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2008年2月18日

薬師の真言

瀬戸内寂聴さんの『秘花』という本を読んでいて、主人公の世阿弥が最晩年、佐渡に流刑され、長谷の観音様に続いて薬師如来様を拝んだ折、薬師の真言「おん、ころころ、せんだり、まとうぎ、そわか」と唱えるところを16日の土曜日の最後に読んで、スキーをしに外に出た。それから2時間して、素直に転んでおけばよいのに、リフトの下だったから他人の目を気にして格好つけて踏ん張ってしまったため、右足のふくらはぎに激痛が走った。右腕の上腕の筋肉を断裂したことがあるから、ひどい肉離れだとすぐ思ったが、なんと不謹慎というか、ありがたいというか、薬師の真言が思わず出てきて、「おん、ころころ、せんだり、まとうぎ、そわか」と言いながら、大丈夫な左足で時間をかけて下まで滑って降りてきた。世の中には偶然というものがあって、どうも年齢を重ねたせいか必然のような気がして、真言の「おん、ころころ、せんだり、まとうぎ、そわか」を唱えるたびに家内は笑い出す。

それだけ湯沢ではまさに深々と積もる雪が先週は続いていた。関東地方ではようやく土・日が晴天となって、季節柄春の草花が売れ始まってきた。そうは言っても、暖冬だった昨年に比べると人気のチェーン店や量販店で95%くらいだから、一般的にはそれよりも少し落ちるであろう。また日本海側や東北、北海道は今年は寒さが厳しいから店頭需要が1割ほど少ないという。今日も静岡県下の優良花の産地の連合会が消費宣伝でお越しになり、大田市場の買参人に「今年は油が高いこととことの外の寒さで、ようやく量がここに来てまとまってきました」と今後が期待できる旨セリ場で御挨拶いただいたが、前年に比べて出荷量で2月は?10?15%、消費も5?10%ほど少ない状況が今週一杯続きそうだ。そんなことから大田花きはJASDAQへ第3四半期の財務・業績の概要の提出と同時に「通期業績予想」も見直し、目標対比を99.3%、取扱高を293億円とさせていただいた。生産者と販売小売店のご苦労に報いるためにも、消費者の要望する時期に流通させることが出来るように今後とも生産者と取り組んでいきたい。

『秘花』の中で、「おん、ころころ、せんだり、まとうぎ、そわか」と繰り返し、薬師の真言を唱えた世阿弥は、人が耐えうるだけの労苦しか仏様は我々に与えないと確信するようになり、気が晴れていく様を語っている。様々な業界があるが、我々の業界は人に喜びを与え、喜びを感じてもらえる業界であることをつくづく感謝したいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 2008年2月18日 00:00

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