリージアでも特上は90円相場、チューリップも同様だ。だから一般的には景気の影響を受けて消費の動きは鈍いものの、絶対量が不足がちなので下値が高い。特上のものの値段がよく通っているということはそれを評価する消費者がいるということだ。それは都心部の一流花店を見ていただければわかる。パリの花屋さんに引けを取らぬセンスとレベルの店は多い。昨年までは見せ方やアイディア中心で、素材そのものにそうは感動しなかったのがこのところ違う。宝飾品を見るのと同じ様に楽しむことが出来る。しかも宝飾品と比べたら本当に値段は手頃だし、花は生き物だからコミュニケーションもできる。地方都市のことはわからないが、東京の都心は確かに生まれ変わりつつあり、その花飾りという生活文化はオペラやミュージカルなどがそうである通り、日本では世界最高レベルにまで到達している。

だが大田花きの取引所を見ると、多くの小売店は近隣のスーパーマーケットとの競争が激しくなっており、スーパーと同じ品揃えのものを仕入れようとしている。小売店と同じ物をスーパーが売ろうとしているのかもわからないが、とにかく価格競争になっている。これではどちらかが具合が悪くなってしまう。専門店が大手量販店に伍して活躍しつづけるには、サービスの質を顧客の立場に立って追求する、地域に密着し地域にお金を落としたいと思う顧客をゲットする。期待以上のサービス、これが“山椒は小粒でぴりりと辛い”を旨とする小売店の進む方向であろう。しかし現実は必ずしもそうなっていない。日本の消費者は小売店を使い分けるので、高い花を買ってもらえる専門店になってほしい。2008年、日本の量販店はもう一度自社で花を取り扱い、クローガーやテスコのように花販売でも成功したいと考えている。縮小気味だった量販店の花売場は活気付き、花の小売業界の実態競争は激しさを増しそうだ。

投稿者 磯村信夫 : 2007年12月17日 00:00

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