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2008年2月 4日

成熟社会の花き業界にいることを認識しよう

建築家である慶応大学の隈先生がとある本で「東京の街で面白いのは秋葉原と町田だ」とおっしゃっていた。JRのおどろおどろしさを私鉄の明るさで覆い尽くす。そんな街、吉祥寺や池袋、新宿、渋谷、そして町田が人を中心とした街として大変魅力あるものに育ってきている。JR-JRではない、JR-私鉄の街で歓楽街と老舗がある街、ここが集客力があり、花屋さんもパワーがあるのだ。そう見ていくと都内で最も元気なお花屋さんの一つ、小田急フローリストさんは基幹店が新宿と町田にあり、重要な小田急線の駅や私鉄のターミナル駅にしっかり根付いている。小売店は立地産業だが、地域の文化の背景を生かした店づくりが欠かせない。良い例が戸塚の鈴花園さんだが、横浜と大船に挟まれた横須賀線の通り宿場町戸塚でこれほど地域に密着して、また地元の人が「地元の花屋さんが一番だ」と思っている店はない。

現在の日本は自笑的にかつては『ジャパンバッシング』、次に『ジャパンパッシング』、今自虐的に『ジャパンナッシング』と言っている。なんと自信を失わせる虚無的な言い回しだろうか。日本は高度成長が終わり、そこから落ち着いて成熟期に移行せずにバブったためさらに高度成長が続き、今度は急転直下、他の先進諸国のように時間をゆっくり掛けることなく心がついていかないくらいの猛スピードで成熟社会に突入した。バブル経済が成長期と成熟期のちょうど狭間にあったため、我々は成熟期に突入したとしっかり認識することができなくて、今でもまた景気が良くなると、かつての成長期にいるときのような生活の質の向上を期待する。脱工業化社会で、しかもグローバリゼーション、花の活け方もブーケやアレンジメントの商品化も、消費者よりも先回りして「あなたのほしいものはこれでしょ」と提案しないと選んでもらえない。取引においても今年はこれでやりましょうとより顧客価値を高めてやっていかないと信頼関係の維持が出来ない。これはすなわち成熟社会で皆がもう成長できないことを意味している。ごく一部の人たちに会社の成長は限られていくのだ。

心の準備が出来る前に成熟産業になった花き業界。少子高齢化で葬儀と仏花は見込み通りだが他がいけない。どんな需要を開拓しようとしているのか、ヒントは繁盛店にある。決して無理することなく、常連さんと一緒に実績を積み重ねている。

投稿者 磯村信夫 : 2008年2月 4日 00:00

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